ニキビ治療薬「クリンダマイシンゲル」とは?効果・使い方・副作用を徹底解説!【抗生物質】

ニキビ治療で使う代表的な薬には、抗生物質の飲み薬や塗り薬、毛穴の詰まりを改善する塗り薬などがあります。この記事では、抗生物質の塗り薬として代表的な「クリンダマイシンゲル」について解説。その効果や使い方、副作用、注意点などを詳しく見ていきましょう。

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ニキビ治療薬「クリンダマイシンゲル」とは

クリンダマイシンゲルとは、クリンダマイシンリン酸エステルを主成分とした無色透明のゲル状のニキビ治療薬であり、殺菌作用がある抗生物質です。また、ダラシンTゲルという薬の後発医薬品(ジェネリック)です。化膿や炎症を伴うニキビ(いわゆる赤ニキビや黄ニキビ)に対して使うことが一般的です。

さまざまな種類がある

一口にクリンダマイシンゲルといってもさまざまなメーカーから製造販売されており、クリンダマイシンゲル1%「クラシエ」、「DK」、「NIG」などがあります。

また、名前は異なりますが、同じ有効成分配合で、作用が同等の薬もあります。ダラシンTゲル1%、ダラシンTローション1%、クリンダマイシンリン酸エステルゲル1%「イワキ」、「サワイ」、「SUN」などです。

「ダラシンTゲル」との違い

ダラシンTゲルも、クリンダマイシンゲルと有効成分は同じであり、同じ効果が期待できます。ただ、ダラシンTにはローションもあるのが特徴的です。

では違いは何かというと、ジェネリックかそうでないかという点です。ダラシンTゲルは先発医薬品、クリンダマイシンゲルはジェネリック医薬品なので、ダラシンTゲルよりもクリンダマイシンゲルのほうが価格が安いという特徴があります。

ジェネリック医薬品とは、ダラシンTゲルといった先発品(新薬)の特許が切れたあとに製造される薬のことです。新薬は開発までに多額の費用がかかりますが、ジェネリックは先発医薬品を参考に薬がつくれるため、開発費用が少なくて済み、薬の価格も抑えられるというメリットがあります。

クリンダマイシンゲルに期待できる効果

クリンダマイシンゲルには、細菌のタンパク質の合成を阻害し、殺菌する作用が認められています。そのため、アクネ菌などのニキビの原因となる細菌を殺し、炎症をおさえる効果が期待できます(効果・効能の現れ方は個人差があります)。

クリンダマイシンゲルの使い方

クリンダマイシンゲルは、1日2回、洗顔後に患部に適量を塗ります。この際、ニキビがない場所に広範囲で塗ることはせず、塗りすぎたらティッシュなどで軽くふき取るようにしましょう。塗り忘れた場合は気がついたときに1回分塗ればよいですが、2回分を一度に塗るのはやめてください。

薬には、効果が期待できる一方で副作用のリスクもあるため、もし使用中に異常を感じたら、すぐに医師に相談しましょう。また、誤って眼に入った場合は、水道水で十分洗い流す必要があります。

そのほか、クリンダマイシンゲルの使用によって、耐性菌が発現することがあります。耐性菌とは、薬に対する抵抗力を持った細菌のことであり、これが現れると薬の効果が十分に得られなくなってしまいます。耐性菌の発現を防ぐためにも、4週間程度の治療で効果が見られない場合は使用を中止することがあります。また、炎症が治まったら使用を中止することが一般的ですが、自分の判断で塗るのを止めることはせず、必ず医師に相談してください。

他のニキビ治療薬を処方された場合は重ね塗りする

ニキビ治療の際は、クリンダマイシンゲルと一緒に保湿剤などの他の薬が処方されることもあります。この場合は他の薬と重ね塗りしてもよいことが多いです。

重ね塗りするときは、広範囲に塗る保湿剤などを先に塗り、クリンダマイシンゲルを最後に塗ることが一般的ですが、塗り方は医師の指示に従いましょう。

クリンダマイシンゲルの副作用

どんな薬にも、効果が期待できる一方で副作用のリスクがあります。クリンダマイシンゲルの主な副作用としては、かゆみ、赤み、蕁麻疹、ヒリヒリ感、かぶれ、胃腸の調子が悪くなるなどの症状が報告されています。

また、重大な副作用として、血便などを伴う重篤な大腸炎が生じることがあります。腹痛や下痢、発熱は初期症状の可能性があるので、すぐに医師に相談してください。

そのほか、皮膚のつっぱり感、パリパリ感、脂性肌などが現れることもあるため、薬の使用中に気になる症状があれば、担当の医師に相談するとよいでしょう。

クリンダマイシンゲルを使うときの注意点

以下に当てはまる場合は、クリンダマイシンゲルを使うことで体に悪影響を及ぼしたり、薬の効果が現れなかったりすることがあるので、使用していいか医師に確認してください。

・薬や食べ物で、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある

・アトピー体質

・妊娠中または授乳中

・15歳未満

・他に薬を使っている

・抗生物質の使用によって下痢や大腸炎を起こしたことがある など

ニキビ治療に使う抗生物質

ニキビ治療に使う抗生物質は、クリンダマイシンゲル以外にもさまざまなものがあります。

塗り薬

まず塗り薬ですが、クリンダマイシンリン酸エステル水和物と過酸化ベンゾイルが有効成分の、「デュアック配合ゲル」があります。過酸化ベンゾイルには抗炎症作用、角質をはがす作用、面皰(めんぽう。ニキビの初期段階、いわゆる白ニキビ)の減少作用もあるため、炎症を起こしているニキビだけでなく、面皰に対しても使われる薬です。

そのほか、以下のような塗り薬もあります。

・アクアチム(ナジフロキサシン)

・ゼビアックス(オゼノキサシン) など

いずれも、ニキビ治療ガイドラインでは、炎症が起きている赤ニキビの治療で強く推奨されている薬です。

飲み薬

飲み薬には以下のようなものがあります。

・ビブラマイシン(ドキシサイクリン)

・ミノマイシン

・ルリッド(ロキシスロマイシン)

・ファロム(ファロペネム) など

いずれもクリンダマイシンゲルと同じく、細菌のタンパク質の合成を阻害することで殺菌する薬です。ファロム(ファロペネム)は、細胞壁の合成を阻害することで殺菌作用を示すとされています。炎症を伴うニキビ治療に使われることが一般的です。

ニキビ治療に使われる薬の詳細はこちらで解説しています。

クリンダマイシンゲルを処方してもらうには?

クリンダマイシンゲルやビブラマイシンなど、ニキビ治療に使う薬と同じ有効成分を含む薬は市販されていないことが多いです。そのため、病院で処方してもらう必要があります。

クリニックフォアではクリンダマイシンゲルとビブラマイシンを取り扱っています。診療はオンラインでやりとりし、薬は配送なので、自宅にいながらニキビ治療を始めることができます。

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参考文献

  1. 公益社団法人 日本皮膚科学会, 2017,「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017」,日本皮膚科学会雑誌 127 (6):1261-1302
  2. クラシエ薬品株式会社, 2015年3月改訂, クリンダマイシンゲル1% 添付文書