そもそもそばかすとは?
そばかすは、正式名称を雀卵斑(じゃくらんはん)と言います。その名の通り、スズメの卵の模様に似た症状が特徴です。直径3mmほどの、平らかつ、褐色で円形に近い斑点がたくさんできます。
顔のほか、首や前腕などの光の当たる場所にできることが多く、3歳くらいから症状が現れることが一般的です。
また、思春期頃までは年齢とともに悪化しますが、その後は色が薄くなる傾向があります。
原因
そばかすは、シミと同じくメラニンによって茶色の斑が現れます。メラニンが現れる原因としては遺伝の要素が大きく、メラノサイト(メラニンをつくる細胞)が活性化しているとされています。そのため、家族にそばかすがある方がいる場合は、子どももそばかすが現れやすいと考えられます。
また、色白の方のほうが、そばかすが出やすいとされています。
なお、そばかすは紫外線の影響も受けることがあります。そのため、夏は濃くなり、冬は薄くなる傾向があります。
シミとの違い
シミは、メラニンが増えて皮膚に沈着した後天的な症状を指す言葉です。
一般的に言われる「シミ」は、シミの中でも最も多くみられる「老人性色素斑」を指していることが多いです。ただ、それ以外にも、肝斑や炎症後色素沈着、そばかすなども「シミ」という言葉に含まれているため、シミ(老人性色素斑)もそばかすも、分類としては同じものです。
また、そばかすも老人性色素斑も、その原因はメラニンです。ただ、老人性色素斑は紫外線と加齢の影響が大きく、40歳以上の方に目立つ傾向があります。この理由ですが、通常はメラニンが増えても肌のターンオーバーによって排出されていきます。しかし、加齢によってターンオーバーが遅くなったり、メラニンの蓄積が限度を超えたりすることで、排出が間に合わなくなることが理由として考えられます。さらに、両者は見た目も異なります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
そばかす | シミ(老人性色素班) | |
色 | 褐色 | 褐色からやや黒色 |
形 | 円形に近い斑点 | 境界の不明瞭な斑状 |
大きさ | 直径3mmほど | 直径数mm~1cm超と大きさはさまざま |
凹凸 | 平ら | 平ら |
数 | 1か所にたくさんできる | 1つだけできることもあれば、複数できることもある |
場所 | 顔、首や前腕などの光の当たる場所 | 顔、手の甲、前腕などの光の当たる場所 |
発症年齢 | ・3歳頃・思春期頃までは年齢とともに悪化する・その後は色が薄くなる傾向 | 40歳以上 |
主な原因 | 遺伝 | 紫外線と加齢 |
そばかすを自力で消す方法はある?
そばかすは遺伝が大きく関与しているものなので、自力で消すことは難しいと言えます。ただ、その原因はメラニンなので、メラニン色素を排出したり還元’(薄くする)したりできれば改善できる可能性もあるでしょう。
自力でできる!そばかすの予防・対処法
そばかすを自力で消すことは難しいですが、できるだけ濃くならないように予防や対処をすることは可能かもしれません。たとえば、以下のようなことを試してみるとよいでしょう。
美白効果が期待できる市販薬を使う
美白効果が期待できる市販薬として、ビタミンCやトラネキサム酸、L-システインなどを配合した飲み薬があります。
それぞれの特徴や、市販薬における最大配合量の違いは以下の通りです。
成分 | 特徴・期待できる効果 | 最大配合量(市販薬の場合) |
ビタミンC(アスコルビン酸) | ・メラニンの生成を抑える・メラニンの還元(色を薄くする)を促進する | 2000mg |
トラネキサム酸 | ・炎症を抑制することでメラニンの生成を防ぐ・シミの一種である肝斑治療では第一選択薬 | 750mg |
L-システイン | ・メラニンの生成を抑える・ターンオーバーを整えてメラニンの排出を促す | 160mg(場合によっては240mg) |
なお、お薬やスキンケアアイテムの分類にはさまざまなものがあり、たとえば「医薬品」と「医薬部外品」があります。医薬品はより強い作用があるとされており、医薬部外品は医薬品と化粧品の中間的な存在で、作用がゆるやかである代わりに、医薬品のような副作用のリスクが少なめという特徴があります。
市販の医薬品を使いたい場合は「第〇類医薬品」という記載のあるものを選びましょう。
美白有効成分の入ったスキンケアアイテムを使う
美白有効成分の入ったスキンケアアイテムを使うのも一つの方法です。医薬部外品には、厚生労働省が特定の効果を認めた成分が配合されています。そばかすケアのためには、美白有効成分(メラニンの生成を抑え、シミやそばかすを防ぐ効果が認められた成分)が配合された医薬部外品のアイテムを選ぶとよいでしょう。
美白有効成分にはさまざまな種類があるため、代表的なものをいくつかご紹介します。
成分 | 特徴 |
ビタミンC誘導体(リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルリン酸ナトリウムなど) | ・ビタミンCを改良し、安定性を高めるなどした成分・チロシナーゼ(メラニンの生成にかかわる酵素)の活性抑制・メラニンの還元(薄くする) |
ハイドロキノン | ・イチゴやコーヒーにも含まれる天然由来成分・チロシナーゼの活性阻害 |
トラネキサム酸 | ・人工的に合成されたアミノ酸・チロシナーゼの活性抑制・TRP-2(チロシナーゼの活性を調整するたんぱく質)の活性抑制 |
コウジ酸 | ・チロシナーゼの活性抑制・TRP-2の活性抑制 |
アルブチン | ・梨やマッシュルームなどにも含まれる天然由来成分・チロシナーゼの阻害 |
プラセンタエキス | ・動物の胎盤由来の成分・メラニンの生成抑制・メラニンの排出促進 |
カモミラET | ・カモミール(カミツレ)の花から抽出された成分・エンドセリン-1(メラノサイトを活性化させる物質)の伝達阻害 |
保湿の重要性
スキンケアにおいては保湿がとても重要です。乾燥すると紫外線の影響を受けやすくなったり、ターンオーバーが乱れてメラニンの排出が遅くなったりするためです。化粧水で水分を与えるだけでなく、乳液で油分を与え、クリームでしっかりふたをしましょう。
イオン導入機能のある機器を使う
イオン導入機能のついている美顔器なども存在します。スキンケア時に使うと美容成分が肌の奥まで浸透しやすくなるため、よりスキンケア効果が期待できるでしょう。
スキンケアの際は摩擦を避ける
摩擦がかかると、肌を守るためにメラニンが作られてそばかすやシミが濃くなる恐れがあります。美容成分をしっかり浸透させようとして強くこすったり、クレンジングや洗顔時にゴシゴシと洗ったりすることは避けましょう。
クレンジングや洗顔の際には洗浄料をしっかりと泡立て、泡で洗うようなイメージで行うと、肌への負担が少なくなります。
美白効果が期待できる食べ物・サプリメントを摂る
美白効果が期待できる栄養素もあります。たとえば抗酸化作用がある栄養素は、そばかすやシミの原因となる活性酸素を除去し、そばかすやシミの発生、悪化予防につながる可能性があります。
そばかすが気になる場合は、このような栄養素が含まれる食べ物やサプリメントを取り入れるのも一つの方法です。
具体的な栄養素としては以下のようなものがあります。
成分 | 特徴や期待できる効果の一例 | 多く含まれる食べ物 |
ビタミンA | ・抗酸化作用・ターンオーバー促進 | あん肝、ほたるいか、うなぎ、ニンジン、まぐろなど |
ビタミンC | ・抗酸化作用・メラニンの生成抑制・メラニンの還元(薄くする)・コラーゲンの生成促進 | パプリカ、ブロッコリー、柑橘類、キウイ、イチゴなど |
ビタミンE | ・抗酸化作用・血行促進・ターンオーバーを整える | アーモンド、ドライトマト、あん肝、からすみ、いくらなど |
ポリフェノール | ・植物に含まれる、苦味や色素の成分・抗酸化作用 | ブルーベリー、ブドウ、大豆、ココアなど |
エラグ酸 | ・ポリフェノールの一種・美白有効成分としても認められている・抗酸化作用・メラニンの生成抑制(チロシナーゼの活性抑制) | ブドウ、イチゴ、クルミなど |
カロテノイド(カロテン、アスタキサンチン、リコピンなど) | ・植物に含まれる、赤や黄色の色素成分・抗酸化作用 | ニンジン、トマト、その他緑黄色野菜、かに、鮭など |
セレン | ・必須ミネラルのひとつ・抗酸化作用 | ・あん肝、たらこ、まぐろ、かつお、かになど |
なお、健やかな肌のためには栄養バランスのとれた食事が大事です。直接的な美白効果が期待できる栄養素だけでなく、皮膚をつくるもととなるたんぱく質や、皮脂の分泌をコントロールするビタミンB群など、さまざまな栄養素をバランスよく摂り入れましょう。
紫外線から肌を守る
そばかすは紫外線によって悪化することがあります。また、紫外線はそばかす以外のシミや、皮膚の老化などの原因にもなるため注意しましょう。
紫外線は室内にいても、冬でも浴びているため、場所や季節を問わず対策することが大事です。
代表的な方法は日焼け止めを塗ることです。その効果の強さにはさまざまなものがあるため、活動場所などに適したレベルのものを選びましょう。また、汗などで落ちてしまうため、数時間おきに塗り直すこともポイントです。日傘や帽子などを使うのもよいでしょう。
なお、最近では飲む日焼け止めも登場しています。紫外線を浴びた際に発生する活性酸素を除去したり、炎症を防止したりする効果が期待できるサプリメントです。成分は商品によって異なりますが、たとえばアスコルビン酸(ビタミンC)やプラセンタ、ヒアルロン酸、ルテインといった、抗酸化作用やシミ予防・改善、保湿作用などが期待できる成分が配合されていることがあります。
生活習慣を整える
皮膚のターンオーバーを整えてメラニンが排出されやすい状態を目指したり、健やかな皮膚を維持したりするためには、生活習慣を整えることも大事です。
たとえば、十分な睡眠をとることはとても重要です。睡眠不足はホルモンバランスの乱れからメラニンが増えることがあるためです。また、ストレスや運動不足も、ターンオーバーの乱れからメラニン増加につながることがあります。適度な運動をし、ストレス解消に努めることをおすすめします。
禁煙する
タバコにはニコチンなどの有害物質が含まれており、活性酸素の増加、美白によいとされるビタミンCの破壊、血行不良によって栄養が届きにくくなるなど、肌にさまざまな悪い影響を与えます。
そのため、タバコを吸っている方は禁煙に努めましょう。
メイクで隠す
セルフケアを始めたからといって、すぐにそばかすに対する効果が実感できることは少ないでしょう。そばかすの悩みがストレスとなって肌の状態に悪影響を与えることが考えられるため、メイクで隠すのも一つの方法です。
基本は、コンシーラーや、色味をコントロールするCCクリーム、リキッドファンデーションなどでカバーすることです。そばかすの色はそこまで濃くない傾向があるため、パフで優しくおさえるだけで目立たなくなることが多いでしょう。
コンシーラーなどが浮いているように見える場合は、指で軽くたたいてなじませます。最後にパウダーファンデーションなどで仕上げましょう。
そばかすの治療法
そばかすを自力で消すのはなかなか難しいでしょう。そのため、治療を検討するのも一つの方法です。そばかすに効果が期待できる治療法としては、IPLやレーザー治療、お薬などを使う方法があります。詳しく見ていきましょう。
フォトフェイシャル(IPL)
フォトフェイシャルは、IPLや光治療とも呼ばれる治療です。複数の波長の光を照射してメラニンを破壊する点はレーザー治療と同じですが、全体に照射できるため、そばかす治療にも適しているとされています。
ダウンタイムはほぼないとされていますが、副作用として赤みや乾燥などが生じることがあります。
レーザー治療
光治療では改善できなかったそばかすには、レーザーを照射する選択肢もあります。レーザーでメラニンを破壊する治療法です。光治療との違いは、単一の波長のレーザーを照射し、ピンポイントでメラニンを破壊する点が挙げられます。
レーザーにもさまざまな種類がありますが、そばかすに対しての選択肢としては、Qスイッチルビーレーザーやピコレーザーなどがあります。
Qスイッチレーザー
Qスイッチレーザーは、ナノ秒(10億分の1秒)という、照射時間がとても短いレーザーです。レーザーの種類によって、Qスイッチルビーレーザー、Qスイッチアレキサンドライトレーザー、Qスイッチヤグレーザーなどがあります。
照射時間が短いことは、周囲の組織のダメージ低減につながります。ただ、赤み、かゆみ、皮むけ、かさぶたといった症状が出ることもあります。また、同じ部位に照射する場合は、次回の施術まで6ヶ月程度間隔を空ける必要があります。
ピコレーザー
照射時間がナノ秒よりもさらに短い、ピコ秒(1兆分の1秒)のレーザーです。照射時間がより短いため、組織へのダメージがより少なく、ダウンタイムも短くなる傾向があるとされています。
ただ、ピコレーザーでも赤みやかさぶたといった副作用のリスクはあります。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングとは、薬剤を塗って皮膚をはがすことで、角質や毛穴のつまり、メラニンなどを取り除く施術です。また、皮膚をはがすことで皮膚の修復力が高まり、ターンオーバーの促進(メラニンの排出促進など)も期待できます。
ただ、ケミカルピーリングは老人性色素斑の治療としては選択肢となりますが、そばかすにはあまり向いていないという意見もあります。「日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン」では、そばかすに対するケミカルピーリングについて、「十分な根拠がないので現時点では推奨できない」となっています。そばかすに効果が期待できるかは個人差もあるため、医師とよく相談しましょう。
イオン導入
イオン導入とは、微弱な電流を流すことで、美容成分を肌の奥深くに届ける施術です。
肌にはバリア機能があるため、通常は化粧水などをつけても肌の奥まで届くことはありません。しかし、電流を流すと、美容成分を肌の奥深くまで届けることが可能になります。その浸透力は化粧水の30倍ともいわれています。美白効果が期待できる成分を導入することで、そばかすに効果が期待できる可能性もあるでしょう。
なお、効果を実感するためには1~2週間に1回程度のペースで施術を受ける必要があります。また、赤みや腫れ、ひりつきなどの副作用が現れることもあるため注意しましょう。
内服薬
美容効果が期待できる内服薬を飲むのも一つの方法です。成分としてはビタミンなどの栄養成分が主で、たとえば以下のようなものがあります。
・ビタミンC
・トラネキサム酸
・L-システイン
・ビタミンE
など
なお、トラネキサム酸は1~2ヶ月ほど飲み続けることで効果が実感できるとされています。
外用薬
代表的な外用薬はトレチノインとハイドロキノンです。ハイドロキノンは市販の医薬部外品などにも含まれることがありますが、トレチノインは市販品には含まれておらず、必ず医療機関で処方を受ける必要があります。
前述のとおり、ハイドロキノンは、メラニンの生成にかかわるチロシナーゼという酵素の活性を阻害し、メラニンの増加を防ぐ成分です。一方、トレチノインは肌のターンオーバーとコラーゲンの生成を促進するとされています。
いずれも、赤みや皮むけといった副作用が生じることがあります。なお、トレチノインの副作用は「A反応」といって、使い始めに赤みや皮むけの症状が起きることが多いです。これは、トレチノイン(ビタミンA)が急速に肌に作用することで生じるとされています。お薬が作用している証拠でもあるため、過度に心配せず、落ち着くのを待ちましょう。
なお、医療機関で処方されるハイドロキノンは、市販されているものよりも濃度が高いことが一般的です。
そばかすに関するよくある質問
最後に、そばかすに関するよくある質問にお答えします。
そばかすは自然に消える?
そばかすが完全に消えることは少ないですが、年齢とともに薄くなることはあります。ただ、思春期頃までは年齢とともに悪化することが一般的です。
そばかすは飲み薬や生活習慣改善で消える?
飲み薬や生活習慣改善だけではそばかすは消えないことが多いです。高い効果が期待できるのはやはり美容施術だといえるため、飲み薬は施術や外用薬のサポート的な存在だと考え、必要に応じて併用するとよいでしょう。
そばかすは予防できる?
そばかすは遺伝が原因で幼少期から発生するものなので、予防は難しいでしょう。ただ、こ
こまでに紹介した紫外線対策や生活習慣を整えることなどによって、悪化予防はできる可能性があります。
そばかすが気になる方は、日々の生活の中でできることから取り組んでいきましょう。
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※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。
※自由診療
参考文献