ニキビ治療薬「イソトレチノイン」とは? 効果・使い方・副作用を徹底解説!

主なニキビ治療薬には、毛穴の詰まりを改善する塗り薬や、抗菌薬の塗り薬、飲み薬などがあり、保険適用の薬を使うことが多いです。しかし、場合によっては保険適用外の薬が有用であることもあります。ここでは、保険適用外ではありますが、重症のニキビにも効果が期待できる「イソトレチノイン」という飲み薬について、効果や使い方、副作用などを詳しく解説します。

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ニキビ治療薬「イソトレチノイン」とは

イソトレチノインとは、ビタミンA誘導体を含む飲み薬です。ビタミンA=レチノールという成分であり、ビタミンA誘導体はレチノールの構造が変化した成分のことです。皮脂分泌の抑制や毛穴の詰まり改善、炎症抑制、抗菌作用などさまざまな効果が期待でき、他の治療薬ではなかなか改善しない重症のニキビや、繰り返しできるニキビの治療に使うことがあります。

日本では保険適用外ですが、アメリカでは1982年に認可され、重症のニキビに対する最初の選択肢として使われている薬です。

イソトレチノインに期待できる効果

イソトレチノインには、重症のニキビの約98%に改善をもたらすだけでなく、服用をやめても長い期間にわたってニキビの再発を抑える効果が期待できます。

その効果は多岐にわたり、皮脂の分泌を抑える効果、毛穴の詰まりを改善する効果、炎症を抑える効果、ニキビの原因となるアクネ菌への抗菌効果が期待できます。詳しく見ていきましょう。

皮脂の分泌を抑える

ニキビの原因の一つは皮脂の過剰分泌です。過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まったり、皮脂をエサとしてアクネ菌が増殖することでニキビの発生、悪化につながるとされています。

イソトレチノインは皮脂を分泌する皮脂腺を縮小させて、皮脂の過剰分泌を抑える効果が期待できます。

毛穴の詰まり改善

皮膚の細胞を正常化し、皮膚のターンオーバーを促進したり、皮膚の角化(硬く厚くなること)を抑えることによって毛穴の詰まりを改善するとされています。

抗炎症作用

アクネ菌が増殖すると、アクネ菌を排除するための免疫反応として炎症が起こります。

これが赤く腫れあがった赤ニキビの状態です。

イソトレチノインには抗炎症作用があり、免疫反応を正常化することで炎症を抑え、赤みも緩和するとされています。

抗菌作用

イソトレチノインには、アクネ菌に対する抗菌作用があります。また、アクネ菌は皮脂をエサに増殖するため、イソトレチノインによって皮脂の分泌が抑えられることも、アクネ菌の増殖予防につながります。さらに、毛穴を縮小することでアクネ菌が定着しづらくなるともいわれています。

イソトレチノインの効果が実感できるまでの期間

イソトレチノインを飲むと、4~6週間程度で徐々に効果が実感できることが多いとされています。ただし、飲み始めから1~2週間程度はニキビが悪化することもあるため、根気よく続けることが大事です。(効果・効能の現れ方は個人差がございます。)

イソトレチノインの使い方

1日1錠(20mg)から始め、症状を見ながら増量することがあります。内服は16~20週間続けることが推奨されています。服用をやめても効果が続くことが多いですが、服用をやめてニキビが再発する場合は、内服を再開することもあります。

また、空腹時よりも、食事をとっているときのほうが薬が効率よく作用するため、服用の1時間前~1時間後の間に食事を摂ったほうがよいといわれています。ただ、一般的には食後の服用を指示されることが多いです。

また、薬が効率よく作用するには、高脂肪、高カロリーの食事をとることが望ましいとされていますが、高脂肪、高カロリーの食事は皮脂分泌の増加につながり、ニキビの原因となったり、健康への悪影響が懸念されたりするため、医師に相談しながら食事内容を検討するとよいでしょう。

イソトレチノインの副作用

副作用として、粘膜や皮膚の乾燥、かゆみ、顔の皮膚炎、鼻水、筋肉痛、関節痛、頭痛、結膜炎、ドライアイ、目のかすみ、めまい、吐き気、嘔吐、下痢、貧血などが生じることがあります。特に唇や口の中、鼻、目、皮膚の乾燥はほとんどの人に起きるとされています。ただ、唇の乾燥は市販のリップクリームでケアすれば問題ない程度の場合が多いです。

また、副作用が強い場合は、1日おきに服用するなど頻度を落として服用する選択肢もあるため、医師に相談するとよいでしょう。

副作用に関連する注意点

副作用のリスクが上がるため、抗生物質の飲み薬や、ディフェリンゲル(アダパレンゲル)、ベピオゲルといったニキビ治療用の塗り薬とは併用できないことが一般的です。

また、脳卒中やうつなどの副作用が起こることもあるので、必ず医師の指導のもと服用する必要があります。

服用できない方

骨の発達障害が生じる可能性があるため、少なくとも12歳以下は服用できません。加えて、安全性が確立されていないため、18歳未満には処方されないことが一般的です。

また、ビタミンA配合化粧品などでアレルギーを起こしたことがある方は、イソトレチノインによるアレルギーのリスクがあるため服用できません。肝機能障害がある方も、副作用のリスクが高まる可能性があるため服用できないことが一般的です。

イソトレチノインを飲むときの注意点

イソトレチノインを飲む際は、催奇形性や併用してはいけない薬、スキンケアの仕方などについて理解しておく必要があります。詳しくは以下の通りです。

催奇形性(さいきけいせい)

イソトレチノインには催奇形性があります。催奇形性とは、妊娠中に薬を服用した時に、胎児に奇形が生じる危険性のことです。イソトレチノインの場合は、胎児の先天異常や流産、早産、死産につながるリスクがあるため、妊娠中や妊娠している可能性がある方、妊娠希望の方は服用できません。授乳中も服用できないため注意しましょう。

また、以上のことから内服終了後1カ月は避妊が必要であり、献血もできません。ただし、将来の妊娠には問題ないと考えられているため、過度な心配はいりません。

飲み合わせ・薬の併用について

抗生物質の飲み薬、ビタミンA含有のサプリメント、ディフェリンゲル(アダパレンゲル)、ベピオゲルといったニキビ治療用の塗り薬とは併用できません。その他の薬も、副作用のリスクが高まるなどの懸念があるため、併用したい場合は医師に相談してからにしましょう。

スキンケア

イソトレチノインを内服している時は、皮膚が日焼けしやすい状態になるため、日焼け止めなどで紫外線対策を万全にしましょう。レーザー治療や光治療も色素沈着の原因となるため控えてください。

また、皮脂が抑えられて乾燥しやすくなるため、保湿ケアも十分に行ってください。

イソトレチノインを処方してもらうには?

イソトレチノインは必ず医師に処方してもらう必要がある薬です。ネット通販などで販売されていることもありますが、偽造品のリスクなどもあるため、個人での購入は控えるように、厚生労働省から注意喚起がなされています。

催奇形性や、脳卒中、うつなどの重大な副作用を防ぐためにも、医師の指導の下で適切に服用することが大切です。

クリニックフォアではイソトレチノインをはじめとするさまざまなニキビ治療薬を取り扱っています。診療はオンラインで行い、薬は自宅などの指定の場所へ配送するため、直接受診するのが面倒な方や忙しい方でも治療が受けやすくなっています。

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参考文献

  1. 厚生労働省, 2005,「アキュテイン(ACCUTANE)(わが国で未承認の難治性ニキビ治療薬)に関する注意喚起について」,