咳が止まらないときは病院へ行くべき?
せきが止まらないときは、まず呼吸の状態や一緒に現れている症状を確認しましょう。
せきが少しずつ軽くなり、食事や睡眠をとれている場合は、経過を見られることもあります。
一方、息苦しさや胸痛がある場合は、期間にかかわらず早めの対応が必要です。
救急受診・救急要請を検討したい症状
次のような症状がある場合は、通常の診療時間を待たず、救急受診や救急要請を検討してください。
- 急に強い息苦しさが出た
- 会話が難しいほど呼吸が苦しい
- 唇や顔色が青紫色になっている
- 強い胸痛がある
- 多量の血を吐いた
- 意識がもうろうとしている
- せきや呼吸状態が急激に悪化した
自力での受診が難しい場合は、無理に移動せず119番へ連絡しましょう。
救急車を呼ぶべきか迷う場合は「#7119」、子どもの症状は「#8000」に相談できます。ただし対応地域や受付時間は自治体によって異なります。
早めに医療機関へ相談したい症状
緊急性が高くなくても、次のような症状がある場合は、早めに内科や呼吸器内科を受診しましょう。
- 血の混じったたんが出る
- 発熱が続いている
- せきが徐々に悪化している
- 夜眠れないほどせきが出る
- 息切れやゼーゼー・ヒューヒューという音がある
- 原因の分からない体重減少や寝汗がある
- 水分や食事を十分にとれない
- 喫煙歴があり、新たなせきや声がれが続いている
肺炎や結核、肺がんなどでも、せきが主な症状として現れることがあります。症状だけで病気を特定することはできませんが、「いつもの風邪とは違う」と感じる場合は、自己判断で様子を見続けないことが大切です。
咳や痰(たん)が2週間以上続く場合も受診を検討する
せきは続く期間によって、次のように分類されます[1]。
- 3週間未満:急性咳嗽
- 3~8週間:遷延性咳嗽
- 8週間以上:慢性咳嗽
ただし、「3週間未満なら受診しなくてよい」という意味ではありません。
厚生労働省は、結核の早期発見の観点から、せきやたん、微熱、体のだるさなどが2週間以上続く場合は、早めに医療機関を受診するよう呼びかけています[2]。
風邪が治ったあとも、せきやたんが2週間以上残る場合や、症状が改善せず悪化している場合は、一度医療機関へ相談しましょう。
咳が止まらないときは何科を受診する?
せきが止まらない場合は、基本的に内科または呼吸器内科が受診先になります。ただし、鼻症状の有無や年齢によって、ほかの診療科が適していることもあります。
基本は内科・呼吸器内科
受診先に迷う場合は、まず内科やかかりつけ医に相談しましょう。
特に、せきが数週間続く場合や、たん・息切れ・喘鳴(ぜんめい)※などをともなう場合は、肺や気管支を専門とする呼吸器内科が適しています。
※ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音
長引くせきでは、問診や聴診に加え、必要に応じて次のような検査が行われます[1]。
- 胸部エックス線検査
- 呼吸機能検査
- 血液検査
- 酸素飽和度の測定
- 喀痰検査
- 胸部CT検査
すべての検査を行うわけではなく、せきの続く期間や症状、診察結果に応じて必要な検査が選ばれます。
鼻の症状が強い場合は耳鼻咽喉科
鼻づまり、鼻水、鼻水が喉へ流れる感じ、顔の痛みなどをともなう場合は、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などがせきに関係している可能性があります。
このような鼻症状が強い場合は、耳鼻咽喉科が相談しやすいでしょう。
ただし、強い息苦しさや胸痛、喘鳴などがある場合は、鼻症状があっても内科や呼吸器内科での評価が必要です。
子どもの咳は小児科
子どものせきが続く場合は、小児科を受診しましょう。
特に、次のような様子がある場合は、せきの続く期間にかかわらず速やかな受診が必要です。
- 呼吸が速い
- 胸や首元が呼吸のたびにへこむ
- 顔色が悪い
- 水分や母乳、ミルクをとれない
- ぐったりしている
- せき込んで何度も吐く
- 犬がほえるようなせきが出る
子どもは大人よりも呼吸状態が悪化しやすいため、「元気があるか」「水分をとれているか」も確認しましょう。
咳が止まらないときに考えられる主な原因
せきの出方は、原因を考える手がかりになります。ただし、せきの特徴だけで病気を判断することはできません。
| せきや一緒に現れる症状 | 考えられる原因の例 |
| 風邪が治ったあともせきだけ残る | 感染後咳嗽(がいそう) |
| 夜間や早朝にせきが強くなる | 咳喘息、気管支喘息 |
| ゼーゼー・ヒューヒューする | 気管支喘息、気道の狭窄 |
| 鼻水や鼻づまりをともなう | アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、後鼻漏 |
| 食後や横になると悪化する | 胃食道逆流症 |
| 発熱やたんをともなう | 風邪、気管支炎、肺炎など |
| 血痰や体重減少がある | 結核、肺がんなど |
| 降圧薬を飲み始めてから続く | ACE阻害薬による副作用 |
風邪のあとに咳だけ残る
風邪や新型コロナ、インフルエンザなどが治ったあとも、気道の過敏な状態や咳反射の高まりが残り、せきだけが数週間続くことがあります。
これは感染後咳嗽と呼ばれます[1]。悪化する場合や息苦しさ・発熱がある場合は受診しましょう。
夜間や早朝に咳が止まらない
夜間や早朝のせきには、咳喘息や気管支喘息が関係していることがあります。
冷気や会話、運動、たばこの煙などで悪化することもあり、吸入薬などの治療が必要な場合は呼吸器内科へ相談しましょう。
鼻水や鼻づまりをともなう
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などによる鼻・副鼻腔の炎症や、後鼻漏がせきに関係することがあります。
鼻水が喉に流れる感じ、頻繁なせき払い、鼻づまり、粘り気のある濁った鼻水などがある場合は、耳鼻咽喉科で鼻の状態を確認してもらうとよいでしょう。
食後や横になると咳が出る
食後や就寝時にせきが出る場合は、胃食道逆流症が関係している可能性があります。
胃酸などの逆流による食道や喉への刺激、食道からの反射などによってせきが誘発されることがあります。胸やけやげっぷが目立たない場合もあります。
咳が止まらないときに自宅でできること
せきがつらい場合は、受診までの間に次のような工夫を取り入れてみましょう。ただし、これらは原因を治療するものではありません。
こまめに水分をとる
喉や気道が乾燥すると、刺激によってせきが出やすくなる場合があります。
水や白湯などを少量ずつ、こまめにとりましょう。せき込みが強いときは、むせないようゆっくり飲んでください。
室内の乾燥を避ける
室内が乾燥している場合は、加湿器などを使って適度に加湿しましょう。
ただし、過度な加湿はカビやダニを増やす原因になります。加湿器を使用する場合は、こまめに清掃し、室内の換気も行ってください。
咳を悪化させる刺激を避ける
次のような刺激は、せきを悪化させることがあります。
- たばこの煙
- 冷たい空気
- ほこり
- 香水や芳香剤
- スプレー類
- 激しい運動
喫煙している方は、せきが続いている間だけでなく、呼吸器疾患の予防や進行抑制のためにも禁煙を検討しましょう。
上半身を少し高くして休む
胃酸の逆流や後鼻漏によって横になるとせきが出る場合は、クッションなどで上半身を少し高くすると、症状が和らぐことがあります。
ただし、強い息苦しさがある場合は、自宅で姿勢を工夫して様子を見ず、速やかに受診してください。
咳が止まらないときに避けたいこと
せきを早く治そうとして自己判断で対処すると、症状の悪化や適切な治療の遅れにつながることがあります。次の行動は避けましょう。
市販薬を重ねて使用する
せき止め、風邪薬、鼻炎薬などには、同じ成分が含まれていることがあります。複数のお薬を自己判断で併用すると、成分の重複によって眠気や口の渇きなどの副作用が強く出る可能性があります。
市販薬を併用する場合は、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
処方薬を自己判断で中止・増量する
処方されたお薬を使ってもせきが改善しない場合は、自己判断で服用量を増やしたり、中止したりしないでください。
治療開始後の経過を確認しながら、診断や治療内容を見直すこともあります。改善しない場合は、処方した医師へ相談しましょう。
血痰や息苦しさを放置する
血痰、胸痛、息苦しさ、高熱などがある場合は、市販のせき止めだけで様子を見続けないことが大切です。
症状が強い場合や急激に悪化した場合は、夜間や休日でも救急受診を検討してください。
市販薬を使っても咳が止まらないときは?
市販のせき止めは、症状を一時的に和らげる目的で使われます。ただし、咳喘息、胃食道逆流症、副鼻腔炎などが原因の場合は、一般的なせき止めだけでは十分に改善しないことがあります。
また、たんを外へ出す必要があるせきを強く抑えると、かえって出しにくくなることもあるのです。
市販薬を用法・用量どおりに使用しても改善しない場合や、せきが悪化している場合は、自己判断で使い続けず医療機関へ相談しましょう。
妊娠中の方、子ども、高齢者、持病がある方、ほかのお薬を服用している方は、市販薬を購入する前に医師や薬剤師へ相談してください。
診察時に医師へ伝えたいこと
受診前に次の内容を整理しておくと、診察がスムーズになります。
- せきが始まった時期
- 急に始まったか、徐々に始まったか
- 乾いたせきか、たんをともなうせきか
- たんの色や血の有無
- 夜間・早朝・食後・運動時など、せきが出やすい時間
- 発熱、息苦しさ、胸痛、鼻水、胸やけなどの有無
- 新型コロナやインフルエンザなどへの罹患歴
- 喫煙歴
- 服用しているお薬
- 市販薬を使った場合は、商品名と使用期間
せきが出ている様子をスマートフォンで録音・録画しておくと、診察時の参考になる場合もあります。
長引く咳はオンライン診療でも相談できる
せきが続いているものの、仕事や家事で通院時間を確保しにくい場合は、オンライン診療で相談する方法もあります。
クリニックフォアのオンライン診療では、せきに関する診察・治療に対応しています。自宅から医師の診察を受けられるため、通院の負担を抑えながら相談できます。
ただし、強い息苦しさ、胸痛、血痰、高熱などがある場合は、オンライン診療ではなく速やかに対面診療を受けてください。胸部エックス線検査や呼吸機能検査、酸素飽和度の測定などが必要な場合も、対面での受診が必要です。
【内科・アレルギー科】のオンライン診療 | クリニックフォア
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※検査等が必要な場合は、対面診療をご案内させていただく場合があります。
※お薬の処方がない場合は診察料1,650円(税込)がかかります。
咳が止まらないときのよくある質問
せきが止まらないときは、受診のタイミングや診療科、熱がない場合の対応など、判断に迷うことも多いでしょう。
ここでは、せきが続くときによくある疑問について解説します。
Q:咳は何日続いたら病院へ行くべきですか?
せきやたん、微熱、体のだるさなどが2週間以上続く場合や、症状が改善せず悪化している場合は、医療機関へ相談しましょう[2]。
ただし、強い息苦しさ、胸痛、血痰などがある場合は、期間にかかわらず早めの受診が必要です。
Q:熱がなくても病院へ行ったほうがよいですか?
熱がなくても、咳喘息や胃食道逆流症、鼻・副鼻腔の病気などによってせきが続くことがあります。
せきが2週間以上続いている場合や、夜眠れない、息切れがある、市販薬で改善しないといった場合は受診を検討してください。
Q:咳が止まらないときは内科と耳鼻咽喉科のどちらですか?
迷う場合は、まず内科や呼吸器内科を受診しましょう。
鼻水、鼻づまり、後鼻漏などの鼻症状が強い場合は、耳鼻咽喉科が適していることもあります。子どもの場合は、小児科へ相談してください。
Q:夜だけ咳が止まらないのはなぜですか?
夜間のせきには、咳喘息や気管支喘息、後鼻漏、胃食道逆流症などが関係することがあります。
夜眠れないほどせきが続く場合や、ゼーゼー・ヒューヒューという音、息苦しさをともなう場合は、呼吸器内科へ相談しましょう。
まとめ
せきが止まらないときは、続いている期間だけでなく、呼吸状態や一緒に現れている症状を確認することが大切です。
会話が難しいほどの息苦しさ、強い胸痛、意識の異常、多量の喀血がある場合は、救急受診や救急要請を検討してください。血痰や発熱の持続、体重減少がある場合も早めに受診しましょう。
受診先は内科や呼吸器内科が基本です。鼻症状が強い場合は耳鼻咽喉科、子どもは小児科へ相談してください。水分補給や適度な加湿で和らぐこともありますが、市販薬で改善しない場合は、医療機関で原因を調べてもらいましょう。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。症状の現れ方や経過には個人差があります。
※強い息苦しさ、胸痛、意識の異常、多量の喀血などがある場合は、速やかに救急受診・救急要請を検討してください。
