多汗症のセルフチェック|診断基準・重症度・何科受診を解説

「自分のこの汗の量って多汗症?」「ただの汗かきとの違いは?」「何科を受診すればいい?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
多汗症は日本皮膚科学会の診断基準に基づいてセルフチェックでき、重症度や受診の必要性をある程度自分で判断できる目安があります[1]。
この記事では多汗症の診断基準、重症度の判定方法、部位別のチェックポイント、受診すべき診療科を詳しく解説します。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。

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多汗症のセルフチェック方法

多汗症は医学的な診断基準が決まっており、自分でも目安をチェックできます。正しい視点でセルフチェックし、受診すべきかの判断材料にご活用ください。

診断基準(6項目)

日本皮膚科学会の「原発性局所多汗症診療ガイドライン」では、局所多汗症について「明確な原因がないまま過剰な発汗が6か月以上続いていること」が基本条件とされています[1]。この基本条件を満たしたうえで、以下の6項目のうち2項目以上に当てはまる場合、原発性局所多汗症が考えられます[1]

  • 最初に症状が出るのが25歳以下である
  • 両側で左右対称性に発汗がみられる
  • 睡眠中は発汗が止まる
  • 週1回以上の多汗エピソードがある
  • 家族歴がある
  • 日常生活に支障をきたす

セルフチェックはあくまで目安のため、確定診断は医師の診断が必要です。

重症度を判定するHDSS(4段階)

多汗症の重症度は、HDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)と呼ばれる4段階のスケールで評価されます[1]

レベル状態治療の目安
1発汗は気にならず、日常生活に支障がない治療不要(気になる場合は相談)
2発汗が我慢できる程度で、ときどき日常生活に支障がある生活への影響が大きければ治療検討
3発汗が我慢できないことがあり、頻繁に日常生活に支障がある治療の対象として推奨
4発汗が我慢できず、常に日常生活に支障がある治療の対象として推奨

レベル3〜4は「重症」とされ、治療の対象として推奨される目安です。レベル1〜2でも生活への影響が大きい場合は治療を検討する選択肢があります。医療機関では問診や検査を通じて、より正確な重症度を判定してもらえます。

チェック後の判断目安

セルフチェックの結果、診断基準に複数当てはまる方やHDSSがレベル3以上の方は、医療機関での相談が推奨されます。レベル1〜2でも、日常生活で困っていたり対人関係に悩みを抱えていたりする方は、医療機関での治療が解決策につながる可能性があります。セルフチェックはあくまで自分の状態を把握する目安として活用し、確定診断と治療方針は医師と相談しましょう。

部位別の多汗症セルフチェック

多汗症は部位によって症状のあらわれ方が異なり、それぞれにセルフチェックのポイントがあります。

部位医学名主な症状のサイン
手のひら手掌多汗症ペンや紙が湿る・スマホ画面が反応しにくい・キーボードが濡れる
腋窩多汗症衣服に汗ジミが目立つ・夏以外でも汗ジミができる・脇汗パッドが必須
顔面多汗症額や頬から多くの汗が出る・化粧が崩れる・髪の生え際から汗が垂れる
頭部頭部多汗症髪が常に濡れた状態になる・帽子の中が濡れる・整髪料が落ちる
足の裏足底多汗症靴の中が常に湿っている・靴下を脱ぐと床が濡れる・水虫を繰り返す

複数の部位に症状がある場合や、睡眠中も発汗が続く場合は原発性多汗症以外の可能性も考慮し、早めに医師に相談しましょう。

手のひら・脇の多汗症のチェック

手のひらと脇は、多汗症で悩む方が多い代表的な部位です[1]。手のひらの多汗症(手掌多汗症)は緊張やストレスがなくても汗が滴るほど出るのが特徴で、ペンや紙が湿る・スマートフォンの操作で画面が反応しにくい・キーボードが濡れるといった症状があります。

脇の多汗症(腋窩多汗症)は衣服に汗ジミが目立つ程度の発汗が頻繁に起こり、夏以外でも汗ジミができる・脇汗パッドが必須になっているといった症状が特徴です。両側に同時に症状が出ているか、睡眠中はほとんど汗をかかないかを確認することで、原発性多汗症の可能性を把握しやすくなります。腋窩多汗症・手掌多汗症はいずれも保険適用の外用薬があるため、医療機関での相談を検討してみてください。

顔・頭部の多汗症のチェック

顔と頭部の多汗症は、温度や運動とは関係なく多くの汗が出る点が特徴で、衣服で隠せず人目につきやすいため精神的な負担が大きくなりやすい部位です。

顔面多汗症は、以下のような症状があらわれる傾向にあります。

  • 人前で話すと額や頬から多くの汗が出る
  • 化粧が崩れやすい
  • 髪の生え際から汗が垂れる

頭部多汗症は頭皮から流れるように汗が出て髪が常に濡れた状態になり、帽子の中が濡れる・整髪料が落ちやすいといった症状が特徴です。

顔面と頭部は同時に多汗となるケースが多く、複数部位で症状がある場合も原発性多汗症の可能性があります。顔や頭部の多汗で悩んでいる場合は、医療機関で医師に相談して適切な治療を受けることも選択肢のひとつです。

足の裏の多汗症のチェック

足の裏は、靴の中という閉鎖環境で発汗が続くため二次的なトラブルにつながりやすい部位です。

  • 靴の中が常に湿っている
  • 靴下を脱ぐと床が濡れる
  • 水虫を繰り返す

上記のような症状が特徴的なサインです。足の臭いが強くなりやすく、対人関係への影響を感じる方も少なくありません。複数部位で症状がある場合も含め、早めに医療機関の医師に相談することをおすすめします。

多汗症と汗かきの違い

「自分はただの汗かきなのか、多汗症なのか」と悩む方は多くいます。正しい区別を知り、適切な対処につなげましょう。

「汗かき」と「多汗症」の境界

体質的な汗かきは環境要因に応じて発汗量が変化するのに対し、多汗症は環境に関係なく過剰な発汗が続くという違いがあります。

項目汗かき多汗症
原因運動・暑さ・緊張など明確な原因がある明確な原因がない
環境による変化涼しい場所では汗が落ち着く環境に関係なく過剰な発汗が続く
期間一時的6か月以上続く
生活への支障通常はない日常生活に支障をきたす
位置づけ体質的な傾向医学的な疾患

「自分が汗かきの範囲か、多汗症かどうか」を判断する目安として、診断基準やHDSSのセルフチェックを活用してみてください。

原発性多汗症と続発性多汗症

多汗症は原因によって「原発性」と「続発性」の2種類に分類されます[1]

項目原発性多汗症続発性多汗症
割合多汗症患者の約90%少数
原因明確な原因疾患なし(体質的要因)他の病気やお薬の影響
発症時期10代〜20代が多い25歳以降の発症が多い
発汗部位両側性・対称的片側のみのこともある
睡眠中の発汗止まる続くこともある

両側性ではなく片側のみに発汗がある・睡眠中も発汗が続く・25歳以降に急に発症した場合は続発性の可能性があるため、早めに医師に相談することが推奨されます。

他の病気との見分け方

過剰な発汗は他の病気のサインである可能性もあります。基礎疾患による発汗は他の症状を伴うことが多いため、総合的な判断が必要となります。

発汗を伴う代表的な疾患は、以下のとおりです。

疑われる病気発汗以外の主な症状
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)[2]動悸・体重減少・手の震え
更年期障害[3]ホットフラッシュ(顔のほてり・のぼせ)
糖尿病(低血糖時)[4]急な発汗・震え・冷や汗
結核[5]寝汗が続く・せき・微熱
悪性リンパ腫[6]寝汗が続く・原因不明の発熱・体重減少

睡眠中に多くの汗をかく「寝汗」が続く場合は、結核や悪性リンパ腫などの病気の可能性もあるため注意が必要です[5][6]。セルフチェックで多汗症の診断基準に合致しても、他の症状が併発している場合は内科での総合的な検査が望ましい対応となります。

多汗症の受診科目と相談先

多汗症の悩みを医療機関で相談する場合、複数の診療科が選択肢となります。

多汗症の治療が受けられる診療科と治療内容は、以下のとおりです。

診療科主な治療内容特徴
皮膚科外用薬・内服薬・イオントフォレーシス第一選択、保険治療が中心
形成外科ボトックス注射・ETS手術外科的治療
ペインクリニック神経ブロック・イオントフォレーシス神経からのアプローチ
美容皮膚科ボトックス注射・美容目的の汗対策自由診療が中心

希望する治療法に応じて適切な診療科を選びましょう。

皮膚科が第一選択

多汗症の相談先として、もっとも一般的なのが皮膚科です[1]

医療機関では、保険適用の外用薬として以下のような処方が受けられます[1][7]

  • 腋窩多汗症:エクロックゲル(ソフピロニウム臭化物)・ラピフォートワイプ(グリコピロニウムトシル酸塩水和物)
  • 手掌多汗症:アポハイドローション(オキシブチニン塩酸塩)

外用薬で効果が不十分な場合は、イオントフォレーシス(水道水や薬液に手や足を浸して微弱電流を流す治療法)も、皮膚科で対応できる場合があります[1]

腋窩多汗症や手掌多汗症の場合、保険適用の外用薬があるため医師に相談するのが望ましいでしょう。

受診時に伝えるとよいこと

医療機関を受診する際は、自分の以下のような状態を正確に伝えられると、適切な診断と治療につながります。

  • 症状が始まった年齢・症状の期間
  • 発汗部位(両側か片側か)
  • 睡眠中の発汗の有無
  • 家族歴(近しい親族に多汗症の人がいるか)
  • 日常生活での困りごと(仕事・対人関係・趣味への影響)
  • 服用中のお薬(お薬手帳を持参)
  • 既往歴(甲状腺疾患・糖尿病など)
  • セルフチェックの結果

セルフチェックの結果を事前にまとめておき、適切な治療方針を医師と相談しながら決めていきましょう。

多汗症の治療はクリニックフォアにご相談ください

多汗症の治療を検討している方は、適切な診察と治療のために医療機関を受診することが大切です。クリニックフォアのオンライン診療では多汗症や発汗の悩みについて医師に相談でき、内服薬(ソリフェナシン・プロバンサイン・防已黄耆湯)や外用薬(塩化アルミニウム液20%・40%、ラピフォートワイプ、エクロックゲル、アポハイドローション)を症状に応じて処方しています。

なお、クリニックフォアの多汗症治療は自由診療となります。保険診療を希望される方や保険診療で改善しなかった方の自由診療メニューもご利用いただけます。

ただし、イオントフォレーシス・ボトックス注射・ETS手術など対面での処置が必要な治療は対面診療をご案内する場合があります。急に汗の量が増えた・全身の発汗も増えた・体重減少や動悸を伴う場合は、甲状腺疾患などの基礎疾患が原因の可能性もあるため、まずは内科や皮膚科で原因疾患の検査を受けることが大切です。

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※医師の判断により、お薬を処方できない場合がございます。

※対面診療をご案内する場合もございます。

※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。

多汗症のセルフチェックに関するよくある質問

多汗症のセルフチェックや受診について、よく寄せられる質問をまとめました。受診の目安や他の疾患との見分け方に迷ったときの参考にしてください。

Q1. 多汗症かどうか確かめる方法は?

まず「明確な原因がないまま過剰な発汗が6か月以上続いている」という基本条件を確認したうえで、診断基準に沿って確認してみましょう。

日本皮膚科学会の診断基準(6項目)のうち2項目以上に当てはまる場合、原発性局所多汗症の可能性が高いとされています[1]。HDSSの4段階で自分のレベルを判定することも、状態の把握に役立ちます。

ただし、セルフチェックはあくまで目安です。確定診断は必ず医療機関で受けるようにしましょう。

Q2. 汗かきはどれくらいが異常?

明確な数値基準はありませんが、温度や運動と関係なく日常生活に支障をきたすほどの発汗が6か月以上続く場合、多汗症の可能性が高くなります[1]。ペンや紙が濡れて使えない・衣服に大きな汗ジミができる・対人関係に悩むほど汗が出るといった状況は、多汗症のサインといえます。汗かきと多汗症の境界が曖昧な場合は、医師に相談するのも選択肢のひとつです。

Q3. 手のひらの多汗症レベル1はどのような状態?

HDSSレベル1の手掌多汗症は「発汗は気にならず、日常生活に支障がない」状態を指します[1]。軽度の汗ばみがある程度で、ペンや紙が濡れる・スマホ操作に支障があるといった日常生活への影響はほとんどない段階です。レベル1でも気になる症状がある場合は、医師に相談してみてください。

Q4. 顔から多くの汗をかくのは病気?

人前で話す時や運動と関係なく顔から多くの汗が出る場合、顔面多汗症の可能性があります。ホットフラッシュ(更年期)・甲状腺機能亢進症・自律神経失調症などの病気が背景にあるケースもあるため、早めに医療機関の医師に相談しましょう。

まとめ

多汗症の診断基準は「6か月以上の過剰な発汗」を基本条件に、6項目のうち2項目以上に当てはまる場合に、原発性局所多汗症の可能性が高いとされています[1]

重症度はHDSSの4段階で評価され、レベル3〜4は積極的な治療が推奨される目安です。

部位別では手掌・腋窩・顔面・足底・頭部の多汗症があり、25歳以降の急な発症や片側性の症状・全身症状を伴う場合は続発性多汗症の可能性があるため、内科や皮膚科で原因疾患の検査を受けることが大切です。

「自分だけが悩んでいる」と思い込まず、適切な医療機関で医師に相談することで治療の選択肢が広がり、生活の質の改善が期待できる場合があります。

※医師の判断により、お薬を処方できない場合がございます。

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参考文献

  1. 藤本智子, 横関博雄, 中里良彦ほか「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版(2023年12月一部改訂)」日本皮膚科学会雑誌, 133(13): 3025-3056, 2023
  2. 一般社団法人 日本内分泌学会「バセドウ病」
  3. 一般社団法人 日本女性心身医学会「ほてり」
  4. 糖尿病情報センター「低血糖」
  5. 政府広報オンライン「結核に注意!」
  6. 国立研究開発法人 国立がん研究センター「リンパ腫の原因・症状について」
  7. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「アポハイドローション20% インタビューフォーム」
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