デュタステリドに発がん性は確認されていない
結論からいうと、デュタステリドにがんを発生させる作用は確認されていません。
ただし、前立腺がんとの関係について一部の臨床試験で議論があり、添付文書にも関連情報が記載されている点は理解しておく必要があります。
正しい知識を持って服用することで、安心して治療を継続できるでしょう。
動物実験における発がん性データは限定的
添付文書によると、マウスの実験ではデュタステリドに関連する腫瘍の発生は認められませんでした[1]。
ラットの実験では、臨床推奨用量の約141倍に相当する高用量で腫瘍の増加がみられました。
この所見は、ラット特有のホルモン環境に関連したものと考えられており、ヒトにおける腫瘍発生リスクとの関連性は低いと評価されています[1]。
通常の服用量でがんが発生するリスクが高まるわけではないと考えられているため、過度に心配する必要はありません。
不安がある場合は、医師に相談しながら治療を継続しましょう。
添付文書の記載は「注意喚起」であり禁忌ではない
デュタステリドの添付文書には、前立腺がんと男性乳がんに関する情報が記載されています。
前立腺がんについては、海外の大規模な臨床試験において、悪性度の高い前立腺がん(高悪性度がん)の検出数に差が見られたとの報告があります[1][2]。
男性乳がんについては、発売後に服用していた患者で報告がありますが、デュタステリドが原因かどうかはわかっていません[1]。
これらの情報は「その他の注意」の項目に記載されており、「服用してはいけない方」や「重大な副作用」には該当しない注意喚起としての情報提供です。
記載内容を正しく理解し、定期的な検診を受けながら服用を続けることが大切です。
デュタステリドと前立腺がんの関係
デュタステリドと前立腺がんの関係については、大規模な臨床試験(REDUCE試験)で検討されています。
この試験では、デュタステリドが前立腺がんの発生リスクを約23%低下させる一方、高悪性度がんの発生率に差が見られたと報告されました[2]。
試験結果の解釈には議論があり、現時点でも研究者の間で見解が分かれています。
ここでは、REDUCE試験の概要と高悪性度がんに関する議論について整理します。
REDUCE試験で前立腺がんリスクが約23%低下した
REDUCE試験は、デュタステリドが前立腺がんを予防できるかを調べた4年間の大規模な臨床試験です。
試験の結果、デュタステリドを服用したグループでは前立腺がんの発生リスクが22.8%低下しました[2]。
具体的には、50〜75歳の男性8,231名(日本人57名を含む)を対象に、デュタステリドを飲むグループと飲まないグループを比較しました[2][3]。
前立腺の組織を採取する検査で見つかったがんは、デュタステリドを服用したグループで659例、服用しなかったグループで858例と、明らかな差がありました[2]。
この試験では、デュタステリドが前立腺がんの検出率を低下させたと報告されています。ただし、FDAはこの結果に基づいてデュタステリドを前立腺がん予防薬として承認していません。
一方で、高悪性度がんの検出数については異なる結果が出ており、この点については現在も議論が続いています。
高悪性度がんが多く見つかった背景
REDUCE試験では、高悪性度前立腺がんの検出数に差が見られました。
試験3〜4年目において、悪性度がとくに高い前立腺がんは、デュタステリド服用群で12例、非服用群で1例でした[2]。
この結果から、デュタステリドが高悪性度がんのリスクを高めるのではないかと議論されました。
しかし、試験期間全体で見ると、高悪性度がんの発生率は両グループでほぼ同じであり、統計的な有意差はありませんでした[2]。
現時点では、デュタステリドが高悪性度がんを発生させたり、進行を促したりするという因果関係は証明されていません。
その後の研究レビューでも、5α還元酵素阻害薬が高悪性度がんのリスクを高めるという明確なエビデンスはないとされています[4]。
現時点での医学的見解
REDUCE試験の結果を受けて、FDA(米国食品医薬品局)はデュタステリドを前立腺がんの予防薬としては承認していません。
一方で、試験全体としてはデュタステリドが前立腺がんの発生リスクを低下させたことも事実です[2]。
日本ではAGA治療薬および前立腺肥大症の治療薬として承認されており、前立腺がん予防を目的とした適応とはそもそも異なります。
現在の研究結果を踏まえると、AGA治療目的でデュタステリドを服用している方が、前立腺がんとの関連について過度に心配する必要はないとされています。
安心して治療を続けるためにも、定期的な検診を受けながら医師の指導のもとで服用を継続することが大切です。
デュタステリド服用中はPSA検査に注意が必要
デュタステリドを服用すると、前立腺がん検診で使用されるPSA値が低く出るようになります。
PSA値は前立腺がんの早期発見に用いられる重要な指標であり、数値が低く出ると本来必要な検査が行われない可能性があります。
デュタステリド服用中にPSA検査を受ける際は、医師に服用していることを必ず伝えましょう。
PSA値は前立腺がんの早期発見に使われる指標
PSAは、前立腺から分泌されるタンパク質の一種です。
血液検査でPSA値を測定することで、前立腺がんのスクリーニングを行うことが可能です。
一般的に、PSA値が4.0ng/mLを超える場合は、追加検査(前立腺生検など)が検討されることがあります。ただし、基準値は年齢や施設によって異なる場合があります[1]。
また、PSA値は前立腺がんだけでなく、前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇することがあります。
そのため、PSA値が高いからといって、必ずしもがんがあるわけではありません。
ただし、前立腺がんの早期発見において重要な指標であることは間違いありません。
デュタステリドはPSA値を約50%低下させる
デュタステリドには、PSA値を本来よりも低く見せてしまう作用があるため、注意が必要です。
添付文書によると、デュタステリドを6か月以上服用すると、PSA値が約50%低下すると報告されています[1]。
前立腺がんがあってもPSA値が低く出ると、本来「要検査」となるはずの数値が正常範囲内に見え、がんが見逃される可能性があります。
そのため、6か月以上服用している場合は測定値を2倍にした値を目安として評価する必要があるのです[1]。
また、服用中にPSA値が持続的に上昇した場合は、前立腺がんの発生などの可能性があるため、医師に相談してください[1]。
PSA検査を受ける際は、デュタステリドを服用していることを医師に必ず伝えましょう。
デュタステリドと男性乳がんの関係
デュタステリドの添付文書には、男性乳がんについての記載があります。
男性乳がんとは、男性の乳腺組織に発生するがんです。
乳がん全体に占める割合は約1%と非常にまれですが、男性でも乳腺組織があるため発生する可能性があります。
デュタステリドを服用していた患者で男性乳がんの報告があったことから、添付文書に情報が記載されています。
ただし、デュタステリドと男性乳がんの因果関係は現時点で明らかになっていません[1]。
デュタステリドを安心して服用するために意識したい3つのポイント
デュタステリドを安心して服用するために意識したいポイントは、以下の3つです。
- その1:定期的な検診を受ける
- その2:PSA検査時に服用を医師に伝える
- その3:体の変化に注意し、不安があれば医師に相談する
デュタステリドは多くの医療機関で処方されているAGA治療薬であり、長期間服用している方も少なくありません。
PSA値への影響や添付文書の記載内容を正しく理解し、定期的な検診を受けることで安心して治療を続けられます。
3つのポイントについて詳しく解説します。
その1:定期的に前立腺がん検診を受ける
デュタステリドを服用している方は、定期的に前立腺がん検診を受けることをおすすめします。
添付文書には「本剤投与前に直腸診や他の前立腺がんの検査を実施すること」や、本剤投与中においても定期的にこれらの検査を実施すること」と記載されています[1]。
とくに、50歳以上の男性は定期的な検診を、家族に前立腺がんの既往がある方は40歳頃から検診を受けることを検討してください。
定期的な検診により、万が一がんが発生した場合でも早期発見・早期治療が可能になります。
検診は自治体の健康診断や人間ドックで受けることができます。
その2:PSA検査時は服用を医師に伝える
PSA検査を受ける際は、デュタステリドを服用していることを必ず医師に伝えましょう。
先述のとおり、デュタステリドにはPSA値を約50%低下させる作用があり、6か月以上服用している場合は測定値を2倍に換算して評価する必要があります[1]。
服用を伝えないと、検査結果が正しく評価されず、がんが見逃される可能性があります。
健康診断や人間ドックでPSA検査を受ける際も、問診票に服用中のお薬として記載することが重要です。
医師が適切に評価できるよう、正確な情報を提供するようにしてください。
その3:体の変化に注意し、不安があれば医師に相談する
デュタステリドを服用中は、体の変化に注意を払うことが大切です。
とくに乳房のしこりや痛み、乳頭からの分泌物などの異常を感じた場合は、早めに医師に相談してください。
排尿困難や血尿、下腹部の痛みなど、前立腺に関連する症状が現れた場合も同様です。
これらの症状が、必ずしもがんを意味するわけではありませんが、早期に受診することで適切な対応ができます。
また、発がん性に関する情報を見て不安になっても、自己判断で服用を中止しないでください。
デュタステリドの服用を中止すると、AGA治療による効果が徐々に失われ、薄毛が再び進行する可能性があります。
不安なことがあれば処方を受けた医師に相談し、納得したうえで治療を継続することが、安心して服用を続けるための第一歩です。
デュタステリドの服用に不安があれば医師に相談しましょう
デュタステリドの発がん性や長期服用について不安を感じたら、自己判断で服用を中止せず、医師に相談することが大切です。クリニックフォアのオンライン診療であれば、スマートフォンから医師に相談できます。
以下のような不安をお持ちの方は、診察時に医師へ質問してみてください。
- デュタステリドを長期間飲み続けても問題ないか不安
- PSA検査を受ける予定があり、どう対応すればよいかわからない
- 添付文書の記載を見て心配になった
- 服用を続けるべきか、中止すべきか迷っている
クリニックフォアでは、デュタステリドのほか、フィナステリドやミノキシジルなどを取り扱っています。自分に合った治療法を探すことができます。
発がん性や副作用など、AGA治療について気になることがあれば、診察時に遠慮なく相談してみてください。
オンライン診療の流れ
クリニックフォアのオンライン診療は、予約から処方までスマートフォンで完結します。
まずWebサイトから希望の日時を選んで予約を取り、問診票に回答します。
予約時間になったらビデオ通話で医師の診察を受け、症状や希望に応じた治療薬の処方を受けます。
診察後はお薬が自宅に配送され、届いたその日から治療を継続できます。
発がん性や検診について気になることがあれば、診察時に遠慮なく相談してみてください。
※自由診療
※医薬品副作用被害救済制度等の対象外となります。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。医師の診察を受け、診断された適切な治療方法をお守りください。
※医師の判断でお薬の処方可否・お薬の処方日数は変わります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
デュタステリドと発がん性に関するよくある質問
デュタステリドや発がん性に関して、多くの方が抱く疑問にお答えします。
Q. デュタステリドに発がん性はありますか?
デュタステリドに発がん性は確認されていません。添付文書によると、マウスの実験ではデュタステリドに関連する腫瘍の発生は認められませんでした[1]。
ラットの実験では高用量(通常の用量の約141倍)で腫瘍の増加が見られましたが、ヒトに発生させる危険性は低いと考えられています[1]。通常の服用量であれば、過度に心配する必要はないでしょう。
Q. デュタステリドを中止するとPSA値はどうなりますか?
中止後、PSA値は徐々に回復し、6か月程度で服用開始前の値に戻ると考えられます[1]。
デュタステリドはPSA値を約50%低下させる作用があるため、中止直後はまだ数値が低く出る可能性があります。
中止後6か月以内にPSA検査を受ける場合は、以前服用していたことを医師に伝え、数値を正しく評価してもらいましょう。
また、服用を中止するとAGA治療の効果が失われ、薄毛が再び進行する可能性があるため、中止を検討する際は事前に医師に相談してください。
Q. デュタステリド服用中に前立腺がんの検査は必要ですか?
服用前および服用中に、定期的な検査を受けることが推奨されています。
添付文書には「本剤投与前に直腸診や他の前立腺がんの検査を実施すること。また、本剤投与中においても定期的にこれらの検査を実施すること」と記載されています[1]。
とくに50歳以上の方は、定期的にPSA検査を受けることを検討してください。
Q. デュタステリドは何年くらい飲み続けても大丈夫ですか?
長期間の服用を前提としたお薬であり、継続して服用することで効果を維持できます。
海外では4年間にわたる大規模臨床試験(REDUCE試験)が実施されており、長期的な安全性データが蓄積されています[2]。ただし、さらに長期の服用については、定期的な検診を受けながら医師の指導のもとで継続することが推奨されます[2]。
長期服用に不安がある場合は、定期的に医師の診察を受けながら治療を続けるとよいでしょう。
まとめ:デュタステリドの発がん性と正しい服用のポイント
デュタステリドの発がん性や、安心して服用を続けるためのポイントについて、この記事の内容をまとめます。
- デュタステリドにがんを発生させる作用は確認されておらず、通常の服用量でがんのリスクが高まるわけではない
- 大規模臨床試験で悪性度の高い前立腺がんの検出数に差が見られたが、因果関係は証明されていない[2]
- その後の長期研究でも、高悪性度がんのリスクを高めないことが確認されている
- デュタステリドはPSA値を約50%低下させるため、PSA検査を受ける際は必ず服用中であることを医師に伝える[1]
- 男性乳がんとの因果関係は不明であり、発生頻度は極めて低い
安心して服用を続けるためには、定期的に検診を受け、体の変化に気を配ることが大切です。
不安がある場合は自己判断で中止せず、医師に相談しながら治療を継続しましょう。
※自由診療
※医薬品副作用被害救済制度等の対象外となります。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。医師の診察を受け、診断された適切な治療方法をお守りください。
※医師の判断でお薬の処方可否・お薬の処方日数は変わります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
