ECZEMA

※画像はイメージです

湿疹とは

湿疹とは、赤らみ・ブツブツ・水ぶくれ・痒みといった症状を伴う、皮膚に起こる炎症の総称のことです。乳幼児から高齢者まで幅広い年代に見られる病気であるため、馴染みのある方は多いかもしれません。しかし、湿疹の様相、炎症の原因、痒みや痛みといった症状の程度は多彩であるため、適切な判断が難しい場合もあります。症状にお困りの方、ご心配な方は、お気軽にクリニックフォアグループまでご相談下さい。

湿疹とは、赤み・ブツブツ・水ぶくれ・痒みといった症状を伴う、皮膚に起こる炎症の総称です。乳幼児から高齢者まで幅広い年代に見られる病気であるため、馴染みのある方は多いかもしれません。しかし、軽く考えるのは禁物です。

湿疹の様相、炎症の原因、痒みや痛みといった症状や、その程度も多彩であるため、適切な判断が難しい場合もあります。症状を改善するためにも、湿疹について正しく知っておきましょう。

湿疹とはどんな症状?

湿疹の主な症状は、痒みや赤みを伴う発疹です。直径10mm未満の隆起を伴う発疹(丘疹)や、隆起の頂点に小さな水泡が見られることもあります。水ぶくれが膿を持った膿疱や、ただれてかさぶたになることもあります。

痒みが強いのも特徴です。掻くことでさらに痒みが強くなり、さらに搔いてしまうという悪循環に陥るケースも珍しくありません。掻き崩したところに傷がついて化膿したり、跡が残ったりする恐れも。

また、同じところを繰り返し掻いていると、皮膚のごわつきや色素沈着にもつながります。

蕁麻疹との違いは?

蕁麻疹は、湿疹と似た症状が現れる皮膚疾患です。

痒みを伴う発疹という症状から湿疹と混同されがちですが、蕁麻疹の場合数時間から1日程度で消えてしまいます。発疹→消退を繰り返すのも特徴です。跡も全く残りません。また、蕁麻疹の発疹の形状は、蚊に刺されたようなものから手の平大までさまざまです。

一方、湿疹は表面がカサカサしたりジュクジュクしたりすることもあり、だんだん症状が悪化するという特徴があります。慢性化すると皮膚が分厚くごわついたり、跡が残ったりするのも、蕁麻疹と異なる点です。

また、症状が現れる範囲にも違いがあります。蕁麻疹は症状が体の広範囲に及ぶ傾向がありますが、湿疹は基本的に刺激物が触れた部位にしかできません。

急性湿疹と慢性湿疹

湿疹は症状の持続期間によって、急性と慢性に分けられます。それぞれの症状や、急性から慢性に移行する目安を見ていきましょう。

急性湿疹

症状が表れてから数時間~数日間しか経過していない湿疹を急性湿疹と呼びます。

急性期においては、以下のような症状が混在します。

まず、痒みを伴う小さな赤いブツブツが生じます。痒みが酷いため、湿疹部位を掻きむしって水ぶくれになったり、掻いた傷から細菌や真菌に感染して痛みや発熱、膿を生じたりすることもあります。さらに悪化すると、水ぶくれが破れて、皮膚がただれたり、潰瘍になってかさぶたができたりする恐れも。また、痒みのあまり掻いてかさぶたを無理に剥がしてしまうと、皮膚のただれや潰瘍が悪化することがあります。

急性湿疹は通常、原因と考えられるものを避ければ軽快することがほとんどです。しかし、我慢を続けたり、症状を放置したりしておくと、慢性化する恐れがあります。

慢性湿疹

慢性湿疹は、湿疹の症状が数日以上続いているものです。

急性期の症状を一部残しつつ、皮膚が分厚くごわごわと盛り上がった状態(苔癬化)になったり、赤黒い色素が残ったり(色素沈着)、逆に脱色して皮膚が白くなったりします。

慢性湿疹は急性湿疹に比べて治療に時間がかかる傾向があります。湿疹の症状がなかなか治まらないときは、放置せず皮膚科を受診するなど、速やかに対処することが大切です。

湿疹の原因は?

湿疹の原因には、金属やハウスダスト、花粉、細菌、薬剤といった外的要因と、健康状態や皮膚の状態、体質やアトピー素因といった内的要因の2種類があります。これらが互いに影響を及ぼし合うことで、多様な症状を引き起こします。

たとえば皮膚の乾燥です。健康な皮膚には適度な油分と水分があり、皮脂膜を形成して外的刺激から保護しています。しかし、乾燥によって水分が不足すると、皮脂バランスが崩れて刺激を受けやすくなります。その結果、乾燥による湿疹だけでなく、花粉やハウスダストなどの外的要因で湿疹が表れるリスクが高まるのです。

湿疹の種類

一口に湿疹といっても、原因や症状は多岐にわたります。自分の湿疹が何から起きているのか、分からない方も多いでしょう。ここでは、主な湿疹を種類別に紹介します。

病因による分類

一般的に湿疹と呼ばれる症状の原因として多く見られるのがアレルギーです。では、どのようなものに対してアレルギーが起こるのでしょうか?

接触皮膚炎

ニッケルなどの金属、植物、食物、化粧品といった物質に触れることによって、アレルギー反応が起こって生じる湿疹のことです。特に金属に対するアレルギーの場合は、金属アレルギーとされます。

金属アレルギー(接触皮膚炎)について詳しくはこちら

接触皮膚炎の起こり方は原因によってさまざま。接触後数分以内に症状が現れる、原因となる物質に繰り返し触れることであるとき突然起こるなどです。

また、通常、症状は原因となるものが接触した部位に限定されますが、症状が全身に及ぶものもあります。その場合は、全身性接触皮膚炎・接触皮膚炎症候群と呼ばれます。

アトピー性皮膚炎

アレルギー性の喘息や鼻炎、皮膚炎といったアトピー素因を持つ人に起こる湿疹のことです。

アトピー性皮膚炎について詳しくはこちら

アトピー性皮膚炎の特徴は、左右対称に湿疹が表れ、増悪と寛解を繰り返すことです。多くは乳幼児期に発症し、成長とともに治まってくる傾向がありますが、症状が長引くケースも見られます。また、乳幼児期に起こらなければ安心というわけでもありません。成人してから急に発症することもあります。

アトピー性皮膚炎の人の特徴として、乾燥肌があります。乾燥によって皮膚のバリア機能が低下し、刺激を受けやすくなる、更に湿疹やかゆみが見られやすくなります。

患部を掻きむしって症状が悪化する人も少なくありません。かさぶたや皮むけ、皮膚の肥厚化などにつながるため、適切な治療をすることが大切です。

脂漏性湿疹

頭皮や眉毛、鼻、耳の周囲、脇の下などの皮脂腺が多い部位で皮脂が過剰に分泌される結果、皮膚の常在菌が増殖することで生じる慢性の湿疹のことです。

主な症状は、黄色く脂っぽい皮膚のクズ(頭皮の場合はフケ)が出ることです。湿疹に伴う痒みは、比較的少ないとされていますが、個人差があります。

脂漏性湿疹の原因は、過剰な皮脂分泌のほか、皮膚の常在菌の一種であるマラセチアや遺伝の影響も考えられます。

皮脂欠乏性湿疹

皮脂欠乏性湿疹は、乾皮症(乾燥肌)の一種です。脂漏性湿疹とは逆に、皮脂不足によって水分が保持できず、皮膚が乾燥することで起こります。

主な症状は痒み、鱗屑や落屑(角質が小さく剥がれ、脱落する)などです。悪化すると鱗屑が大きくなったり、皮膚に亀裂が入ったりすることもあります。

乾燥しやすい冬場や皮脂分泌が少ない高齢者に多く見られますが、子どもや若い人にも見られます。洗浄力の強い石けんやボディソープが原因になることも少なくありません。汚れと一緒に皮膚に必要な皮脂まで落としてしまうためです。

汗疱

汗疱は手の平や足の裏にできる湿疹の一種です。手足に汗をかきやすい人や夏季に多く、異汗性湿疹とも呼ばれます。

主な症状は痒みや水ぶくれなどです。水虫と症状が似ているため、診断や治療が難しいとされるだけでなく、両方の症状が交互・同時に現れるケースもあります。

汗疹(あせも)

汗疹はいわゆる「あせも」です。汗を皮膚の表面に送る導管が詰まることで起こり、ひりつきや痒み、発疹を伴います。ただし、導管が詰まった位置の深さによって症状は異なります。

あせもができやすいのは、皮膚同士が接触する脇の下や内ももなどです。特に汗をかきやすい人や、座りっぱなしなど同じ態勢をとり続けることが多い人は注意しましょう。

うっ滞性皮膚炎

下肢(膝より下の部分)がうっ血する(静脈の血流が滞る)ことで起こる慢性湿疹です。原因として、慢性静脈不全や右心不全、リンパ浮腫などの慢性的なむくみのほか、長時間の立ち仕事や肥満による下肢への負担、遺伝などが挙げられます。

うっ滞性皮膚炎の主な症状は、痒みや鱗屑、色素沈着などです。重症化するとただれて潰瘍になることもあります。

部位による分類

湿疹は発症する部位や条件によっても分類できます。ここでは特によく知られているものを見ていきましょう。

手湿疹

洗剤などを用いた水仕事を頻繁に行っている場合に生じる、いわゆる手荒れのことです。接触皮膚炎の一種ですが、特に主婦に多いことから「主婦湿疹」とも呼ばれています。感染予防のための過度の手洗いや、アルコール消毒も原因の一つです。

手の平には皮脂腺がありません。そこで皮膚は角質層を厚くすることで刺激から守ろうとします。しかし、繰り返し刺激にさらされると角質層もダメージを受け、乾燥や痒みが起こるのです。手湿疹が慢性化・悪化するとひび割れや、皮膚が厚くなるなどの症状も見られます。

また、洗剤などの化学物質に反応して起こるアレルギー性の場合、赤みや水ぶくれ、痒みが強い傾向があります。

おむつ皮膚炎

乳児や高齢者のおむつ装着部位に一致して生じる接触皮膚炎の一種です。そのため「おむつかぶれ」とも呼ばれます。皮膚が赤くなったり、ただれたりするのが主な症状です。

おむつ皮膚炎は、尿や便の汚れや蒸れたおむつを長時間装着していること、おむつ自体の擦れなどの刺激が原因で起こります。排泄後だけでなく、一定時間使用したらおむつを交換するなど、清潔を心がけることで改善が期待できるでしょう。

ただし、おむつ皮膚炎を起こしている部位は刺激に弱くなっています。汚れは優しく拭き取るかぬるま湯で洗い流し、保湿剤や外用薬などを症状に合わせて使いましょう。おむつのサイズや通気性など、使う人に合ったものを選ぶことも大切です。

舌なめずり皮膚炎

口や唇の乾燥に対して舌で舐めることによって生じる湿疹です。「なめ回し皮膚炎」「口なめ病」ともいいます。子どもに多く見られる湿疹の一つです。口の周りが赤くなったり、ただれて痛みを伴ったりすることもあります。

冬など空気が乾燥する時期は、皮膚の水分や油分も不足しがちになります。特に唇は皮脂腺がなく乾燥しやすい部位です。水分を補おうと無意識になめてしまう人も多いでしょう。しかし、唾液で一時的に潤っても、唇はすぐに乾いてしまいます。その結果また乾燥が気になってなめてしまう……という悪循環に陥ってしまうのです。

また、舌でなめ回す行為自体も刺激になります。乾燥が気になるときはリップクリームや保湿剤を使う、意識して水分を摂るようにするなど予防を心がけましょう。

症状の特徴による分類

湿疹は形状もさまざまです。湿疹の中でも、特徴的な形状によって分類されるものを紹介します。

貨幣状湿疹

貨幣(コイン)のような境界のはっきりした類円形の湿疹が特徴です。赤みや痒み、角質層がウロコのようにポロポロ剥がれ落ちる鱗屑などを伴います。湿疹の大きさやできる数はさまざまです。ただし、痒みが強いため、掻きむしって悪化させたり、いくつかの貨幣状湿疹がくっついて、大きくなったりすることもあります。

貨幣状湿疹の原因ははっきりと分かっていません。しかし、乾燥や接触皮膚炎、アレルギーの影響が大きいと考えられています。

ビダール苔癬

衣類による摩擦や金属アレルギーが原因となって、首の後ろや陰部、わきの下などに起こる慢性の湿疹のことです。慢性単純性苔癬とも呼ばれ、中年女性に好発します。強い痒みがあり、繰り返し掻くことで湿疹部位の皮膚が分厚くなる(苔癬化)のが特徴です。また、患部に色素沈着や色素脱失を伴うこともあります。

特にアトピー性皮膚炎のある人は痒みからビダール苔癬につながりやすいため、注意が必要です。

湿疹の対処方法【セルフケア】

湿疹の症状改善や予防には、日頃のセルフケアが大切です。特別なことは必要ありません。毎日の生活習慣やスキンケアなど、すぐに取り入れられるポイントを紹介しますので、自分の生活と照らし合わせて、できることから始めてみてくださいね。

生活習慣を見直す

湿疹はストレスで発症したり、症状がひどくなったりすることがあります。その結果、痒みや赤み、皮膚の状態などがさらにストレスになり、ますます症状が悪化するといった悪循環を招くケースは珍しくありません。

不規則な生活や偏った食事、睡眠不足など自分の生活習慣を見直し、規則正しい生活を心がけましょう。自分なりのストレス解消法を見つけておくのもおすすめです。

注意したいのが入浴です。熱すぎるお風呂や洗浄力の強い石けん・ボディソープ、ゴシゴシ洗いは、皮膚に必要な皮脂まで取り除いてしまう恐れがあります。乾燥や痒みがひどくなる原因にもなりかねません。湯温は38~40度程度にし、優しく洗うようにしましょう。

保湿剤を使う

入浴後の水分を含んだ皮膚は、刺激を受けやすい状態です。水気をタオルで押さえるように拭き取ったら、すぐに保湿しましょう。適度な水分と油分を補う保湿剤を使うことで、皮膚の潤いをキープするだけでなく、バリア機能も高められます。

ただし、保湿剤はたくさん使えばその分効果が高くなるというわけではありません。また、少なすぎると皮膚を必要以上に擦ってしまう恐れがあります。皮膚がしっとりするぐらいが適量です。

保湿剤を塗るときは、指先や手の平全体を使って優しく伸ばします。乾燥が気になるからと、何度も擦り込むのは皮膚への刺激になるため避けましょう。

刺激を避ける

接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎の湿疹は、まず原因となるものに触れないようにすることが大切です。アクセサリーはつけない、花粉やハウスダストなどを家の中に持ち込まないなど、生活環境も見直すとよいでしょう。

湿疹ができている部位を掻きむしるのは厳禁です。刺激になるだけでなく、悪化したり傷がついて化膿したりする恐れもあります。患部を冷やす、市販のかゆみ止めを使うなど、掻かない工夫が必要です。爪も短く切っておきます。市販薬を使うときは、必ず薬剤師や医薬品登録販売者に相談して、適切なものを選んでもらうと安心です。

湿疹の対処方法【皮膚科を受診する】

症状がなかなか治まらないときや、市販薬で改善が見られないときは、皮膚科を受診しましょう。症状の改善はもちろん、湿疹の原因を知ることもできます。

クリニックフォアでも、湿疹の治療を行っています。

まず問診によって、発症した部位や状況、原因、症状などについて詳しくお伺いします。また、湿疹部位の色や形といった性状を診察します。その上で、アレルギーが原因の可能性が高いと判断された場合には、アレルギー検査が行われます。

アレルギー検査について詳しくはこちら

また、その他内科の病気が原因として疑われる場合には、血液検査を行うこともあります。

湿疹の治療法

原因を問わず、湿疹の治療には基本的にステロイドが使われます。

ステロイドは副腎皮質ホルモンの一種です。抗炎症作用や免疫抑制作用があるため、湿疹などの皮膚疾患を始め、さまざまな疾患の治療に用いられています。

一般的には、軽度で局所的な湿疹の場合には、ステロイドの塗り薬で対応されると多いでしょう。しかし、全身に湿疹が現れるような場合には、ステロイドの内服薬を併用することもあります。

また、細菌や真菌の感染を起こしている場合には、抗菌薬や抗真菌薬の塗り薬、飲み薬が使用されます。

かゆみに対しては、基本的に抗ヒスタミン薬の内服で対応します。

抗ヒスタミン薬は、アレルギー症状の原因となる神経伝達物質・ヒスタミンの働きを抑えるお薬です。抗ヒスタミン薬には第一世代と第二世代がありますが、皮膚疾患の治療には副作用が少なく、長期間の使用が可能な第二世代抗ヒスタミン薬が主に用いられます。

湿疹のお悩みはクリニックフォアの皮膚科対面診療へ

クリニックフォアでは、皮膚科対面診療で湿疹の治療を行っています。湿疹は、すぐに命に直結する病気ではないものの、痒みで夜が眠れないなど、症状の程度によっては日々の生活の質を大きく下げてしまうこともあります。また、湿疹の様相や痒みや痛みといった症状の程度は多彩であるため、適切な判断が難しい場合も少なくありません。症状にお困りの方、ご心配な方は、クリニックフォアグループまでご相談下さい。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。

CLINIC LIST