体内時計という言葉は、聞く機会は多いものの、その仕組みを知っているという方はなかなか少ないのではないでしょうか。体内時計は私たちが生活を維持していくために非常に大切であり、体内時計の狂いは、さまざまな悪影響を及ぼします。
今回は生活リズムを整えるために必要不可欠ともいえる体内時計について、詳しくご紹介します。
体内時計ってなに?
体内時計とは生物時計とも呼ばれ、地球の自転周期に合わせて24時間周期の概日リズム(サーカディアンリズム)を作るための機能とされています。
また、人の体内時計は24時間よりも若干長くなっており、それを地球の自転と同調させるリセット機構も備わっています。
体内時計をリセットするために朝の光を浴びるという話を聞いたことのあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。人間を含む哺乳類では、網膜から脳の中心部分の視交叉上核と言われる部分にある体内時計への神経経路があります。そのため、朝の強い光が目に入ることで、体内時計に朝であるということが通達されるのです。朝型の生活をしている方や、早起きの方は、もともと24時間より若干長い体内時計が、朝の光によって少し早まり、結果として24時間周期で整うというメカニズムになっています。
逆に、夜の光は体内時計を遅らせる傾向にあるため、夜型の生活をしている方の体内時計は長くなり、生活が不規則になったり睡眠のリズムが狂ったりします。
体内時計はどうやったら崩れる?
体内時計が崩れる最たる原因は、先ほどもご紹介した光と考えられています。特に朝の光による影響は大きく、朝遅くまで寝ていて朝早い時間の光を浴びることができない、夜にずっと起きていて電気の明かりを浴びている、という方は網膜から体内時計を整えるための情報が乱れるため、体内時計が崩れやすいと考えられています。
特に、近年は性能の良い遮光カーテンで光をさえぎられてしまったり、静かな環境で休みたいからと窓のない部屋あるいは光の入りにくい部屋を寝室として利用しているなど、朝の光を浴びにくい環境を自らが作り出してしまい、その結果として、脳に朝であることを情報として伝える手段がなくなることで体内時計が崩れてしまうとも考えられています。また、交代性勤務の方など昼夜逆転の生活を送られている方も、体内時計は乱れる傾向にあります。
体内時計が崩れるとどんな影響があるの?
体内時計が崩れることによって最も影響が出るのが睡眠です。体内時計が24時間の周期ではなくなってしまうため、夜になかなか寝付けない、朝早い時間に目が覚めてしまうなどの睡眠障害になる可能性があります。睡眠にさまざまな障害が見られることで、慢性的な時差ぼけのような状態になり、疲労が取れなかったり日中の活動が制限されてしまったり、ひどい場合はうつなどの精神疾患につながる可能性もあります。
正しい体内時計のリズムを保つには?
どうすれば体内時計のリズムを正しく保つことができるのでしょうか。
最も簡単にできることは朝早い時間に太陽の光を浴びることであり、生活習慣を見直すことが必要です。
夜間にパソコンやテレビ、スマートフォンなどの強い光を極力浴びないようにし、極力寝室の電気は消して眠るようにしましょう。また、夜間に食事を摂ると食事の消化に体が集中し、眠れなくなるということもありますので、眠る前の食事は控えましょう。また、朝の光を浴びやすいように寝室を整え、カーテンは極力日の光が入りやすいものを選ぶようにしましょう。ベッドの頭の位置を窓側にするのも自然と朝の光が入りやすくなるので良いでしょう。
これらの対策を行っても効果がない場合には、医療機関を受診し、医師の診察を受けることを検討しましょう。