フィナステリドとプロペシアの違いとは?フィンペシアも一緒に比較
AGA(男性型脱毛症)の治療薬として知られる「プロペシア」「フィナステリド」「フィンペシア」。これらは主成分が同じでありながら、価格や製造元などに違いがあります。自分に合った薬を選ぶためには、それぞれの特徴を正しく理解することが重要です。
| 項目 | プロペシア | フィナステリド | フィンペシア |
|---|---|---|---|
| 有効成分 | フィナステリド | フィナステリド | フィナステリド |
| 効果 | AGA進行遅延 | AGA進行遅延 ※プロペシアと同等 | AGA進行遅延 ※プロペシアと同等 |
| 先発医薬品 or ジェネリック医薬品 | 先発医薬品 | ジェネリック医薬品 | ジェネリック医薬品 |
| 製造国 | 日本 | 日本 ※海外メーカーのフィナステリドもあるため注意 | 海外(インドなど) |
| 承認状況 | 国内承認 | 国内承認 | 日本では未承認 |
| 価格帯 | 高い | 中間 | 安い |
| 備考 | 長期実績あり | 「フィナステリド+国内メーカー名」のものが日本国内製造 | 個人輸入品などは安全性が保障されていないため注意 |
成分・効果の違い
プロペシア、フィナステリド、フィンペシアの3つのお薬は、主成分がすべて「フィナステリド」であり、基本的な効果に違いはありません。
AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが「5αリダクターゼ」と呼ばれる酵素に結びつき、脱毛を促進する「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されることで進行します。フィナステリドは、この5αリダクターゼの働きを阻害することでDHTの生成を抑制し、抜け毛を防いでAGAの進行を遅らせます。
先発医薬品であるプロペシアも、その後発医薬品(ジェネリック)であるフィナステリドやフィンペシアも、作用の仕方はまったく同じです。そのため、どのお薬を服用しても同等のAGA治療効果が期待できます。
先発品か後発品(ジェネリック)かの違い
3つのお薬の大きな違いは「先発医薬品」か「後発医薬品(ジェネリック)」かという点です。
- 先発医薬品:プロペシア
- 後発医薬品(国内ジェネリック):フィナステリド
- 後発医薬品(海外ジェネリック):フィンペシア
オルガノン株式会社が製造販売するプロペシアは、最初に開発・承認された先発医薬品です。「プロペシア」という名称は商標名にあたります。
フィナステリドは、プロペシアの特許が切れたあとに、他の国内製薬会社が製造販売しているジェネリック医薬品です。成分名である「フィナステリド」に製造販売を行っているメーカー名が付くのが一般的です。2025年現在、国内では多くのメーカーが製造販売しており、9種類あります。
フィンペシアは、インドのシプラ社など海外の製薬会社が製造するプロペシアのジェネリック医薬品です。このように、どのお薬も有効成分は同じフィナステリドですが、製造販売する会社が異なります。
副作用の違い
有効成分が同じであるため、プロペシア・フィナステリド・フィンペシアの副作用に本質的な違いはありません。
有効成分であるフィナステリドの副作用としては、以下の症状が報告されています。
- 重大な副作用(頻度不明):肝機能障害
- 代表的な副作用:性欲減退、勃起機能不全、射精障害など
ただし、これらの副作用の発現率は決して高くありません。プロペシアの製造販売後調査では、副作用が報告された症例率は0.53%とされています。気になる症状がみられた場合は、自己判断で服用を中止せず、医療機関にて医師に相談しましょう。
値段の違い
通常、プロペシアが最も高く、次に国内ジェネリックのフィナステリド、最も安価なのが海外ジェネリックのフィンペシアです。
プロペシア(先発医薬品)が高い理由は、新薬の開発に莫大な研究開発費や承認申請のためのコストがかかっているためです。その費用が価格に反映されています。
一方でジェネリックは、先発医薬品で有効性や安全性が確立された成分を使用するため、開発コストを大幅に抑えられています。そのため、同等の効果を持つお薬を比較的安価に提供することが可能です。
なお、AGA治療は健康保険が適用されない自由診療です。これらのお薬の価格はクリニックによって異なる点に注意しましょう。
どれが自分に向いてる?目的別の選び方
プロペシア・フィナステリド・フィンペシアの主成分は同じであるため、どれを選ぶべきか迷う方もいるでしょう。ここでは目的別に、どのお薬が適しているかを解説します。ご自身の希望や価値観に合わせて選択してください。
費用重視・なるべく安く抑えたい方
治療費用をできるだけ抑えたい方には、ジェネリック医薬品であるフィナステリド、またはフィンペシアが適しています。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品に比べて開発コストが低いため、お薬の価格も安く設定されています。加えて、海外で製造されているフィンペシアは、国内のジェネリック医薬品よりもさらに安価な傾向があります。
- できるだけ費用を抑えたい場合:フィンペシア(海外ジェネリック医薬品)
- 費用を抑えつつ国内製品を選びたい場合:フィナステリド(国内ジェネリック医薬品)
長期的な治療となるAGAだからこそ、継続しやすい価格のお薬を選ぶことは重要なポイントです。
国内産を希望する方
製造国にこだわりがあり、国内で製造されたお薬を希望する方にはプロペシア、または国内メーカーが製造するジェネリック医薬品であるフィナステリドが選択肢となります。
国内メーカーのジェネリックはさまざまな製薬会社が製造しています。どのメーカーのフィナステリドを取り扱っているかはクリニックによって異なるため、希望がある場合は事前に確認するとよいでしょう。
ジェネリックが不安・先発品を希望する方
ジェネリック医薬品の品質に不安を感じる方や、最初に開発されたお薬を使いたいという方は、先発医薬品である「プロペシア」を選ぶのがよいでしょう。
ジェネリック医薬品は、国が定めた基準に沿って有効性や安全性が確認されたうえで販売されていますが、長年使われてきた実績のある先発品の方が安心できると感じる方も少なくありません。
なお、ジェネリックでは効果がない、偽物の可能性があるという不安の多くは、個人輸入など非正規ルートで入手した場合にみられるものです。医療機関で処方されるお薬であれば、先発品・ジェネリックいずれも品質が保証されています。
フィナステリドやプロペシアでの治療を続けるために気をつけたいこと
AGA治療は効果を実感するまでに時間がかかり、長期継続が不可欠です。治療を無理なく続けるためには、お薬の選び方だけでなく、その入手方法や服用に関する注意点を理解しておきましょう。ここでは、フィナステリドやプロペシアでの治療を続けるために気をつけたいことを紹介します。
クリニックを受診してお薬を処方してもらう
フィナステリドやプロペシアは、医師の診察のもとで処方される医療用医薬品です。安心して治療を続けるためには、必ずクリニックを受診し、医師の診断を受けてからお薬を処方してもらいましょう。
AGA治療は長期にわたるため定期的に医師の診察を受け、体調の変化や治療効果について相談できる環境が不可欠です。
なお、フィンペシアなどの海外製ジェネリックであっても、国内のクリニックで処方されるものは厚生労働省の厳格な薬監審査を通過しています。正規のルートで納品されているお薬であれば、先発品、国内後発品、海外後発品いずれも品質に問題はありません。
個人輸入や受診なし通販で購入しない
医師の診察なしに、個人輸入や通販サイトでAGA治療薬を購入しないようにしましょう。個人輸入で入手できるお薬は、国内のクリニックで処方されるお薬とはまったくの別物です。厚生労働省も注意喚起している通り、以下のような重大なリスクが伴います。
- 有効成分が含まれていない、あるいは表示と異なる偽造品の可能性がある
- 不衛生な環境で製造・保管されている可能性がある
- 不純物が混入している危険性がある
ジェネリック医薬品であるフィナステリドが「やばい」と言われることがありますが、その原因の多くは成分自体ではありません。このような危険な入手経路とそれに伴う品質保証の不透明さにあります。
万が一、健康被害が起きても公的な救済制度は利用できず、すべて自己責任となります。安心して治療を継続できるよう、必ずオンライン診療を含むクリニックを受診してお薬を処方してもらいましょう。
フィナステリド/プロペシアで切り替えを考えている人へ
現在AGA治療薬を服用中で「費用を抑えたい」「先発品を試したい」などの理由から、お薬の切り替えを検討している方もいるかもしれません。ここでは、お薬を切り替える際の基本的なルールとタイミングについて解説します。
切り替えはOKだが併用はできない
プロペシア・フィナステリド・フィンペシアはすべて同じ有効成分を含んでいるため、これらの間でお薬を切り替えることは問題ありません。
- プロペシアからフィナステリドへ
- フィンペシアからプロペシアへ
といった変更が可能です。
ただし、これらの薬を併用してはいけません。これらは同じ作用を持つお薬であるため、同時に服用すると成分の過量投与となり、副作用のリスクが通常よりも高まってしまいます。必ずいずれか一つのお薬のみを服用するようにしてください。
切り替えのタイミングは?
重複して飲まなければ、切り替えのタイミングはいつでも問題ありません。たとえば、昨日までプロペシアを服用していた場合でも、今日からフィナステリドに切り替えるという形で問題なく移行できます。
重要なのは、前述の通り、切り替え前と切り替え後のお薬を同時に服用しないことです。重複して服用することさえ避ければ、ご自身のタイミングで切り替えを開始して構いません。
それでも、切り替えタイミングに不安や不明な点があるようであれば、医療機関にて医師に相談すると良いでしょう。
フィナステリド・プロペシアの違いに関するよくある質問
ここでは、フィナステリドやプロペシアに関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で解説します。お薬を選ぶ際の参考にしてください。
プロペシアとフィナステリドのどちらが良いですか?
どちらが良いかは、何を重視するかによって異なります。成分は同じであるため、効果や副作用に違いはありません。
価格を重視する場合は、国内メーカー製造のジェネリック医薬品であるフィナステリド、あるいは海外メーカー製造のジェネリック医薬品フィンペシアが、プロペシアよりも安価なため経済的負担を軽減できます。
一方で、安心感や実績を重視する場合は、最初に開発され、長年の使用実績がある先発医薬品のプロペシアが適していると言えます。
ご自身の予算やお薬に対する考え方に基づき、医師と相談しながら選択しましょう。
プロペシアと一緒に飲んではいけないお薬は?
現在、プロペシア(フィナステリド)との併用が禁忌とされている医薬品はありません。ただし、同じ有効成分を含むフィナステリドやフィンペシアとの併用は避けてください。
また、同様の働きをするAGA治療薬「デュタステリド」(ザガーロや同成分のジェネリック医薬品)との併用も、作用が重複し、副作用のリスクが増すおそれがあるため、併用は推奨されません。
ほかのお薬を服用している場合は安心して治療を継続するため、診察時に必ず医師や薬剤師に伝えるようにしましょう。
フィンペシアからプロペシアへ切り替えできますか?
はい、切り替えは可能です。
フィンペシア・プロペシアともに、有効成分はどちらも同じフィナステリドです。そのため、どちらのお薬からどちらへ切り替えても、治療効果が損なわれることはありません。
ただし、切り替える際は、2つのお薬を同時に服用しないように注意してください。昨日までフィンペシアを飲んでいたなら、今日からはプロペシアのみを服用するようにしましょう。
まとめ:フィナステリドとプロペシアの違いを理解して自分に合うお薬を選ぼう
フィナステリド・プロペシア・フィンペシアの有効成分はすべて「フィナステリド」で、AGAに対する効果や副作用は同じです。違う点は、先発品か後発品(ジェネリック)か、製造国、そして価格です。
それぞれのお薬のポイントは以下のとおりです。
- プロペシア:先発医薬品。価格は高めだが、実績と信頼性がある。
- フィナステリド:国内のジェネリック医薬品。価格はプロペシアより安い。
- フィンペシア:海外のジェネリック医薬品。最も安価な傾向がある。
どれを選ぶべきかは、安全性を重視するのか、国内製品が良いのか、費用を抑えたいのかなど、優先したいポイントによって変わります。
なお、いずれの製剤を選ぶ場合でも、個人輸入や受診なし通販での購入は避け、医療機関での診察と処方を受けましょう。診察により体質や副作用リスクを確認しながら治療を進められるほか、オンライン診療で自宅から相談できるクリニックも増えています。
それぞれのお薬の違いを理解したうえで自分に合ったフィナステリド製剤を選び、AGA治療を継続しましょう。