フィナステリドを飲んでいる人は献血できる?
フィナステリドを服用している人は献血できません。
日本赤十字社によると、飲んでいることで献血が制限される薬の中に「フィナステリド」が明記されており「服用中および服用をやめてから1ヵ月以内は献血できない」と定められています。
服用中はもちろん、やめてから1ヵ月が経過するまでは献血しないよう注意が必要です。
フィナステリドを飲んでいると献血できない理由
フィナステリドを飲んでいる人が献血できない理由は、男の子の胎児の性器発達に影響を及ぼす可能性があるためです。
フィナステリドは、男性ホルモンの働きを抑制する薬です。
献血された血液が妊婦や妊娠の可能性がある女性に輸血される可能性はゼロではなく、微量でも成分が残留していれば胎児に悪影響を及ぼすおそれがあります。
このため、フィナステリドを飲んでいる間、および休薬後1ヵ月間の献血は禁止されています。
献血の種類によってはフィナステリドを飲んでいても献血できる?
献血には「全血献血」と「成分献血」の2種類があります。
どちらの場合でもフィナステリドを飲んでいる間、もしくは飲むのをやめてから1ヵ月の間は献血できません。
| 種類 | 定義 | 献血詳細 |
|---|---|---|
| 全血献血 | 血液中のすべての成分を採血する方法 | 200ml献血 400ml献血 |
| 成分献血 | 血液中の血小板や血しょうだけを採血する方法 | 血しょう成分献血 血小板成分献血 |
「成分献血だったら献血してもいいかな」と自己判断するのは危険です。
全血献血、成分献血の種類を問わず、服用中および中止後1ヵ月は献血を控えましょう。
フィナステリドを飲んでいる人が献血するにはどうすればいい?
献血を希望する場合は、フィナステリドを飲むのをやめてから1ヵ月以上経過していることが条件となっています。
フィナステリドの体内半減期は約4時間と短いですが、代謝物が完全に排泄されるまでには一定期間必要です。
日本赤十字社も「服用中止後1ヵ月は献血不可」としており、これは血液中に薬剤が残留しなくなるまでの期間を考慮したものです。
薬を継続している場合は献血できませんが、薬をやめてから1ヵ月以上経過していれば献血基準を満たします。
ただし、献血のためにフィナステリドの服用を中断・再開する場合は、AGA治療の効果や計画に影響が出る可能性があります。
必ず自己判断せず、処方を受けている医師にご相談ください
フィナステリドを飲んでいるのに献血してしまったらバレる?
血液検査でフィナステリドの服用が「バレる」ことはほとんどありません。
献血後の血液検査では、特定の薬剤を検出する検査はおこなわれていないためです。
献血後の血液検査は、以下の項目についておこなわれます。
| 区分 | 検査項目 |
|---|---|
| 血液型検査 | ABO血液型、Rh血液型、不規則抗体、HLA検査 |
| 感染症検査 | 梅毒、ALT、B型肝炎、C型肝炎、エイズウイルス、HTLV-1、パルボウイルス |
| 生化学検査 | ALT、γ-GTP、総たんぱく、アルブミン、コレステロールなど |
| 血球計数検査 | 白血球数、赤血球数、血小板数、ヘモグロビン濃度など |
| 核酸増幅検査 | B型肝炎、C型肝炎、E型肝炎、エイズウイルス |
この表のように、献血後の検査は
- 血液の適合性を図る
- 輸血からの感染を防ぐ
- 献血協力のお礼
という目的に沿った内容の検査であるため、フィナステリドを飲んでいても、献血後の検査で気付かれない可能性が高いです。
フィナステリドの成分が入った血液が妊婦に使用されてしまうと、胎児へ影響するおそれがあります。薬を飲んでいることを伝え忘れていたことに気付いた場合、速やかに赤十字社に連絡しましょう。
フィナステリドを飲んでいて献血してしまった場合の対処法
できるだけ当日中に最寄りの血液センター、または献血ルームへ連絡しましょう。
採血された血液は翌日以降に医療機関で使用されるため、迅速に連絡すれば使用を回避できる可能性があります。
「どうやって、何を伝えたらよいか分からない」という方は、下記の表を参考に連絡してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 連絡手段 | 電話で連絡 |
| 連絡先 | 最寄りの血液センター、献血ルーム |
| 伝える内容 |
|
気付いた時点で早めに連絡をすることが大切です。
フィナステリドは血液検査に影響しますか?
フィナステリドは血液検査のうち、肝機能(AST、ALT、γ-GTP)や前立腺特異抗原(PSA)の値に影響を与えることがあります。
PSAは前立腺がん検査で測定される項目で、フィナステリドを飲んでいる人は、飲んでいない人と比べて40%ほど低下することが知られています。
健康診断や人間ドックでPSAを測定する場合は補正が必要であるため、医師に「フィナステリドを服用している」と申告しましょう
フィナステリドを飲んでいるのに献血してしまわないために
献血前の問診でフィナステリドを飲んでいることを伝えましょう。問診には、特定の薬を飲んでいないか確認する項目があります。
しかし、問診表の中の「育毛薬/前立腺肥大症薬の服用」を確認する欄では、以下のように「フィナステリド」という項目がないため見落としてしまう可能性があります。
| 献血前の問診表(抜粋) |
|---|
| Q. 次の育毛薬/前立腺肥大症治療薬を使用したことがありますか。 プロペシア・プロスカー等(1ヵ月以内)、アボダート・アボルブ等(6ヵ月以内) |
「フィナステリド」の記載はありませんが、「プロペシア」「プロスカー」はフィナステリドを主成分とした薬です。
「『フィナステリド』と書いていないから関係ない」ではなく、「育毛薬」や「男性型脱毛症治療薬」などの薬の種類を見たら「もしかして自分も…?」と少しでも思うことが大切です。
確信が持てない場合は、職員に「フィナステリドを服用しているが献血できるか」と確認してみましょう。その行動が、胎児やその家族の未来を守ることにつながります。
他のAGA治療薬は献血できる?
同じ男性ホルモンを抑える薬である「デュタステリド」「ザガーロ」「アボダート」は、フィナステリド同様、献血が制限されています。
服用中止後の待機期間はフィナステリドが1ヵ月であるのに対し、「デュタステリド」「ザガーロ」「アボダート」は6ヵ月と、より期間が長く設定されています。この理由は、デュタステリドの体内での持続時間がフィナステリドよりも長いためです。
ほかの治療薬に「ミノキシジル」があります。ミノキシジルは男性ホルモンに作用しない仕組みで働くため、当日に使用していても献血可能です
※自己判断はせず、医師に相談してください
| 薬剤名 | 献血可否 | 服用中止後の待機期間 |
|---|---|---|
| フィナステリド | × | 1ヵ月 |
| プロペシア | × | 1ヵ月 |
| デュタステリド | × | 6ヵ月 |
| ザガーロ | × | 6ヵ月 |
| アボダート | × | 6ヵ月 |
| ミノキシジル(飲み薬) | ◎ | なし |
| ミノキシジル(塗り薬) | ◎ | なし |
フィナステリドを飲んでいる間は献血できない!責任を持って自己申告しよう
フィナステリド服用中の献血は、胎児への影響を防ぐために禁止されています。
服用をやめてから1ヵ月以上経過すれば献血可能ですが、服用中や直後に献血してしまった場合は速やかに血液センターへ連絡しましょう。
問診表に「育毛剤」や「AGA治療薬」と記載があれば「フィナステリド」の文言がなくとも必ず申告し、責任を持って協力することが大切です。
自分の血液が誰かの命を救うものだからこそ、正直な自己申告と休薬期間の厳守を忘れずにおこないましょう。