ピルを飲むと気持ち悪くなるのは副作用?
ピルの中で最も一般的なものが低用量ピル。低用量ピルには、卵胞ホルモン、黄体ホルモンという2種類のホルモンが含まれています。そのため、飲み始めの時期はピルによって体内のホルモンの状態が一時的に変化し、副作用として気持ち悪くなることがあります。同じ理由で、吐き気やめまい、倦怠感などが現れることもあります。
また、ある研究において、副作用を理由にピルをやめた人の割合は46%であり、そのうちの7%は吐き気が原因であったとのデータが示されています。ただし、ピルが吐き気をもたらす詳細なメカニズムについては明らかになっていません。
病気の可能性もある
気持ち悪さや吐き気、嘔吐が長く続く場合は、ピルとは関係なく、消化器系の病気などの可能性も考えられます。また、気持ち悪さや嘔吐以外に、頭痛、けいれん、意識障害などの症状もある場合は、脳静脈血栓症の可能性があります。ピルの服用によって血栓症発症のリスクが高まることが分かっており、脳静脈血栓症は、脳から心臓に戻る静脈が血栓(血のかたまり)によってつまってしまうものです。滅多におこるものではありませんが、万が一疑わしい症状がある場合はすぐに服用をやめ、受診を検討するとよいでしょう。
ピル服用中に気持ち悪くなった時の対処法
夜飲むようにする
ピルは毎日決まった時間に飲むものです。そのため、日中の服用で気持ち悪さや吐き気が生じる場合は、服用時間を夜寝る前に変更すると、症状が気にならなくなる場合があります。
しばらく様子を見る
服用を始めたばかりのころに起きる副作用の場合、飲み続けると解消されることが多いとされています。そのため、我慢できるくらいの軽い症状であれば2~3か月ほど様子を見てもよいでしょう。
ひどい時は吐き気止めを使う
気持ち悪くて吐きそうなときは、市販の吐き気止めを使ってもよいです。ただし、吐き気止めの薬を服用しても改善しないような場合には、ピルの服用を中止し、受診を検討してください。
医師に相談する
頻繁に気持ち悪くなる場合や、症状がひどい場合は我慢せずに医師に相談しましょう。ピルにはさまざまな種類があり、ピルの種類を変えることで副作用が解消される可能性があります。
また、前述の通り、消化器疾患や、血栓症を発症している可能性もあるため、他にも気になる症状がある場合などは受診を検討してください。
ピル服用中に吐いてしまった時の注意点
ピルの服用中に吐いてしまうと、ピルの効果がなくなったり、血栓症のリスクをより高めたりする可能性があります。そのため、以下のような点に注意しましょう。
ピルの服用方法
ピルの服用から2時間以内に吐いてしまった場合は、ピルの成分が体内に十分吸収されず、避妊などの効果が得られない可能性があります。そのため、この場合はすぐに追加で1錠服用しましょう。
一方、24時間以上嘔吐が続く場合は、一旦ピルを中止します。結果的に1錠お休みした場合は、回復したらすぐに1錠飲み、そのあとは通常通り服用します(場合によっては1日に2錠服用することになるケースもありまする)。2錠以上お休みした場合は、回復したらすぐに直近の1錠を服用し、そのあとは通常通り服用します(こちらも、場合によっては1日に2錠服用することになるケースがもありまする)。また、2錠以上お休みしたときは、通常通りに避妊効果が得られない場合があるため、7日間連続で飲めるまで別の避妊法も併用する必要があります。
水分補給
前述の通り、ピルは血栓症のリスクを高めるとされています。さらに、水分不足は血栓症のリスクをより高めるため、嘔吐によって水分が不足するのはよくありません。嘔吐したときは十分な水分補給を心がけましょう。
ピルで生理前~生理中の気持ち悪さの解消が期待できる
生理前や生理中に気持ち悪くなるという方は、月経困難症や月経前症候群(PMS)の可能性があります。
月経困難症とは、生理中に、生活に支障をきたすような生理痛や吐き気などの症状が現れるもので、PMSは、生理前にイライラや吐き気などの症状が現れるものです。
ピルは月経困難症やPMSの改善も期待できるものなので、生理前~生理中の気持ち悪さの解消が期待できます。生理前や生理中に気持ち悪くなってしまう方で、まだピルを始めていない場合はピルの服用を検討してみてはいかがでしょうか?
参考文献
https://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf
Selected Practice Recommendation for Contraceptive Use – Second Edition. http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241562846.pdf?ua=1 (Guideline)
Rosenberg MJ, Waugh MS.: Oral contraceptive discontinuation: a prospective evaluation of frequency and reasons. Am J Obstet Gynecol 1998; 179:577-582 (III)