淋病の潜伏期間
淋病(淋菌感染症)の潜伏期間は、およそ2~9日程度といわれています。
実際には個人の免疫力などによっても変わってくるので一概にはいえませんが、9日を過ぎても症状がでないからといって、感染していないというわけではありません。
ただし実際の潜伏期間については個人差による影響が大きいため、仮にこの期間のうちに症状が出なかったからといって淋病(淋菌感染症)に感染していないと断定はできません。
また感染しても症状が出ない場合もあり、知らない間に感染していたというケースもあります。
淋病にかかった場合の症状
淋病に感染すると男性は主に尿道炎になり、女性は子宮頸管炎をおこします。
女性は膣炎や膀胱炎、男性は尿道炎を起こして、痛みやかゆみの症状が現れたりしますが、自覚症状がないことも多いです。
男性の症状
- 尿道の違和感・排尿痛
- 黄白色の膿が尿道から出る
- 精巣上体炎
- 前立腺炎
淋菌に感染すると男性のおよそ50%に何かしらの自覚症状が出るといわれています。
尿道炎を引き起こすと尿道の違和感や排尿時の痛み、黄白色の濁った膿が尿道から出ることもあります。
また精巣上体炎を起こすと睾丸が腫れて痛むこともあり、放置すると不妊症になる可能性もあります。
また前立腺炎に移行すると尿道内部に瘢痕を形成し、最悪の場合は排尿が困難になります。
女性の症状
- 症状が軽いまたはないことも多い
- 膀胱炎や膣炎を起こすことも
- 進行すると子宮頸管炎や腹膜炎などを引き起こす
- 不妊症の原因となることもあるので注意が必要
女性は比較的症状が軽いことが多く、感染しても無症状であることもあります。
症状が出ると膀胱炎や膣炎のように排尿時の痛みを覚えたり、膣から黄色などの分泌物が出たりします。
また感染したまま放置すると子宮頸管炎を引き起こすこともあります。
子宮頸管炎は初期では症状を自覚することは少なく、自覚する頃には腹痛や発熱を引き起こし重症化しているケースが多くなります。
腹膜炎などの骨盤内の炎症疾患に発展したり、卵管に損傷が生じると不妊症や子宮外妊娠の原因にもなるので注意が必要です。
また感染した状態で出産すると産道参道を通して赤ちゃんに感染することもあり、赤ちゃんの目や関節、血液に炎症を起こし非常に危険な状態になります。
無症状の場合もある
特に女性に多いケースですが、感染しても症状が出ないあるいはごく軽度ということも珍しくありません。
男性の場合でも症状がないケースが近年報告されており、排尿痛などのわかりやすい症状となって現れないこともあります。
また咽頭に感染した場合は多くの人が症状を自覚しないと言われています。
ただし症状が出ないからといって感染していないというわけではないので、他人に感染させたりするリスクは変わりません。
また症状が軽くても気づかない間に進行し、男性の場合は精巣上体炎を起こし不妊症の原因となります。
女性の場合も子宮頸管炎などを放置すると腹膜炎や骨盤内での炎症につながり、卵管周囲の癒着や、卵管通過性の障害が起こり子宮外妊娠や不妊症の原因となります。
潜伏期間中の検査と治療
感染機会から24時間以上経っていれば検査可能
淋病は感染機会から24時間以上経てば症状がなくても検査可能です。
淋病の検査は抗原検査が主流で、即日実施できる簡易検査キットもありますが、精度があまり高くないのでクリニックフォアでは行っていません。
当クリニックでは即日精密検査であるTMA法を採用し、専門の機器で検査を実施しています。
採取は尿、膿、膣分泌液、うがい液、肛門分泌物から行い、検査結果は遅くとも翌日には出ます。
潜伏期間中でも治療可能
淋病の症状が出ていない潜伏期間でも治療することができます。
淋病の治療は淋病の治療薬はセフトリアキソンの単回投与が基本となります。
セフトリアキソンという薬剤を30分ほどかけて点滴することで治療が完了します。
かつてはペニシリン系、キノロン系、アジスロマイシンなどの抗菌薬が使用されていましたが、近年ではこれらに耐性を持つ菌が出現しており、利用は推奨されていません。
スペクチノマイシンという薬剤もありますが、咽頭淋病に対しての効果が薄いことから、現在ではセフトリアキソンの単回投与が強く推奨されています。
潜伏期間と感染後無症状の違い
潜伏期間
潜伏期間とは感染してから症状が出るまでの期間のことを指します。
感染初期では痳菌が体内に侵入しているものの、症状を出すほど増殖していなかったり、症状が出る臓器まで到達していなかったりするので、普段と同じように過ごすことができます。
しかし、徐々に増殖していくと痛みやかゆみといった症状となって現れます。
無症状
無症状とは潜伏期間を過ぎても自覚症状がない状態のことを指します。
症状が出ない理由は様々あるので、一概に言えませんが個人の免疫力の差や年齢、基礎疾患の有無なども関わってきます。
感染しているのに症状が出ないことを「不顕性感染」といい、この状態でも検査すれば陽性反応が出ます。
症状が出ない状態で感染している人のことを「無症状病原体保有者」と呼びますが、この状態では自覚もないまま他人にうつしてしまうリスクがあり、憂慮すべき状態といえます。
淋病を放置するリスク
淋病を放置すると以下のようなリスクがあります。
- 身体の奥へ感染が広がっていく
- パートナーに浮気を疑われる
感染が身体に広がっていく上行感染を起こす
淋病は放置しても自然治癒しないため身体の奥に感染が広がっていきます。
これを上行感染といい、男性であれば精巣上体炎や前立腺炎に発展し、無精子症や不妊の原因となることもあります。
女性の場合は子宮頸管炎などの症状を引き起こし、不妊症や子宮頸管炎の原因となることがあります。
パートナーに浮気を疑われる
淋病にかかわらずですが、性感染症を患うと基本的にはパートナーに浮気を疑われる可能性が高くなります。
特に淋病は性交渉以外で感染することは非常に稀です。
仮に浮気でなくても風俗で遊んできたなど、他の人間と性交渉を持ったことを示唆してしまうため、二人の関係によい影響は与えないでしょう。
またパートナーが感染して症状が出ない場合は、自分が治ってもまたパートナーから感染するというピンポン感染の原因ともなります。
正直に告白するかどうかは人次第ですが、淋病の感染が疑われる場合は早急に治療を受けた方がよいでしょう。
まとめ:淋病は症状が出なくても感染を広げてしまう
以上、淋病の潜伏期間について解説してきました。
ポイントは以下の通りです。
- 潜伏期間は個人差はあるが概ね2~9日
- 感染しても症状が出ない場合もよくある
- 症状が出ていなくても検査・治療が可能
- 感染して放置すると不妊症などの原因になる
淋病は個人差はありますが、比較的潜伏期間が短い性感染症です。
また感染しても無症状の場合もありますが、症状がなくても人に感染させてしまうリスクがあることも注意点です。
クリニックフォアでは、オンライン診療と対面診療で性感染症の検査・治療を行っています。
オンライン診療の場合は、ご自身のパソコンやスマートフォンで診察を受けることができ、薬は診察後に自宅などのご希望の場所に配送します。そのため、時間がないかたでも受診しやすくなっています。
また、他の医療機関等で検査した結果がある場合は、結果をもとに治療することも可能なので、まずはご相談ください。