正常なおりものの色・状態と血が混じるときの見分け方
おりものは腟や子宮から分泌される粘液で、腟内を清潔に保つ大切な役割をもっています。
正常なおりものは透明〜白っぽい色で、生理周期に合わせて量や粘り気が変化するのが一般的です。おりものに血が混じると驚く方も多いですが、原因によっては病的でないケースも少なくありません。
ここでは、おりものに血が混じるときの見分け方について解説します。
生理前後のおりものに少量の血が混じるのは経血の残りであることが多い
生理の直前や終わりかけのタイミングでおりものに少量の血が混じっている場合、子宮内に残った経血が遅れて排出されているケースが多いです。
生理中の経血は一度に体外へ排出されるとは限らず、子宮や腟の内部にわずかな量が留まったまま数日かけて少しずつ出てくることは珍しくありません。
留まった血液は時間の経過とともに色が変わり、鮮やかな赤色から茶色やこげ茶色になっておりものに混ざった状態で体外へ出てきます[1]。
出血というよりもおりものに茶色い筋が入る程度の量にとどまるケースが多く、生理の延長線上にある生理的な反応といえるでしょう。
痛みやにおいの変化をともなわず数日以内に自然とおさまる場合は、経血の残りによる一時的な現象として様子をみて問題ありません。
おりものの色でわかる体のサイン|ピンク・茶色・赤色の違い
おりものに混じる血の色は、出血が起きた時期や量によって異なり、色の違いが体の状態を推測する手がかりになります。
| おりものの色 | おりものの状態 | 考えられる原因 |
| ピンク色 | 少量の新しい血液が腟分泌液で薄まった状態 | 排卵期出血、着床出血 |
| 茶色・こげ茶色 | 古い血液が酸化して変色 | 生理前後の経血の残り、排卵期出血 |
| 鮮やかな赤色 | 比較的新しい出血 | 不正出血、ポリープ、感染症など |
ピンク色のおりものは、ごく少量の新しい血液が腟分泌液で薄められた状態を指し、排卵期や着床時に出現しやすいのが特徴です。
茶色いおりものは、日本産科婦人科学会の情報でも解説されているとおり、古い血液が変色したもので、生理前後や排卵期の少量出血で多くみられます[1]。
鮮やかな赤色の血が混じっている場合は、比較的新しい出血が起きている可能性を示しており、出血量が多いときや長期間続くときは注意が必要でしょう。
色だけで正常か異常かを完全に判断することは難しいため、出血の量・持続期間・ほかの症状も鑑みて総合的に確認することが大切です。
疾患以外でおりものに血が混じる原因
おりものに血が混じっていても、疾患が原因とは限りません。
疾患以外でおりものに血が混じるおもな原因は以下の4つです。
- 排卵期出血(中間期出血)
- 着床出血
- ピル服用初期の不正出血
- ストレスや生活習慣の乱れによるホルモンバランスの変動
それぞれの特徴を詳しく解説します。ご自身の出血パターンと照らし合わせながら確認してみてください。
排卵期出血(中間期出血)は生理周期の中間あたりに起きる一時的な出血
排卵期出血は、前回の生理開始日からおよそ2週間後の排卵前後に起こる少量の出血で、中間期出血とも呼ばれています。
排卵が起きるタイミングでは女性ホルモン(エストロゲン)の量が急激に変動し、この一時的なホルモンの揺らぎによって子宮の内膜の一部がはがれ落ちることで出血が生じます。
出血の量はごく少量で、おりものにピンクや茶色の血が混じる程度にとどまるケースが多く、通常は数日以内に自然におさまるでしょう。
基礎体温の記録と照らし合わせて排卵のタイミングと一致していれば、病的な出血ではないと判断する目安になります。
ただし毎月繰り返す場合や出血量が増えてきた場合は他の原因が隠れている可能性があるため、一度婦人科で相談しておくと安心です。
着床出血は受精卵が子宮内膜に着床する際に起こる少量の出血
着床出血とは、受精卵が子宮の内膜に着床する際に生じるとされる少量の出血を指します。
受精からおよそ1〜2週間後、生理予定日の数日前にあたる時期に出現することが多く、おりものにうっすら血が混じる程度の量にとどまるのが一般的です。
出血の色はピンクから薄い茶色が中心で、生理のように量が増えていくことはなく、1日〜数日でおさまる点が生理との大きな違いです。
すべての妊娠で着床出血が起きるわけではなく、出血を経験する方の割合は限られていますが、「生理が来たと思ったら実は着床出血だった」というケースも珍しくありません。
心当たりがある場合は生理予定日を過ぎた時点で妊娠検査薬を使い、陽性反応が出たら早めに産婦人科を受診しましょう。
ピル服用初期の不正出血はホルモンバランスが安定するまでの一時的な症状
低用量ピルを飲み始めた直後に、おりものに血が混じったり少量の不正出血がみられたりすることがあります。
ピルに含まれる女性ホルモンが体内のホルモン環境を変化させる過程で、子宮の内膜が安定しきらず一部がはがれ落ちることが出血のおもな原因です。
服用開始から1〜2か月以内に起きやすく、体がピルのホルモン量に慣れると自然に出血はおさまっていく傾向にあります[2]。
ホルモン剤の服用にともなう出血は不正出血の原因のひとつとされており、服用初期であれば過度に心配する必要はありません[3]。
3シート(約3か月)を過ぎても不正出血が続くときは、ピルの種類が合っていない、他の疾患があるなどの可能性があるため、処方元の医師にお薬の変更や検査の必要性を相談してみましょう。
ストレスや生活習慣の乱れはホルモンバランスに影響を与える
過度なストレスや睡眠不足、極端なダイエットといった生活習慣の乱れは、脳から卵巣へのホルモン分泌の連携に影響をおよぼし、ホルモンバランスを崩す要因となります。
ホルモンバランスが乱れると排卵がうまくおこなわれなくなり、子宮内膜の維持が不安定になることで生理以外のタイミングに少量の出血が起きる場合があるでしょう。
日本産科婦人科学会の解説でも、排卵の異常は異常子宮出血(子宮から起こる通常とは異なる出血)のおもな原因のひとつとしてあげられています[1]。
こうした出血は器質的な病変(体の構造上の異常)がない状態で起こるため、生活リズムの改善やストレスの軽減によって自然に回復するケースも少なくありません。
不規則な出血が長引くときはホルモン検査や画像検査などで原因を特定できる場合があるため、放置せずに婦人科へ受診することをおすすめします。
おりものに血が混じるときに考えられる疾患
おりものに血が混じる原因のなかには、婦人科系の疾患が関係している場合もあります。
早期に発見し適切な治療を受けることで、症状の進行を防げる可能性があります。
おりものへの血の混入を引き起こす代表的な疾患について解説しますので、ご自身の症状と照らし合わせ、気になる点があれば婦人科への相談を検討してみてください。
子宮頸管ポリープ・子宮内膜ポリープ:不正出血の原因として頻度が高い
子宮頸管ポリープは子宮の入り口にあたる頸管の粘膜にできる良性のできもので、やわらかく血管が豊富な組織のため、わずかな刺激でも出血を起こしやすい特徴があります[4]。
性交時やタンポンの挿入時など物理的な接触がきっかけとなり、おりものに鮮やかな赤色の血が混じるケースが代表的な症状です。
一方、子宮内膜ポリープは子宮の内側にできるポリープで、自覚症状が出にくいものの不正出血や生理の長期化を引き起こす場合があります。
子宮内膜ポリープは異常子宮出血を起こす疾患のひとつとしてあげられており、超音波検査や子宮鏡検査(細いカメラを子宮内に入れて観察する検査)で診断が可能です[1]。
いずれのポリープも多くが良性ですが、まれに悪性化する可能性があるため、検査によって良性であることを確認しておくと安心です[4]。
子宮筋腫:経血量の増加や生理期間の延長を引き起こすことがある
子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍で、30歳以上の女性の3割前後にみられるとされる頻度の高い疾患です[5]。
筋腫ができる位置によって症状は異なり、子宮の内側の粘膜に近い場所にできる粘膜下筋腫では、サイズが小さくても症状が強く、以下を引き起こしやすいといわれています[4]。
- 経血量の増加(過多月経)
- 生理期間の延長(過長月経)
- 不正出血
- 重度の貧血
出血量が多い場合は慢性的な貧血につながることがあり、動悸や息切れ、疲れやすさといった症状をともなうケースも珍しくありません。
おりものへの血の混入だけでなく、生理の量や期間に変化を感じたときは子宮筋腫の可能性も視野に入れ、超音波検査を受けることが重要です。
子宮内膜症:不正出血に生理痛の悪化がともなうこともある
子宮内膜症は、本来子宮の内側にだけある子宮内膜の組織が、卵巣や腹膜など子宮以外の場所にできてしまう疾患です[6]。
子宮外に生じた子宮内膜組織も月経周期に合わせて増殖と出血を繰り返し、周囲の組織に慢性的な炎症や癒着(組織どうしがくっついてしまう状態)を引き起こします。
生理痛が年々強くなる、生理以外のタイミングでおりものに血が混じる、性交時や排便時に痛みを感じるといった症状が代表的なサインです[6]。
日本産科婦人科学会のホームページでも子宮内膜症は婦人科の主要疾患として解説されており、不妊の原因となる可能性も示されています[6]。
生理痛の悪化と不正出血が重なっている場合は子宮内膜症の可能性もありますので、早めに婦人科で画像検査やホルモン検査を受けることが推奨されます。
クラミジアなどの性感染症:おりものの変化で気づくことがある
クラミジア感染症は国内で報告数の多い性感染症のひとつで、クラミジア・トラコマチスという病原体が子宮の入り口(子宮頸管)に感染することで炎症を引き起こします。
感染初期は自覚症状がみられないケースが多いものの、進行するとおりものの量が増えたり、血が混じったりする変化があらわれる場合があります。
放置すると炎症が卵管や骨盤内に広がり、骨盤内炎症性疾患(骨盤の中に炎症が起きる病気)を引き起こして将来の不妊につながるリスクがある点に注意が必要です[4]。
性交渉のある方でおりものの色やにおいに変化を感じた場合は、パートナーと一緒に検査を受けることが感染拡大の予防にもなります。
子宮頸がん・子宮体がん:早期発見が治療の鍵になる
子宮頸がんは子宮の入り口にあたる子宮頸部に発生するがんで、ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染がおもな原因とされています[7]。
初期段階では自覚症状がほとんどなく、がんが進行するとおりものの異常や不正出血、性交時の出血、下腹部の痛みなどがあらわれる場合があり、これらの症状がきっかけで発見されるケースもあります[7]。
子宮体がんは子宮体部の内側の子宮内膜から発生するがんで、閉経後の女性に多くみられますが、早い段階から不正出血の症状があらわれやすい点が特徴です[8]。
少量の出血であっても繰り返す場合や閉経後に出血がみられる場合は、細胞の検査(細胞診)や超音波検査を受けることで重大な疾患を早期に見つけられる可能性が高まるでしょう。
おりものに血が混じるときの婦人科受診の目安
おりものに血が混じる原因の多くは排卵期出血や経血の残りなど疾患以外のケースが考えられますが、なかには早期の対応が必要な疾患が隠れている場合もあります。
以下の場合は早めに婦人科を受診してください。
- 生理以外のタイミングで出血が繰り返し起こる
- 出血量が多い、または1週間以上続く
- おりものに悪臭がある・外陰部にかゆみや痛みをともなう
- 閉経後に出血がみられる
生理以外のタイミングで出血が繰り返し起こる場合は、子宮頸管・子宮内膜ポリープや筋腫、子宮内膜症といった器質的な疾患が背景にある可能性を否定できません[1][4][6]。
出血の量が多い、あるいは1週間以上だらだらと続く場合は、過多月経や凝固異常を視野に入れた精密検査が必要になるケースもあるでしょう。
血が混じるだけでなく、おりものに悪臭がある・外陰部にかゆみや痛みをともなう症状が重なっているときは、性感染症や腟炎などの感染性疾患が疑われます。
閉経後にもかかわらず出血がみられた場合は、子宮体がんといった悪性腫瘍の可能性があるため、速やかに産婦人科を受診してください[8]。
自分では出血の部位を正確に判断することが難しい場合も多く、実際には尿道や肛門からの出血の場合もあります。
「少量だから大丈夫」「1日で止まったから問題ない」と自己判断せず、気になる出血があった時点で婦人科に相談することが、重大な疾患の早期発見につながります。
婦人科で受けられるおもな検査
不正出血で婦人科を受診すると、原因を特定するためにいくつかの検査がおこなわれます。
受診時に受けられるおもな検査は以下のとおりです[2]。
- 妊娠検査(妊娠の有無を確認する)
- 内診・出血部位の確認
- 超音波検査(子宮や卵巣の状態を画像で確認する)
- 細胞診検査(子宮頸部などの細胞をとって顕微鏡で調べる)
- 血液検査(ホルモン値や貧血の有無などを確認する)
検査内容は症状や年齢に応じて医師が判断するため、受診時にはおりものの変化や出血の時期・量をメモしておくとスムーズでしょう。
おりものの異常が気になるときはオンライン診療で相談できる
おりものに血が混じる症状が気になっていても、仕事や家事の都合で婦人科に足を運ぶ時間が取れない方もいるのではないでしょうか。
クリニックフォアのオンライン診療では、スマートフォンやパソコンからビデオ通話で医師の診察を受けられます。
初診からオンラインで完結し、処方されたお薬は最短翌日に自宅へ届きます。
不正出血の原因として疾患が疑われる場合は対面での検査が必要になりますが、まずはオンラインで医師に症状を伝え、受診の必要性を判断してもらうのもひとつの方法です。
おりものの変化や出血に不安を感じている方は、クリニックフォアのオンライン診療で気軽に相談してみてください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※お薬の到着は診察時間や配送先により異なります。
おりものに血が混じる場合のよくある質問
おりものに血が混じって不安を感じながらも、受診をためらう方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、おりものに血が混じった方が疑問に思うことをまとめました。
Q1:茶色いおりものが1日だけ出た場合は様子をみて大丈夫ですか?
茶色いおりものが1日で自然におさまり、痛みやにおいの変化をともなわない場合は、排卵期出血や経血の残りによる生理的な現象であると考えられます。
ただし同じような出血が毎月繰り返される場合や頻度が増えてきた場合は、疾患が隠れている可能性を否定できません。
気になるときは、婦人科を受診し医師に相談してみましょう。
Q2:排卵期出血と疾患による不正出血はどのように見分ければよいですか?
排卵期出血は生理周期の中間あたりに起きる少量の出血で、数日以内におさまるのが一般的です。
基礎体温の低温期から高温期への移行と出血のタイミングが一致していれば、排卵期出血の可能性が考えられます。
出血量が多い場合や1週間以上続く場合は疾患の可能性があるため、自己判断せず婦人科で検査を受けてみてください。
Q3:性交後におりものに血が混じっていた場合は疾患のサインですか?
性交後の出血は接触出血と呼ばれ、子宮頸管ポリープや子宮腟部びらん(子宮頸部の柱状上皮が外側に広がった生理的な状態)が原因で起こることがあります[1]。
子宮腟部びらんはそれ自体は疾患ではありませんが、性交後の出血が繰り返される場合は、子宮頸がんをはじめとする疾患が背景にある可能性を否定できないため、婦人科で検査を受けることが大切です。不安な場合は医師に相談してみましょう。
今回は生理的な現象であったとしても、子宮頸がんの早期発見には定期的な検診が有効です。
これを機に定期健診を受けることも検討してみましょう。
Q4. 閉経後におりものに血が混じった場合はすぐに受診すべきですか?
閉経後の出血は、子宮体がんをはじめとする悪性腫瘍の可能性が否定できないため、少量であっても速やかに婦人科を受診してください[8]。
日本産科婦人科学会でも閉経後の不正出血に対する産婦人科受診の重要性が示されています[8]。
「1回だけだったから」と自己判断で放置せず、早めに医師へ相談することが大切です。
まとめ
おりものに血が混じる原因は、生理前後の経血の残りや排卵期出血、着床出血といった疾患以外のケースから、子宮頸管・内膜ポリープ・子宮筋腫・子宮内膜症・性感染症・子宮がんなどの疾患まで幅広く存在します。
茶色いおりものは酸化した古い血液であることが多く、少量で短期間のうちにおさまれば過度に心配する必要はないでしょう。
一方で鮮やかな赤色の出血が繰り返される場合や長期間続く場合、悪臭・かゆみ・痛みをともなう場合、閉経後に出血がみられる場合は速やかに婦人科を受診してください。
不正出血は出血量の多さと疾患の深刻さが必ずしも比例しないため、少量であっても「いつもと違う」と感じた時点で医師に相談することが大切です。
おりものの変化に気づいたら自己判断で済ませず、婦人科での検査を通じてご自身の体の状態を正しく把握しましょう。
婦人科の受診はハードルが高いという方は、まずオンライン診療で対面診療の必要性を相談するのもひとつの方法です。まずはクリニックフォアのオンライン診療で医師に相談してみてはいかがでしょうか。
