なかなか寝つけないのはなぜ?寝れない原因と対処法について、医師が解説します。

眠りたいけど寝れないなど、睡眠について悩みを抱えている方へ、今回はその原因と対処法についてご紹介します。

寝れない原因と対処法を知り、今夜からゆっくり眠れる生活を自分で作っていきましょう。

1.眠れないのはなぜ?病気の可能性はあるの?

まずなぜ眠れないかということについて解説していきます。眠れないという理由は実は1つではなく、さまざまな理由が複雑に絡み合っているといわれます。ですが、大きく分けて眠れなくなる理由は6つに分類することができます。

ストレス

1つ目はストレスです。心理的なストレスや緊張状態は睡眠に大きく関係します。嫌なことがあって悩んでいる、会社でトラブルがあり次の日仕事に活きたくないという負のストレスだけでなく、次の日に旅行など楽しいイベントが控えているということもストレスとなり、眠りに影響を与えます。また翌日に大切な仕事が控えている、朝早く起きなければならないといった緊張状態も眠れなくなる原因になります。

体内時計の乱れ

2つ目は体内時計の乱れです。交代勤務などで昼夜逆転の生活をしている方は、体内時計が乱れている可能性があり、夜眠ろうと思ってもなかなか眠れないことがあります。

環境

3つ目は環境です。音や光、気温や湿度は睡眠に影響を及ぼします。例えば、熱帯夜で眠れない、四肢末端が冷えて眠れない、部屋の電気や外の明かりが気になって眠れない、騒音が気になって眠れないなどさまざまな理由があります。また、最近ではスマートフォンやタブレット、パソコンなどのブルーライトが強い光で脳を活性化させてしまうため寝つきの悪さに影響を及ぼしてしまうことが分かっています。

刺激物の摂取

4つ目は刺激物の摂取です。コーヒーや紅茶、緑茶に含まれているカフェインやタバコのニコチンには覚せい作用があるため、目がさえてしまい眠れなくなってしまいます。カフェインは午後遅い時間でも接種することで夜間の睡眠に影響します。夜家事を終えて疲れたから緑茶でほっと一息…というのも最終的に眠れなくなる原因となってしまいます。

加齢

5つ目は加齢です。年を重ねると体内時計が前倒しになるため、早い時間に眠くなり、早い時間に目が覚めます。

身体や心の病気

6つ目は身体や心の病気です。病気による症状で眠りが妨げられてしまったり、病気による症状で寝つきが悪くなったりするということもあります。また、降圧剤や抗がん剤など薬の影響によって眠れなくなることもあります。

これらに加えて不眠症と言い、寝つきが悪くなる、朝早く覚醒して寝れなくなってしまう、夜中にちょこちょこ目が覚めるという症状の出る病気もあります。1日眠れなかったからといって不眠症と断言できるわけではなく、眠れないという問題が1ヶ月以上続き、眠れないことで日常生活や社会生活に影響を及ぼしている場合に不眠症という病気として扱われます。

2.寝る前に心がけるべき習慣とは?

今や5人に1人が、眠れない、途中で起きる、早く目が覚めるなど睡眠に対して悩みを抱えている時代です。そのため、まずはセルフケアで寝付けやすく、そして朝までぐっすり眠れるように日常生活を見直し、睡眠に対する良い習慣をつけていきたいものです。ここでは、寝る前に習慣にしてほしいことをいくつかご紹介します。

まずやって頂きたいのが寝る前のスマートフォンやタブレット、パソコンの視聴を制限することです。就寝2時間前には使用を終了することが理想ですが、現代社会ではそれはなかなか難しいことかもしれません。ですので、どうしても難しいという場合にはブルーライトカットのメガネを装着してブルーライトを極力遮断されることをおすすめします。また、カフェインやニコチンの摂取も控えるようにしましょう。

次にやって頂きたいのが副交感神経を優位にすることです。人間は交感神経と副交感神経が交互に優位になることで生命を維持しています。交感神経は活動的な時に優位となりますが、副交感神経は逆にリラックスしている時に優位となります。つまり、副交感神経を優位にすることでリラックス状態となり、寝つきが良くなるということです。副交感神経を優位にするための方法は40度前後のぬるま湯に30分前後ゆっくりと浸かることです。これによって体の表面の血行が良くなり、深部体温が放散されやすくなるため徐々に眠りに落ちやすい体を作ってくれます。また、寝室の照明は暗くして室温は26℃程度、湿度は50~60%が眠りやすい環境であるといえるため、環境も整えておきましょう。

他にも、眠りに誘うためのツボ押しも眠る前にやっておきたいことの1つです。眠りに効くツボはかかとの中央の少しくぼんでいる部分にある失眠穴と、おへそから3~5㎝程下にある丹田です。どちらのツボも高ぶった神経を抑えてくれて気持ちを落ち着かせてくれるため、寝つきが良くなります。目を閉じてリラックスした状態で押すようにしましょう。

最後に1番覚えておいてほしいことが、無理に寝ようとしないことです。寝れないが故、寝ようと焦れば焦るほど目がさえてしまい眠れなくなってしまいます。ですので、いつか眠れるだろうくらいに気楽に構えていただくことをおすすめします。

公開日:5月30日

参考文献

厚生労働省 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html

エスエス製薬 https://www.ssp.co.jp/drewell/advice/cause.html

第一三共ヘルスケア https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/21_fumin/

ブルーライト研究会http://blue-light.biz/about_bluelight/?p=14サワイ製薬 https://kenko.sawai.co.jp/mental-care/201308.html