もう時差ボケは怖くない!対策方法について、医師が解説します。

海外から帰国した方を悩ませるのが時差ボケ。特に帰国後すぐに仕事があるという方はなんとしても到着した日に時差ボケを治したいものです。

時差ボケはそもそもなぜ起こるのでしょうか?そして、時差ボケはすぐに改善することができるのでしょうか?

できれば楽して時差ボケを治したいという方へ、時差ボケを治すためにできる対策についてご紹介します。

時差ボケはなんで起こるの?

まずは、時差ボケがなぜ起こるのか、そのメカニズムについてご紹介します。時差ボケとは「海外への渡航において、渡航先への到着後、もしくは、渡航先から帰国した際に身体に不調が出ること」を言います。出発地と時差が5時間以上ある地域へ短時間で移動した時に起こる傾向にあります。

具体的な症状としては、不眠や眠気、疲労感、頭重感、食欲不振、イライラ感などがあります。眠気については日中に強く出てしまう傾向にあるようです。

時差ぼけの程度は渡航する方角によって異なるといわれています。
アメリカやハワイなど日本から東へ移動した場合、現地の到着日が早くなることで、1日の周期が短くなり、現地に滞在している間の時差ボケがひどくなる傾向にあります
逆に、ヨーロッパなど日本から西方面に向かう場合には1日の周期が長くなり、滞在中には時差ぼけをあまり感じませんが、帰国してからの時差ボケが起こる傾向にあります

1日の周期が長い、短いというのはどういうことでしょうか?
1日の周期が長いというのは感覚としては夜更かしをして夜の時間が長くなった感覚を指します。夜の時間が長くなってもさほど体が疲れると感じることはないことが多いです。
一方で、1日の周期が短くなると人の身体は順応しにくいといわれており、時差ぼけが起こるといわれています。
また、高齢者の方ほど、時差ぼけが起こりやすいです。高齢の方は長年の生活によって体内時計がしっかりと染みついているため、時差に適応することが難しく時差ぼけになりやすいといわれています。
高齢でなくても子育て中など時間をきっちりと決めて生活をしている方も時差ぼけになりやすいです。他にも旅に慣れていない方や持病がある方も時差ぼけになる傾向にあります

到着後の時差ボケの克服方法とは?

<現地の時間に合わせた生活を送る>

一昔前は時差ぼけを予防するために日本の時間に合わせた生活を送ることが望ましいといわれていました。
ですが、近年では現地に合わせた生活を送ることが望ましいといわれています。
もしも、朝方に到着した場合は仮眠をとる程度にとどめて生活をしていきます。
夜間に到着した場合には現地時間に合わせて就寝しましょう。移動中などこまめに仮眠を取って睡眠不足を解消していくことも大切です。

<薬で症状を軽くする>

時差ぼけは薬でも改善が期待できます。その鍵となるのがメラトニンというホルモンです。
メラトニンは、体内リズムの調節に中心的な役割を果たす、脳の松果体という部分から分泌されるホルモンで、外のリズムに体が順応できるようにメラトニンは使われています。

このメラトニンの受容体に作用する「ロゼレム」というお薬が時差ぼけには有効とされています。
時差ぼけには、渡航先で入眠前にロゼレムの半錠を内服していただきます。
一度でも時差ぼけを経験したことがある方、日本から東の方向に移動される方には特にお勧めです。

クリニックフォアでもロゼレムを処方しておりますので、海外へ渡航をされる方で時差ぼけが心配な方はぜひご相談ください。下記の点をあらかじめご了承ください。

  • 時差ぼけへの処方は、自費診療となります。
  • ロゼレム錠8mg(後発品)を4錠処方いたします。
  • 自費診察料1,650円(税込)とお薬代3,850円(税込)を頂戴します。

普段の生活習慣で、時差ぼけと同じような症状が出ることも

時差ぼけの方はもちろんですが、普段からあまり眠れないという方も時差ぼけの方と同じように睡眠対策をされることが必要です。
特に近年ではソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)といい、規則正しい生活を普段送っているにもかかわらず、休日に夜更かしや朝寝坊をするだけで、時差ぼけと似たような症状が出る症例が見られます。
少しでもそのような症状を感じられている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

参考文献

J Clin Sleep Med. 2008 Oct 15; 4(5): 456–461.