ほくろとシミの違いとは?見た目・原因の違いや治療法を解説

茶色や黒のシミのようなものができたとき、ほくろなのかシミなのか気になるという方もいるのではないでしょうか。そもそも、ほくろとシミにはどのような違いがあるのでしょうか。 今回は、ほくろとシミの違いについて、その成り立ちや原因、メカニズム、除去する方法などとともに解説します。

ほくろとシミの違い

ほくろとシミは成り立ちが異なります。簡単にまとめると、シミはメラニン色素によるもの、ほくろは母斑細胞のかたまりだと言うことができます。詳細は以下の通りです。

シミはメラニン色素によるもの

シミは色素斑と呼ばれることもあるものです。シミにもさまざまな種類がありますが、基本的には、メラノサイト(メラニンをつくる細胞)から生成されたメラニンが後天的に沈着し、皮膚が茶色っぽく見えるものをシミと呼びます。

ほくろは母斑細胞のかたまり

ほくろは、色素性母斑や母斑細胞母斑などと呼ばれることもあるものです。メラノサイトに似た母斑細胞という細胞が集まって塊になったものがほくろです。母斑細胞もメラニンを持っているため、シミのような見た目になります。

また、ほくろには平らなものも盛り上がったものもありますが、最初は平らだったものが、時間とともに母斑細胞が増えて盛り上がることもあります。

なお、メラノサイトは主に表皮(皮膚の浅い部分)に存在しますが、母斑細胞は皮膚の奥のほうで増殖することもあります。

ほくろとシミの見た目の違い

ほくろとシミの見た目の大まかな違いは以下のようなものになります。ただ、明確に区別できるわけではなく、自己判断が難しいケースもあります。

ほくろシミ
・褐色~茶色~黒・シミに比べると黒っぽいものが多いが、茶色っぽい場合もある・褐色~やや黒色・茶色っぽいものが多いが黒っぽい場合もある
境界はっきりしているぼやけていることが多いが、はっきりしているものもある
大きさ数mm程度(おおむね5mm以下)※より大きいものは盛り上がっていることが多い数mm~1cm超とさまざま※より小さいものでも、頬や鼻に複数できているのはそばかす(シミの一種)の場合が多い
凹凸小さいものは平らで、大きいものは盛り上がっている傾向がある平らなものがほとんど
できる場所体のどこにでもできることがある紫外線が当たりやすい顔、手の甲、腕などにできることが多い

シミにはさまざまな種類がある

シミには以下のようにさまざまな種類があります。

種類特徴その他
老人性色素斑・褐色~やや黒色のシミ・数㎜~1cm超のものまで大きさはさまざま・境界は不鮮明・日光によくあたる顔や手の甲、腕などにできやすい・40歳以上で現れることが多い・シミの中で最も多い・主に紫外線が原因となる
肝斑・もやもやとした境界の不鮮明なシミ・両ほほに左右対称に現れる・30歳以上で現れることが多い・紫外線や女性ホルモンの影響が悪化原因となる・再発しやすく治りにくい
雀卵斑(そばかす)・3mm程度の小さな褐色の斑点が多発する・顔、首、腕などの日光があたる場所にできやすい・3歳ころから現れることが多い・夏に色が濃くなり、冬に薄くなる傾向がある・思春期までは年齢とともに悪化し、その後薄くなっていく・遺伝が主な原因
炎症後色素沈着・炎症によってメラノサイトが刺激され、メラニンが増えてシミになったもの・炎症した部位、形、大きさのシミとなる・メラニンの過剰生成が正常化すれば自然に改善す治ることが多い
ADM(後天性メラノサイトーシス)・そばかすよりも少し大きめのシミが多発する・褐色や灰色・両頬やおでこ、下まぶたなどに現れる・皮膚の奥の真皮にできる

また、上記のような複数種類のシミが混在している事も多いです。

ほくろやシミができる時期の違い

ほくろは生まれつきのもの(先天性色素性母斑)もありますが、実は後天的にできるもの(後天性色素性母斑)が圧倒的に多いとされています。後天性のものは、学童期から思春期以降に現れます。

一方で、シミはその定義上、後天的にできるものを指します。シミの中でも代表的な老人性色素斑は、40歳以上で現れることが多いとされています。

ほくろやシミができる原因・メカニズムの違い

ほくろは生まれつき存在することもあり、そのようなものは遺伝の影響が大きいとされています。

一方、シミはメラニンが原因です。通常はメラニンがつくられても、ターンオーバーによって排出されます。しかし、シミがおおむね40歳以上で現れると解説したように、加齢や乾燥などによってターンオーバーのサイクルが遅くなると、メラニンが排出されにくくなり、シミとして定着してしまうのです。

メラニンがつくられる原因としては、紫外線や摩擦、ホルモンバランスの乱れなどが挙げられます。

なお、後天的なほくろは、シミと同じようなメカニズムでできることもあります。

遺伝

ほくろは遺伝が影響するとされています。たとえば、両親にほくろが多いと子どももほくろが多いことがあるでしょう。

また、シミも遺伝が影響するケースはあります。たとえばそばかすは遺伝するケースが多く、そばかすがある方はメラノサイトが活発化しているとされています。

なお、一般的なシミにおいても、遺伝的に紫外線の影響を受けやすく、シミができやすい体質の方もいると考えられます。

紫外線

シミは、日光によくあたる顔や手の甲、腕などにできやすく、紫外線の影響が大きいと考えられています。また、肝斑やそばかすなども、紫外線によって悪化することがあります。

そもそも、なぜ紫外線を浴びるとシミができてしまうのでしょうか。そのカギを握るのは「メラニン色素」です。

メラニン色素はシミの原因として知られていますが、本来、黒いメラニン色素は肌を守るために生成されるものです。

紫外線は肌の奥まで届いて、シミを作ったりコラーゲンを破壊したりします。そのダメージをブロックするために、メラノサイトで多くの黒色メラニンが生成され、まるで日傘のように肌を守っているわけです。

摩擦

摩擦は皮膚にダメージを与えるものです。メラニン色素は、その摩擦ダメージから肌を守ろうとして生成されます。

次のような行為はメラニンを誘発する原因となるので注意しましょう。

・お風呂でナイロンタオルを使ってゴシゴシ洗う

・洗顔時に肌をゴシゴシこする

・きつい下着や衣服を着ける

・頬杖をついたり、机に肘をついたりする

・ゴワゴワしたり凹凸があったりする素材の衣服を着る

・美顔器で刺激を与える

ホルモンバランスの乱れ

女性ホルモンはシミと深いかかわりがあります。主な女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあり、普段は月経のサイクルに応じてホルモンの分泌量が変化しています。

実はプロゲステロンには、メラノサイトを活性化し、メラニンを増やすはたらきがあるため、プロゲステロンの分泌が増えたりエストロゲンの分泌が減ったりすると、シミができることがあります。

たとえば、女性ホルモンの分泌が特に増える妊娠中は、シミや肝斑ができやすくなるため注意が必要です。妊娠中にできた肝斑は妊娠性肝斑と呼ばれることもあります。

また、ピルや、ホルモン補充療法といったお薬・治療によってシミや肝斑が生じることもあります。

このほか、寝不足や乱れた食生活などでホルモンバランスが乱れたときにも、メラノサイトが活性化されます。さらに、女性は年齢が高くなると肌のうるおいを保つエストロゲンの分泌量が減少するため、乾燥からシミができてしまうこともあります。

ストレス

エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンは、ストレスの影響も受けやすいといえるでしょう。

女性ホルモンは、脳下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌されて、その刺激を受けて卵巣から分泌されます。ところがストレスを感じると、脳下垂体が正しく機能しなくなって、ホルモンバランスが乱れからシミにつながることがあります。

また、ストレスはターンオーバーにも影響を及ぼします。

人はストレスを感じると、血管が収縮することがわかっています。血液は肌に栄養を運ぶ役目を持っているので、ストレスから肌が栄養不足になって新陳代謝が停滞し、シミが残ってしまうことがあるのです。

このほか、活性酸素もシミの原因のひとつです。活性酸素は、呼吸で体内に入った酸素が変化したものです。

ストレスを受けると活性酸素が増加してメラノサイトを刺激するため、メラニンの生成が促されてシミとなることもあります。

ほくろやシミは自然と治る?

ほくろが自然に治ることはほとんどありません。一方シミは、原因となるメラニンがターンオーバーによって排出されるなどすれば、改善することもあります。

ただ、一度できたシミが消えるまでには時間がかかることも多く、とくに年齢を重ねている場合はターンオーバーの周期も長くなるため、自然には消えないことが多いでしょう。そのため、ほくろやシミが気になる場合は医療機関での治療を検討するのも一つの方法です。

ほくろを除去する治療法

ほくろを除去する治療法には、主に切除とレーザー治療があり、大きさや盛り上がりの程度などによって適切な方法を選択します。

切除

メスで切除する方法、円筒状の刃でくりぬく方法、電気メスやレーザーで焼き切る方法などがあります。

一度治療を受ければほくろはなくなりますが、感染や傷跡が残るリスクがある点に注意しましょう。なお、ほくろの組織を取り除くため、将来的ながん化の心配が少ないとされています。

直径数mmまでの小さめのほくろは、ほくろを切除したら自然に傷がふさがるのを待ちます。傷がふさがるまでは、軟膏を塗ったりテープを貼ったりして治癒を待ちます。傷がふさがったあともしばらく赤みが残ることがありますが、数ヶ月ほどで目立たなくなることが一般的です。

一方、大きめのほくろは深い部分まで切除して取り除きます。切除後は縫合するため、縫い合わせた部分が直線状の傷跡として残ることがあります。

レーザー治療

平らで小さめのほくろは、レーザーがよい選択肢となることがあります。ほくろを消すには複数回のレーザー照射が必要ですが、色素を持つほくろの細胞だけをレーザーで破壊できるため、傷跡が残りにくいというメリットがあります。

なお、大きなほくろは必要な治療回数が多くなり、皮膚の色が白く抜けることがあります。また、盛り上がっているほくろは、色はなくなっても盛り上がりが完全に平らにならないことが多いです。

シミを除去する治療法

シミを除去する治療法は、外用薬、内服薬、ケミカルピーリング、レーザー、光治療、液体窒素療法など、さまざまな方法があります。シミにもさまざまな種類があるため、種類によって適切な治療法を選択することが大事です。

外用薬

外用薬として代表的なものには、トレチノインとハイドロキノンがあります。とくに、トレチノインは市販されていない成分なので、医療機関で処方を受ける必要があります。それぞれの詳細は以下の通りです。

トレチノイン

トレチノインはビタミンA誘導体の一種です。肌のターンオーバーを促してメラニンの排出を助ける作用があることから、シミや肝斑、ニキビ跡の色素沈着の改善に効果が期待できます。

また、肌のうるおいに欠かせないヒアルロン酸を増やし、ハリ・弾力のもととなるコラーゲン繊維を増やす働きもあるとされています。

副作用として、レチノイド反応と呼ばれる、皮むけ、赤み、ヒリヒリ感などが起こることがあります。これはターンオーバーが促進されて未熟な皮膚細胞が表に出てきたため、刺激を受けやすくなっていることが原因です。

ハイドロキノン

ハイドロキノンは、イチゴや麦芽、コーヒーなどに存在している成分です。メラノサイトの働きを抑える作用と、メラニンの生成にかかわる酵素の働きを抑える作用があることから、メラニン色素の生成を防ぐ効果が期待できます。紫外線によるシミや肝斑、ニキビ跡の色素沈着などに処方されます。

副作用として、かぶれ・ヒリヒリ感など、肌に刺激を感じることがあります。ハイドロキノンにはさまざまな濃度があるので、医師の指示を守って使うことが大切です。

内服薬

内服薬を使うのも一つの方法です。成分としては、L-システイン、トラネキサム酸、ビタミンCなどが挙げられます。それぞれの詳細は以下の通りです。

L-システイン

L-システインは、皮膚を構成するアミノ酸のひとつです。ターンオーバーを整えてメラニンの排出を助ける働きがあるほか、メラニン色素の生成を抑える効果も期待できます。シミ改善のほか、湿疹やニキビなどの皮膚疾患にも処方されます。

副作用として、下痢、悪心、口の渇き、軽い腹痛などが現れることがあります。

トラネキサム酸

トラネキサム酸は、炎症を抑制し、メラニンの合成を抑制することで、シミを改善するお薬です。副作用としては、かゆみ、発疹、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、胸やけ、眠気などが生じるリスクがあります。

なお、肝斑に対しては第一選択薬となっています。実は肝斑は、血管内皮細胞なども関与すると考えられています。トラネキサム酸は血管に影響を及ぼし、止血する作用があることから、このような作用が肝斑に対して有効な理由なのではないかといわれています。

ただ、お薬だけでは肝斑が改善されないこともあり、その場合はレーザーや光治療などが選択肢となります。

ビタミンC

ビタミンCは、シミの原因となるメラニンの生成を抑えたり、黒くなったシミの色素を還元したりする作用があります。また、コラーゲンの生成を促す働きもあり、シミやハリ・弾力が気になる方に処方されることがあるお薬です。

副作用として、胃の不快感・悪心・嘔吐・下痢などがあらわれることがあります。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングとは、薬剤を塗って皮膚をはがす施術です。はがすこと自体による角質やメラニン、毛穴のつまり除去、皮膚の修復力が高まることによるターンオーバー促進などが期待できます。

小さなシミ(老人性色素斑)の場合はグリコール酸やサリチル酸という薬剤を使った施術で効果が期待できます。一方、肝斑やそばかす、炎症後色素沈着については、ケミカルピーリングを行う選択肢もありますが、「日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン」では、「十分な根拠がないので現時点では推奨できない」となっています。

ただ、ウーバーピールであれば、肝斑や色素沈着に対して効果が期待できるケースがあります。ウーバーピールとは、肌に極細の針を刺して穴を開け、再生力を引き出すダーマペンと組み合わせたピーリングで、針を通してピーリングの薬剤を表皮に浸透させる方法です。肌トラブルがある時でも施術可能なケースが多く、痛みを感じにくいという特徴があります。シミやニキビによる色素沈着、肌荒れなどの改善に効果が期待できます。

なお、ピーリングの施術後は赤みやかさつきといった症状が現れることがありますが、2~3日でおさまることが一般的です。

レーザー治療

シミの治療ではレーザー治療が行われることも多いです。レーザーを照射することで、メラニン色素を破壊してシミを改善します。

レーザーにもさまざまな種類があるため、シミの種類によって、適切な波長や照射の時間(速さ)などが適したレーザーを選びます。

なお、炭酸ガスレーザーは色素沈着や脱失のリスクがあるため、シミには使わないことが一般的です。

Qスイッチレーザー

Qスイッチレーザーとは、ナノ秒(10億分の1秒)という短い時間で照射するレーザーです。照射するレーザーの種類によって、Qスイッチルビーレーザーや、Qスイッチアレキサンドライトレーザー、Qスイッチヤグレーザーといったものがあります。

照射時間が短いため、周囲の組織がダメージを受けにくいとされていますが、赤み、かゆみ、皮むけ、かさぶたなどの副作用が生じることもあります。

一般的なシミのほか、ADMにも効果が期待できると考えられています。ただし、強い炎症によって肝斑が悪化することがあるため、Qスイッチルビーレーザーや、Qスイッチアレキサンドライトレーザーは肝斑治療には使いません。

レーザートーニング

レーザートーニングとは、Qスイッチヤグレーザーを低出力で全体に均一に照射する治療法です。ピンポイントで照射するレーザーは肝斑を悪化させることがありますが、レーザートーニングであれば肝斑にも使うことができます。

ただし、炎症後色素沈着や色素脱失といった副作用のリスクや、長期的にみると再発のリスクがあるといったデメリットもあります。

ピコレーザー

ピコ秒(1兆分の1秒)という、ナノ秒よりもさらに短い時間で照射するレーザーです。より短い時間で照射するため、組織へのダメージが少なく、ダウンタイムが短縮できるとされています。

ただ、ピコレーザーでも赤みやかさぶたなどの副作用が生じることはあります。

ヤグレーザー

ヤグレーザーは、他のレーザーよりも波長が長めであるため、肌の奥にある真皮層まで影響を及ぼすことができるレーザーです。

副作用として、照射部位の赤み、熱感、ひりつき、痛み、乾燥、ニキビ、かさぶたなどがあらわれることがあります。

IPL(光治療)

光治療は、複数の波長の光を照射する点がレーザー治療との違いです。レーザーと同様にメラニン色素を破壊しますが、ピンポイントで照射するのではなく、全体に照射する(影響を及ぼす)という特徴があります。そのため、複数のちらばったシミや、そばかすなどに効果が期待できます。

赤みや乾燥などの副作用が生じることがありますが、かさぶたができることはほとんどないとされています。

液体窒素療法

老人性色素斑に対する選択肢となる治療法です。超低温になる液体窒素をシミに接触させ、凍結する治療法です。しばらくすると、凍結した部分がかさぶたになってはがれ、シミが改善するというものです。

ただし、色素沈着や色が抜けるといった副作用のリスクがあるため、シミに対して行うことは少ないです。後述する脂漏性角化症では、保険適用の治療法となっています。

ほくろやシミの予防法

遺伝によってできるほくろなどを予防することは難しいですが、後天的にできるシミなどはセルフケアによって予防できることがあります。対策について詳しく見ていきましょう。

紫外線対策

紫外線はシミの大きな原因です。後述する脂漏性角化症や基底細胞がん、皮膚がんの前段階である日光角化症の発生原因となったり、肝斑やそばかすなども紫外線によって悪化することがあるため、日ごろから紫外線を避けることがとても大事です。治療が難しい肝斑においては、遮光が必須とされています。

紫外線対策のためには、季節を問わず日焼け止めを使うとよいでしょう。汗などで落ちてしまうため、こまめに塗り直す事も大事です。また、ミルク、クリーム、ジェル、スプレーなどがあるため、使用感や活動内容などによって選びましょう。

長袖を着たり、アームカバーや帽子、日傘などを使ったりして物理的に紫外線を避けるのも一つの方法です。

刺激を避ける

強くこすったり、洗顔の際にごしごし洗ったりすると、刺激によってメラニンがつくられやすくなります。洗顔やスキンケアの際には優しく触れることを意識しましょう。

とくに、肝斑は刺激で悪化しやすいとされているため注意してください。

食生活を見直す

ターンオーバーが遅くなると、できてしまったメラニン色素が長く肌に留まってしまいます。食事でターンオーバーを整える効果が期待できる栄養素を積極的に摂取し、メラニン色素の排出を促すとよいでしょう。また、抗酸化作用のある食べ物も、シミの原因となる活性酸素を除去する効果が期待できます

シミ予防・改善によい効果が期待できる栄養素と食べ物には、次のようなものがあります。

・タンパク質

肌細胞を作るもととなります。乳製品、肉、魚、大豆類、卵などに多く含まれます。

・ビタミンB群

ビタミンB群にはいくつかの種類がありますが、ターンオーバーを整える栄養素として知られているのは、ビタミンB2です。アーモンド、納豆、モロヘイヤなどに多く含まれます。

・ビタミンC

抗酸化作用や、メラニンを還元する作用があるとされています。パプリカやブロッコリー、柑橘類、キウイ、イチゴなどに多く含まれます。

・ビタミンE

血行を促してターンオーバーを促進するほか、抗酸化作用もあります。アーモンドなどのナッツ類、アボカド、かぼちゃ、オリーブオイルなどに多く含まれます。

質のよい十分な睡眠をとる

睡眠中は、ターンオーバーを促進する成長ホルモンが分泌されます。寝不足が続いたり夜更かしが習慣になったりしていると、ターンオーバーが乱れて肌トラブルにつながることがあります。

質の良い睡眠を得るには、入眠前に寝室の温度や湿度を整え、目を刺激するスマホやテレビなどを見ないようにすると効果的です。

適度に運動する

運動をすると血流がよくなります。血液は肌に栄養を運ぶという重要な役目があるため、血行を促進することで、肌にしっかりと栄養を届けることができます。

運動といっても、激しい運動は必要ありません。軽く汗をかく程度のウォーキングやヨガで十分です。無理がない範囲で続けてみましょう。

ほくろやシミに似ている皮膚疾患

ほくろやシミに似ている別の皮膚疾患も複数あります。中にはがんや、進行するとがん化するものもあるため注意しましょう。

あざ

あざには赤、青、黒、茶など多彩な色があり、茶色いアザ(茶あざ)はシミのように見えることがあります。茶あざは表皮のメラニン色素が多いことで茶色く見えるものなので、成り立ちもシミと同じです。

また、茶あざにもさまざまな種類があり、たとえばカフェオレ斑、扁平母斑、ベッカー母斑などがあります。

種類特徴・見た目できる時期その他
カフェオレ斑・カフェオレ色・直径0.2~20cm程度とさまざま・境界がはっきりしている・うまれたときから存在する・生後間もなくできることもある直径1.5cm以上の斑が6個以上ある場合はレックリングハウゼン病の可能性あり
扁平母斑【日本の場合】カフェオレ斑のようなもので、レックリングハウゼン病などではないもの【欧米の場合】薄い褐色の斑の中に、濃い褐色の斑や盛り上がり(ほくろ)が点状に存在する生まれたときから存在する
ベッカー母斑・褐色・大きさの平均は125㎠・表面はざらざらで、境界はぎざぎざしている者が多い・斑から毛が生えていることが多い思春期にできる・肩甲骨あたりから前胸部にかけてできることが多い・おなかや四肢にできることもある

日光角化症

日光角化症とは、皮膚のもととなる角化細胞の腫瘍です。主な原因は長期間紫外線を浴びたことであるため、高齢者が発症することが多いです。

最初は皮膚のざらつき、はがれ、赤みなどから始まりますが、シミのように褐色や黒っぽい色になったり、いぼ状になったりすることもあります。

なお、日光角化症は、がんの前段階の状態と考えられており、放置するとがん化することがあるため、早めの治療が必要です。

いぼ

いぼは、ウイルスが感染してできるできもののことで、ウイルス性疣贅(ゆうぜい)とも言います。ただ、一般的にいぼと言えば、盛り上がりのあるできもの全般を指すことも多いです。

いぼの中でもほくろのように見えるものとしては、以下のようなものがあります。

種類特徴・見た目できる時期その他
軟性線維腫(スキンタッグまたはアクロコルドン)茎のようにできるやわらかく、茶色っぽいしこり中年以降に目立つことが多い・加齢、摩擦、紫外線などが原因・首やわきなどにできることが多い
脂漏性角化症(老人性疣贅または老人性角化腫)・皮膚に近い色~黒色・若干の盛り上がりがあるものも、しこり状に飛び出るものもある・大きさは数mm~数cm程度・表面にざらつきがある高齢者にできることが多い・加齢や紫外線などが原因・顔にできることが多い

色素性乾皮症

色素性乾皮症は、顔などの日に当たる部位にシミがたくさんでき、乾燥も伴います。また、日に当たると激しい日焼けが生じたり、多くの場合で神経症状を伴ったりするのも特徴です。

この病気は難病に指定されており、シミが増えると皮膚がんが発生するため、遮光がとても大事です。

なお、赤ちゃんのときから異常が現れたり、幼少期に診断がつく方もいる一方で、中年になり、皮膚がんが多発してから病気がわかる方もいます。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫は、メラノサイトががん化したものだと考えられています。がん細胞からメラニンが作られるものは褐色~茶色、つくられないものは皮膚の色~淡い赤色となるため、とくに前者はほくろと区別することが難しいです。

ただ、悪性黒色腫の場合はどんどん大きくなることがあり、とくに6mmを超えて大きくなるものはほくろではなく悪性黒色腫の可能性が考えられます。また、乳児期に10cmを超えるようなほくろがある場合、悪性黒色腫が発生するリスクが高いというデータもあります。

なお、悪性黒色腫にはさまざまなタイプがあり、主に以下のようなものがあります。

種類特徴・見た目できる場所その他
末端黒子型・色や形が不規則・斑はたいらだが、一部に盛り上がりがある手のひらや足の裏などにできる日本人の悪性黒色腫の約4割を占めるタイプ
表在拡大型黒いボタンのような見た目胸、お腹、背中、手足の付け根近くなど肌が白い人にできることが多い
結節型・しこり状のがん細胞の塊・どんどん大きくなる傾向はない
悪性黒子型・色や形は不規則・平ら・どんどん大きくなり、しこりもできる・高齢者にできることが多い

(参考)

https://www.dermatol.or.jp/qa/qa12/q01.html

基底細胞がん

皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織の層になっており、表皮の一番下にある基底層や毛包(毛根の周囲の組織)から発生するのが基底細胞がんです。前述した悪性黒色腫はメラノサイトのがん化なので、発生する部位が異なります。

最初はやや盛り上がりのある1~2mmほどの黒い点が現れ、徐々に複数の黒い点が集まって広がっていきます。また、進行すると真ん中がへこんでただれることもあります。

ほくろやシミで医療機関を受診する目安

ほくろやシミにおける注意点は、皮膚がんとの区別や、がん化するような斑の早期発見です。前述のとおり、ほくろやシミだと思っていたものが実はがんだったり、後にがん化するようなものだったりすることもあります。

ほくろのような見た目をしていても、気をつけたほうがよいものの特徴は以下の通りです。当てはまるものが多い場合は早めに皮膚科の受診を検討しましょう。

・手のひら、または足の裏に急にほくろのようなものができた

・だんだん、もしくは急に大きくなった(6mmを超える)

・しこりのようになっている

・色に濃淡がある

・色が急に濃くなった

・形がいびつ

・形が左右対称でない

・境界が不明瞭

・境界がギザギザ

 など

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※自由診療

参考文献

  1. 皮膚科Q&A ほくろとはどんなものですか?
  2. 皮膚科Q&A メラノーマとはどんな皮膚がんですか?
  3. 皮膚科Q&A どんなほくろやしみに気をつけたらいいのですか?
  4. 美容医療診療指針
  5. 偽梅毒性白斑 leukoderma pseudosyphiliticum
  6. 日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン(改訂第 3 版)
  7. 色素性母斑(ほくろ・母斑細胞母斑・黒子)
  8. 皮膚科Q&A どのような作用機序で効きますか?
  9. 皮膚がん診療ガイドライン第 4 版  有棘細胞癌診療ガイドライン 2025
  10. 皮膚科Q&A アザとはなんですか?
  11. 皮膚科Q&A 茶アザにはどのようなものがあるのでしょうか?
  12. 皮膚科Q&A ホクロを取りたいのですがどうしたらよいでしょうか?
  13. 尋常性疣贅診療ガイドライン 2019(第 1 版)
  14. 形成外科診療ガイドライン
  15. 基底細胞がん:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]