長引く咳とは?まず「続く期間」で見当をつける
ひと口に「せきが長引く」といっても、続いている期間によって考えられる原因は変わってきます。
まずはせきを期間で分けてとらえてみましょう。
3週間・8週間が分かれ目(急性・遷延性・慢性)
せきは、続く期間によって「急性」「遷延性」「慢性」の3つに分類され、考えられる原因も異なります。
一般的には、3週間未満は「急性咳嗽」、3~8週間は「遷延性咳嗽」、8週間以上は「慢性咳嗽」に分類されます[1]※。
※この期間分類は主に成人のせきを対象としたものです。
3週間未満のせきは風邪などの感染症によるものが多く、3~8週間では感染後咳嗽が代表的です。ただし、咳喘息や上気道由来のせきなどが関係することもあります。
8週間以上続く場合は、咳喘息・気管支喘息、上気道咳嗽症候群、胃食道逆流症、COPDなど、感染症以外の原因を幅広く考えます[1][2]。
せきの続く期間は原因を考える手がかりになります。ただし、3週間未満でも発熱や息苦しさがある場合は、早めに受診しましょう。
乾いた咳と痰(たん)のある咳の違い
たんをともなうかどうかは、せきの原因を考える手がかりになります。ただし、乾いたせきか、たんを伴うせきかだけで病気を特定することはできません。
咳喘息や感染後咳嗽ではたんの少ないせきがみられやすく、気道感染や慢性副鼻腔炎などではたんや後鼻漏をともなうことがあります。
長引く咳の主な原因
ここからは、長引くせきの原因のうち、代表的なものをくわしく見ていきます。
原因ごとの特徴を知っておくと、自分のせきとの共通点に気づきやすくなります。
咳喘息・気管支喘息
長引くせきの原因として多いとされるのが咳喘息です。
気道に炎症が起こり、刺激に対して過敏になることで、わずかな刺激でもせきが出やすくなる状態です。
たんの少ない乾いたせきが夜間や早朝、冷たい空気や会話、運動などをきっかけに出やすく、市販のせき止めや通常の鎮咳薬では十分な効果が得られないことがあります。
咳喘息の主な治療は、吸入ステロイド薬などによって気道の炎症を抑える方法です。
症状や状態に応じて、気管支を広げる吸入薬が併用されることもあります。
また、咳喘息の一部は、経過中に喘鳴をともなう気管支喘息へ移行する可能性があります。
感染後咳嗽(風邪のあとに残る咳)
感染後咳嗽は、風邪などの感染が落ち着いたあとも気道の過敏な状態や咳反射の高まりが残り、せきが数週間続く状態です。
3〜8週間続く遷延性のせきでは、この感染後咳嗽が多くみられます[2]。
多くの場合は自然に落ち着くとされますが、治まらない・悪化するケースもあります。
後鼻漏(鼻が原因の咳)
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの鼻・副鼻腔の病気が、長引くせきに関係することがあります。
主な特徴は、鼻水がのどに流れる感覚や咳払い、鼻づまりなどです。横になると、せきが出やすくなる場合もあります。
鼻症状が続く場合は、原因となる病気に応じた治療によって、せきの改善が期待できます。
胃食道逆流症(胃酸の逆流による咳)
胃酸などの逆流による食道やのどへの刺激や、食道からの反射が、せきの原因になることがあります。
食後や横になったときに症状が出やすい一方で、胸やけやげっぷをともなわないケースも少なくありません。
胃食道逆流症が疑われる場合は、生活習慣の見直しや胃酸の分泌を抑えるお薬などが検討されます。
喫煙によるCOPD・そのほかの原因
たばこの煙は気道に慢性的な炎症を引き起こし、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患の原因となることが知られています。
喫煙歴が長い方では、せきやたん、体を動かしたときの息切れが続くことがあります。禁煙によりせきやたんが改善することがあるため、COPDの進行や肺機能の低下を抑えるためにも重要です。
このほか、ACE阻害薬(降圧薬の一種)の副作用や、百日咳、マイコプラズマ感染症などが長引くせきの原因となることもあります。
注意したい危険な咳のサインと病気
長引くせきの多くは、適切な治療でやわらげられるものです。
ただし、なかには早めの受診が必要となる、注意したいサインもあります。
見きわめのポイントを知っておくと、いざというときに落ち着いて動けます。
すぐ受診したほうがよい症状
せきに加えて次のような症状がある場合は、症状の程度に応じて早めの受診や救急要請が必要です。
<救急受診を検討したい症状>
- 急に強い息苦しさが出た
- 会話が難しいほど呼吸が苦しい
- 唇や顔色が青白い
- 強い胸痛がある
- 多量の血を吐いた
- 意識がもうろうとしている
これらは緊急性が高い症状です。自力での受診が難しい場合は、救急車を呼ぶことも検討してください。
<早めに医療機関へ相談したい症状>
- 血の混じったたんが出る
- 発熱が続いている
- 体重が減ってきた
- せきが悪化している
- 夜眠れないほどせきが続く
- 喫煙歴があり、新たにせきや声がれが続いている
これらの症状がある場合も、自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関を受診しましょう。
隠れていることがある重い病気
長引くせきの裏に、まれに重い病気が隠れていることもあります。
具体的には、肺結核や肺がん、間質性肺炎、心不全などが原因になることがあるとされています。
頻度は高くありませんが、見逃したくない病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。
喫煙量に明確な基準はありませんが、40歳以上で、1日1箱を10年程度に相当する喫煙歴があり、せき・たん・息切れが続く場合は、COPDの可能性も考えて呼吸機能検査を受けることが勧められます[3]。
「ただのせき」と決めつけず、健康診断などの機会も活用しながら、気になるときは検査を受けておくと安心です。
長引く咳は何科を受診する?検査と治療の流れ
長引くせきで受診するとき、何科に行けばよいか迷う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、受診先の選び方と、検査・治療のおおまかな流れを整理します。
何科を受診すればいい?
受診先に迷う場合は、体全体を総合的に診てもらえる、かかりつけの内科が相談の入り口です。
数週間せきが続く、市販薬や風邪薬でよくならないというときは呼吸器内科が向いており、のどの痛みや声がれ、鼻水がのどに垂れる感じが中心のときは耳鼻咽喉科が適していることもあります。
受診時には、せきの続く期間や、たん・鼻・胃の症状の有無を伝えると、適切な診療科を判断してもらいやすくなります。
検査と治療の進み方
長引くせきでは、まず問診と聴診が行われ、必要に応じて検査へ進みます。
いつからどんなときにせきが出るかなどを確かめたうえで、胸部のレントゲンや肺の機能を調べる検査、血液検査などが行われることがあります。
治療は、せきの原因に合わせて行うことが基本です。例えば、咳喘息では吸入薬、胃酸の逆流が原因の場合は胃酸の分泌を抑えるお薬など、それぞれの原因に応じた治療が行われます。
長引く咳が気になる方はオンライン診療という選択肢もあります
クリニックフォアのオンライン診療では、せきに関する診察・治療に対応しています。仕事や家事などで通院時間を確保しにくい方でも、自宅からオンラインで医師に相談できます。
「せきがなかなか治らない」「原因がわからず不安」「夜間や早朝のせきが続く」といった症状がある方は、一度医師に相談してみるのもよいでしょう。
ただし、強い息苦しさや胸痛、血痰、高熱などがある場合や、胸部レントゲン・呼吸機能検査などが必要と考えられる場合は、オンライン診療ではなく対面での受診が必要です。
【内科・アレルギー科】のオンライン診療 | クリニックフォア
※医師の判断により、お薬を処方できない場合があります。
※触診・検査などが必要な場合は、対面での診療をお願いする場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方には個人差があります。診察を受けたうえで、医師の指示に従って治療を受けてください。
子ども・高齢者の長引く咳で気をつけたいこと
長引くせきは、年代によっても気をつけたい点が変わります。
子どもや高齢の方では、大人とは違う注意が必要なこともあります。
子どもの場合
子どものせきは風邪によることが多い一方、気管支炎や肺炎、喘息などが関係する場合もあります。
食事がとりにくいときでも、水分だけはこまめにとらせることが大切です。
呼吸が速い、胸や喉元がへこむ、顔色が悪い、水分がとれない、ぐったりしている場合は、早めに小児科を受診してください。
高齢者の場合
高齢の方の長引くせきは、「年のせい」と見過ごされやすい点に注意が必要です。
高齢者では肺炎があっても高熱などの典型的な症状が目立たないことがあります。食事中のむせ、食欲低下、元気がない、息切れなどの変化にも注意しましょう。
むせをともなうせきが続くときは誤嚥性肺炎などの心配もあるため、医療機関に相談すると安心です。
長引く咳のセルフケア
長引くせきは原因に合った治療が基本ですが、日常生活の工夫で症状がやわらぐこともあります。
十分な休養と水分補給を心がけ、せきを悪化させる刺激を避けましょう。
のどをうるおし、刺激を避ける
せきがつらいときは、のどの乾燥を防ぐことが大切です。
こまめな水分補給や加湿、マスクの着用などを心がけましょう。
たばこの煙や冷たい空気、ほこりなどの刺激はせきを悪化させることがあるため、できるだけ避けることも大切です。
市販薬と禁煙のポイント
市販のせき止めは症状の緩和に役立つこともありますが、原因によっては十分な効果が得られないこともあります。
市販薬を使っても症状が改善しない場合は、自己判断で飲み続けず、医療機関を受診しましょう。また、ほかのお薬との飲み合わせが気になる場合は、薬剤師に相談すると安心です。
喫煙はせきや呼吸器の病気と深く関わるため禁煙も重要で、難しい場合は禁煙外来の利用も検討してみましょう[3]。
長引く咳に関するよくある質問
長引くせきについてよくある質問をまとめました。気になる疑問や不安の解消にお役立てください。
Q:長引く咳は人にうつりますか?
原因によって異なり、感染症が原因のせきはうつることがあります。
咳喘息やアレルギー、胃酸の逆流などが原因のせきは人にうつるものではないため、心配なときはマスクを着けつつ、原因を医療機関で確かめると安心です。
Q:夜になると咳がひどくなるのはなぜですか?
夜間のせきには、喘息による気道の変化、横になることで起こりやすくなる後鼻漏や胃食道逆流などが関係することがあります。
とくに咳喘息では夜間や早朝にせきが強くなるのが特徴の一つで、夜眠れないほどの咳が続くときは我慢せず受診してください。
寝る前に部屋を加湿したり上半身を少し高くしたりすることで、少し楽になる場合もあります。
Q:市販の咳止めで治らないのはなぜですか?
長引くせきは原因によって効くお薬が異なり、咳止めだけでは治まらないことがあるためです。
咳喘息などでは、一般的なせき止めだけでは十分に改善しないことがあります。数週間たっても治らないときは受診しましょう。
Q:咳と一緒にゼーゼー・ヒューヒューという音がします。大丈夫ですか?
ゼーゼー・ヒューヒューという音は、気道が狭くなっているサインのことがあります。
気管支喘息などの可能性もあるため、息苦しさをともなうときは早めに呼吸器内科を受診してください。
まとめ
長引くせきは、続く期間によって考えられる原因が異なり、期間が長いほど風邪以外の病気も疑われます。
一般的な分類は、3週間未満が急性、3〜8週間が遷延性、8週間以上が慢性です[1]。
主な原因として、咳喘息、感染後咳嗽、鼻・副鼻腔の病気、胃食道逆流症などが挙げられます。
喫煙歴がある方では、COPDにも注意が必要です。
一方で、血痰や胸痛、息切れ、体重減少、眠れないほどの激しいせきなどは、早めの受診が必要なサインです。
まれに肺結核や肺がんなどが隠れていることもあるため、長引くせきを放置しないことが大切です。
受診はまず内科、症状が続くときは呼吸器内科、鼻やのどが中心なら耳鼻咽喉科が目安になります。
のどをうるおし刺激を避けつつ、数週間以上続くせきは自己判断せず、医療機関で相談しましょう。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
※症状の現れ方には個人差がございます。
※血の混じったたんや強い息苦しさ、体重減少などがあるときは、自己判断せず速やかに医療機関にご相談ください。
