※※自由診療
※医師の判断によりお薬の処方ができない場合があります
ヘパリン類似物質の市販薬とは
ヒルドイドにも含まれるヘパリン類似物質は、肌の保湿やバリア機能を助ける成分として知られ、近年はドラッグストアでも市販薬として入手できるようになっています。ただし、医師から処方される医療用医薬品と、自分で買える市販薬とでは、入手方法や保険の適用、配合されている成分などにいくつかの違いがあります。
ここではまず、ヘパリン類似物質がどのような成分で、市販薬としてどのように位置づけられているかを見ていきましょう。
ヘパリン類似物質とはどのような成分か
ヘパリン類似物質は、体内に存在する「ヘパリン」という多糖類(糖が多数結合した物質)に似た構造を持つ成分で、肌の保湿などを目的に外用薬として使われています[1]。
肌にうるおいを与え、角質の水分を保つことで、乾燥しにくい肌の状態を支えることが期待できる成分として知られています。さらに、血行を促す働きや、軽い炎症を抑える働きもあるとされ、乾燥にともなう肌の不調に幅広く用いられてきました。
もともとは皮脂欠乏症や凍瘡(しもやけ)などの治療に使われてきた成分であり、保湿を目的とした外用薬として広く用いられるようになっています。
市販薬(第2類医薬品)として入手できる
ヘパリン類似物質を含む製品には、医師の処方が必要な医療用医薬品と、ドラッグストアなどで入手できる市販薬があります。市販薬の多くは第2類医薬品に分類され、自分の判断で選んで入手できる一方、医療用医薬品とは異なり健康保険は適用されません[2]。
市販薬にはさまざまなメーカーの製品があり、ヘパリン類似物質を0.3%配合したものが一般的で、保湿を目的としたクリームやローションなどが販売されています。
受診の手間をかけずに手に入れられる手軽さがある一方で、自分の症状に合っているかを自分で見極める必要がある点は、あらかじめ知っておくとよいでしょう。
「ヒルドイドと同じ成分」とよく言われる理由
市販薬がしばしば「ヒルドイドと同じ成分」と紹介されるのは、ヒルドイドの有効成分がまさにこのヘパリン類似物質だからです[1]。
ヒルドイドは医療用医薬品の先発品であり、同じ有効成分を含むジェネリック医薬品も多く存在し、市販薬にも同じ成分が配合されています。そのため、有効成分という点では市販薬とヒルドイドは共通していますが、後述するように、入手方法や配合成分などには違いがあります。
同じ成分だからまったく同じものと考えるのではなく、製品ごとの違いを理解して選ぶことが大切です。
ヘパリン類似物質の効果・効能
ヘパリン類似物質が乾燥肌のケアで注目されているのは、優れた保湿作用に加えて、血行促進作用や抗炎症作用を併せ持っているからです[1]。
代表的なのは、保湿・血行促進・抗炎症という3つの作用で、これらが組み合わさることで、乾燥にともなう肌の不調をやわらげることが期待できます。
ここでは、ヘパリン類似物質の主な働きと、市販薬で対象となる症状について整理していきます。
保湿(角質の水分保持)
ヘパリン類似物質のもっとも代表的な働きが、肌の角質層の水分を保つ保湿作用です[1]。
肌にうるおいを与え、その水分を保つことで、乾燥しにくい肌の状態を保つことが期待できます。
肌の表面のうるおいを保つことは、外部の刺激から肌を守るバリア機能を支えることにもつながると考えられています。そのため、乾燥が気になる肌のケアに、ヘパリン類似物質はよく用いられています。
血行促進
ヘパリン類似物質には、肌の血行を促す働きもあるとされています[1]。血の巡りがよくなることで、皮膚の状態を整えることを助ける可能性が期待されています。
しもやけなど血行の悪さが関わる症状にヘパリン類似物質が使われるのは、この血行促進の働きがあるとされているためです。
保湿とあわせて、肌を健やかに保つことを支える働きといえるでしょう。
抗炎症
ヘパリン類似物質の作用のひとつが、抗炎症作用です[1]。乾燥によって生じる赤みやかゆみをやわらげる可能性が期待されています。
保湿・血行促進とあわせて、これら3つの働きが組み合わさることで、乾燥にともなう肌の不調に幅広く対応できるとされています。
ただし、強い炎症やじゅくじゅくした症状がある場合は、別の治療が必要なこともあるため、医療機関への相談をご検討ください。
市販薬で対象となる症状
市販のヘパリン類似物質配合薬は、製品ごとに定められた効能の範囲で使うものであり、対象となる症状は製品によって異なります。
入手前に必ずパッケージや説明書で効能・効果を確認し、自分の症状が対象に当てはまるかどうかを確かめることが大切です。判断に迷うときは、薬剤師に相談すると安心です。
効果を実感するまでの目安
ヘパリン類似物質の保湿の働きは、塗った直後から肌のうるおいとして感じやすい一方、肌の状態そのものを整えるには、ある程度続けて使うことが大切です。
肌には数週間〜数十日程度の生まれ変わりの周期(ターンオーバー)があるとされており、乾燥しにくい肌の状態に近づけるには、継続的なケアが必要と考えられています。ただし、効果を感じるまでの期間には個人差があります。
数日使っただけで変化を感じにくくても、すぐにやめてしまわず、肌の状態を見ながら続けてみるとよいでしょう。
一定期間使っても乾燥や肌荒れが改善しない場合は、別の原因が関わっていることもあるため、医療機関で相談すると安心です。
ヘパリン類似物質の市販薬と処方薬の違い
ヘパリン類似物質は同じでも、市販薬と処方薬には、入手方法や保険の適用、配合成分などの面で違いがあります。どちらが自分に合っているかは、症状の程度や目的によって変わるため、その違いを知っておくことが選ぶうえで役立ちます。
ここでは、市販薬と処方薬の主な違いを見ていきましょう。
市販薬と処方薬の主な違い
| 市販薬 | 処方薬(ヒルドイドなど) | |
| 入手方法 | ドラッグストアなどで自分で入手 | 医師の診察・処方が必要 |
| 保険適用 | なし(全額自己負担) | あり(症状によって負担を軽減) |
| 有効成分 | ヘパリン類似物質(0.3%が一般的) | ヘパリン類似物質(0.3%) |
| 配合成分 | 保湿成分など他の成分が加わることもある | ヘパリン類似物質を主成分とした保湿外用薬 |
| 使用目的 | 各製品に定められた効能の範囲内 | 皮脂欠乏症などの乾燥性皮ふ疾患の治療 |
手軽さを取るか、診察を受けて症状に合ったお薬を保険で使うかは、症状の程度に応じて考えるとよいでしょう。
同じヘパリン類似物質を含んでいても、製品によって配合成分や使用感が異なるため、市販薬を選ぶときはヘパリン類似物質以外の成分も確認しておくと安心です。
美容目的では使えないことに注意
ヘパリン類似物質は乾燥肌のケアに用いられますが、シワを消すといった美容目的のためのお薬ではない点に注意が必要です。
市販薬はあくまで、各製品に定められた効能の範囲で使うものであり、効能を超えた美容効果を期待して使うものではありません。
処方薬についても、保険診療は乾燥性の皮ふ疾患などの治療を目的としたものであり、美容目的での処方は対象外です。
肌の状態を整える保湿ケアとして、効能の範囲内で正しく使うことが大切です。
ヘパリン類似物質の市販薬の剤形と選び方
ヘパリン類似物質の市販薬には、同じ成分でもいくつかの剤形があり、使い心地や保湿力が異なります[1]。
剤形が変わるだけで使いやすさや肌への合い方が大きく変わるため、自分の肌質や使う部位に合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、代表的な剤形の特徴と、選び方の目安を整理していきます。
油性クリーム
油性クリームは、油分が多くしっとりとした使い心地で、保湿力が高いことが特徴です。
乾燥が強い肌や、冬の乾燥が気になる時期、かさつきが目立つ部分のケアに向いています。ややべたつきを感じることもありますが、うるおいをしっかり保ちたい場合に選びやすい剤形です。
クリーム
クリームは、保湿力と使い心地のバランスがとれた、標準的に使いやすい剤形です。
油性クリームほどのべたつきはなく、ほどよいうるおいを与えてくれるため、体の広い範囲のケアにも使いやすいのが特徴です。
季節や肌の状態を選びにくく、一年を通して使いやすいため、どれを選べばよいか迷うときに候補になりやすいでしょう。
ローション
ローションは、伸びがよくさらさらとした使い心地で、広い範囲に手早く塗りやすい剤形です。
水のように軽いテクスチャーのものもあり、べたつきが苦手な方や、夏場などの乾燥が強くない時期に向いています。ただし、油性クリームと比べると保湿力は軽めのため、乾燥が強い部分には物足りなく感じることもあります。
泡(フォーム)・スプレー
泡タイプやスプレータイプは、手を汚さずに広い範囲へ手軽に塗れることが特徴です。
泡タイプは肌にのせやすく、スプレータイプは背中など自分では手が届きにくい部位にも使いやすい剤形です。
さっとケアできる手軽さがある一方で、クリームと比べると保湿力は軽めのことが多い点は知っておくとよいでしょう。
部位・季節による選び方の目安
剤形選びに迷うときは、使う部位や季節を目安にすると選びやすくなります。
| 状況 | おすすめの剤形 |
| 顔・広い範囲 | ローション |
| 手荒れなど乾燥が強い部分 | 油性クリーム |
| 体全体 | クリーム |
| 背中など手が届きにくい部位 | スプレー |
| 乾燥が強い冬 | 油性クリーム・クリーム(保湿力高め) |
| 汗ばむ夏 | ローション・フォーム(軽い使い心地) |
使ってみてべたつきや物足りなさを感じたときは、剤形を変えてみることが、自分に合うものを見つける近道になります。
ヘパリン類似物質市販薬の使い方と注意点
ヘパリン類似物質の市販薬は、正しく使い、注意点を知っておくことで、より安心して使うことができます。使う量やタイミング、継続の可否、注意が必要な方など、気になる点をあらかじめ押さえておくとよいでしょう。
ここでは、使い方と使い続けるときの注意点、使用を控えたほうがよい場合について整理していきます。
使い方・使用量の目安と継続について
ヘパリン類似物質の外用薬は、製品の説明書に記載された用法・用量に従い、1日1〜数回適量を患部に塗布して使います[1]。
塗る量は製品ごとの指示に従うことが基本で、すり込むのではなく、肌にのせるようになじませましょう。
定められた効能・用法の範囲で継続して使うことができ、継続することで肌のバリア機能を支え、うるおいを保ちやすい状態に近づけることが期待できます。
症状が改善したあとの使い方に迷うときや、使い方に不安がある場合は、薬剤師に相談するとよいでしょう。
使用を控えたほうがよい方・注意が必要な方
ヘパリン類似物質は血液凝固を抑制する働きに関わる成分のため、以下に該当する方は使用前に医師に確認しましょう[1]。
- 血友病・血小板減少症・紫斑病などの出血性血液疾患がある方
- わずかな出血でも重大な影響が生じるおそれがある方
- 妊婦または妊娠している可能性のある方(治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用)
また、潰瘍やびらん(じゅくじゅくした部分)、目のまわりへの使用は避けてください[1]。いずれの場合も不安があるときは自己判断せず、医師や薬剤師に相談してから使うことが大切です。
副作用があらわれた場合の対処
ヘパリン類似物質は副作用があらわれる可能性がある点を理解したうえで使いましょう[1]。報告されている主な副作用は以下のとおりです[1]。
- 皮膚炎、かゆみ、発赤、発疹、潮紅(頻度:0.1〜5%未満)
- 皮膚刺激感、紫斑(頻度不明)
こうした異常を感じたときはすぐに使用を中止し、症状が強い場合や改善しない場合は医療機関を受診してください。使用中に気になる変化があれば、早めに薬剤師や医師に相談することをおすすめします。
ほかの保湿剤や塗り薬との使い分け
ヘパリン類似物質の市販薬と複数の外用薬を同じ部位に重ねて使う場合は、成分の重複や肌への負担が気になることがあるため、注意が必要です。
とくに、医療機関で処方された塗り薬を使っている場合は、市販薬を併せて使う前に、医師や薬剤師に相談しておくと安心です。迷うときは、使っているお薬を伝えたうえで薬剤師に相談するとよいでしょう。
ヘパリン類似物質の市販薬で対応できないとき・受診の目安
市販薬は手軽に使える一方で、症状によっては市販薬だけでは対応がむずかしいこともあります。
以下に当てはまる場合は、医療機関への受診をご検討ください。
- 市販薬をしばらく使っても乾燥や肌荒れが改善しない
- 症状がかえって悪化している
- 強いかゆみ・赤み・じゅくじゅくした症状がある
- アトピー性皮膚炎などの持病がある
乾燥ではなく皮膚炎などの治療が必要なこともあります。気になる症状が続くときは、自己判断にとどめず、専門家に診てもらうことで適切な対応につながるでしょう。
乾燥肌のお悩みはクリニックフォアのオンライン診療へ
市販薬を試しても改善しない乾燥肌や、症状の程度が気になる方には、オンライン診療を活用する方法もあります。
クリニックフォアでは、スマートフォンやパソコンから皮膚科のオンライン診療をご利用いただけます。
外出が難しい方や、忙しくて受診の時間が取りにくい方にも相談しやすい環境です。ただし、皮膚の状態を直接確認する必要がある場合や、詳しい検査が必要と医師が判断した場合は、対面受診をご案内することがあります。
症状や状況に応じて、オンライン診療と対面診療を使い分けることが大切です。
※※自由診療
※医師の判断によりお薬の処方ができない場合があります
ヘパリン類似物質の市販薬に関するよくある質問
Q1:ヘパリン類似物質は市販で買えますか?
ヘパリン類似物質を配合した市販薬は、ドラッグストアなどで第2類医薬品として入手できます。
受診せずに手軽に買える一方で、保険は適用されず全額自己負担となります。自分の症状が製品の効能に合っているかを確認して選ぶことが大切です。
Q2:ヒルドイドと市販薬は何が違いますか?
有効成分のヘパリン類似物質は共通していますが、入手方法や保険の適用、配合成分などに違いがあります。
ヒルドイドは医師の処方が必要で保険が適用され、市販薬は自分で入手できますが保険適用外です。症状の程度に応じて、受診するか市販薬を使うかを考えるとよいでしょう。
Q3:妊娠中でも使えますか?
妊婦または妊娠している可能性のある方は、自己判断での使用を避け、使用前に医師または薬剤師に相談することが大切です。
医療用医薬品の添付文書では治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用することとされており[1]、市販薬についても入手前に専門家に確認することをおすすめします。
Q4:市販薬で改善しないときはどうすればいいですか?
しばらく使っても改善しない場合や、症状が悪化する場合は、医療機関で相談することがすすめられます。
乾燥ではなく皮膚炎などの治療が必要なこともあります。気になる症状が続くときは、自己判断にとどめず受診を検討しましょう。
まとめ
ヘパリン類似物質は、保湿・血行促進・抗炎症の働きを持つ成分として知られ、皮脂欠乏症や凍瘡などの治療に用いられてきた医療用医薬品の有効成分であり、市販薬としても入手できます[1]。
保湿を中心とした継続的なケアにより、乾燥にともなう肌の不調をやわらげることが期待されているため、定められた効能の範囲内で使用することが基本です。
市販薬は製品ごとに対象症状が異なるため、入手前にパッケージや説明書で効能・効果を確認することが大切です[1]。
剤形には油性クリームやクリーム、ローション、泡、スプレーなどがあり、使う部位や季節、肌質に合わせて選ぶとよいでしょう。
出血性血液疾患がある方や妊婦の方は使用前に医師へ相談が必要であり、副作用があらわれた場合はすぐに使用を中止し、必要に応じて医療機関を受診することが重要です[1]。
症状が落ち着くまで継続的なケアをおこなうことが基本ですが、市販薬で改善しないときや症状が強いときは、自己判断にとどめず医療機関で相談しながら肌の状態を整えていきましょう。
