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ニキビができた場合、適切に対処しないと悪化する可能性があります。ニキビが悪化すると酷い炎症を起こす場合があるので、早めに対処することが大切です。
また、症状や部位、年齢やライフスタイルに合わせて治療やスキンケアを行い、早い段階で治療をすることで、ニキビ跡防止にもつながります。今回は、ニキビができる原因や治療法・予防法などを紹介します。
ニキビ(ざ瘡)とは?
ニキビとは、主に毛穴で起こる慢性の炎症性疾患です。医学的には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれます。
ニキビはホルモンバランスの変化が激しい思春期、とくに小学校高学年ごろから増え始め、高校生頃にピークを迎えることが多い傾向にあります。思春期にできるニキビは「思春期ニキビ」と呼ばれることもあり、とくに皮脂の分泌が多い主におでこを中心に、頬、あご、首、背中、胸にも広がっていくのが特徴です。
ただし、ニキビは思春期特有のものではなく、大人でもできることがあります。思春期以降にできるニキビは「大人ニキビ(思春期後ざ瘡)」と呼ばれ、主に頬、口周り、眉間、あご、首、背中、胸などにできます。
ニキビ(ざ瘡)ができる原因
ニキビは、皮脂分泌の増加、毛穴のつまり、アクネ桿菌の増殖によってできるものです。その背景には、ホルモンバランス、ストレス、食事、遺伝性因子、年齢、化粧品などがあるとされています。
1.皮脂の分泌が増加する
まず、ホルモンバランスの変化などで皮脂の分泌が促進されます。主に男性ホルモンの影響だといわれていますが、女性の場合は生理周期も関係します。生理前後で女性ホルモンのバランスが変化するためです。
生理前になると、女性の体内では卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減り、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増加します。黄体ホルモンは、男性ホルモンと似たような作用ももつホルモンなので、分泌量が増えると皮脂の分泌量も増えやすくなります。
そのため、生理前に皮脂が過剰に分泌されて、ニキビができたり悪化したりする女性が多いのです。
2.毛穴の先がつまる
皮脂が過剰な状態が続くと、皮脂を排出しきれなくなって毛穴の中に溜まってしまい、「面ぽう(白ニキビ)」ができることがあります。また、毛穴の先が角質で塞がれることで、毛穴に皮脂が貯留する場合もあります。
角質によって毛穴がつまる原因は、肌の乾燥や落とし切れなかった汚れなどです。また、男性ホルモンの影響で毛穴の出口の角質が厚くなり(異常角化)、毛穴が塞がれてしまうこともあります。
3.アクネ菌が増殖する
毛穴がつまって内部に皮脂が溜まると、皮膚の常在菌(誰でも持っている菌)であるアクネ菌が増殖して炎症を起こし、ニキビが赤く腫れたり、膿が出てくるようになります。
アクネ菌は、皮脂が豊富で酸素が少ない環境を好むため、毛穴の出入り口が塞がれ、内部に皮脂が溜まった「白ニキビ」は、まさにアクネ菌にとって理想の環境といえます。そのため、内部でアクネ菌がどんどん増えてしまい、ニキビが悪化していくのです。
ニキビ(ざ瘡)の種類
ニキビの症状は、一般的には微小面皰→面ぽう(コメド)→紅色丘疹(赤く腫れる)→膿疱(膿が溜まる) と悪化していきます。酷い場合には、膿腫、硬結(大きなしこり)、集簇性ざ瘡となる場合もあります。そのため、そこまで悪化してしまう前に治療することが大切です。しかし、症状が白ニキビだけか、膿疱があるかなど、ニキビの種類によって治療方法やケアの方法が変わってきます。
ここでは、ニキビの主な種類と特徴を解説しますので、適切に対処するためにも、今できているニキビがどれに当てはまるかをチェックしてみましょう。
白ニキビ(閉鎖面ぽう)
白ニキビとは、毛穴の中に皮脂がつまり、白っぽく盛り上がっている状態のことです。毛穴の出口が閉じているため、医学的には「閉鎖面ぽう」と呼ばれます。
毛穴内部に皮脂が溜まっているだけで患部に炎症は起きていないため、痛みを感じないのが一般的です。ただし、痛みがないからといって放置すると、黒ニキビや赤ニキビに移行する恐れがあります。
黒ニキビ(開放面ぽう)
黒ニキビとは、毛穴の中につまった皮脂によって毛穴の出口が開き、内部の皮脂が酸化して黒く見えている状態のことです。毛穴の出口が開いているため、医学的には「開放面ぽう」と呼ばれます。
白ニキビと同じく患部に炎症は起きていないため、痛みもないのが一般的です。ただし、治療せずに放置すると、赤ニキビに移行する可能性があります。
赤ニキビ(紅色丘疹)
赤ニキビとは、赤みがあり痛みを伴うブツブツになっている状態です。医学的には「紅色丘疹(こうしょくきゅうしん)」と呼ばれます。一般的にイメージするニキビはこの状態でしょう。
毛穴内部で増殖したアクネ菌が分泌する物質が原因で、患部に炎症が起こっているため、痛みを感じることが多いです。適切に対処しないと症状が悪化し、黄ニキビになる場合があります。
黄ニキビ(膿疱)
黄ニキビとは、赤ニキビがさらに悪化して膿をもった状態のことです。膿の部分が黄色く見えるため黄ニキビと呼ばれますが、医学的には「膿疱(のうほう)」といわれます。
毛穴の外壁が破壊されるため痛みを感じるほか、毛穴の外壁が拡大して破裂し、内容物が周囲に漏れ出てしまうことで、さらに炎症が悪化することもあります。症状がひどいため、放置するとニキビ跡(瘢痕)になる可能性が高いです。
しこりニキビ(嚢腫・結節)
黄ニキビを放置すると、皮膚の下に膿が溜まった「膿腫」や、硬いしこりのような「硬結」という状態になる場合もあります。
さらに炎症が慢性化して患部が腫れ上がり、「結節」と呼ばれる硬いしこりができたり、炎症によって毛穴の外壁が拡大し、「嚢腫(のうしゅ)」と呼ばれる膿が溜まった袋ができる場合もあります。いずれもひどい炎症が続いた結果現れるものなので、強い痛みを感じることが多いです。
どれか1種類のニキビだけができるわけではなく、面ぽうや赤ニキビ、黄ニキビ、しこりニキビなどが並行してできるのが一般的です。
悪化するとニキビ跡(瘢痕)が残ることも
ニキビが悪化すると、強い炎症によって皮膚の組織が破壊され「瘢痕(はんこん)」、いわゆるニキビ跡が残る場合があります。ニキビ跡は状態によって、下記の2種類に分類されます。
- 肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん):皮膚が盛り上がってケロイド状になった状態
- 萎縮性瘢痕(いしゅくせいはんこん):クレーターのように陥凹(かんおう:へこみやくぼみのこと)ができた状態
また、炎症を起こした箇所が色素沈着してしまう場合もあります。皮膚が深く傷ついているため、治療に長い時間がかかるだけでなく、完全に元の状態には戻らないケースもあります。
ニキビ(ざ瘡)の診断
ニキビが悪化すると強い炎症が起きて、ニキビ跡が残ってしまう恐れがあります。悪化する前に医療機関を受診するなどして対処しましょう。ここでは医療機関でのニキビの診断方法や、ニキビの重症度の判断方法について解説します。
なお、ニキビは主に毛穴で起こる慢性の炎症性疾患なので、皮膚科を受診するのが基本です。ただし、成人女性でニキビ以外に月経不順や多毛の症状が出ている場合は、婦人科や内分泌内科の受診も検討しましょう。
ニキビは視診で診断することが多い
ニキビは視診で診察することが多いです。ただし、症状によっては毛包虫(ニキビダニ)の検査をすることもあります。また、場合によっては他の病気も疑い、検査を追加していきます。
ニキビの重症度はニキビの個数で判断される
一般的に、ニキビの重症度はニキビの個数で判断されます。
- 軽傷:顔の片側に炎症を起こしたニキビが5個以上
- 中等症:顔の片側に炎症を起こしたニキビが6個以上20個以下
- 重症:顔の片側に炎症を起こしたニキビが21個以上50個以下
- 最重症:顔の片側に炎症を起こしたニキビが51個以上
先述の通り、ニキビが重症化すると、痛みを感じたりニキビ跡が残ったりする場合があります。悪化するほど治療にかかる時間も長くなるので、症状が軽いうちに医療機関を受診し、適切な治療を開始しましょう。
ニキビ(ざ瘡)の治療方法
ニキビの症状によって治療が異なってきます。ここでは、医療機関で行われる、状態別の治療方法を解説します。
炎症が起きていない場合
一般的に、小さなニキビで赤く腫れたり膿を持っていたりするものがない場合は、スキンケアの見直しや塗り薬を用いた治療が行われます。塗り薬では、ディフェリンゲル(アダパレンゲル)やベピオゲル(過酸化ベンゾイル)を、顔のニキビが出やすい部位に塗ることが一般的です。
ディフェリンゲルとは、皮膚の角化(表皮の細胞が生成され、角質になるまでの過程)を調整して、毛穴のつまりを改善するお薬です。使用開始から2週間くらいまでは、塗布した箇所がヒリヒリしたり赤くなったりする場合があります。
しかし、2週間から3ヶ月ほど使用すると、徐々にニキビが減っていきます。ある程度ニキビが改善したら、ニキビが落ち着いた状態を維持するために、最大1年間ほど継続して使用します。
ベピオゲルは、毛穴のつまりを改善したり、アクネ菌を殺菌したりするお薬です。使用開始から2週間程度の期間で、かゆみや刺激が出ないかを判断します。問題がなければさらに2週間使用し、肌の調子を見ながら使用量を増やしていきます。
3ヶ月ほど経つと肌のざらつきが落ち着き、6ヶ月ほど経つとニキビができにくくなってきます。その後は、肌の状態に応じて使用を継続し、ニキビがない状態の維持に努めます。
また、面ぽうに針で穴をあけ、溜まっている皮脂を押し出す「面ぽう圧出療法」が行われる場合もあります。そのほか、皮脂を除去しやすくする効果があるイオウ製剤(硫黄入りの薬剤)を塗ったり、漢方を使用したりするケースもあります。
炎症が起きている場合
赤く腫れたり、膿が出たりするようなニキビの場合は、抗生剤の外用(塗り薬)や内服(飲み薬)をするのが一般的です。この場合は、ディフェリンゲル(アダパレンゲル)やベピオゲル(過酸化ベンゾイル)を塗り、その上からニキビができている部位に、抗生剤の塗り薬(アクアチムクリームやダラシンTゲル、ゼビアックスローション)を塗ります。
また、膿疱が多くある場合は、抗生剤の飲み薬(ビブラマイシン、ミノマイシンなど)を症状に合わせて服用します。
炎症が落ち着いたら抗菌薬の使用は止めて、アダパレンや過酸化ベンゾイルなどを用いた維持療法(再発防止のための治療)を行うことが多いです。しこりニキビに対しては、抗菌薬の内服やステロイドの局所注射が行われる傾向にあります。
さらに上記の治療と並行して、皮脂の分泌に作用するビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンCの内服も行う場合もあります。
ニキビ外用薬の注意点
ディフェリンゲルやベピオゲルは、使い方がとても大切です。使いはじめの2~3週間はヒリヒリや赤みなどの副作用が出やすいので、全体に塗るのではなく、少しずつ使用するようにしましょう。
ヒリヒリ感が出やすい場合は、保湿剤を塗ったあとでディフェリンゲルやベピオゲルを塗りましょう。大体2~3週間で慣れることが多いですが、ベピオゲルの場合には、かぶれて赤く腫れてしまう場合もあります。その場合にはすぐに皮膚科を受診しましょう。
また、ディフェリンゲルやべピオゲルの単剤でまだ治らない場合には、2つが混ざったエピデュオゲルを使用する場合もあります。
ニキビ跡ができた場合
炎症が酷くニキビ跡ができてしまった場合は、ステロイドの局所注射のほか、トラニラストというコラーゲンの生成を抑えるお薬の内服などが行われることがあります。ケロイド状の肥厚性瘢痕ができてしまった場合は、手術療法も選択肢の一つです。
美容皮膚科での治療もある
美容皮膚科などの自費診療の施術にも、ニキビやニキビ跡治療に効果が期待できるものがあります。たとえば、ケミカルピーリングは日本皮膚科学会も推奨している治療法です。
皮膚に薬剤を塗布して古い角質や毛穴の汚れを除去する治療法で、炎症がないニキビやニキビ跡に効果が期待できるとされています。そのほか、美容皮膚科では下記のような治療も受けられます。
治療法 | 概要 | 期待できる効果 |
アゼライン酸外用 | アゼライン酸という抗炎症・抗菌活性・皮脂分泌抑制・角化異常抑制などの作用がある成分を配合したクリームを塗布する | 面ぽうやニキビの炎症を改善する効果が期待できる |
ビタミンCローション外用 | 抗酸化作用のあるビタミンC配合のローションや塗り薬を塗布する | ニキビができた後の肌の赤みを抑える効果が期待できる |
光線療法 | 波長が長い紫外線を皮膚に照射し、免疫反応を抑制したり神経に働きかけたりして炎症を抑える | アクネ菌の殺菌やニキビの炎症を抑える効果が期待できる |
CO2フラクショナルレーザー | レーザーを皮膚に細かく照射してダメージを与え、皮膚を修復させることで新たな皮膚に生まれ変わらせる | とくに萎縮性瘢痕の改善が期待できる |
ピル(マーベロン) | 女性ホルモンの成分が含まれた低用量ピルを服用する | ホルモンの分泌量が不安定なことが原因でできたニキビを改善する効果が期待できる |
フォトフェイシャル | IPL(Intense Pulsed Light)という光を照射し、メラニン色素に働きかける | ニキビ後の色素沈着を改善する効果が期待できる |
ダーマペン | 極細の針で皮膚にごく小さな穴をあけ、そこから美容液を浸透させる | 皮膚の再生力が高まるため、ニキビ跡の改善が期待できる |
PRP | 自分の血液から抽出したPRP(多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう):血管が傷ついたときに集まり修復する物質)を患部に注入する | 皮膚の再生力が高まるため、ニキビ跡の改善が期待できる |
美容注射 | ビタミンCやグルタチオンなど、抗酸化力が強い成分を血管内に注入して善人に行き渡らせる | ニキビ跡や色素沈着の改善が期待できる |
水光注射 | 表皮に近い真皮表面にヒアルロン酸を注射し、肌にうるおいを与える | 肌内部でコラーゲン生成をサポートするため、ニキビ跡(クレーター)の改善が期待できる |
市販薬や化粧品でも治療できる?
患部が炎症を起こしていない場合、または炎症が強くない場合は、市販薬でも改善が期待できます。ただし、市販の医薬部外品や化粧品は含まれている成分やその濃度が医療用のものとは異なるため、ニキビを予防する、あるいはできにくくするものであり、治療まではできないことがほとんどです。
強い炎症が起きている場合は自己判断でケアすると悪化するリスクがあるので、皮膚科を受診することを検討しましょう。
また、ニキビをできにくくしたい、ニキビ跡を改善したいという場合は、医療機関専売化粧品(ドクターズコスメ)を使うのも一つの方法です。医療機関専売化粧品とは、医療機関のみが販売できる化粧品のことです。
開発に医療機関や皮膚科医がかかわっていることが多く、肌悩みに対して一般的な化粧品よりも深くアプローチできるのが特徴です。医師の診察・診断を受け、適切な使用方法についての指導を受けた場合のみ購入可能なので、気になる方はクリニックフォアのドクターズコスメもご検討ください。
ニキビ(ざ瘡)の予防方法
ニキビが悪化すると改善するのにかなりの労力がかかるため、そもそもニキビができないようにすることも大切です。ここでは、ニキビ予防のために心がけたい生活習慣について解説します。
肌を清潔に保つ
ニキビは皮脂が毛穴につまることで発生します。ニキビを予防したいなら、毎日きちんと洗顔し、肌を清潔に保つことが重要です。
メイクはNGではありませんが、ニキビを隠したいからといってファンデーションやコンシーラーを厚塗りするのは避けましょう。ポイントメイクで目元や口元を強調し、ニキビに目が行かないように工夫するのがおすすめです。
また、メイクをしたときは必ずクレンジングと洗顔料を使って、しっかりとメイクを落とすようにしましょう。
洗顔をしすぎないようにする
洗顔はニキビ予防として重要なものですが、洗顔をしすぎるのもよくありません。とくにゴシゴシと擦り洗いする、1日に何度も顔を洗うなどすると皮膚に炎症が起き、かえってニキビが悪化する場合があります。
洗顔の回数は、朝晩2回が目安です。また、洗顔料はしっかりと泡立てて、力を入れないようにやさしく洗いましょう。
クレンジングや洗顔料が残らないよう注意する
クレンジングや洗顔料が肌に残ると、それが原因でニキビができたり悪化したりする場合があります。クレンジングや洗顔料を使用したら、肌に残らないように丁寧に洗い流しましょう。とくに髪の生え際や顎は、クレンジングや洗顔料が残りやすいので注意が必要です。
肌を刺激しないようにする
肌への刺激はニキビができる原因になります。ニキビを予防したいときは、頬杖をつくなどしてむやみに顔を触ることは避けることが大切です。そのほか、下記のようなことも意識しましょう。
- 髪の毛が顔に当たらないようにすることも
- マフラーなどでニキビができている部位を覆わないようにする
- 長時間マスクを着けっぱなしにするのは避ける
- スキンケアの際に肌をこすらないようにする
また、スクラブ入りの洗顔料など、刺激が強い化粧品を使用している場合は、肌にやさしいものに変えましょう。
適切なスキンケアを行う
「油分があるとニキビができそう」と思って、スキンケアを行わない方もいます。しかし、皮脂が多めの方でも、きちんとスキンケアを行わないと肌が乾燥してしまいます。
肌が乾燥すると、肌を守ろうとして必要以上に皮脂が分泌されるため、かえってニキビができやすくなる場合があります。スキンケアをせずに放置するのではなく、適切なスキンケアを行うことが大切です。
ノンコメドジェニックまたはハイポコメドジェニックと記載されているスキンケア用品は、テストによって面ぽうができにくいことが証明されています。
ニキビができやすい方は、ノンコメドジェニックやハイポコメドジェニックのスキンケア用品を使い、適度に保湿するとよいでしょう。
食生活を改善する
動物性脂肪や糖質がたっぷり使われている高脂質・高カロリーの食事は皮脂の分泌量を増やすため、ニキビの発生・悪化の原因になるとされています。
そのため、ニキビを予防したいときは、脂質・糖質が多い食事や間食を控え、ビタミンや食物繊維が豊富な食材を中心とした栄養バランスのよい食事を取るよう心がけましょう。
質の良い睡眠を取る
ニキビの原因となる皮脂の分泌量は、ホルモンによってコントロールされています。睡眠不足や昼夜逆転の生活などはホルモンバランスを乱すので、ニキビができたり悪化したりしやすくなります。
毎日できるだけ同じ時間に寝る、昼夜逆転の生活を避けるなどして、規則正しい生活を送るよう心がけましょう。基本は10時就寝、遅くとも日付をまたぐ前に就寝するのが理想です。
成人の場合、睡眠時間の目安は6~9時間程度です。ただし、個人差が大きいため、「十分に眠って疲れが取れた感覚があるか」「日中に強い眠気を感じないか」で判断しましょう。また、睡眠時間だけでなく、睡眠の質も重要です。下記のような生活習慣を身に付け、睡眠の質の向上を図りましょう。
- 朝起きたらしっかりと日光を浴びる
- 適度に運動する
- 就寝直前の食事や夜食を控える
- カフェインを取り過ぎないよう注意し(コーヒーなら400ml/日が目安)、夕方以降は摂取を控える
- アルコールは代謝される際に身体を目覚めさせるため、寝酒は控える
- カーテンを遮光・防音のものに変え、外部からの光や音を遮る
- スマートフォンやPC、タブレットなどを寝室に持ち込まない
- 就寝の1~2時間前に入浴する など
ストレスを発散する
ストレス過多な状態が続くとホルモンバランスが乱れ、ニキビができやすくなります。自分に合うストレス解消方法を探して、定期的にストレスを発散しましょう。おすすめの方法は、ストレッチや呼吸法、適度な運動などです。
なお、ストレス解消のために飲酒や喫煙をするのは避けるのが賢明です。お酒を飲んだりタバコを吸ったりすると、体内でビタミンB群やビタミンCが大量に消費されます。ビタミンB群やビタミンCは、下記のような働きをもつ栄養素です。
- ビタミンB群:皮脂の分泌を正常に保つ
- ビタミンC:活性酸素を除去して炎症を抑える
そのため、飲酒や喫煙によってこれらの栄養素が消費されると、ニキビができやすくなったり治りにくくなったりするのです。また、ストレスから逃れるために過剰摂取するようになり、依存症になるおそれもあります。
紫外線対策を行う
紫外線に当たると皮膚のバリア機能が落ち、ターンオーバーが乱れます。さらに皮脂の分泌量が増えて毛穴がつまりやすくなるため、ニキビができやすくなってしまいます。
また、ニキビ治療中の場合、日焼けをすると副作用が出やすくなることもあるため、日焼け止めを塗るなどして紫外線対策を徹底しましょう。
日焼け止めは皮膚への刺激が少ない「ノンケミカル」や「紫外線吸収剤不使用」と記載されているものを使うのがおすすめです。帰宅後はできるだけ早く日焼け止めを落とし、長時間塗りっぱなしにしないようにしましょう。
ニキビ(ざ瘡)ができたときの注意点
いろいろと気を付けていてもニキビができてしまったときは、悪化させないようにすることが重要です。ここでは、ニキビの悪化を防ぐために注意したいことを紹介します。
むやみに触ったり潰したりしない
ニキビが気になるからといって、むやみに触ったり潰したりすると、ニキビが悪化してしまいます。必要以上に肌に触れたことが原因で新たなニキビができる場合もあるので、ニキビが気になっても触らないようにすることが大切です。
医療機関では、面ぽう圧出療法という、面ぽうに針で穴をあけて皮脂を押し出す治療法が行われることがありますが、これは正しい知識をもつ医療従事者が専用の器具を使って行うものです。
自分で無理に潰すと皮脂をキレイに押し出し切れず、かえってニキビが悪化するおそれがあるので、自分で潰すのは避けましょう。鏡を見すぎないようにする、ニキビに触れた回数をカウントするなどすると、ニキビを触るクセを治すのに役立ちます。
ステロイド外用剤を使わない
ステロイドは炎症を鎮める作用があるお薬です。しかし、ステロイド外用剤がニキビを発生させることもあります。ドラッグストアなどでステロイド外用剤が売られていることがありますが、自己判断でニキビには使わないようにしましょう。
ちなみにニキビ跡の治療の際にステロイドが使われることがありますが、これも医師が状態を見極めた上で使用の有無を判断しています。自己判断で使用すると悪化するリスクがあるので、むやみにステロイドを使わないようにしましょう。
ニキビ(ざ瘡)と似たような症状が出る疾患
ニキビと似たような症状が出る病気もあります。ただのニキビだと思って放置していたら実は別の病気で、症状が進行してしまう可能性も考えられます。ニキビと間違えることがないように、どのような病気があるのかを知っておきましょう。
ニキビなのか、別の病気なのかが見分けられない場合は、自己判断で何とかしようとせずに医療機関を受診することをおすすめします。
病名 | 病気の概要 | 主な原因 | ニキビとの違い |
毛のう炎 | ・毛穴内部の毛根を包んでいる部分が細菌に感染し、赤いブツブツができたり腫れたりする | ・細菌感染 | ・ニキビはアクネ桿菌、毛のう炎はそのほかの菌が原因で起こる |
接触皮膚炎(かぶれ) | ・何らかの物質に触れたことが原因でかゆみのある赤いブツブツができる・刺激性とアレルギー性の2種類がある・皮膚に付着した化学物質に光が当たってはじめて炎症が起きる光毒性接触皮膚炎や、光アレルギー性接触皮膚炎も存在する | ・刺激性:皮膚に触れた刺激のある化学物質が角化細胞(肌表面のバリア機能を維持する細胞)を刺激し、炎症を起こす・アレルギー性:皮膚に触れた化学物質が体内に吸収され、免疫細胞が異物に反応して炎症を起こす | ・細菌ではなく化学物質との接触が原因で起こる・アレルギー性は、免疫細胞がかぶれの原因となる化学物質を薄めようとするため、水ぶくれができることが多い |
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん) | ・マラセチア菌という皮膚の常在菌が増えすぎて炎症を起こし、赤みやかゆみ、フケなどの症状が出る・成人型の脂漏性皮膚炎は慢性化しやすく、よくなったり悪化したりを繰り返すことが多いため医療機関を受診して治療を受けたほうがよい | ・皮脂の分泌量の変化や入浴・洗顔の不足、男性ホルモンの影響などが原因と考えられている | ・ニキビはアクネ菌、脂漏性皮膚炎はマラセチア菌が原因で起こる・顔だけでなく、頭皮や脇、鼠径部などにも症状が出ることが多い |
粉瘤(ふんりゅう) | ・皮膚の下にできる良性の腫瘍・脂肪の塊といわれることもあるが、脂肪ではなく老廃物の塊・通常は痛みを感じることはないが、細菌が感染して炎症が起きると大きく腫れ、痛みを感じることがある | ・体の外に排出されるはずの角質や皮脂が、うまく排出されずに皮膚のなかに溜まってしまうことで起きる・老廃物が排泄されない原因は不明なことが多いが、ニキビやケガ、毛のう炎が原因となるケースもある | ・細菌ではなく、老廃物が適切に排出されないことで起こる |
口唇ヘルペス | ・ヘルペスウイルスに感染したことが原因で、口の周辺に痛みやかゆみをともなう水ぶくれができる・成人の7~9割はヘルペスウイルスに感染といわれているが、そのうち症状が出るのは1~10%程度とされている・1~2週間ほどで自然に治ることが多いが、再発を繰り返す方も多い | ・ウイルス感染 | ・ニキビはアクネ菌、口唇ヘルペスはヘルペスウイルスが原因で起こる |
とびひ(伝染性膿痂疹) | ・皮膚にブドウ球菌や溶連菌などの細菌が感染することで赤いブツブツや水ぶくれができる病気 | ・虫刺されやあせもをかきむしったことが原因で発症する・細菌が多い鼻周辺を触り、鼻周辺の皮膚が感染する場合もある | ・ニキビはアクネ菌、とびひはブドウ球菌や溶連菌などの細菌が原因で起こる |
ニキビ(ざ瘡)の治療はクリニックフォアの皮膚科対面診療へ
ニキビ跡になるのを防ぐためにも、面皰(コメド)のうちに適切に対処して、炎症を起こさないようにすることが大切です。また、ニキビに似た別の病気の場合もあるので、「たかがニキビ」と考えずに早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
クリニックフォアでは保険診療と自由診療を合わせて行うことが可能です。当院の美容皮膚科でもニキビやニキビ跡に対する自由診療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。