陰部(デリケートゾーン)のかゆみは病気が原因?症状と対処法を解説!【医師監修】

男性であれば陰茎や陰嚢、女性であれば腟周辺など、陰部がかゆいと気になりますよね。不快感も大きく、原因がわからないと不安になることもあるでしょう。

この記事では、陰部がかゆいときに考えられる病気や対処法、検査・治療方法について解説します。

陰部のかゆみの原因

陰部のかゆみの原因は、かぶれ、体温上昇、ストレスといった一時的なものから、性感染症のおそれまで、さまざまなものが考えられます。それぞれについて詳しく解説します。

かぶれ(接触皮膚炎)

かぶれの正式な病名は「接触皮膚炎」と言います。刺激によって炎症が起きている状態のことです。

通常、肌には外部からの刺激などから守るためのバリア機能が備わっています。しかし、バリア機能でも防ぎきれない刺激を受けるとかぶれることがあります。

かぶれの原因は、皮脂、汗、乾燥、アレルギーなど。陰部は、湿度や温度が高くなりやすく、蒸れやすい場所です。汗や汚れがたまりやすく、下着の締め付け、生理用ナプキンやタンポンのヒモとの接触などで刺激も受けやすいです。女性は生理の経血でも蒸れることがあります。また、男性の場合はコンドームによるアレルギーの可能性も考えられます。

なお、男性は陰嚢湿疹が生じてかゆくなることもあります。陰嚢とは睾丸部分のことですが、ここに汗や蒸れ、乾燥などが原因となって湿疹ができることがあるのです。かくと悪化して皮膚が厚くなるため注意しましょう。

体温の上昇

お風呂あがりなどの体温が上がった時だけかゆくなることもあるでしょう。これは、体温が上がることでかゆみを伝える神経が活発になることが原因とされています。

一時的なケースが多いので、あまり気にしなくてもよいでしょう。

ストレス

ストレスによって自律神経が乱れると、かゆみの原因となるヒスタミンの分泌が過剰になることがあります。こちらについては一時的なものであればあまり気にしなくてよいでしょう。

ただし、ストレスで腟カンジダ症になることもあります。これは、カンジダという真菌が増殖することで生じる病気で、適切な治療が必要になります。病気の詳細は後述します。

性感染症

主に感染者との性的な接触が原因で、細菌、ウイルス、真菌(カビ)などに感染して発症するものを性感染症といいます。

陰部は、病原体が入り込みやすく繁殖しやすい場所です。粘膜はバリア機能が弱く、湿度や温度が高くなりやすい、蒸れやすい、細菌などのエサとなる汗や汚れがたまりやすいためです。

なお、性感染症といっても、必ずしも性行為のみが原因で感染・発症するわけではありません。体内にもともと存在する菌が悪さをするケースや、公衆浴場などで感染するケースもあります。

ここからは、陰部のかゆみが生じる性感染症を紹介します。

性器カンジダ症

カンジダという真菌(カビ)が原因となって発症する病気です。男女ともに、常在菌として存在していることが多く、免疫力が低下すると菌が増殖して発症することがあります。そのため、感染原因は性行為だけではありません。また、抗生物質を飲んだ後に発症することもあります。

男性はカンジダによって亀頭包皮炎(亀頭や包皮の炎症)を発症し、陰部の赤み、白いカス、陰茎先端のかゆみなどを感じることがあります。ただし、無症状のケースも多いとされています。

女性は腟から肛門にかけての強いかゆみのほか、おりものがヨーグルト状や酒粕のようになったりするのも特徴です。

クリニックフォアでは、抗真菌薬(真菌に対して効果が期待できるお薬)の塗り薬や腟錠で治療を行います。

性器クラミジア

クラミジア・トラコマティスという細菌によって発症する病気で、日本で一番多い性感染症と言われています。

男性が感染すると尿道炎や精巣上体炎が生じ、尿道のかゆみ、不快感、分泌物(透明もしくは乳白色の膿など)などの症状が現れます。ただし、人によっては無症状のケースもあります。

また、女性はおりものの増加、匂いの変化、排尿時の痛み(膀胱炎のような症状)などが現れることがありますが、自覚症状がないことのほうが多いです。気がつかないうちに子宮頸管炎などに発展することもあります。

なお、クラミジアは男女ともに不妊の原因にもなるため、早期治療が大事です。

クリニックフォアでは、内服の抗菌薬で治療を行います。

淋病

淋菌という細菌が原因となる性感染症です。

男性は尿道のかゆみ、痛み、違和感、尿道からの分泌物(粘り気のある白っぽい膿が大量に出るなど)といった症状が現れます。ただし、人によっては無症状のケースもあります。

痛みは激痛となる場合もあります。

一方、女性はおりものの増加や匂いの変化、膀胱炎のような排尿時の痛みなどの症状が現れることもありますが、無症状のことのほうが多いです。

なお、症状は男女ともにクラミジアに似ています。しかし、クラミジアよりも淋病のほうが症状が強い傾向があります。

治療では、抗菌薬を点滴や注射で投与するのが一般的です。通常は1度で治療が完了します。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルスというウイルスが原因となる病気です。性行為でも感染しますが、子どものころに感染したものが、免疫力が低下したことなどをきっかけに再発して発症することも多いです。

かゆみを感じることがありますが、代表的な症状は水ぶくれです。ただれや強い痛みが生じることもあります。また、初めて感染して症状が出る時は、発熱や、リンパの腫れが出ることもあります。

クリニックフォアでは内服もしくは外用の抗ウイルス薬で治療を行いますが、ウイルス自体を完全に排除する治療法は存在しません。そのため、再発を繰り返す方には、継続して抗ウイルス薬を長期間服用する「再発抑制療法」をおすすめしています。

トリコモナス症

腟トリコモナスという原虫(微生物)が原因となる病気です。性行為以外に、公衆浴場や、シーツやタオルなどを介して感染することがあります。

男性は無症状のケースが多いですが、女性は陰部の赤み、激しいかゆみ、痛み、違和感、おりものの悪臭、泡状の黄色いおりものなどの症状が現れることがあります。

クリニックフォアでは、内服の抗原虫薬による治療を行います。

いんきんたむし

白癬菌という真菌(カビ)が原因となる病気です。10代後半~20代の男性に多く、強いかゆみや湿疹が特徴。性器から肛門にかけてや、太ももにも症状が現れます。

また、白癬菌といえば水虫の原因となるものです。実はいんきんたむしの原因の一つは、自分や他者の水虫から白癬菌が感染すること。感染者の皮膚から剥がれ落ちた角質に触れたりすると感染することがあるため、性行為以外に、公衆浴場などで感染することもあります。

さらに、動物の毛に感染する白癬菌もいます。感染した動物に触れると感染し、かゆみのある湿疹ができることがあります。

外用の抗真菌薬で治療することが一般的ですが、内服薬を使うこともあります。

毛ジラミ症

毛ジラミという吸血昆虫が陰毛に寄生することが原因となる病気です。男女ともに強いかゆみがありますが、無症状のケースもあります。

また、性行為をしなくても、シーツやタオルなどを介して感染することもあります。

殺虫効果のあるシャンプーやパウダーを使って治療を行います。

その他の雑菌が原因になることもある

はっきりとした病名はなくても、身近に存在するさまざまな雑菌が原因で陰部のかゆみにつながることも多いです。

男性の場合は陰部のかゆみのほか、痛みや違和感、できもの、膿などが生じることもあります。また、亀頭包皮炎が起きることもあります。これは、性器の洗いすぎ、下着のこすれといった刺激、免疫力低下などによる雑菌の繁殖によってなり得ます。

女性は、おりものの量やにおいの変化、膀胱炎のような排尿時の痛みなどを感じることもあるでしょう。

症状がある場合は抗菌薬による治療を行うことが一般的です。

陰部にかゆみがあるときの対処法・注意点

陰部にかゆみがあるときは、早めに病院に行くこと、できればパートナーも一緒に受診することや、かゆくてもむやみにかかないことなどが大事です。詳しく見ていきましょう。

放置せずに病院に行く

性感染症を放置すると炎症が体の奥まで広がって、前立腺や精巣、卵管などにも影響が出ることがあります。不妊の原因にもなるため注意が必要です。

また、パートナーに感染させる恐れもあります。女性が感染したまま妊娠すると、流産や早産の原因となったり、出産時に子どもに感染し、赤ちゃんが重大な症状を引き起こすこともあります。

放置せず早めに病院にいくことで早期回復がのぞめるため、早めの受診を検討しましょう。性感染症専門の病院や、皮膚科、婦人科、泌尿器科などが選択肢となります。

早めに受診したほうがよいケース

以下のようなケースは、性感染症の可能性が高いです。性感染症以外の治療が必要な病気が原因のケースもあるでしょう。そのため、より早めに受診することをおすすめします。

  • かゆみだけでなく、水ぶくれやただれもある
  • おりものに異変がある
  • 市販薬を使ってもよくならない

パートナーも受診する

性的関係にある場合、2人とも感染している恐れがあります。そのため、症状がなくても2人同時に受診し、検査を受けるとよいでしょう。

どちらか1人が治療して回復しても、パートナーが感染したままではまた感染が広がってしまいます。

かゆくてもかかない

かくと炎症がひどくなり、かゆみがさらに強くなることがあります。症状悪化の原因にもなるため、かく前に受診しましょう。

自己判断は禁物

しばらく性行為をしていないから性感染症ではない、といった自己判断は危険です。性感染症は潜伏期間が数ヶ月にわたることもあるため、忘れた頃に症状が出ることも珍しくありません。

また、性行為がなくても、公衆浴場や、感染者が触れたものから感染することがあるので覚えておきましょう。

陰部にかゆみがあるときの検査・治療方法

陰部にかゆみがある場合は、皮膚トラブルや性感染症など、さまざま原因が考えられます。クリニックフォアでは、症状から考えられる病気をピックアップし、検査を行っています。陰部に症状がある場合は、尿検査や陰部をぬぐうような検査を行うことが多いです。

また、治療は原因によってさまざまですが、飲み薬や塗り薬が使われることが一般的です。

陰部のかゆみが気になる場合はクリニックフォアへ

クリニックフォアでは対面だけでなく、オンラインでも性感染症の検査と治療を行っています。キットを使って自宅で検査を実施していただき、検査結果をもとにお薬を処方可能です。基本的に全てオンライン上でやり取りが完結するので、忙しい方や、受診のハードルが高いと感じる方にもご利用いただきやすくなっています。

一部、対面でなければできない検査や治療もありますが、まずはご相談ください。