メラニン毛穴とは
メラニン毛穴とは、毛穴の周りの皮膚に、紫外線や摩擦などの原因でメラニンがつくられ、毛穴が黒く(または薄茶色に)目立った状態のことです。原因がメラニンなので、ある種のシミともとらえることができるため、毛穴ジミと呼ばれることもあります。
つまり毛穴との違い
つまり毛穴は、毛穴に皮脂汚れや角栓(皮脂と角質がまざったかたまり)がつまっている状態のことです。ターンオーバーの乱れや、皮脂の分泌が過剰な場合に角栓ができやすくなるとされています。
また、つまったものが酸化して黒く見えることもあります。
産毛毛穴との違い
産毛毛穴は、毛穴から生えている産毛によって毛穴が黒く見える状態のことです。顔の毛が濃い場合は特に目立ちやすいでしょう。
その他の毛穴との違い
そのほかに、以下のようなタイプの毛穴もあります。
・開き毛穴:皮脂分泌が多いなどの理由で毛穴が丸く開いている
・クレーター毛穴:主にニキビ跡として発生するもので、毛穴がへこんでいるのが特徴
・たるみ毛穴:加齢などによって毛穴が縦に広がって目立つ状態。表面をひっぱると目立たなくなるのが特徴
メラニン毛穴と他の毛穴の見分け方
毛穴トラブルにはいくつかの種類があることがわかりましたが、自分の毛穴がどれに当てはまるのか判断できなくては、適切な対応ができません。自己判断は難しいケースもありますが、以下のような特徴がある場合はメラニン毛穴の可能性が高いと言えます。
・毛穴の中央には色がついていない
・毛穴のまわりを縁どるように黒ずんでいる
・色は薄茶色~黒色
・毛穴を触ってもざらつきは感じない
・パックなどの毛穴ケアをしても改善されない
・脂っぽさを感じない
一方で、以下のような特徴がある場合はつまり毛穴の可能性が高いでしょう。
・毛穴に角栓がつまっている
・色は白~黒色
・毛穴が盛り上がっている
・触るとざらざらする
・鼻やあごで毛穴が同じような状態になっている
また、以下のような特徴がある場合は産毛毛穴の可能性が高いでしょう。
・体毛が濃い
・毛穴を触るとチクチクする
メラニン毛穴の原因
メラニン毛穴の原因は、名前の通りメラニンです。メラニンが作られる原因としては、紫外線や摩擦、炎症などが挙げられます。詳しくは以下の通りです。
日焼け・紫外線
紫外線を浴びると、メラニンを生成するメラノサイトが活性化し、大量のメラニンが作られます。
メラニンはシミのもととして知られていますが、実はメラニンは本来、紫外線から肌を守る役目を持っていることをご存知でしょうか。メラニンは、日傘のように黒くなって肌を紫外線ダメージから守っているのです。
また、生成された黒色メラニンは、ターンオーバーによってやがて排出されていくのが自然ですが、なんらかの原因によってターンオーバーが滞ると、黒くなったメラニンが肌に残り、メラニン毛穴やシミなどができてしまいます。
とくに鼻や頬といった顔の高い部分は紫外線による日焼けをしやすいため、メラニン毛穴ができやすい傾向があります。
強くこするなどの摩擦
メラニンは肌を守るためにつくられるものなので、摩擦によってもつくられます。たとえば、クレンジングや洗顔のときに、汚れをしっかり落とそうと肌をゴシゴシこすっていないでしょうか。肌に摩擦が与えられると、その刺激によってメラノサイトが活性化し、生成されたメラニンによってメラニン毛穴につながることがあります。
炎症
紫外線や摩擦のほか、過剰な皮脂分泌や毛穴のつまりなどによって毛穴に炎症が生じることがあります。
メラノサイトは炎症による刺激を受けて活性化するので、生成されたメラニンが炎症が治まった後も残ってしまうと、メラニン毛穴となってしまいます。ニキビができやすい方や肌荒れしやすい方は、とくに炎症によるメラニン毛穴に注意しましょう。
ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーとは、皮膚の細胞の新陳代謝のことです。怪我をしたときに自然に傷跡が消えていくのは、ダメージを受けた皮膚がターンオーバーによって少しずつ新しいものに入れ替わっているからです。
ところが、ターンオーバーは、ストレスや睡眠不足、乾燥、紫外線など、さまざまな原因によって乱れることがあります。するとメラニンが肌細胞から排出されずに残ったままとなるので、メラニン毛穴やシミができてしまうわけです。
メラニン毛穴の治療法
メラニン毛穴はセルフケアでは改善されないことも多いため、医療機関で治療を受けるのも選択肢の一つです。治療法としては、以下のようなものが挙げられます。
ダーマペン
極細の針で肌表面に小さな穴を開ける施術です。肌に穴を開けるといっても、穴は目に見えないほど小さなものなので、傷跡が残る心配はありません。
肌が傷つくことによって修復する力を高め、ターンオーバーが促進されることで、沈着した色素を排出する効果が期待できます。また、肌弾力にかかわるコラーゲンやエラスチンの産生を促すことから、シワやニキビ跡、たるみ毛穴などの治療にも使われます。
・副作用
赤み、ひりつき、かゆみ、腫れなどが現れることがあります。
・ダウンタイム
赤みやかゆみ、腫れなどが生じる恐れがありますが、ほとんどは数時間から1週間程度で落ち着くとされています。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、肌に薬剤を塗布し、古くなった角質を取り除く治療です。ターンオーバーが促されるため、メラニンの排出のほか、ニキビ跡の改善や美白効果なども期待できます。
薬剤を塗布するため、多少の違和感を感じる場合もありますが、痛みやひりつきなどは少ないとされています。
ケミカルピーリングにはいくつかの種類がありますが、なかでも副作用やダウンタイムを抑えやすいとされているのがウーバーピールです。ウーバーピールはダーマペンとピーリングを併用する施術で、ダーマペンで皮膚に小さな穴をあけ、そこから直接薬剤を浸透させる方法です。
・副作用
肌の乾燥、赤み、皮剥けなどが現れることがあります。
・ダウンタイム
赤みやむくみ、内出血、針の跡などが残ることがありますが、数日程度で落ち着くことが一般的です。
ピコレーザー
1兆分の1秒というピコ秒の波長のレーザーを照射する治療です。1回の照射時間がとても短く、この波長が皮膚の深部まで届いて沈着した色素を分解します。そのため、肌をほとんど傷つけずに、メラニン毛穴やシミ、肝斑、くすみなどの改善が期待できます。
また、肌の弾力に欠かせないコラーゲンやエラスチンの生成を促す効果も期待できることから、ハリ・弾力を得たい場合にも使われます。
・副作用
赤み、腫れ、色素沈着、かさぶたなどが現れることがあります。
・ダウンタイム
赤みが出ることがありますが、24時間以内程度でおさまることが多いです。症状によって1~2週間程度続くこともありますが、基本的にダウンタイムは短めとされています。
外用薬(トレチノイン・ハイドロキノン)
メラニン毛穴改善が期待できる外用薬として、トレチノインやハイドロキノンなどが挙げられます。トレチノインは、肌のターンオーバーを促すビタミンAの誘導体で、メラニンの排出を促す効果が期待できます。
ハイドロキノンはコーヒーや紅茶、イチゴ、麦芽などにも含まれる成分であり、メラニンの生成を防ぐ働きがあるとされています。
いずれも洗顔後の肌に塗布しますが、使用回数や使用量などは医師の指示を守ることが大切です。また、治療中は紫外線の影響を受けやすくなるため、日焼け止めなどを使ったUV対策が必要です。
・副作用
トレチノイン:赤み・ヒリヒリ感・皮むけなどが現れることがあります。
ハイドロキノン:かぶれや刺激などが現れることがあります。
・ダウンタイム
特にトレチノインは、1~2週間程度はかゆみ、皮むけ、赤みなどが起こりやすいです。
内服薬(ビタミンC、トラネキサム酸)
内服薬でメラニン毛穴改善を目指す選択肢もあります。効果が期待できる成分としては、たとえばビタミンCやトラネキサム酸が挙げられます。
ビタミンCは、メラニンの生成に必要な酵素の働きを阻害し、メラニンの生成を抑えるほか、すでにできたメラニンの色を薄くする作用もあるとされています。また、トラネキサム酸は、メラニンの生成を活性化する酵素の合成を抑える効果が期待できます。
・副作用
ビタミンC:胃不快感 、悪心、嘔吐、下痢などが現れることがあります。
トラネキサム酸:食欲不振や吐き気などが現れることがあります。
メラニン毛穴の予防法
できてしまったメラニン毛穴をセルフケアで改善するのは難しいため、日ごろから予防に努めることが大事だと言えます。以下のような点に注意しましょう。
洗顔・スキンケアは強くこすらず優しく行う
洗顔やスキンケアのときにゴシゴシこすってしまうと、肌に摩擦を与えてメラニンの生成を促してしまう恐れがあります。とくにスクラブ入りの洗顔料は余分な角質を落とす一方で、肌に大きな刺激を与えます。メラニン毛穴が気になる方は、スクラブ入りの洗顔料は避けたほうがよいでしょう。
また、クレンジング剤には、オイルやバーム、クリーム、ジェルなどさまざまなタイプのものがありますが、オイルタイプは洗浄力が高く、肌に刺激を与えやすいものです。日ごろからナチュラルメイクを心がけ、洗浄力の穏やかなクリームタイプやジェルタイプで落とすようにするだけでも刺激を抑えられるでしょう。
正しいクレンジングと洗顔方法
クレンジングを顔に塗り広げたら、指先で軽くクルクルとマッサージをするようになじませ、ぬるま湯でクレンジングを洗い流します。
続いて、泡立てネットなどを使って洗顔料をたっぷりと泡立てます。肌に泡をのせ、手が直接肌に触れないように注意しながら肌の上に泡を転がします。最後に洗浄成分が残らないように丁寧に洗い流したら、洗顔終了です。
洗顔後は肌の水分や油分が失われているので、すぐに保湿ケアをしてください。このとき気をつけたいのは、化粧水や乳液などをこすって浸透させようとしないことです。手のひらで顔をつつみこみ、ハンドプレスしながら押し込むようにすると摩擦を避けられます。
むやみに毛穴ケアをしない
はがすタイプのパックを使ったり、角栓を押し出したりするのも避けましょう。毛穴の周辺がダメージを受け、かえってメラニンが作られることがあるためです。
パックは必要な角質なども取り除いてしまい、毛穴の広がりや黒ずみの悪化につながることがあり、爪で角栓を押し出すと、雑菌が入ったりして炎症することもあります。
また、無理に角栓を出した後は毛穴が開いたままになり、乾燥したり、中にある皮脂などが酸化して黒く見えたりと、よけい毛穴が目立つ原因となりえるため注意しましょう。
シミに特化したスキンケアを使う
スキンケア化粧品には、厚生労働省が認めた美白有効成分が配合されたものもあります。新たなメラニン毛穴を防ぐためにも、以下のような成分が配合されたものを使うとよいでしょう。
・ビタミンC誘導体
シミの発生を防いだり、酸化を防いだりする成分です。ビタミンCを改良してあり、浸透しやすく、安定性にすぐれています。ビタミンC誘導体にもさまざまな種類があり、「リン酸アスコルビル」「テトラヘキシルデカン酸アスコルビル」などと表記されていることもあります。
・トラネキサム酸
メラノサイトを活性化させる酵素の働きを抑制してシミの発生を防ぎます。
・ハイドロキノン
メラニンの生成を抑えるとともに、黒色メラニンの色素を還元する(薄くする)作用があります。
・グリコール酸
美白有効成分ではありませんが、古い角質を除去し、ターンオーバーを促す成分です。ピーリング成分としてもおなじみで、「フルーツ酸」「α−ヒドロキシ酸」「AHA」などと表記されます。
なお、医療機関では、医師が開発や監修にかかわっているドクターズコスメを取り扱っているところもあります。より肌に合ったスキンケア化粧品を希望する場合は、ドクターズコスメの使用を検討してもよいでしょう。
十分に保湿する
保湿はすこやかな肌を維持するのに欠かせません。洗顔後や入浴後は、肌のうるおいを守るためにも、忘れずに保湿ケアをしましょう。
化粧水だけでスキンケアをすませてしまう方もいるかもしれませんが、肌の水分の蒸発を防ぐには、油分を含む乳液やクリームが必要です。化粧水で水分を補給したら、かならず乳液やクリームを使ってください。
代表的な保湿成分には以下のようなものがあります。
・セラミド
角質層で水分と油分をはさみこみ、しっかりと閉じ込めます。
・ヒアルロン酸
多くの水分を抱え込み、細胞同士をつなぎ合わせます。
・コラーゲン
たっぷりの水分を抱えて、うるおいと弾力を守る役割をします。
・アミノ酸
天然保湿因子を構成する、水分の保持に欠かせない成分です。
UVケアを行う
紫外線を浴びると、メラノサイトが活性化してメラニンが作られます。そのため、メラニン毛穴を防ぐには、UVケアをすることが非常に重要です。
紫外線というと夏のイメージがあるかもしれませんが、紫外線は季節を問わず、一年中地上に降り注いでいます。また、雨や曇りの日も紫外線が届いているため、油断はできません。
日焼け止めはもちろん、できれば帽子や日傘なども併用して、一年を通して紫外線対策をしましょう。
なお、うっかり日焼けしてしまったときは、肌が炎症を起こしているため、冷やして保湿するのがおすすめです。日焼けしたところを流水でしっかりと冷やしてほてりを鎮め、さらに化粧水で水分を補って乾燥ダメージを防ぎましょう。
食生活に気を付ける
肌は食生活の影響を大きく受けます。メラニン毛穴が気になる場合は、食事で摂取する栄養素に注意しましょう。
とくに積極的に摂取したい栄養素は、ビタミンA、C、Eです。
・ビタミンA
ターンオーバーを促進してメラニン色素の排出を助けます。トマト、かぼちゃ、にんじん、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれます。
・ビタミンC
メラニンの生成を抑えるほか、黒くなったメラニン色素を還元する作用もあります。レモン、いちご、キウイフルーツなどの果物に多いことが知られていますが、ブロッコリーやピーマンなどにも多く含まれます。
・ビタミンE
メラニンの排出を助ける働きがあります。アボカド、かぼちゃ・ほうれん草などの緑黄色野菜や、アーモンドなどのナッツ類に多く含まれます。
逆に摂取しないほうがよいのは、糖質や脂質が多い食べ物です。こういった食べ物は肌細胞を糖化させ、シミ、くすみを引き起こしやすくなります。ファストフードや甘いものが好きな方は、摂りすぎには注意が必要です。
その他の生活習慣を見直す
夜更かしや睡眠不足は肌のターンオーバーを停滞させるので、メラニン色素が排出されずに蓄積してしまう恐れがあります。新陳代謝を高めるためにも、しっかりと睡眠をとりましょう。
また、ストレスを抱えていると、自律神経の乱れからターンオーバーの低下につながることがあります。軽い運動をしたり趣味のための時間を作ったりして、適度にストレスを発散できるよう心がけましょう。
メイクやコンシーラーの厚塗りをしない
ファンデーションやコンシーラーには油分が含まれています。メイクを厚塗りすると、メイク汚れが毛穴につまり、ターンオーバーによって排出されるはずの古い角質が残ったままになってしまうことがあります。
するとメラニン色素を含む角質も毛穴に残ってしまうので、毛穴の黒ずみにつながります。メイクは厚塗りせず、メイクに適したクレンジングでしっかりと落とすようにしましょう。
毛穴のお悩みはクリニックフォアの美容皮膚オンライン診療へ
クリニックフォアでは、医学的効果のある外用薬や内服薬を使って肌悩みにアプローチする美容皮膚オンライン診療を行っています。
毛穴のほか、乾燥、肌荒れ、シミ、くすみなど、さまざまなお悩みに適したお薬を用意しています。お肌のお悩みをお薬で改善したい方は、まず受診をご検討ください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。
※自由診療