クリニックフォアにおけるアレルギー検査について
『花粉症』『アトピー性皮膚炎』『アレルギー性鼻炎』等、近年、我々の社会において、アレルギー疾患は現代病とも言うべき広がりを見せています。多くの方が、アレルギーを持っている、と言っても、何が原因物質で、そのアレルギー症状が発生しているのか把握されている方は少ないのではないでしょうか?
近年の技術の発達により、少量の血液でアレルギーの原因(アレルゲン)を調べることのできるアレルギー検査が可能になりました。この検査は食物アレルゲン20種(ミルク、エビ、そばなど)、花粉アレルゲン8種(スギ、ヨモギ、ブタクサなど)、環境アレルゲン4種(ハウスダスト、ダニなど)、その他のアレルゲン4種を一度に調べることができます(詳細は下記をご確認ください)。
当院でも、こちらのアレルギー検査を導入しており、ご来院いただいたその日に診察を行い、検査を行うことができます。
(検査会社に抗体の特殊検査依頼をしますので、結果が出るのには最大7日間程度かかります。これはどこのクリニックに受診しても同じです)
保険適用もあり、3割負担の方は本検査の自己負担額は約5,000円〜となっています。その他に、診察料や薬剤処方の料金も加わり、合計7,000円程度となります。
また、保険で検査を実施できない場合、ご希望があれば、自費でアレルギー検査を行うことも可能です。
その場合、約40項目のセットで検査を行う場合は、検査料15,000円、初診料3,500円、合計18,500円(税抜き)で実施いたします。
個別のアレルゲン検査を特定して実施をご希望される方は、下記のアレルゲン一覧表をご確認ください。
アレルゲン一覧表
ご自身のアレルギーの原因を知ることで、具体的な対策を取り、アレルギーの悪化を防ぐことができるようになります。アレルギー検査を受けて、アレルギー症状から開放され、快適な日常生活を取り戻しませんか?
アレルギー検査の結果はいつ、どうやってわかりますか?
検査結果は、採血から7日程で結果がクリニックに到着いたします。保険診療で行う場合、結果説明も再診が必要とされ、メールや電話・郵送等で結果報告は基本的にできません。 ご都合の良いときに、医師の診察を受診していただき、結果のご説明をさせていただきます。 LINEでアレルギー検査の結果の確認ができますが、自己解釈をせずに必ず再度受診の上で医師から説明を受けてください。
アレルギー検査が必要になるのはどのような疾患の患者さんでしょうか?
アレルギー疾患、例えば、アトピー性皮膚炎や、気管支喘息、アレルギー性鼻炎(花粉症)等に罹患されている患者さんが対象となります。これらの患者さんがこの検査を受けることで、アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)の特定に繋がります。
特に、問診上、アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)を明確に特定できず、かつ、IgEという物質が血中にたくさんある患者さんが、この検査の非常に良い対象患者さんとなります。
アレルギー疾患とはどのような疾患でしょうか?
アレルギー性疾患には食物アレルギーや動物アレルギー、アレルギー性鼻炎や花粉症など様々で、その総称がアレルギーです。
アレルギーは万人に備わっている免疫という、本来病原体から私たちの体を守っている仕組みが、病原体でない、動物の毛や花粉、ハウスダストといった異物に過剰に反応してしまうことによりおきます。
その点で菌やウイルスが原因となる風邪やインフルエンザなどとは異なります。
どんな症状がでるのでしょうか?
アレルギーと一言で言っても症状は様々です。
食物アレルギーでは軽いものだと蕁麻疹ができたり目が充血する程度ですが、重いものだとアナフィラキシーショックに陥り、呼吸困難などにより死に至ることもあります。蜂に刺されて亡くなられる事故が時々起こりますが、これはアナフィラキシーショックによるものです。
何が原因でおきるのでしょうか?
上述のように人間の体には免疫機能という、体内に入り込んでしまった異物を排除する機能が備わっているのですが、それが過剰に反応してしまうことで症状が起きます。そのメカニズムについて詳しく説明します。
まず、目や鼻、食道などの粘膜からアレルギーの原因となる物質、アレルゲンが体内に入ると、体内にそのアレルゲンと反応する抗体というものを作り出し、次に入り込んできた時に対応する準備をします。
そして抗体ができた後に再びアレルゲンが入り込んでくると、目や鼻の粘膜にある肥満細胞という細胞の抗体が花粉を受容して、肥満細胞はヒスタミンという化学物質を分泌し、それによりアレルゲンを体内から外へ放出しようとし、その結果鼻水が分泌されて洗い流そうとしたり、くしゃみにより外に出そうとしたりします。
ただ、ヒスタミンによって炎症が強くなってしまうと鼻や食道の粘膜が腫れてしまい、鼻づまりになったりそれが目の粘膜で起こると充血してしまったりします。
一般的にはどのような経過をたどるのでしょうか?
一般に、アレルギーは一度発症してしまうと治ることはありません。ただ、アレルギーは自らの免疫応答が原因であるため、加齢により免疫機能が落ちてくると症状が軽くなるとも言われています。
診断はどんな方法で行うのでしょうか?
そこで、アレルギーをお持ちの方は何がアレルゲンかを認識することが肝心となってきます。アレルゲンが何か分かればそれと接触しないように生活していれば症状は起きないからです。
アレルギー検査には粘膜の顕微鏡検査や皮膚反応検査など多くの種類がありますが、複数のアレルゲンについて包括的に検査できるのは血液検査です。
検査機関によって検査できるアレルゲンの種類や数は様々なので検査を受ける前に確認することは必要ですが、当院で導入している検査のように、30種類以上のアレルゲンについて一度の採血で調べられる検査もあります。
アレルギー疾患の治療はどのようなことをするのでしょうか?
治療としては、ヒスタミンの受容体をブロックする薬の服用、ステロイド薬によりにより直接炎症を抑える、といった方法があります。
他にも部屋を綺麗に掃除する、マスクを着用する、アレルギーの原因が疑われる食べ物を避けるといったことによりアレルゲンそのものへの曝露を減らして症状を抑えたり抗体を減らすことでまだアレルギーでない人が将来アレルギーになるのを先延ばしにしたりすることもできます。
どんなときに医療機関を受診すべきでしょうか?
風邪のような一過性のものではなく、慢性的に症状がある、また特定の時期や場所に行くと発症するといった方はアレルギーである可能性が高いので病院で検査を受けることをお勧めします。弊院で行える検査では、花粉・カビ・ダニ・食物など数百アレルゲン候補に対する検査が行えます。保険診療が3割負担の方は1項目あたり330円で13項目までお調べできます。
便利なセット検査、MAST36
アレルゲンの特定ができていない方や、一度に多くのアレルゲン候補に対して検査をされたい方はMast36と呼ばれるセット検査がおすすめです。この検査は、特に日本人がアレルギー反応を示す割合が多い抗原36種類の検査が一度で可能です。3割負担で7,000~8,000円ほど(初診料込)で検査可能ですので、ご希望の方はぜひオンラインから受診をご予約ください。
MAST36の結果の解釈
当院で実施させていただいた血液アレルギー検査(Mast36)については、医師の診察の上、解釈をきちんとご説明させていただきますが、一般論としての解釈を以下にまとめさせていただきます。
アレルギー検査をご希望の方はご確認の上、医師にご相談ください。
非特異的IgEについて
血液中のIgEという物質の総量を測定しています。
IgE抗体は、即時型アレルギーを起こすのに重要な物質と考えられており、食物アレルギーや、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎でのかゆみや、喘息発作等に関与すると考えられています
例えば、アトピー性皮膚炎や気管支喘息の方は、非特異的IgEが2000-6000まで上昇することも稀ではありません。
特異的IgEについて
スギ、ダニ、カニ、ミルク、等、特定の物質に対するIgE抗体の量を測定しています。
測定結果は、検査会社の方で、わかりやすいよう、クラス0~6まで7段階(6が最もアレルギーが強いということです)で示す方法がとられています。値が高い方がその特異的IgEの量が多いことを示しています。
- クラス0は陰性
- クラス1は偽陽性
- クラス2以上が陽性(6が最も強い陽性となります)
この検査では血液中の特異的IgEを測定しているため、特異的IgEの値が高いからと言って必ずしも症状と相関しないことがあります。特に、食物アレルゲンでは、特異IgE抗体がある程度高くても、その物質を摂取しても症状がでないことがあります
血液検査結果を踏まえた、アレルギー疾患の治療について
アレルギー疾患の治療の基本は、①原因となるアレルゲンを回避すること、②症状軽減のための薬物療法を実施していただくことです。それに加えて、敢えてアレルゲンと接触していく③免疫療法というものがあります。
①アレルゲンの回避:
アレルギー陽性となった物質に関しては、できる限り回避してください(食べない、触れない等)ことが重要です。ただし、世の中全ての物質に対して検査を行えているわけではありませんので、経験的にアレルギーを起こすような物質があればできる限り避けるようにしてください
②抗アレルギー薬の内服:
アレルギーの症状は、ヒスタミンやロイコトリエンという物質により生じることがわかっています。そのため、このような物質を抑える薬物(抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬)を内服してもらうことが治療の一つになります。アレグラ、ビラノア、アレロック、等の薬剤です。
③免疫療法:
原因アレルゲンが特定できたら、そのアレルゲンを低濃度から計画的に摂取していく治療方法です。まだ、ダニ、スギ花粉でしか実施できませんが、当院でも導入しておりますので、ご希望の方は医師にご相談ください。日本ではスギ花粉症に対して有効率は約80%という成績が報告されています。
- スギ花粉症(シダキュア)
花粉が飛んでいる時期は治療を開始できず、毎年6月〜11月末の間に新規治療を受け付けています - ダニアレルギー(ミティキュア)
ご希望があれば、通年で治療を開始できます
更にアレルギーの検査をご希望の方へ
血中アレルギー検査、つまり、血中IgEを調べる検査は簡便であり、現在、日本では最も多く用いられています。ただ、この検査でご自身のアレルギーの全てが分かるわけではありません。他にも、パッチテスト・スクラッチテスト・吸入試験・負荷試験・IgG検査等の検査があります。
更に、アレルギーの検査を行いたい方は、医師にご相談ください。当院では実施していない検査については、専門病院のご紹介をさせていただきます。
遅発型アレルギー反応を見る検査がパッチテストです。皮膚表面に、アレルゲンエキスのついたシールを貼りつけ、約1週間程度まで観察する検査です(クリニックフォアでは対応しておりません)。
現在、血中IgGを調べる検査(遅延性食物アレルギー検査、アレルチェック)を自費で行っているクリニックがあります。ただし、この検査は、簡便ではあるものの、発展途上の技術であり、その有用性について医学的には結論は出ておりません。むしろ、日本アレルギー学会、北米、ヨーロッパのアレルギー学会といった各学会では、推奨されていない現状があります。
大変恐れ入りますが、現在、金属アレルギー検査・パッチテストはクリニックフォアグループでは実施しておりません。金属アレルギー検査(・パッチテスト)をご希望の方は、国際医療福祉大学三田病院をご紹介させていただきます。