現在日本の国民病ともいわれている不眠症。不眠症は健康な人でも、また、老若男女問わずに起こる可能性のある病気であり、多くの日本人が不眠症に悩まされているといわれています。
不眠症とはどのような病気なのか、また自分自身は不眠症なのかのチェック方法について、詳しくご紹介します。
不眠症とは?日本人の何割が不眠症なの?
不眠症とは「睡眠問題が1ヶ月以上続き、それによってさまざまな症状が引き起こされる状態」のことをいいます。
ある睡眠に関する調査結果によると、20代から50代の方のうち、半数以上が睡眠に何かしら不満を抱えており、9割の方々が睡眠の改善に意欲的であるということです。
不眠症は国民病ともいわれ、不眠症で通院をしている方の20人に1人が睡眠薬を服用されています。しかし、半数の人が、どんな対策も行っていないという結果も出ており、改善したいと思っていても、解決策が分からないために、なかなか行動を起こせていない方が多数存在しているというのが現状です。
睡眠時間は日本人の場合平均して約7時間と言われています。ですが、適切な睡眠時間は個人差がありこれより少なくても十分活動できる方もいますし、これより長い時間眠らなければ活動できない方もいます。そのため、睡眠は時間の長さではなく睡眠の質が重要であるとされており、もしも睡眠の時間をたっぷりとれているとはいえ、「なかなか寝つけない」、「朝の目覚めが悪い」、「夜中に目が覚めてしまう」などといった症状がある方は、これらのさまざまな理由で質の高い睡眠がとれていないといえます。それにより日常生活に支障をきたしていれば不眠症であると言えるのです。
不眠症にも種類があるの?
不眠症の定義でもご紹介したいわゆる睡眠の問題は大きく、①入眠障害、②熟眠困難、③中途覚醒に分類されます。
入眠障害
入眠障害とは寝つきが悪い状態のことを言います。およそ寝付くまでに2時間かかると入眠障害というように言われています。不眠症の中で最も多いタイプであり若い方にも多いタイプです。
熟眠困難
熟眠困難とは睡眠時間はある程度確保できているにもかかわらず、しっかりと眠れた感じがしないという方に当てはまり、こちらは若い方に多い傾向にあります。
中途覚醒
中途覚醒とは、眠りについた後に夜中に何度も目が覚めてしまうタイプのことを言い、睡眠維持障害とも言います。高齢者に多いといわれていますが、若い人にも一定数いらっしゃるタイプの不眠症です。
不眠症の種類によって原因は違うの?
不眠症の原因は共通する点もありますが、中には種類によって異なる場合もあります。
入眠障害
入眠障害については、病気などだけではなく生活習慣も関係していると考えられています。仕事のがんばりすぎなどが原因で、うまく睡眠モードになれずなかなか寝付けない、夜眠る前までパソコンやテレビ、スマートフォンを操作しているという方は視覚から入る情報によって脳が興奮してしまい寝付けないということがあります。他にもコーヒーなどカフェインやたばこを嗜好品として愛用されている方は眠る前に摂取することで入眠障害を誘発することもあるといわれています。
熟眠困難
熟眠障害については、ストレスなどが原因で、睡眠の質がよくなく、朝疲れがとれていないことが原因として考えられます。または、しっかりと脳が休むノンレム睡眠に移行できていないことが原因のため、睡眠時無呼吸症候群などが一因となることも考えられます。
中途覚醒
中途覚醒については、寝汗や不安、交感神経の昂りなどの様々な原因で夜目が覚めていることが考えられます。また、泌尿器系の疾患が関与しており、夜間の尿意によって睡眠が妨げられ、中途覚醒に至っている場合もあります。また、糖尿病の方も糖尿病の症状である多飲、多尿によって中途覚醒を引き起こすことがあります。
不眠症は、1種類のみの罹患、あるいは原因が1つだけということではなく、さまざまな原因が複雑に絡み合い、なおかつ、複数の種類の不眠症になっていることがあり非常に複雑な病気であると言えます。また、不眠症によって夜間の眠りが浅い、または睡眠時間が少ないことで昼間に眠気が出て、昼間に仮眠をとることでまた夜間眠れなくなるという悪循環が起こり、結果として症状を悪化させていくこともあります。
不眠症チェック!アナタはいくつ当てはまる?
それでは最後に自分も不眠症なのかどうかをかんたんにチェックしてみましょう。以下の質問に当てはまる数が多ければ多いほど不眠症の可能性が考えられます。過去1ヶ月間に、少なくとも週3回以上経験したものについてチェックをしてみてください。
- 布団に入ってから眠るまでに要する時間が普段よりかかる、または眠れない
- 夜間、睡眠途中に目が覚めることがあって困っている、または眠れない
- 希望する起床時間より早く目覚め、それ以上眠れない
- 睡眠総時間がかなり足りないもしくは全く足りない
- 日中の気分がかなりもしくは非常に滅入ってしまう
- 日中の活動が以前に比べてかなり低下している
- 日中に激しいもしくはかなり重度な眠気がある
いかがでしょうか? 該当する数が多かったという方は、セルフケアではなく医療機関へ相談したほうが良いでしょう。適切な治療を受けることで、不眠症を改善することができる可能性があります。
これらを飲んで、効果がない場合には、対面での診察により、睡眠薬の処方を検討してもらいましょう。クリニックフォアグループでは不眠症における相談や、クリニックでの睡眠時無呼吸症候群の診断・治療を行っております。特に、チェックリストの該当数が多かった方はクリニックフォアグループへ一度ご相談ください。