低用量ピルの効果とは?避妊以外にも効果があるの?生理痛・生理不順・過多月経・ニキビなど詳しい効能について、医師が解説します。

低用量ピルは避妊を主効果としていますが、避妊以外にもさまざまな効果をもたらします。この主効果以外にもたらされる効果を副効果と言い、PMS・ニキビ・生理痛・生理不順・子宮内膜症の改善といった女性の悩みに対して嬉しい効果をもたらしてくれるのです。 今回は、「低用量ピルに興味があるけれどまずは効果について詳しく知りたい」「すでに服用しているけれど避妊以外の効果についてはあまり知らない」といった方々向けに、低用量ピルを服用することによる効果と副効果について詳しくご紹介します。


低用量ピルの効果は避妊目的として使える

避妊効果は99%以上で、避妊方法の中でもトップクラス

低用量ピルを服用することによる避妊効果は、毎日一定時間に飲み忘れることなくしっかりと内服できていれば、99%以上の避妊効果がある*といわれています。

さらに、飲み忘れがあった場合でも、気づいたタイミングですぐに内服をするなど対応ができていた場合であれば92%*の避妊効果が見込めます。

低用量ピルの効果はいつまで?効果期間について

内服をやめれば排卵などが回復して、本来の妊娠する力まで戻る。

また、低用量ピルの服用をやめると、妊孕性(にんようせい)は回復します。妊孕性とは妊娠をするために必要な能力のこと。

低用量ピルを内服していても、「妊娠をしたい」と考えた時に内服をやめれば数ヶ月で排卵が再開します。低用量ピルの内服によって、将来の妊孕性には影響しない*ことが報告されています。

妊孕性は低用量ピルを内服していた期間に左右されません。そのため、長い期間内服されていたという場合でも、内服をやめれば数ヶ月で排卵が再開して生理が来るので、妊娠ができます。

低用量ピルは「今はしっかり避妊をしておきたいが将来的には妊娠を考えている」という女性にも問題なく使える薬です。

低用量ピルは避妊効果だけじゃない!4つの副効果

低用量ピルの主効果は避妊効果ですが、避妊効果の他にも、様々な副効果が期待できます。低用量ピルの副効果は主に、以下の4つです。

1.生理痛・生理不順・子宮内膜症・排卵痛の改善

低用量ピルは内服することで排卵を抑制するため、 排卵痛が起こらなくなります。

また、子宮内膜の増殖を抑制するため子宮内膜症の治療にも使われており、生理の出血量の減少や生理痛の軽減、消失へつながると考えられています。

生理の日を早めたり遅らせたりすることもできる

「子宮内膜の増殖を抑制する」効果を用いて、生理の日を早めたり遅らせたりすることもできます。内服する日数を調整することで、これらの調整が可能です。

そのため、お出かけの日や仕事で大事なプレゼンがある日、テストがある日などと生理が被らないように調整をすれば、快適な生活を過ごすことができます。

月経移動を考えている方は、医師に相談の上で適した対処方法を考えてみましょう。

生理が完全にこなくなる訳ではない!しかし最長120日も月経を止められるピルも

注意すべきは、「生理が完全にこなくなる訳ではない」ということ。低用量ピルは生理を完全に止められる薬ではありません。

しかし超低用量ピルの「ヤーズフレックス」なら、最長120日まで月経を止められます。

※超低用量ピルは対面での診察を受けて頂いた場合、保険適応が可能ですが、オンライン診療の場合は自由診療となります。

2.PMSの改善

次に、低用量ピルの副効果として挙げられることが、「PMSの改善」。

PMSの定義は、「月経前の3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するもの」。そして、PMSが起こる原因ははっきりとはわかっていませんが、排卵後に起こるホルモンの変化で、脳内のホルモンや神経伝達物質脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが原因と言われています。

低用量ピルを内服していればこのような女性ホルモンの急激な変動が抑えられるため、PMSに対して効果があると考えられます。

3.ニキビ・肌荒れの改善

低用量ピルにはニキビ・肌荒れを改善する効果もあります。

ニキビ・肌荒れが生理前後に起こる理由の一つはホルモンバランスの乱れ。特に卵巣から分泌されるテストテロンという男性ホルモンがニキビや肌荒れを起こす要因として考えられています。

そこで役に立つのが低用量ピル。低用量ピルには以下2つの作用があります。

  • テストテロン(男性ホルモン)の分泌を抑える
  • ホルモンバランスの乱れが整う

これらの作用によって、生理前後のニキビや肌荒れに効果があると考えられています。

ニキビ・肌荒れの改善には「ファボワール・マーベロン・ヤーズフレックス」がオススメ

クリニックフォアで取り扱う低用量・超低用量ピルのなかで、ニキビ・肌荒れに最も高い効果が期待できるのは「ヤーズフレックス」という超低用量ピル。その次が「ファボワール・マーベロン」という低用量ピル。研究のデータにおいても、「トリキュラー」など他の低用量ピルよりもニキビ・肌荒れの改善効果が高いという結果がでています。

そのため、ニキビ・肌荒れの改善にも注力したい方にはファボワール、マーベロン、ヤーズフレックスをオススメします。

4.卵巣がん・子宮体ガンの予防

最後に紹介する副効果は「卵巣がん・子宮体がんの予防」です。

卵巣がんは5年間の低用量ピルの内服で30%のリスク軽減!10年の内服で約40%もリスク軽減

低用量ピルは、内服を5年継続することで約30%、10年継続で約40%、15年継続では約50%、卵巣がんのリスク低下が報告されています。(Lancetから)

また、内服を中止した後も15年までリスクの低下が持続するという報告もあります。

子宮体がんも低用量ピルの内服でリスク低下!低下する効果は10年ほど持続

低用量ピルの使用により子宮体がんにかかるリスクが50%低下することが報告されています。また、子宮体がんによって死亡するリスクも低下し、使用中止10年後まで持続するという報告もあります。

低用量ピルの避妊効果はいつから?トリキュラーやマーベロンなど種類別に解説

避妊効果を主効果として様々な嬉しい効果も見込める低用量ピル。避妊効果を得るために排卵を抑制するには、低用量ピルを最低でも7日間連続して正しく服用する必要があります。また、ピルを初めて飲み始める場合は、1シート目は効果が不安定なことがあるため、コンドームなどの別の避妊法を併用することをおすすめします。

以下、低用量ピルを飲み始めてから避妊効果が出るまでの必要日数を種類別にまとめたものになります。表を見て頂いて分かる通り、種類による必要日数の差はありません。

低用量ピルの種類一覧避妊効果が出るまでの必要日数
トリキュラー7日間連続服用後
アンジュ7日間連続服用後
ラベルフィーユ7日間連続服用後
マーベロン7日間連続服用後
ファボワール7日間連続服用後
ルナベルULD(超低用量ピル)7日間連続服用後
フリウェルULD(超低用量ピル)7日間連続服用後
ヤーズフレックス(超低用量ピル)7日間連続服用後

緊急時の避妊には「アフターピル」

リスクがあった行為の後、緊急で避妊効果がほしい場合には、アフターピルを使用することができます。アフターピルは性行為前では無く、性行為後に内服する他、低用量ピルと比べて高価で、低用量ピルと比べて避妊効果が落ちる場合もあります。

そのため、アフターピルだけに避妊を頼るのは危険。「アフターピルを飲むから事前に避妊しなくてOK」という意識ではなく、あくまでもアフターピルは最終手段として考えておきましょう。

低用量ピルの副作用は?飲み始めには症状がでることも

低用量ピルは嬉しい効果だけではなく、副作用もあります。主に飲み始めの頃に症状がでる事が多く、以下の様な副作用が起こります。

  • 吐き気
  • 不正出血
  • 血栓症

飲み始めの吐き気は、我慢できる場合、もう少し飲み続けてみましょう。数ヶ月で自然とおさまる場合がほとんどです。どうしても辛い時は、市販の吐き気止めを一緒に服用しても大丈夫。

不正出血は、珍しいことではありません。2ヶ月間、飲み続けてみましょう。飲み続けることによってなくなることがほとんどとされています。

ピルを飲み始めるタイミングの、小さなトラブルは珍しいことではありません。飲み続けていれば、だんだん楽になる場合がほとんどです。ピルによる副作用を、あまり心配しすぎないでくださいね。

また血栓症が起きるのは、ピルを内服している1万人の女性のうち3~9人と、非常に特殊なケースです。ピルを内服していない女性でも1万人に1~5人起こるとされておりため、過度に心配する必要はありませんが、気になる症状があった時は注意してください。

効果を正しく発揮する低用量ピルの飲み方

低用量ピルの飲み方は、基本的に一般的な錠剤と変わりありません。一日一錠を決まった時間に口から飲んで服用します。

ピル独自のルールは以下の2つです。

  • 生理の1日目~5日目の間に飲みはじめる
  • 毎日決まった時間(いつでもOK)に連続して飲む

参考文献

Cronin M et al : Rate of pregnancy after using drospirenone and other progestin-containing oral contraceptives. Obstet Gynecol 2009; 114: 616-622

Ovarian cancer and oral contraceptives: collaborativereanalysis of data from 45 epidemiological studiesincluding 23,257 women with ovarian cancer and87,303 controls(Lancet. 2008 Jan 26;371(9609):303-14.)

Hormonal Contraceptives and Acne: A Retrospective Analysis of 2147 Patients(J Drugs Dermatol. 2016;15(6):670-674.)

日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬(OC)に関するガイドライン」

公益社団法人 日本産科婦人科学会