【ニキビの治し方】予防と改善方法は? 治療法やセルフケア方法を詳しく解説!

ニキビの主な原因は、毛穴の詰まり、皮脂の増加、アクネ菌の3つだと考えられています。その背景には、乾燥によるバリア機能の低下、よくない生活習慣によるホルモンバランスやターンオーバーの乱れなど、さまざまな原因があります。そのため、ニキビを治すにはさまざまな角度からのケアが必要。この記事では、ニキビの治し方について、皮膚科での治療、セルフケア、生活習慣、NG行為の4つに分けて詳しく解説します。ニキビの場所、種類、肌質別のケア方法にも触れていきます。

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【皮膚科で治療】ニキビの治し方

ニキビは早いうちからの治療が必要です。実は以前は、軽症のうちは化粧品やスキンケアだけで対応し、症状がひどくなったら治療を受ける、という考え方が一般的でした。しかし近年、保険診療で用いることのできる治療薬の選択肢が増えていることから、ニキビができたら早めに皮膚科を受診したほうがよいとされています。

ニキビを放置すると間違ったスキンケアでかぶれたり、ニキビを悪化させたりすることもあるため、まず皮膚科の受診を検討してみてください。ここからは、皮膚科での具体的な治療法を解説します。

飲み薬・塗り薬による治療

アダパレンという塗り薬(毛穴の詰まりに効果が期待でき、にきびをできにくくする薬)と抗生物質の飲み薬と塗り薬(アクネ菌や炎症に効果が期待できる薬)を組み合わせた治療法が推奨されています。

ただし、炎症がないニキビ(白ニキビや黒ニキビ)の場合や、炎症が治まった後の再発予防としては、アダパレンのみを使うことが一般的です。

その他の治療法

面皰(めんぽう)圧出、漢方薬やビタミン剤の服用、ケミカルピーリングなどによる治療が行われることもあります。

面皰圧出とは、毛穴に溜まっている皮脂や角質を専用の器具で押し出す処置のことです。ケミカルピーリングは薬品を肌に塗ることで、角質や毛穴の詰まりを取り除く治療法です。

【セルフケア】ニキビの治し方

ニキビの予防、改善、悪化防止のために、治療と並行してスキンケアなどのセルフケアを行うこと大切です。詳しく見ていきましょう。

丁寧に洗顔する

余分な皮脂や汚れを落とすためには洗顔が必要です。ニキビ治療ガイドラインでは、1日2回、洗顔料を使って洗顔することが推奨されています。強くこすったり何度も洗顔したりすると、炎症してニキビが悪化することがあるため注意が必要です。

洗顔料は弱酸性で低刺激のものや、ニキビ用のものを使って手で優しく洗い、30〜37℃のぬるま湯で洗い流します。すすぎ残しも肌の刺激となるため、特に生え際や顎は丁寧にすすぎましょう。最後に吸水力の高い清潔なタオルを使い、こすらずに押さえるように水分をオフしましょう。

また、メイクをしている場合は、まずクレンジングしてから洗顔する必要があります。ある研究によると、オイルクレンジングでニキビの個数が減ったという報告もあるため、オイルクレンジングを選ぶのもよいでしょう。

十分に保湿する

乾燥すると、皮膚がそれを補うためにたくさんの皮脂を出すようになります。すると、過剰に分泌された皮脂で毛穴が詰まり、ニキビにつながることがあります。さらに、乾燥した肌はバリア機能が低下したり、ターンオーバーの乱れから角質が硬く厚くなって毛穴を狭めたりしてしまい、ますます皮脂が詰まりやすくなります。

そのため、ニキビ改善のためには十分な保湿が重要。ノンコメドジェニック、あるいはハイポコメドジェニックと書かれたものを選ぶとよいでしょう。どちらもニキビができにくいように設計されたスキンケア用品だということを意味しています。保湿の際はこすらず、手で押すようになじませましょう。

室内の乾燥にも注意

室内の乾燥も皮膚の乾燥につながるため、加湿器などを使って室内の湿度を上げましょう。また、エアコンの風も乾燥の大きな原因となるため、風が直接当たらないように注意してください。

UVケアをする

ニキビの治療中は、使っている薬によっては肌が乾燥しやすくなることがあります。その場合、強い日焼けによって治療による副作用が強く出ることがあります。さらに、ニキビに紫外線が当たるとシミになりやすいとされています。また、皮脂は紫外線を浴びるとニキビの初期段階である白ニキビになりやすいほか、ニキビの原因となるアクネ菌に紫外線が当たると、ポルフィリンという物質が分泌され、ニキビの炎症が悪化することもあります。

このように、紫外線はニキビの発生、悪化につながるため、日焼け止めや帽子、日傘などを使ってUVケアをしましょう。日焼け止めは、紫外線吸収剤フリー、ノンケミカルなどの低刺激のものを選ぶとよいでしょう。

体を温める

冷えが気になる方は、血行不良がニキビの原因となっている可能性があります。血行不良は代謝の低下、乾燥、ホルモンバランスの乱れなどにつながり、肌トラブルの原因にもなるのです。

そのため、強すぎる冷房や薄着を控え、上着などで温度調節を心がけましょう。また、生姜や香辛料など、体を温める食べ物も積極的に取り入れるとよいでしょう。

【生活習慣】ニキビの治し方

ストレス、不規則な生活、食生活の乱れなどは、ホルモンバランスの乱れにつながり、ニキビの原因となるため、生活習慣を見直すことも大事です。詳しく見ていきましょう。

バランスのよい食事

栄養バランスのよい食事をとりましょう。カロリーを抑え過ぎると栄養が足りなくなり、肌トラブルにつながることもあります。特に成長期の場合は体の成長のためにもむやみな食事制限をせず、バランスよく食べることが大切です。

脂っこい食事や甘いスナック菓子、インスタント食品などの食べ過ぎは避けましょう。脂肪分や糖分を過剰にとると、皮脂の分泌が増加することがあります。さらに、脂肪分や糖分の代謝のためにビタミンB群が消費されてしまい、ビタミンB群不足によって皮脂分泌のコントロールの乱れにもつながるとされています。

また、規則正しく食事することもポイントです。間食や夜食はできるだけ避け、暴飲暴食をしないようにしましょう。

よく「チョコレートやナッツはニキビの原因となる」と言われますが、特定の食べ物との因果関係は明らかになっていません。もしも特定の食べ物を食べるとニキビができるという自覚がある場合は避けるなど工夫をしましょう。

ニキビ予防によい栄養素

ニキビ予防によい栄養素とその理由、代表的な食材は以下の通りです。

ニキビ予防によい栄養素代表的な食材
タンパク質(肌の材料になる)肉、魚、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品 など
ビタミンA(ターンオーバーを整える)緑黄色野菜(ニンジン、かぼちゃなど)、チーズ、卵 など
ビタミンB1、ビタミンC(バリア機能の低下を防ぐ)胚芽米、玄米、豚肉、うなぎ、豆類、海苔、赤ピーマン、ブロッコリー、芽キャベツ、レモン など
ビタミンB2、B6(肌の新陳代謝促進、皮脂量のコントロール)卵、納豆、レバー、海苔、マグロ、カツオ、サケ、肉、バナナ、にんにく など
ビタミンE(血行促進)ドライトマト、ナッツ類、かぼちゃ など
食物繊維(便秘改善)穀物、イモ類、豆類、野菜、果物、海藻類、きのこ類 など
ミネラル(ホルモンバランス調整、ターンオーバー促進)レバー、牛肉、パセリ、キャベツ、チーズ、牛乳、昆布 など
コラーゲン(肌の弾力を保ち、肌の材料となる)鶏皮、鶏軟骨、豚肉、スッポン、フカヒレ、エビ など

十分な睡眠をとる

皮脂の分泌の調整には、ホルモンも関わっています。睡眠不足や昼夜逆転の生活、就寝時間が日によって大きく異なるといった不規則な生活は、ホルモンバランスの崩れからニキビの悪化につながることがあります。

また、皮膚の回復を助ける成長ホルモンも睡眠中に分泌されます。特に、眠ってから最初の3時間に訪れるノンレム睡眠(深い眠り)のときに成長ホルモンが多く分泌されるため、夜更かしや浅い眠りが続くと肌の回復の妨げとなってしまいます。

以上のことから、深い眠りを十分な時間とることが大事です。具体的には、就寝の1~2時間前に入浴して体温を上げ、寝る直前の飲食やスマホなどは控えましょう。できれば22時〜2時の間は睡眠をとるとよいとされていますが、難しい場合は毎日決まった時間に睡眠をとるようにしましょう。

ストレスをうまく発散する

ストレスが溜まると、体が対抗しようとして炎症を鎮める成分をたくさん消費してしまいます。すると、肌の炎症を鎮める成分が不足し、ニキビの原因となるのです。さらに、ストレスを受けると体内に活性酸素が発生し、細胞を傷つけて免疫力が低下したり、コラーゲンなどの美肌成分が攻撃されて肌の再生がスムーズにいかなかったりすることで、ニキビやニキビ跡の原因にもなることがあります。

そのため、ストレスをためない生活、溜まったストレスをうまく発散する行動を心がけましょう。趣味の時間をつくる、適度に運動する、入浴やアロマでリラックスする、睡眠をとるなど、自分に合ったストレス発散方法を試してみてください。

禁煙する

喫煙は血行不良になり、代謝の悪化につながるとされています。現在喫煙している方は、できれば禁煙に努めましょう。

【やってはいけないこと】ニキビの治し方

ニキビに負担をかけたり刺激になるようなことをしたりすると、ニキビが悪化する可能性があります。以下のような点に注意しましょう。

ニキビを触ったりつぶしたりしない

ニキビを触ったりつぶしたりしてしまうと、ニキビがよくならないだけでなく、新しいニキビの原因にもなります。また、ニキビをつぶすと一旦はニキビが目立たなくなったように感じることもありますが、炎症が治まるとは限りません。かえって炎症が悪化してしまうこともあるため、どうしてもつぶしたい場合は医療機関で面皰圧出の処置をしてもらえるか確認するとよいでしょう。

そのほか、ほおづえが癖になっている場合も注意が必要です。どうしてもニキビを触ってしまう場合は、触った回数を日誌につけて可視化することで抑止力になるでしょう。また、鏡を見る回数を減らすことで、ニキビを触る回数が減る場合もあります。

刺激になるような髪型・服装・行為を避ける

髪の毛の毛先やマフラーなども刺激になってしまいます。髪やマフラー、マスクなどでニキビを隠したくなってしまうかもしれませんが、早く治すためには逆効果。家の中だけでもいいので、髪を束ねたり、カチューシャをつけたりして刺激にならないように工夫しましょう。

不潔にしない

不潔はニキビの大敵。雑菌がついてニキビが悪化する可能性があります。そのため、手やカミソリ、タオル、シーツ、枕カバーなど、肌に触れるものはいつも清潔な状態を保つように心がけましょう。

ニキビを隠そうと過剰なメイクをしない

クリームタイプのファンデーションは油分が多く、毛穴をふさいでしまったり、落とすときにも肌の負担になったりします。にきびを隠すためにコンシーラーやファンデーションを塗り重ねるのもやめましょう。

ファンデーションはパウダーファンデなどを使って薄めを心がけましょう。アイメイクやリップメイクなどのポイントメイクを強調すると、にきびが相対的に目立たなくなり、肌への負担も減るというメリットがあります。また、メイクをした場合は寝るまでに必ずクレンジングと洗顔をしてください。

メイク用品は清潔に

メイクに使うブラシやパフにも雑菌がつきやすいため、洗ったりこまめに交換したりして清潔を保ちましょう。

【場所別】ニキビの予防・ケア方法は?

ニキビができる場所によって、原因やケア方法が以下のようにやや異なります。

ニキビができる場所原因とケア方法
Tゾーン(おでこや鼻)皮脂が原因となるため、ていねいな洗顔が大事
Uゾーン(口のまわりやあご)ターンオーバーが遅れがちな場所なので、十分な睡眠をとって皮膚の再生を促し、適度な保湿で乾燥を防ぐ
髪の生え際やおでこ髪の刺激、洗髪料やメイクの洗い残しに注意する
頭皮や胸元皮脂が多く分泌される場所なので、適度に洗うことが大事

【状態別】ニキビの予防・ケア方法は?

ひと口にニキビといってもさまざまな状態のニキビがあり、適切なケア方法も異なります。

ニキビの状態・種類切なケア方法
白ニキビ、黒ニキビ
(毛穴に皮脂などが詰まった状態で、酸化して黒く見えることもある)
毛穴の汚れを落とすように優しく洗顔し、十分な保湿を心がける
赤ニキビ
(アクネ菌が繁殖し、炎症を起こしている)
肌を清潔に保ち、皮膚科で塗り薬による治療を受けたほうがよい
黄ニキビ
(炎症が進み膿を持っている)
セルフケアで治すことが難しいため、早めに皮膚科を受診する

【肌質別】ニキビの予防・ケア方法は?

肌質によってもニキビの原因やケア方法は異なります。

脂性肌:余分な皮脂・油分を除去する

脂性肌とは、皮脂分泌が過剰になることで表面にテカりがあったり、毛穴やコメド(いわゆる白ニキビ)が目立ったりしている肌のことです。1日2回の洗顔で余分な皮脂を取り除き、油分をおさえた洗顔料やスキンケアアイテムを使うとよいでしょう。

乾燥肌:十分に保湿する

乾燥肌とは、皮脂分泌が少なく、表面が粗くガサついていたり、薄く剥がれたりしている肌のことです。乾燥によって皮脂の分泌が増えてしまうことがあるため、十分な保湿を心がけましょう。

混合肌:場所によってケアを変える

混合肌とは、脂性肌と乾燥肌の2つの要素を併せ持っている肌のことです。皮脂が出やすい部分は特にしっかり洗顔し、乾燥部分は特にしっかり保湿するといったように、場所によってケアの仕方を変えましょう。

敏感肌:敏感肌用のスキンケア用品を選ぶ

敏感肌とは、化粧品や日光の刺激などで赤みや痒みが出やすい肌のことです。ニキビ以外にもさまざまな肌トラブルが生じやすいため、洗顔料、スキンケアアイテム、メイクアイテムは敏感肌用のものを選ぶとよいでしょう。

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参考文献

  1. 公益社団法人 日本皮膚科学会, 2017,「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017」,日本皮膚科学会雑誌 127 (6):1261-1302
  2. 公益社団法人 日本皮膚科学会,「にきび」,皮膚科Q&A