生活習慣病についてのコラムです。 参考文献:1996年12月17 日公衆衛生審議会意見具申
生活習慣病って?
昔、昭和30年代に成人病という概念が世間では言われていましたがこれは医学用語ではありません。「主として脳卒中、がん、心臓病など40歳前後から死亡率が高くなり、40-60歳の働き盛りに多い病気」という意味で成人病は使われていましたが、これは、「年齢がたてば仕方ない」というニュアンスを含んでしまっていました。
しかし上記の疾患には生活習慣が大きく関わっていることがわかっていて、それを国民に認知させたいという意味で、「生活習慣病」という名前で呼ぶことになったのです。
どんな生活習慣のことをさすの?
ブレスローの7つの健康習慣を例としてあげています。
- 適正な睡眠時間
- 喫煙をしない
- 適正体重を維持する
- 過度の飲酒をしない
- 定期的にかなり激しいスポーツをする
- 朝食を毎日食べる
- 間食をしない
生活習慣病は昔からあった?
もっともっと昔には、糖尿病などの生活習慣病は富裕層の象徴でした。最初の糖尿病患者は藤原道長です。また、戦争や感染症で人が死んでいったりしたため、平均寿命も短く、生活習慣病は一般のわれわれの病気ではなかったのです。それがワクチンや衛生環境が整ってきた今、平均寿命が上がり、今までなかった糖尿病をはじめとする生活習慣病やアレルギーなどの病気が出てきたと言われています。
生活習慣病とは具体的にどんな病気?
関連性が強いと言われている疾患を列挙します。
食生活に関連するもの
2型糖尿病、肥満、脂質異常症(家族性のものを除く)、高尿酸血症、循環器病(先天性のものを除く)、大腸癌(家族性のものを除く)、歯周病
運動習慣に関連するもの
2型糖尿病、肥満、脂質異常症(家族性のものを除く)、高血圧
喫煙に関連するもの
肺の扁平上皮癌、循環器病(先天性のものを除く)、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病
生活習慣病の予防には何をしたいいの?
先ほどのブレスローの7つの健康習慣を上げてみると、
睡眠は7-8時間、喫煙はせず、適正体重を維持して、飲酒は軽めで、1日アルコール7g程度。激しいスポーツもそうですが、1日30分の運動を週5回以上、朝食は食べる(人により意見はありますが)、間食をしないと言うのがベストな生活習慣かと思います。これをパーフェクトにやるのは難しいと思う人は、1つでも取り入れてみたら良いかもしれません。
生活習慣病の問題点
「生活習慣病」という言葉の問題点としては「生活習慣を守っていないから病気になる」と言う本人責任型の印象が強くなることです。糖尿病や高血圧も家族歴によってどんなに規則正しく生活していてもなる場合がありますので、そのような「生活習慣病は怠惰の象徴」という、差別をなくしていく必要があります。また、本人だけでなく、周囲のサポートが重要です。周りの力を借りながら、生活習慣をより良いものにしていく必要があると考えます。