初期脱毛とは
初期脱毛とは、AGAのお薬の飲み始めに生じることがある脱毛のことを指します。お薬を使った方の多くが経験するとされています。
AGAの治療を始めたのに抜け毛が増えてしまうと不安になると思いますが、初期脱毛は、
治療が成功する前兆であり、お薬の効果がしっかりと出ている証拠である可能性が高いです。
初期脱毛の原因・メカニズム
髪の毛には「ヘアサイクル」があり、永遠に同じ髪の毛が生えているのではなく、「成長期」「退行期」「休止期」のサイクルで抜けては生えてを繰り返しています。このサイクルの乱れがAGAを引き起こす原因のひとつだとされています。
AGAの治療は乱れたヘアサイクルが正しく整うよう働きかけることでもあります。そして初期脱毛の原因は、お薬を飲むことで、休止期に入っていた髪(毛包)が成長期に移行し、新しく生えてくる髪の毛が古い髪の毛を押し出すこととされています。
なお、AGAの代表的なお薬には「ミノキシジル」や「フィナステリド」、「デュタステリド」などがあります。お薬の種類ごとの初期脱毛のメカニズムは、以下の通りです。
ミノキシジル:新しい髪の毛に押し出されて抜ける
ミノキシジル外用剤は、世界90か国以上で承認されている、AGAの治療の代表的なお薬です。頭皮の血行促進や毛母細胞(髪のもととなる細胞)休止期の髪の毛を成長期に促すだけでなく、毛母細胞を活性化するなどします。育毛を促進するのはもちろん、長くて太い髪の毛に成長するよう働きかけるのも特徴です。
ミノキシジルの初期脱毛のメカニズムの一つは、ヘアサイクルが整うことで新しい髪の毛が古い髪の毛を押し出すためです。
また、ミノキシジルの場合はそれだけではなく、毛母細胞に直接作用して活性化させるため、より新しい発毛が促されて古い毛が押し出されて初期脱毛が起きやすいとされています。
なお、ミノキシジルには内服薬と外用薬がありますが、どちらでも初期脱毛は起こります。
フィナステリド・デュタステリド:ヘアサイクルが正常に戻る過程で抜ける
フィナステリドもデュタステリドも、5αリダクターゼという酵素を妨げ、AGAの発症に大きく関わる悪玉男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えるお薬です。DHTの生成を抑えることで、ヘアサイクルの乱れを整え、髪質の悪化や抜け毛を防いだり、AGAの進行を遅らせたりすることが期待できます。
いずれもヘアサイクルの乱れを整えて正常なサイクルに整えるため、その際に、新しい髪の毛が古い髪の毛を押し出して初期脱毛が起こることがあります。しかし、どちらも毛母細胞を直接活性化するわけではないので、ミノキシジルに比べて初期脱毛が起きにくいといわれています。
初期脱毛が起きたらお薬をやめるべき?
初期脱毛が起きると不安になってしまう方も多いでしょう。しかし、ここでお薬をやめるべきではありません。
前述の通り、初期脱毛はお薬の効果が出ている証拠である可能性が高いです。そのため、一時の抜け毛の増加はじっと耐えて、お薬を続けることが大事です。
AGA治療ガイドライン2017年版にも、「男女ともにミノキシジル外用初期に休止期脱毛がみられることがあり,これが外用中止につながる恐れがあるため,患者への説明が必要である」という記載があります。初期脱毛でお薬をやめてしまうのはもったいないので、もう少し頑張ってみましょう。
(参考)
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
初期脱毛が起きた時の対処法
前述の通り、初期脱毛が起きてもお薬は変わらず続けるのが望ましいです。ただ、お薬以外の原因で抜け毛がひどくならないように、そして、新しい髪がしっかり成長するように、生活習慣などに気を付けるとよいでしょう。詳しくは以下の通りです。
食生活
初期脱毛の有無に関わらず、常日頃からビタミンやミネラルなどの栄養素を積極的に摂取し、バランスの取れた食事を心がけましょう。私たちが摂取した栄養素は、健康な髪の毛をつくり出すための原料になります。日々の健康なからだを維持することにも繋がりますよ。
特に髪によい栄養素としては、タンパク質、亜鉛、鉄分、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンEなどが挙げられます。
また、塩分や糖分、脂肪分などの摂り過ぎは、血流不足や皮脂の過剰分泌を招きます。就寝前ギリギリの食事は、血液の働きが胃腸に集中してしまうため、早めに済ませましょう。
睡眠を十分にとる
毎日規則正しい生活リズムを守り、睡眠を十分にとることも大切です。睡眠不足になると、髪や頭皮の成長・修復・新陳代謝に関わる「成長ホルモン」の分泌が減少することがあります。
そのため、睡眠不足は髪の毛をつくるために重要なタンパク質が十分に合成されない、ダメージの修復が間に合わない、頭皮環境の悪化を引き起こすなど、抜け毛の原因に繋がるので注意しましょう。
就寝前は部屋を暗くして、スマホやパソコンを見ないように意識したり、快適な温度や寝具を整えたりすることで、質の良い眠りに就きやすくなりますよ。
ストレスを解消する
ストレスが溜まると自律神経のバランスが崩れ、血流悪化などのさまざまな悪影響が生じます。血流が悪化すると頭皮に十分な栄養が届きにくくなり、ヘアサイクルが乱れて薄毛や抜け毛を引き起こす原因になります。
また、自律神経の乱れはホルモンバランスの乱れに影響することも分かっています。男性ホルモンの過剰分泌が起こり、薄毛や抜け毛を誘発するDHTが分泌される恐れがあります。
ストレスを溜めないというのはなかなか難しいので、ストレスを感じたときは上手に発散するとよいでしょう。たとえば、スポーツや運動でからだを動かして汗をかくことや、湯船にしっかりつかる、十分な睡眠をとるなどすることもストレス解消に繋がります。ぜひ自分でできる解消法を見つけてみてくださいね。
過度な飲酒をしない
過度な飲酒は、AGAの原因物質であるDHTを増加させてしまう恐れがあります。
また、飲酒後に体内でアルコールが分解される際、髪の毛をつくるために必要なアミノ酸が消費されてしまうこともわかっています。
とは言っても、飲酒を完全にやめるとなるとストレスが溜まってしまうという方もいるでしょう。禁酒をする必要はないので、適量を心がけてください。
禁煙する
喫煙は血行不良に繋がるため、頭皮や髪の毛にとって大敵です。せっかくAGAの治療のためにお薬を使用しても、効果が十分に得られない原因にもなります。健康な髪の毛をつくるために大切なビタミンCが大量に消費されてしまうほか、細胞を老化させることもわかっています。
そのため、禁煙することが望ましいですが、難しい場合は喫煙の本数を見直すことから始めてみてください。
肌に合ったシャンプーを選ぶ
AGAの治療においては、「頭皮環境を整える」ことも大事です。シャンプーの洗浄力は含まれる界面活性剤によって決まり、主に以下の3種類に分類できます。
- 高級アルコール系シャンプー
- 石鹸シャンプー
- アミノ酸系シャンプー
石油系界面活性剤を使った高級アルコール系シャンプーは、泡立ちが良く皮脂をすっきり落とせる一方で、洗浄力が強く必要な皮脂まで洗い流してしまいます。石鹸シャンプーは高級アルコール系ほどではないですが、やはり洗浄力は強めです。皮脂が過剰に除去されると、乾燥から頭皮環境が悪くなり、かゆみやフケの原因に。さらに、うるおいを補おうとして、皮脂が過剰分泌され、薄毛につながることがあります。
一方、アミノ酸系界面活性剤を使ったアミノ酸系シャンプーは、泡立ちや洗浄力はやや劣るものの、皮膚や髪を構成するのと同じアミノ酸を使っているため、低刺激で、必要なうるおいはしっかりと残してくれます。
繰り返しになりますが、AGAの治療は頭皮環境を整えることが重要なので、不要な汚れや皮脂をしっかり落としつつ、必要なうるおいは守るシャンプーを選ぶことが大切です。ただ、アミノ酸系シャンプーにはメリットも多いですが、皮脂が多い方は不要な皮脂をしっかり落とせる洗浄力が強いシャンプーのほうが合っているケースもあります。そのため、自分に合うシャンプーを選ぶことが大事です。
適切な方法でシャンプーする
頭皮環境を守るためには、正しい方法でシャンプーをすることも大事です。具体的な方法は、以下の通りです。
- 乾いた状態でブラッシングし、汚れを軽く落とす
- 髪の毛をお湯で予洗いし、皮脂や汚れを軽く落とす
(予洗いすることで、その後のシャンプーの泡立ちも良くなります。) - 手でシャンプーを泡立て、頭皮につける
(泡立てずに頭皮にシャンプーをそのままつけると洗いムラができてしまうので注意しましょう。) - 爪ではなく、指と手のひら全体を使って揉み洗うようにシャンプーする
(爪を立てて洗うと頭皮を傷つけてしまうので注意しましょう。) - 38℃程度のぬるめのお湯で洗い流す
(温度が高過ぎると必要な皮脂や水分まで落としてしまうため、ぬるめの温度に設定するのがポイントです。 ) - タオルで髪の毛をやさしく押さえてしっかり水分をとる
タオルでゴシゴシ拭くと摩擦で髪の毛を傷めてしまうため注意しましょう。ドライヤーを使うときは、頭皮から離して冷風と温風を交互にあてて乾かすと、頭皮が乾燥するのを防げます。生乾きは雑菌の繁殖につながるのでしっかり乾かしましょう。
頭皮マッサージをする
血行促進に繋がる頭皮マッサージをするのもおすすめです。私たちが食べた栄養素は、血液にのってからだ中に運ばれています。頭皮マッサージを積極的に行うことで、血行が促進されて髪の毛に栄養が届きやすくなります。また、毛穴の汚れ除去や、リラックス効果によるストレス解消にも効果が期待できます。
具体的な方法は以下の通りです。
①小指の腹をこめかみにやさしくあてて、親指以外の指を使い、左右の耳の延長線に沿って頭皮を揉み上げるようにマッサージする
②「百会」のツボ(両耳から頭頂部に向かう延長線と、顔の中心から頭頂部に向かう延長線が交差する位置)を、指の腹を使って10回程度マッサージする
③頭頂部、後頭部、首の後ろの順番で、ゆっくり手をおろしながら、やさしくマッサージする
なお、頭皮マッサージを行う際は、ブラシで叩いたり爪を立てたりすると頭皮を傷つける恐れがあるので避けましょう。
初期脱毛が終わらない理由と対処法
いつまで経っても初期脱毛が終わらないと感じる場合は、別の原因で抜け毛が止まらなくなっている恐れがあります。たとえば、生活習慣、AGA以外の脱毛症、頭皮環境の悪化などが挙げられます。詳しくは以下の通りです。
生活習慣によって抜け毛が止まらなくなっている
前述の通り、栄養不足や睡眠不足、過度のストレスなどは、抜け毛の原因となりえます。お薬を使っていても、生活習慣がよくなければ抜け毛は止まらず、お薬の効果も実感できないことがあるでしょう。
AGA以外の脱毛症で抜け毛が止まらなくなっている
AGAのお薬は、以下のような脱毛症には効果が期待できません。
- 円形脱毛症:免疫機能のトラブルによって、髪がくっきりと円形に抜けてしまう
- 牽引性脱毛症:強く引っ張る髪型を続けていたなど「引っ張ったこと」が理由で起きる脱毛症
- 脂漏性脱毛症:脂漏性皮膚炎(皮脂の分泌の多い部分に生じる皮膚炎)による脱毛
そのため、抜け毛の原因が本当にAGAなのかどうかをはっきりさせる必要があります。受診がまだの方は、皮膚科やAGA専門のクリニックなどの受診を検討しましょう。
頭皮環境の悪化や頭皮の炎症によって抜け毛が止まらなくなっている
ミノキシジルの副作用によってかぶれ、かゆみなどの副作用が出ることがあります。このような副作用による頭皮環境の悪化で髪が生えてきにくかったり、抜け毛が増えがちになったりすることも考えられます。
そのため、頭皮になんらかの症状がある場合は、一度医療機関で受診するのも一つの方法です。
AGAの進行の強さにお薬が十分ではない
AGAの病気の勢いが強く、AGAのお薬が十分な強さではない可能性があります。ミノキシジルの量や、フィナステリドをデュタステリドに変更する、外用薬を追加するなどの対策が考えられますので、再度の受診して相談することを検討しましょう
初期脱毛に関するよくある質問
最後に、初期脱毛に関するよくある質問にお答えします。
ミノキシジルの内服薬と外用薬はどちらが初期脱毛がひどいですか?
ミノキシジルには内服薬と外用薬があります。内服薬は日本では未承認のお薬ですが、AGA専門の診療科やクリニックで処方されることは珍しくありません。
初期脱毛は、内服薬でも外用薬でもどちらでも起こりうるものですが、体内に有効成分が直接入る内服薬のほうが、初期脱毛しやすいとされています。
何度も脱毛することがあるって本当?
これは、前述したようなAGA以外の原因や、AGAの病気の強さなどによって抜けているものと考えられます。
また生活習慣なども考えられるため、お薬だけに頼らず、生活習慣などの見直しにも務めましょう。
それでもよくならない場合は、医療機関への受診を検討してください。
クリニックフォアのオンラインAGA診療
クリニックフォアでは、オンラインでAGAやFAGA(女性のAGA)の診療を行っています。お薬は、ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドなどを取り扱っており、患者様のお悩みやライフスタイルに合ったお薬をご提案させていただきます。
お薬はご希望の場所に配送し、定期配送も可能なので、ご自宅にいながら治療が可能です。
初期脱毛に悩んだ場合は医師にご相談ください。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。
※自由診療