頭部の帯状疱疹の症状
続いて、頭部の帯状疱疹の症状について見ていきましょう。
体内に潜伏していたウイルスは、再活性化すると神経を伝わって皮膚にいたるので、神経に沿って帯状に赤い発疹が出ます。発症部位にかかわらず、体の左右どちらかに症状が出るというのも特徴です。
皮膚と神経でウイルスによる炎症が起こっているため、痛みも伴います。ただ、頭部の激しい痛みは、皮膚の痛みではなく頭痛と勘違いしてしまうこともあるため注意しましょう。触るだけで痛みを感じたり、感覚が鈍ったりするといった症状が現れることもあります。
また、首から上に発症すると、肩から首にかけて激しい痛みが生じることがあり、腕が上げられなくなることもあります。
さらに、目の周りにできる「眼部帯状疱疹」は、結膜炎や角膜炎などの合併症を生じ、最悪の場合失明することもあり、特に注意が必要とされています。その他にも、顔周辺の帯状疱疹は、顔面麻痺や難聴につながることもあるため、早めに適切な治療を受けることが大事です。
症状は徐々に移り変わる
一般に、帯状疱疹の症状は徐々に移り変わることが多いです。
まず始めにチクチクやピリピリ、しびれるような感じの痛みや、かゆみ、違和感が患部に生じます。この際、焼けるような痛みや、締め付けられるような痛みを感じることもあります。
このような痛みや違和感が出てから数日すると、赤い発疹ができ始め、帯状に広がっていきます。しばらくすると、発疹が水ぶくれに変化し、このときに発熱やリンパの腫れを伴うこともあります。
なお、水ぶくれは最初は数ミリ程度ですが、徐々に大きく、数も増えていくことが一般的です。水ぶくれが血液を含んで黒っぽくなったり、膿を持つこともあります。
そして、水ぶくれができると、その後1週間程で水ぶくれがやぶれてかさぶたになり、皮膚症状はトータル2~4週間ほどでおさまっていきます。
後遺症が残ることもある
皮膚症状が治まった後も、傷跡や色素沈着が残ることがあります。また、重大な後遺症として、帯状疱疹後神経痛(PHN)が挙げられます。
これは、ウイルスによって神経が傷つき、神経の興奮や痛みを抑える部分が障害されることで、治った後も痛みが続くというものです。
皮膚症状が出てから90日以上経過しても、約20%の患者に痛みが持続し、50歳以上では5人に1人がPHNを発症したというデータもあります。
ただ、PHNに根本的な治療法はなく、対処療法で痛みを抑えることになります。治療が長期にわたることも多いです。
(参考)https://gskpro.com/ja-jp/disease-info/shingles/phn/
脳炎・髄膜炎が生じることも
脳炎は脳内の炎症、髄膜炎は髄膜(頭蓋骨と脳の間にある膜)が炎症するものです。いずれも細菌やウイルスの感染によって生じることがあり、帯状疱疹がきっかけでなることもあると考えられています。
症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 発熱
- 頭痛
- 意識障害
- 異常行動
- けいれん
脳炎や髄膜炎になると、死亡したり、後遺症が残ることもあります。
頭部の帯状疱疹で薄毛になる?
頭部の帯状疱疹では、髪の毛への影響も気になるでしょう。結論としては、帯状疱疹自体が抜け毛や薄毛を引き起こすことはないと言えます。
しかし、治療薬の副作用で抜け毛が生じることがあります。特に、アシクロビルという成分を有効成分とする「ゾビラックス」という抗ウイルス薬で抜け毛が生じることがあるとされています。
ただ、お薬の副作用による抜け毛は、お薬をやめれば改善されることが一般的です。
頭部の帯状疱疹の原因
続いて、頭部の帯状疱疹の原因について見ていきましょう。発症部位にかかわらず、帯状疱疹の大きな原因は免疫力の低下であり、それによって潜伏していたウイルスが再活性化することです。
免疫力低下の原因は、疲れ、ストレス、加齢、がん、免疫を抑えるお薬の使用などが挙げられます。
一度感染したウイルスは神経節内(神経細胞体が集合している部分)に潜伏しており、再活性化すると知覚神経を伝わって皮膚にいたり、皮膚で感染・増殖して発症します。
帯状疱疹に似ている病気もある?
頭に帯状疱疹のような症状が出ていても、実際には帯状疱疹ではない病気の可能性もあります。具体的にどのような病気が考えられるのか、詳しく見ていきましょう。
接触皮膚炎(かぶれ)
一般的に「かぶれ」と呼ばれる皮膚炎で、特定の物質が肌に触れることで発症します。皮膚が赤くなったり、痒みを伴ったりするのが特徴。場合によっては、水ぶくれになることもあるので、帯状疱疹と勘違いしてしまうケースもあるでしょう。
ただし、接触皮膚炎はアレルギー反応によるものなので、ウイルスが原因となる帯状疱疹とは大きく異なります。
症状を改善するには、まずはその部分をよく洗い流します。かゆみや炎症を抑えるために、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬などを用いる場合もあります。また、今後、接触皮膚炎の発症を予防するためにも、原因となる物質を特定し、その物質に触れないようにすることも重要です。
脂漏性皮膚炎
皮脂腺が多い部分の皮がむけたり、湿疹やかゆみが出る病気です。大きめのフケが頭皮に発生することもあります。皮脂の分泌が盛んな部位に起きるものなので、頭皮以外に、顔面や耳の後ろ、脇の下や背中部分などに発生することもあります。
ひどくなるとはがれかけた皮膚がこびりついて赤い湿疹が出てくることがあり、帯状疱疹に間違えられやすい病気のひとつです。ただし、帯状疱疹のような痛みはありません。
なお、主な原因は過剰な皮脂によるカビ(マラセチア)の増殖なので、治療には抗真菌薬が用いられることが多いです。さらに、かゆみや炎症を抑えるために、ステロイド薬も処方されるのが一般的です。皮脂汚れをこまめに洗い流したり、過剰な皮脂分泌を防ぐために食生活を改善したりすることも大切です。
毛嚢炎
毛嚢炎(もうのうえん)とは、毛根部分が炎症を起こす病気で、毛穴のあたりが赤くなったり、膿をもつ数ミリの小さなブツブツができるのが特徴です。痛みを感じることも多く、症状がひどくなると熱を帯びることもあります。一般的な「おでき」や「ニキビ」も毛嚢炎の一種です。
ただ、体の左右どちらかに症状が出る帯状疱疹とは違い、毛嚢炎は頭部や顔面、全身のどこにでもできる可能性があります。皮膚を清潔にしていれば自然に治ることがほとんどですが、皮膚科では抗菌剤が処方されることが多いです。ひどくなった場合は切開して、膿を出すケースもあります。
頭部の帯状疱疹が発症しやすい人
部位にかかわらず、帯状疱疹は以下のようなケースで発症しやすいとされています。
- 50歳以上
- 疲れやストレスがたまっている
- 生活習慣が過度に乱れている
- がんを発症している
- 免疫を抑えるお薬を使っている
帯状疱疹は50歳以上になると発症率が上がり、ピークは70代だとされています。
(参考)https://taijouhoushin.jp/reason
頭部の帯状疱疹の対処法・注意点
頭部に帯状疱疹が発症したら、まずは早めに治療を受けることが大事です。自己判断でむやみに市販薬を使うことは避け、生活習慣の見直しや、頭部に刺激を与えないようにすることも心がけましょう。詳しくは以下の通りです。
早めに治療を受ける
帯状疱疹を放置すると、顔面麻痺、難聴、失明、脳炎や髄膜炎などにつながることもあります。自然治癒することもありますが、重症化予防のため、早めに治療を受けるとよいでしょう。
治療では主に抗ウイルス薬を使い、痛みが強いときは鎮痛剤が処方されることもあります。
皮膚科で治療を受けることが一般的ですが、後遺症(PHN)の場合はペインクリニックの受診も選択肢のひとつです。
市販薬の使用は慎重に
痛みやかゆみが強い場合、市販薬で対処したくなることもあるでしょう。しかし、帯状疱疹の治療薬は抗ウイルス薬であり、痛み止めやかゆみ止めは単なる対症療法です。市販の痛み止めやかゆみ止めで帯状疱疹が治るわけではありません。効果がないだけならまだしも、悪化する恐れもあるため注意しましょう。
市販薬を使いたいときは、まず医療機関で治療を受け、市販薬を使ってもよいか医師に確認してからにしてください。
十分な食事・睡眠を心がける
帯状疱疹を発症しているということは、免疫力が下がっている状態だと言えます。重症化や再発を防ぐためにも、十分に栄養、休息をとって免疫力を回復させることが大事です。
シャンプー・ブラッシングは控える
シャンプーやブラッシングで刺激すると、痛みがひどくなったり、水ぶくれの治りが悪くなったりする恐れがあります。しばらくはシャンプーやブラッシングは控えたほうがよいでしょう。
患部をいじらない
患部をかいたりかさぶたを取ったりすると、痛みなどの症状が悪化したり、跡が残ってしまったりすることがあります。気になるかもしれませんが、患部はいじらずそっとしておきましょう。
痛みが強いときは温める
温めると血行がよくなって痛みが緩和されます。痛みが強いときは、ホットタオルやカイロを使ったり、ゆっくり湯船につかったりすることをおすすめします。
接触感染に注意する
帯状疱疹を発症しているときは、水ぼうそうにかかったことのない人にうつることがあります。
水ぶくれの中にウイルスが存在し、かさぶたになるまでは感染リスクがあるので注意しましょう。頭部に症状がある場合は、枕や洗わないままのタオルなどを共有しないでください。
また、万が一接触してしまった場合は、医師に相談してください。
頭部の帯状疱疹の予防法
帯状疱疹は、予防接種や免疫力を高めることである程度予防が可能です。詳細は以下の通りです。
予防接種を受ける
帯状疱疹にはワクチン(予防接種)が存在し、接種によって発症予防・重症予防効果が期待できます。対象者は基本的に50歳以上ですが、帯状疱疹の罹患リスクが高いと考えられる18歳以上の方(造血幹細胞移植や腎移植を受けている、がん、HIV感染症患者など)も接種を受けられます。
ワクチンには、生ワクチン(ウイルスの病原性を弱めて作られたもの)と不活化ワクチン(ウイルスを構成する成分の一部から作られたもの)があり、それぞれの発症予防効果は生ワクチンが69.8%、不活化ワクチンが96.6%とされています。
なお、自治体によっては、費用の一部または全額を助成しているところもあります。
(参考)https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/taijouhoushin.html
体調管理に努める
免疫力の低下によって帯状疱疹を発症しやすくなります。免疫力が低下しないよう、日ごろから以下のようなことを心がけるとよいでしょう。
- 栄養バランスの良い食事
- 十分な睡眠
- 休息やリフレッシュを心がけ、疲れやストレスをためない
- 適度な運動
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帯状疱疹以外にも、頭皮にはさまざまな皮膚症状が起きることがあります。その原因として、頭皮環境が悪化していることも考えられ、将来的に薄毛になることもあるでしょう。
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※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※自由診療
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。