性病の潜伏期間とは?病気ごとの具体的な潜伏期間も紹介!

性病(性感染症・STD)とは、感染者との性行為で感染することがある病気のことを指します。
性病は、感染してもすぐに発症するわけではなく、発症までの間に潜伏期間が存在します。この記事では性病の種類ごとの潜伏期間や、潜伏期間に関する注意点などを解説します。
なお、性病は性行為以外に、病原体がついたものに触れるなどして感染することもあります。そのため、身近な人が感染した場合は、性行為がなくても感染の可能性を頭に入れて行動しましょう。

性病の潜伏期間とは

潜伏期間とは、原因となる菌やウイルスに感染してから症状が現れるまでの期間のことです。期間は病気によって異なり、数日で症状が現れる病気もあれば、数ヶ月以上症状が出ない病気もあります。

病気によって潜伏期間が大きく異なる理由ですが、病原体の発育が早ければ潜伏期間が短く、遅ければ長くなると考えられています。また、同じ病気でも、潜伏期間には個人差があります。これは、免疫力の高さによって発症までの期間に差が出るとされています。

検査ができる時期は潜伏期間とは異なる

検査ができる時期(正確な結果が期待できる時期)は、病気によって異なります。そして、これは潜伏期間とも異なり、潜伏期間中に検査ができる病気や検査方法もあれば、発症してもすぐには検査ができない病気や方法もあります。

ただ、どのような性病でも、早くても感染から24時間以上経たないと、正確な検査結果が得られません。検査のタイミングが早すぎると、感染していても陰性になってしまうことがあるのです。

抗原検査と抗体検査でも時期は異なる

検査は主に抗原検査(検体に病原体が含まれるかを調べる検査)と抗体検査(検体に、病気に対抗するためにつくられた抗体が含まれるか調べる検査)があります。

抗原検査は、病原体が存在していれば正しい結果が得られるので、早いと感染から24時間を過ぎれば検査が可能です。抗原検査にもさまざまな種類がありますが、たとえばよく耳にする「PCR検査」も抗原検査の一種です。

一方で、抗体検査が可能となるにはもう少し時間がかかります。抗体ができるには少し時間がかかり、発症しても抗体が十分に検出されないことがあるためです。検査が可能になるのが感染から数ヶ月先のこともあります。

【性病の種類別】潜伏期間・初期症状・検査ができる時期

ここまでで解説したように、病気によって潜伏期間も検査ができる時期も異なります。

たとえば感染者と性行為をしたからといってすぐに検査した場合、実際は感染していたにもかかわらず、陰性になってしまうことがあります。そのため、検査可能時期を把握しておくことはとても重要です。

代表的な性病の種類と潜伏期間の目安、検査ができる時期は以下の通りです。特徴的な初期症状も紹介するので参考にしてください。

※期間はあくまで目安です。もっと早い場合や遅い場合もあります。

病名潜伏期間の目安特徴的な初期症状検査ができる時期
性器クラミジア1~3週間程度・男性:尿道のかゆみや不快感、排尿時に痛み、膿が出るなど・女性:症状が出ないことが多い・抗原検査:24時間以降・抗体検査:4週間以降
カンジダ1日~1週間程度・男性:亀頭や包皮の白いカス、亀頭のかさつき、かゆみ・女性:性器周辺の強いかゆみ、カッテージチーズのようなおりもの24時間以降
性器ヘルペス2日~3週間程度性器周辺の水ぶくれやかゆみ・抗原検査:24時間以降・抗体検査:1ヶ月以降
トリコモナス10日~半年程度・男性:尿道から出る膿、軽い排尿痛・女性:泡状で悪臭がするおりもの、性器周辺の痛みやかゆみなど・症状がないこともある24時間以降
マイコプラズマ・ウレアプラズマ1週間~1ヶ月程度・男性:尿道の軽いかゆみ、尿道から出る透明な膿・女性:おりもの増加、においの変化、性器のかゆみ24時間以降
尖圭コンジローマ3週間~8ヶ月程度性器周辺の乳頭状のイボ症状が出てから(3週間~8ヶ月)
淋病2日~1週間程度・男性:排尿時の痛み、膿が出るなど・女性:黄緑色のおりもの、排尿時の痛みなど・症状が出ないことも多い24時間以降
梅毒3~6週間程度性器周辺や口の中のしこり、足の付け根のリンパの腫れなど・TP抗体検査:2ヶ月以上・RPR抗体定量検査:4週間以上
HIV2~6週間程度(右記のような初期症状が出た後、数ヶ月~数年以上潜伏期間となる)発熱などのインフルエンザのような症状3ヶ月以降
B型肝炎1~6ヶ月程度倦怠感、嘔吐、茶色い尿、黄疸など約2ヶ月以降
C型肝炎1~6ヶ月程度・倦怠感、食欲不振など・症状が出ないことも多い約3ヶ月以降

性病の原因・感染経路

性病は、感染者との性行為で、原因となる病原体に感染することで生じます。そのため、感染者と性行為したことがわかった場合は、潜伏期間中であっても早めに検査を受けるとよいでしょう。

また、口腔性交(オーラルセックス)や肛門性交(アナルセックス)でも感染することがあります。たとえば、性器に発症している相手とオーラルセックスすることで、自分の口の中やのどに感染することがあるのです。のどの症状は出づらいので、知らず知らずのうちに感染・発症している可能性があり、注意が必要です。

そのほか、病原体がついた手やものから感染したり、便中の病原体が手などについて感染したりすることがあります。さらに、常在菌が原因となる性器カンジダや、飲食物や輸血も原因となる肝炎のように、性行為をしたことがなくても感染・発症する病気もあります。

そのため、周囲に感染者がいる場合や気になる症状があるといった場合は、性行為がなくても検査を検討してください。

性病の潜伏期間の注意点

最後に、性病の潜伏期間に関する注意点を解説します。ポイントは以下の通りです。

  • 感染しても全く症状が出ないことがある
  • 性器以外に症状が出ることもある
  • 潜伏期間でも人にうつすことがある
  • 発症後に再び潜伏期間になる病気もある

詳しく見ていきましょう。

感染しても全く症状が出ないことがある

感染しても、全く症状が出ないこともあります。そのため、目安となる潜伏期間を過ぎて症状が出ないからと言って安心というわけではありません。感染の心当たりがある場合はまずは検査を受けたほうがよいでしょう。

性器以外に症状が出ることもある

口の周りや中、のどに症状が出たり、発熱などの全身症状が現れたりすることもあります。性病だからといって、性器だけに症状が出るわけではないのです。

たとえば性器クラミジアや淋病に感染している人とオーラルセックスをすることで、咽頭クラミジアや咽頭淋病を発症することもあるのです。特にのどは症状が出にくく、感染に気付かないことも多いため注意しましょう。

潜伏期間でも人にうつすことがある

潜伏期間でも、パートナーに感染させてしまう可能性があります。そのため、症状がないからと言って安心しすぎないようにしましょう。日ごろからコンドームを使い、予防に努めることが大事です。

発症後に再び潜伏期間になる病気もある

潜伏期間を経て発症した後、再度潜伏期間を挟んで進行したり、再発したりするような病気もあります。代表的な病気について見ていきましょう。

梅毒

梅毒は4段階で進行していきます。最初の潜伏期間を過ぎて第1期の状態になると、しこりやただれが現れることがあります。この症状はしばらくすると自然と消え、再度潜伏期間に入ります。

そして、感染から3ヶ月ほど経つと第2期の症状として全身に発疹などが現れます。

この後、潜伏期を挟んで再度第2期の症状が現れたり、第3期や第4期に進行したりすることもあります。第3期以降に進行すると命にかかわる症状が出ることもあるので注意が必要です。

梅毒は自然に完治することはほとんどありません。そのため、潜伏期間を完治だと勘違いせずに、早めに治療を受けることが大事です。

HIV感染症

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染すると、2週間ほどで発熱といったインフルエンザのような症状が出ることがあります。その後は数年~10年程度症状がない時期が続きますが、体内ではウイルスが増殖し、免疫力がどんどん下がっていきます。

そのまま放置すると、免疫力の低下によってさまざまな病気の発症リスクが上がり、エイズ発症に至るのです。

性器ヘルペス

性器ヘルペスの場合、感染後2~10日程度で水ぶくれなどの症状が現れます。なお、症状が出ないまま治ることもあります。

しかし、治療した場合でも、自然治癒した場合でも、ウイルスは一生涯体内にとどまります。そして、免疫力が下がるとウイルスが活発になって再発することがあるため注意しましょう。

性病の治療はクリニックフォアのオンライン診療で!

性病に感染した可能性がある場合は早めに受診し、検査を受けたほうがよいでしょう。潜伏期間中でも、感染から24時間経過すれば検査が可能なことが多いので、早めの受診が大事です。

クリニックフォアでは、オンライン診療と対面診療で性感染症の検査・治療を行っています。

また、他の医療機関等で検査した結果がある場合は、結果をもとに治療することも可能なので、まずはご相談ください。

クリニックフォアの性病治療の詳細はこちら

参考

http://jssti.umin.jp/pdf/guideline-2016.pdf