ピルを服用中でも献血できる場合がある
献血は自身が健康な状態であることを前提としておこなうボランティア活動です。
そのため、お薬を服用中の方は「献血できないのでは」と思われることがありますが、お薬の種類によっては服用中でも献血できる場合があります[1]。
日本赤十字社は献血に協力する側と献血血液を受け取る患者の双方の安心を守るために、お薬の種類ごとに献血の可否基準を定めています。
ピルの種類別の献血可否は以下のとおりです[1][2]。
| ピルの種類 | 主な服用目的 | 全血献血 | 血小板成分献血 |
| 低用量ピル | 避妊・月経困難症・月経周期変更 | 当日服用でも可 | 最終服用日含む3日間は不可 |
| 中用量ピル | 月経周期変更・機能性出血の治療 | 当日服用でも可 | 最終服用日含む3日間は不可 |
| アフターピル(緊急避妊薬) | 緊急避妊 | 最終服用日を含む3日間は不可 | 最終服用日を含む3日間は不可 |
※全血献血:成人400mL/200mLを採取/血小板成分献血:血小板のみを採取し、その他の血液成分を体に戻す方法
このように、ピルの種類や服用目的によって献血の可否は異なるため、まずは自分が服用しているピルの種類と目的を正しく把握しておくことが重要です。
献血に原則「健康な状態」が求められる理由
献血に健康な状態が求められるのは、献血する人自身の安心と、血液を受け取る患者の安心を両方守るためです。
献血は、病気の治療・手術・出産などで輸血を必要とする患者に使用される血液を提供する重要な社会的活動です。献血された血液は1本1本が丁寧に検査・管理されて患者のもとに届くため、提供する側の健康だけでなく、受け取る側の安心も確保しなければなりません。
また、献血に協力する側の健康を守る観点からも、貧血・感染症・体調不良の状態での採血は健康被害のリスクがあります。
そのため、当日の体調や血液検査、血圧などを確認したうえで、健診医師が最終的な可否を判断します[1]。
お薬を服用中でも献血できるケースがある理由
お薬を服用中でも献血できる場合があるのは、種類や目的、成分によって献血を受ける患者への影響が異なるためです[1]。血液中に混ざったお薬の成分が輸血によって患者の体内に入った場合、そのお薬の作用が患者に及ぶ可能性があります。そのため日本赤十字社は、「お薬の成分が患者に悪影響を与えないか」を基準として献血可否を判断しているのです[1]。
女性ホルモンを含む低用量ピルや中用量ピルについては、避妊・月経困難症・更年期障害・月経周期変更などを目的に服用している場合に献血できると定められています[1]。「服用中のお薬があるから諦めていた」という方も、ピルの種類と目的によっては献血に協力できる可能性があるため、一度確認してみることをお勧めします。
服用中のピルの種類を事前に把握しておくことが大切な理由
低用量ピル・中用量ピル・アフターピルはそれぞれホルモン量・目的が異なり、日本赤十字社の基準では種類によって献血の可否が明確に分かれています[1]。
「自分が飲んでいるのは低用量ピルか中用量ピルか」「目的は避妊か月経困難症の治療か」という点が問診時の重要な確認事項となるため、事前把握が大切です。
服用しているピルの種類がわからない場合は、処方された医師または薬剤師に事前に確認しておくと献血をスムーズに受けられるでしょう。
低用量ピル・中用量ピルは献血できる
日本赤十字社の基準では、低用量ピルおよび中用量ピルを服用中の方は、一定の目的での服用であれば献血に協力できると定められています[1]。
種類と目的の条件さえそろえば問題なく献血に協力できるため、まず自分が服用しているピルの種類と目的を確認しておくことが大切です。
低用量ピルは献血当日の服用でも問題なし
低用量ピルを避妊・更年期障害・月経困難症・月経周期変更を目的として服用している場合は、献血当日に服用していても問題なく献血に協力できるとされています[1]。
ただし、当日の体調に問題がないことが前提であり、貧血気味・体調不良・血圧異常などがある場合は、健診医師の判断によって献血をお断りされる場合があります。
中用量ピルも目的によっては献血できる
月経周期変更・機能性出血の治療を目的として中用量ピルを服用している場合は献血できるとされており、低用量ピルと同様に当日服用後でも問題ないとされています[1]。
「生理日をずらすために中用量ピルを一時的に飲んでいる」という方も、問診時に服用中のお薬の種類と目的をしっかり伝え、最終判断を健診医師に委ねましょう。
なお、ミニピル(スリンダ錠などのプロゲスチン単剤製剤)を服用中の方も、含有ホルモン量が少量であれば献血対応可能とされていますが、最終的な可否は問診時に服用状況を申告し、健診医師の判断に従ってください。
アフターピル(緊急避妊薬)は服用後一定期間は献血できない
低用量ピル・中用量ピルと異なり、アフターピル(緊急避妊薬)を服用した後は一定期間献血できないとされています[1]。日本赤十字社のよくあるご質問でも献血可否の部分で「緊急ピルの場合は除く」と明記されています[2]。
アフターピルが献血不可とされる理由
アフターピルが献血不可とされる主な理由は、アフターピルに含まれるホルモン量が低用量ピルと比べて多いことにあります。
アフターピルは性交後72時間以内に服用する緊急避妊薬であり、妊娠を防ぐために通常のピルよりも高用量のホルモンが含まれています[3]。
この高用量のホルモン成分が血中に残った状態で献血すると、血液を受け取った患者に想定外の影響を与えるリスクを否定できないと考えられています。
アフターピル服用後はいつから献血できるのか
アフターピルを服用した後は、最終服用日を含む3日間は献血できないとされています。具体的には、服用した日を1日目と数え、4日目以降から献血が可能となります。ただし、献血会場や血液センターによっては個別の判断がなされる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
日本で承認されているアフターピルは主にレボノルゲストレル配合の製剤です。
服用したアフターピルの種類によっても献血可否の判断が異なる可能性があるため、献血会場に直接問い合わせることが確実な確認方法です。
「しばらく経ったから大丈夫だろう」と自己判断で献血に向かうことは避け、問診時にアフターピルを服用した事実と服用日時を申告したうえで、健診医師の判断に委ねましょう。
アフターピル服用後の問診での正しい申告方法
アフターピルを服用したことがある方が「次はいつ献血できるのか」を確認したい場合は、以下の内容を手元に用意し、日本赤十字社に問い合わせましょう。
- 服用したお薬の名前(ノルレボ錠・レボノルゲストレル錠など)
- 最終服用日時
服用から一定期間が経過した後に献血会場を訪れる際も、問診では服用した事実と日時を申告したうえで健診医師の判断に委ねてください。
「言いにくい」と感じる方もいるかもしれませんが、問診内容は医療情報として守秘義務が課されており、外部に漏れることはありません。
献血時にピル服用を申告すべき理由と申告の仕方
ピルを服用中でも献血できる場合がありますが、問診時に服用中のお薬を申告することは必須です。
「ピルは問題ないと聞いたから言わなくても大丈夫」と自己判断するのではなく、すべてのお薬について正しく伝えましょう。
ピル服用を申告すべき理由
献血時に服用中のお薬を申告することが求められる理由は、お薬の成分が血液中に残っていると、輸血を受けた患者の体に影響を与える可能性があるためです。
低用量ピルのように「服用中でも献血可能」とされているお薬であっても、血液を受け取る側の安全性を確保するため、すべてのお薬について申告することが求められています。
申告された情報をもとに健診医師が可否を適切に判断できる状況を作ることが、献血の信頼性を守るうえで重要です。
万が一申告せずに献血した場合でも血液は検査・管理されていますが、そのような事態を防ぐためにも事前申告を徹底することが大切です。
問診でどこまで伝えればいいのか
献血の問診時に服用中のお薬について伝える際は、以下の3点を整理しておくとスムーズです。
- 服用しているお薬の名前(ピルの場合はブランド名・製品名)
- 服用の目的(避妊・月経困難症の治療・月経周期変更など)
- 最後に服用した日時
お薬の名前がわからない場合は、お薬手帳や処方箋・パッケージを持参することで健診医師が確認しやすくなります。
「口頭での説明が不安」という場合は、スマートフォンのメモに事前に情報をまとめておき、問診の際に画面を見せる形で申告する方法も有効です。
事前に献血できるか確認する方法
「当日行って断られるのが心配」という場合は、日本赤十字社が提供するオンラインの確認ツールを事前に活用できます。
日本赤十字社のウェブサイトでは献血可否に関するチャットボットが設けられており、服用中のお薬の名前を入力することで献血の可否についての案内を受けられます[1]。
また、献血会場への事前電話での問い合わせも可能であり、より確実な情報を得られるでしょう。
ピルを服用中の献血で知っておきたい注意点
低用量ピルを服用中で献血に協力できる場合でも、いくつかの注意点を事前に把握しておくことで当日のトラブルを防ぎやすくなります。
体調が悪いと献血できないことがある
ピルを服用中であっても、献血当日に体調が優れない、貧血気味、発熱などの症状がある場合は、献血をお断りされることがあります[1]。
献血の可否は当日の体調に加えて、血色素量(ヘモグロビン濃度)や血圧などの健診結果によって判断されます。そのため、「低用量ピルを飲んでいるから問題ない」と考えていても、体調面で基準を満たさない場合は献血できないことがあることを覚えておきましょう[1]。
健診の段階で血色素量が基準値を下回っている場合も対象外となるため、体調の良い日を選ぶことが重要です。
当日にスムーズに献血できるよう、前日は十分な睡眠と水分補給を意識しておきましょう。
消退出血の時期でも献血できる?
ピルを服用している場合、休薬または偽薬期間に消退出血が起こることがありますが、体調が安定していれば献血への影響は少ないとされています。
消退出血の時期であっても、問診で現在の状態を正確に伝え、血色素量が基準を満たしていれば、健診医師の判断のもとで献血に協力できる場合があります。
不安がある場合は、事前に献血会場へ確認しておくと安心です。
最終的に献血できるかは医師が判断する
「低用量ピルは献血可能」とされている場合でも、最終的な可否は当日の健診医師が判断します[1]。
問診や血圧測定、血液検査の結果を総合的に確認したうえで決定されるため、基準上問題がない場合でも当日の体調や検査結果によっては献血できないことがあります。
お断りされた場合は無理をせず、体調の良い日にあらためて検討しましょう。
ピルの処方・献血の相談はクリニックフォアのオンライン診療へ
「自分が服用しているピルで献血できるかどうか確認したい」という場合でも、仕事や育児の都合で婦人科への来院が難しい方も多いでしょう。
クリニックフォアでは、スマートフォンやパソコンから受診できるオンライン診療で低用量ピル・中用量ピルの処方をおこなっています。「ピルを服用中だが献血できるか」「ピルの種類を確認したい」などのご相談にも医師が対応します。
「自分が飲んでいるのが低用量ピルか中用量ピルかわからない」「アフターピルを服用したが次の献血はいつできるか相談したい」という場合も、オンラインでお気軽にご相談ください。なお、献血の最終的な可否判断は献血会場の健診医師がおこなうため、献血を予定している場合はそちらでも事前にご確認ください。
※医師の判断により、お薬を処方できない場合がございます。
※対面診療をご案内する場合もございます。
※診療費は診察内容によって異なります。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。
ピルと献血に関するよくある質問
ピルを服用中の方から多く寄せられる、献血に関する疑問をまとめました。
Q1:低用量ピルを飲んでいても献血できますか?
避妊・更年期障害・月経困難症・月経周期変更などを目的として低用量ピルを服用している場合は、体調に問題がなければ当日服用していても献血は可能とされています[1]。
問診時には、服用しているピルの名前と目的を伝え、健診医師の判断に従ってください。
Q2:アフターピル(緊急避妊薬)を飲んだあとは献血できますか?
アフターピル(緊急避妊薬)を服用したあとは、最終服用日を含む3日間は献血できないとされています。日本赤十字社のよくあるご質問でも「緊急ピルの場合は除く」と明記されています[2]。
これは、低用量ピルよりも高用量のホルモンを含むため、輸血を受ける患者への影響が考慮されているためです。
服用後どのくらいの期間をあければ献血できるかは、献血会場または日本赤十字社に事前に確認しておくと安心です。
Q3:ピルを服用中は問診で申告しなければなりませんか?
服用中のお薬は種類にかかわらず、問診時に申告する必要があります。
低用量ピルのように「服用中でも献血可能」とされている場合でも、血液を受け取る側の安全性を確保するため申告が求められています。
お薬手帳やパッケージを持参しておくと、お薬の名前を正確に伝えやすく、健診医師の判断もスムーズになります。
まとめ
低用量ピル・中用量ピルを避妊や月経困難症などの目的で服用している場合は、体調に問題がなければ献血当日でも協力できるケースが多いとされています。
一方で、アフターピル(緊急避妊薬)は一定期間献血できないため、服用後は注意が必要です。
服用中のお薬はピルを含めてすべて問診時に申告し、最終的な可否は健診医師の判断に従うことが基本です。
「ピルを飲んでいると献血できないのでは」と不安に感じる場合でも、服用しているお薬の種類や目的を整理することで、献血に協力できる可能性があります。
不安がある場合は、日本赤十字社の基準や献血会場への問い合わせを活用し、事前に確認しておきましょう。


