ピルの副作用で「眠気」が起きる理由とは?対処法も医師が解説

ピルは女性ホルモンを含んだお薬で、月経困難症などの治療や避妊を目的に飲むものです。しかし、女性ホルモンの変動で体調が変化するのと同じように、ピルの服用によっても何らかの症状が現れることがあります。

今回は「ピル服用中の眠気」をテーマに、その原因や対処法などについて詳しく解説します。

ピル服用中に眠気が生じることがある?原因は?

ピルの副作用で眠気が生じることがあります。これは、ピルによるホルモンバランスの変化が原因だと考えられます。

副作用で眠気が生じる頻度(確率)は、クリニックフォアで取り扱いのあるマーベロンの場合は0.1~5%未満、ラベルフィーユの場合は1%未満とされています。

(参考)
医薬品医療機器情報提供ホームページ‐マーベロン21/マーベロン28
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/254910BF1055_1_11/
医薬品医療機器情報提供ホームページ‐ラベルフィーユ21錠/ラベルフィーユ28錠https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/254910CF1025_3_02/

眠気以外の副作用の症状は?

眠気以外にも、吐き気、胸の張り、頭痛、下腹部の痛み、むくみ、食欲低下、不正出血、だるさ、動悸、イライラ感など、さまざまな副作用が生じることがあります。

ただ、眠気を含むこれらの症状はマイナートラブルと呼ばれ、一時的かつ軽度であることが一般的です。また、いずれもピルによるホルモンバランスの変化が原因と考えられています。

なお、ピルの服用によって血栓症のリスクが若干高まることが知られています。血栓症とは、血の塊(血栓)が血管につまるもので、つまった場所などによっては命にかかわることもあります。しかし、ピル服用によって血栓症が生じることは非常に稀なので、過度に心配する必要はありません。

ピルによる眠気のメカニズム・理由とは?

ピルによる眠気の理由として、黄体ホルモン、自律神経の乱れ、高温期の継続などが挙げられます。詳しくは以下の通りです。

黄体ホルモン

ピルには女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)の成分が含まれています。これらの女性ホルモンをピルで補充することで、避妊や月経困難症への効果を発揮します。

そして、黄体ホルモンが体内に入ると、アロプレグナノロンという物質が生成され、この物質が眠気を引き起こす原因だと考えられています。

ピルを飲んでいなくても、黄体ホルモンの分泌が多くなる生理前に眠気が生じる人は多く、これと同じ現象が起きていると言えます。

自律神経が乱れることによる睡眠不足

ピルによってホルモンバランスが乱れ、自律神経も乱れることがあります。自律神経は睡眠にも関与しており、自律神経が乱れることで、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。夜の睡眠が影響を受けることで、日中の眠気につながると考えられます。

高温期の継続

通常、女性の基礎体温(安静時の体温)は、排卵を境に低温期、高温期の2層に綺麗に分かれています。しかし、ピルを飲むと、基礎体温は常に高温期のままとなります。

通常は夜になるにつれて体温が下がり睡眠に入りますが、高温期のままだと1日の中で体温の変動が少なくなり、夜眠りづらくなり、日中の眠気につながることがあるのです。

ピル服用中の眠気はいつまで続く?

飲み始めの頃はピルに体が慣れておらず、ホルモンバランスが変化することによって、眠気をはじめとする副作用が起こりやすいです。しかし、飲み始めてから3ヶ月ほどでホルモンバランスも安定し、眠気を含むさまざまな副作用は気にならなくなることが多いと言われています。

ピルの服用中に眠気が気になるときの対処法は?

ピル服用中の眠気はひとまず様子を見てもよいですが、長期間続くときは医師に相談したほうがよいでしょう。詳しくは以下の通りです。

3ヶ月程度は様子を見る

前述の通り、ピルの飲み始めの時期は副作用が起こりやすいと言われています。3ヶ月ほど飲み続けるとホルモンバランスが安定して、眠気も気にならなくなることが多いため、生活に大きな支障がなければ、3ヶ月ほど様子を見てもよいでしょう。

長期間続くときは医師に相談する

3~4ヶ月経っても眠気が続くときは、別の原因があったり、ピルが体に合っていない恐れがあります。別のピルに変えることで改善されるかもしれないので、医師に相談してみましょう。

また、短期間であっても過度の眠気で生活にも支障をきたしているようなときは、早めに相談してください。

アフターピル服用時の眠気について

アフターピルとは、避妊に失敗したときに飲む緊急避妊薬のことです。アフターピルも、服用後数時間~数日間は眠気が生じることがあります。

ピル服用時の眠気の予防法

ピル服用時の眠気は、寝る前にピルを飲み、夜にしっかり寝ることで、ある程度予防できます。詳しく見ていきましょう。

寝る前にピルを飲む

ピルによる眠気は服用後数時間以内に現れやすいとされています。そのため、寝る前に飲むことで、眠気による影響を軽減できます。

夜しっかり寝る

夜はしっかり寝て、できれば日中に仮眠をとったりすることで眠気を予防しましょう。質のよい睡眠を取るためには、日中に体を動かしたり、夜早い時間にしっかり湯船につかり、ストレッチやアロマで寝る前にリラックスするのも効果的です。寝具や室温も快適なものにし、寝やすい環境をつくってみてください。

クリニックフォアのオンラインピル処方

クリニックフォアは、オンラインでピルの処方を行っており、低用量ピルの「マーベロン」や「ラベルフィーユ」を取り扱っています。

スマホなどを使ってオンラインで診察を受けていただき、ピルはご自宅などに配送するので、忙しい方でもピルを始めやすく、続けやすくなっています。これから始めようと思っている方も、続けていきたい方も、まずは受診をご検討ください。

※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。

参考文献

  1. 医薬品医療機器情報提供ホームページ-マーベロン21 /マーベロン28
  2. 医薬品医療機器情報提供ホームページ-ラベルフィーユ21錠 /ラベルフィーユ28錠