舌のできもの=舌の口内炎?
口の中にできものができると、口内炎?と思うことが多いかもしれませんが、口内炎はそれ自体が病名なのではなく、口の粘膜の炎症の総称です。頬の内側にできることが多いですが、舌にできることもあります。
日常的によくある口内炎は「アフタ性口内炎」や「カタル性口内炎」で、前者は疲れや睡眠不足による免疫力低下やビタミン不足でも起こるもの、後者は、噛んでしまったなどの物理的な刺激で起こるものとされています。このような口内炎は数日程度で自然とおさまることも多いので、あまり気にしなくてよいでしょう。
しかし、中には細菌やウイルスによって舌の炎症が起きていたり、なんらかの病気が生じていたりすることもあります。
舌にできものや異常が生じる原因
舌にできものや異常が生じる病気にはさまざまなものがありますが、今回は特に性感染症をメインに紹介していきます。
クラミジア感染症
まず、日本で一番多い性感染症と言われるのがクラミジア感染症です。クラミジア・トラコマティスという細菌が原因となる病気で、性器で感染・発症する病気だと思うかもしれませんが、口から感染する人も増えているのです。
口から感染すると、のどに症状が出る咽頭クラミジアになるケースが多いですが、舌に症状が出るケースも確認されています。舌に症状が出る場合、舌の腫れや赤み、白い苔状のものの付着、小さな出血斑などの症状が挙げられます。
クリニックフォアでは、抗菌薬の内服による治療を行います。
ヘルペス
ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスというウイルスが原因となる病気です。口のヘルペスというと口唇ヘルペスをイメージする方が多いかもしれませんが、舌や性器に症状が出るケースもあり、舌に白い小さなぶつぶつや、口内炎のようなものができることもあります。
また、ヘルペスは一度感染すると、生涯ウイルスが体内に存在します。抗ウイルス薬の内服で症状を改善することはできますが、ウイルスは除去できないため、免疫力が下がったタイミングなどで再発することがあります。
梅毒
近年、感染増加が話題となっている、梅毒トレポネーマという細菌が原因となる性感染症です。
梅毒の特徴は、人によって症状のバリエーションがかなり多く、症状だけでは梅毒に気づくのが難しいことです。典型的な症状についてお示しします。
まず、感染から3~6週間ほどすると、感染した部位(陰部または口など)にしこりのようなできものができます。基本的に痛みはありませんが、痛みを感じる人もいるようです。
しばらくするとしこりは消えますが、3ヶ月ほどすると今度はバラ疹と呼ばれる赤い斑点などが、手や足といった全身に現れます。このとき、陰部では扁平コンジローマという平らなイボが現れることもあります。
クリニックフォアでは抗菌薬の筋肉注射、もしくは内服薬による治療を行っています。
口腔カンジダ症
口腔カンジダ症は、鵞口瘡(がこうそう)とも呼ばれる病気です。カンジダという真菌(カビ)が原因となって発症します。
さまざまな場所で発症することがありますが、口の中で発症するとクリームのような白い斑点が舌や頬の内側につくのが特徴。舌や上あごの痛み、味覚がおかしくなるといった症状が現れることもあります。
抗真菌薬の内服や外用薬で治療を行います。
なお、カンジダは男女ともに、口の中や性器などに常在菌として存在しており、通常であれば症状が出ることはありません。しかし、オーラルセックスによって感染して口の中で発症したり、免疫力が低下すると菌が増殖して発症したりすることがあります。
淋病
淋菌という細菌が原因となる性感染症です。性器に症状が出る病気ですが、性器に淋菌が存在する人の中には、口の中にも淋菌が存在する人もいるとされています。
口の中で淋病が発生すると、舌や歯肉、頬の内側、のどの粘膜の赤みや、黄白色の膜ができる、痛みが出るなどの症状が出ることがあります。
治療は、淋菌に対して効果が期待できるお薬を注射することが一般的です。
HIV感染症
HIV感染症とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した状態を指します。性行為だけでなく、血液を介して感染したり、母子感染したりすることもあります。
HIVに感染すると、初期症状として口腔カンジダ症(偽膜性カンジダ症)が現れることがあります。症状は、舌や上あご、頬の内側に白い苔のようなものが付着するのが特徴。
また、HIV感染によって免疫力が下がるため、さまざまな病気にかかりやすくなります。たとえば、舌のふちに白斑が垂直に現れる毛様白板症や、カボシ肉腫という悪性腫瘍が舌や歯肉、上あごにできることもあります。
なお、HIV感染はやがてエイズ発症にいたることがあります。基準となる23の合併症があり、そのうちの1つでも発症するとエイズ発症とみなされ、カボシ肉腫もそのひとつです。
舌がん
舌がんになると、舌の両脇や裏側などに、硬いしこりができることがあります。ただれ、赤や白の斑点、舌のしびれや違和感などの症状が現れることもあります。
また、手術や放射線療法で治療を行うことが一般的です。命にかかわることがあるため、気になる症状があれば耳鼻咽喉科や歯科の受診を検討しましょう。
その他
性感染症以外で、舌にできものができる病気の一例は以下の通りです。
病名 | 概要 | 症状 |
粘液のう胞 | 唾液腺から唾液が漏れるなどしてたまってしまう | ・舌の裏側などにできることがある・痛みがないことが多い・自然になくなる |
唾石症 | 唾液腺の中に結石ができる病気 | ・あごの舌が腫れて痛む・舌の下側に腫れや赤みが生じることもある |
乳頭腫 | イボのような形の良性腫瘍 | ・舌や上あごにできることがある・表面は白いことが多い・痛みなどはない |
白板症 | 舌などに白い病変ができる | ・ただれることもある・悪性化することもある |
紅板症 | 口内の粘膜が赤くなる | ・舌、歯肉、口蓋などに症状が現れる・ただれたり、患部が盛り上がったりすることもある・悪性率することもある |
溝状舌 | 舌の表面に小さなしわや溝がたくさんある |
舌のできものや異常に気がついたら早めに受診を!
舌にできものがある場合は性感染症の恐れもあります。感染が広がらないためにも早めに受診しましょう。口腔外科、歯科などが選択肢となりますが、性感染症の可能性が高いときは
性感染症を扱う病院に行きましょう。たとえば、パートナーにも同じ症状が出ている、パートナーが性感染症になっているといったケースが挙げられます。
また、中にはがんに発展する病気もあるので注意が必要です。早期診断・早期治療を受けましょう。
性感染症の恐れがある場合はクリニックフォアへ
舌にできものがあるときは、性感染症の恐れもあります。感染者と性行為をしたなど、思い当たることがあれば性感染症を疑い受診しましょう。
クリニックフォアでは対面だけでなく、オンラインでも性感染症の検査と治療を行っています。キットを使って自宅で検査を実施していただき、検査結果をもとにお薬を処方可能です。基本的に全てオンライン上でやり取りが完結するので、忙しい方や、受診のハードルが高いと感じる方にもご利用いただきやすくなっています。
一部、対面でなければできない検査や治療もありますが、まずはご相談ください。