ピルを飲むと太る・むくむって本当?太る・むくむと言われる理由とは?医師が解説します。

「低用量ピルを飲むと太る」と聞くと、服用するのが不安になりますよね。実は低用量ピルで太るという医学的な根拠はありません。ではなぜ低用量ピルを飲むと太るといわれるのか、その理由と、万が一低用量ピルを服用して太ったと感じたときはどうすればいいかを詳しくご紹介します。


「ピルは太る」はウソ⁉太るといわれる理由とは

低用量ピルの服用を中止した女性のうち5%が、太ったことが理由で服用を中止したというデータがあります。しかし、検証を行った結果、低用量ピルと体重増加の因果関係は実際には立証されなかったのです。つまり、「低用量ピルを飲むと太る」という医学的根拠ははっきりしていないということ。

さらに、ネット上では、低用量ピルを飲むと太ることに関するさまざまな理由を目にしますが、実はその多くに根拠はありません。一体どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。

むくむから?

ネット上には「低用量ピルを飲むとむくむため、太ったと感じる」という情報も多いですが、実は明確な根拠はありません。

むくむ理由として「低用量ピルに含まれるホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)によって体内に水分がたまりやすくなる」という説も見られますが、正確には明らかになっていません。

食欲が増進するから?

「低用量ピルに含まれるプロゲステロンには、食欲を増進させる作用があるため太る」という説もありますが、こちらも明確な根拠はありません。むしろ低用量ピルの添付文書(説明書)には、副作用として「食欲減退」が挙げられています。

ピル服用中に太らないために

低用量ピルの服用が原因で太るという根拠はないものの、万が一太ったと感じる場合は、生活を見直すことも大事です。食事や運動、むくみに注意しましょう。

食事

食べ過ぎないことが基本です。食べすぎを防ぐためには、よく噛んでゆっくり食べましょう。また、過剰なカロリー摂取は控え、栄養バランスにも気をつける必要があります。むくみ予防のために、ビタミン、ミネラル(特にカリウム)、たんぱく質を適度に摂取したり、塩分とアルコールの摂取を控えたりすることも大切です。

運動

食事を極端に減らすようなダイエットにはリバウンドのリスクもあるため、運動をして健康的に体重を落としましょう。ウォーキングなどの適度な運動を習慣づけるのがおすすめです。一駅分歩く、階段を使うようにするなど、日常生活の中に運動を取り入れると続けやすいでしょう。また、適度な運動はむくみの解消にも効果的といわれています。

むくみの解消

むくみが気になる方は、体を冷やさない、長時間同じ姿勢でいないといった点に気をつけましょう。特に足首周辺の冷えは下半身のむくみにつながるため、靴下をはいたりしてしっかり温めることが大切です。

ピルの種類を変える

万が一、むくみや食欲の増進などを感じた場合は、ピルの種類を変えることで改善される可能性があります。低用量ピルにもさまざまな種類があるほか、エストロゲンの含有量が少ない超低用量ピルもあるため、医師に相談してみましょう。

ピルによって食欲増進がおさまることもある

実は、低用量ピルによって食欲増進がおさまる場合もあります。生理が始まる前にさまざまな不調が現れる月経前症候群(PMS)には、食欲が異常に増加してしまうケースもあります。この場合は、低用量ピルを飲むことでPMSの症状が改善し、食欲が正常に戻る可能性が考えられます。


参考文献

※参考:https://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf

※参考:https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/254910CF1025_3_01/