眠りが浅い原因とは?深い睡眠に欠かせない対処法について、医師が解説します。

眠りが浅くて少しの物音で目が覚めてしまうなど眠りが浅いことで悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、眠りが浅いというテーマに着目し、その原因と解消方法についてご紹介します。

1.レム睡眠とノンレム睡眠とは?

人は深い眠りに陥ることで脳の疲労を解消します。ですので、眠りが浅いという方は朝起きた時にしっかり寝た感じがしない、疲れているということを感じるのではないでしょうか。眠りが浅いという理由には、レム睡眠とノンレム睡眠が関係しています。

レム睡眠とは、身体は休んでいるが、脳は起きている時の状態のことを言います。レム睡眠の語源は英語のRapid Eye Movement(急速眼球運動)の頭文字であるREMからきており、眼球活動が行われているため脳が覚醒している状態であると判断されるのです。脳が覚醒しているため眠りは浅く、夢を見るのもこのレム睡眠のタイミングです。一方、ノンレム睡眠とは、脳も身体も熟睡している状態のことを言います。つまり、熟睡できないという方は、睡眠はとれているけれど、ノンレム睡眠に移行できておらず、レム睡眠の状態が長いことが考えられます。通常、レム睡眠とノンレム睡眠は90分ずつ交代で起こるとしています。人は寝始めの3時間はノンレム睡眠に陥り必要な睡眠を確保すると考えられています。そして、朝方になるとレム睡眠の時間が長くなっていき、すっきりと起きられるようなサイクルになっています。

2.レム睡眠が長くなる原因は?

このレム睡眠とノンレム睡眠の仕組みについてご理解いただけたところで、眠りが浅くなってしまう原因について解説していきます。眠りが浅いというのはつまりレム睡眠の時間が長く、ノンレム睡眠の時間が短いことが原因となると考えられます。レム睡眠が長くなる理由はいろいろと考えられます。

まずは、ストレスや心配事など心理的な不安や環境の変化によってレム睡眠が長くなることがあります。また、カフェインやアルコールの摂取も睡眠へ影響を及ぼします。アルコールは神経に作用したり、代謝によって尿意をもたらすことによって眠りを浅くします。カフェインはその効果が弱くなるまで通常4時間程度かかるため、就寝前にカフェインを摂取するとカフェインの覚醒効果によって眠りが浅くなります。さらに、妊娠中も眠りが浅くなると考えられています。これは、お腹の中にいる子供は母親がレム睡眠の時に酸素を多く取り込むため胎児の成長のために母体もレム睡眠となると考えられています。また、妊婦さんはお腹も大きくなり寝苦しくなることから眠りが浅くなる方が多くなるといわれています。

他にも眠りが浅くなる要因として睡眠環境が関係しています。寝具が体に合わない、調光がうまくいっていない、騒音が聞こえるなど寝室環境が整っていないと眠りが浅くなることがあります。

3.病気の可能性はあるの?

さらに、実は病気が隠れておりそれが眠りを浅くすることに関係していることもあります。睡眠時無呼吸症候群やうつ病といった病気や、花粉症、喘息など夜間にも症状をきたすものはその症状によって眠りが妨げられ、眠りが浅くなっていしまいます。さらに、不眠症のひとつである熟眠障害によって眠りが浅くなっている可能性もあります。

眠りが浅いという状況は原因が一つだけでなく複数が絡み合っている可能性もあります。病気が原因の場合は当然ながら病気の治療をしなければ改善させることはできませんが、病気が原因でない場合にはその原因を改善したり、日々の習慣を少し変えるだけで、質の良い眠りをとることができるようになります。

2.睡眠の質をUPするための日々の習慣とは?

それでは、質の良い眠りを取るために気をつけていきたい日々の習慣についてご紹介します。眠りを深くするためには、脳を覚醒させずに眠らせるということがポイントになります。そのためにはまずは、寝室の環境を整えていきましょう。

自分の身体にあった寝具やパジャマを使用することに加えて、夏場は約25℃~26℃、冬場約22℃~23℃、湿度は50%~60%にしていきます。部屋は極力真っ暗にしてカーテンなどで外の月明かりが入ってこないようにします。真っ暗では眠れないという方は、間接照明を足元に置くなどを活用することをおすすめします。瞼の皮膚は薄いため、頭側においてしまうと光が瞼から漏れて眼球に入り、脳に伝わってしまうため、脳が夜ではないと思い込み、眠りを浅くしてしまうからです。

次に眠る前の習慣を変えていきましょう。就寝前のアルコール摂取、いわゆる寝酒や就寝4時間前のカフェインの摂取は控え、麦茶や白湯、ハーブティーやホットミルクなどに飲み物を変えていきましょう。夜食など眠る前に満腹となることも、消化のために脳が覚醒するためノンレム睡眠に移行できずに眠りが浅くなります。もしも夜間どうしてもお腹が空いたときにはヨーグルトなど消化に良い物を取り入れていきましょう。また、夜に激しい運動をすると脳が興奮状態となり深い眠りに入れなくなるため、夜間のランニングや筋力トレーニングなども控えておくとよいでしょう。

そして夜間遅くのスマートフォンやタブレット、パソコン操作といったブルーライトが出ている機器の使用も控えましょう。もしもどうしてもスマートフォンなどを眠る前も使用したいという方はブルーライトカットのメガネを活用されることをおすすめします。

また、クリニックフォアでは眠りが浅い原因が病気であった場合の診療を行っております。

例えば夜中いびきがひどいと家族に指摘されている方や、夜間になると咳やくしゃみが止まらなくなるという方は診療によって改善が期待できる可能性もあります。睡眠は日常生活を健全に営むために必要不可欠なものです。睡眠を阻害している気になる症状は放置したままにせずにクリニックフォアへご相談ください。

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参考文献

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