フィナステリド1年目は効果なしと感じる人も一定数いる
フィナステリドを1年服用しても「毛が生えてきた」と目に見える効果を感じられない人は、約40%存在します。[1]
フィナステリドを約1年飲んだあとの頭頂部の変化を評価した試験では、「改善あり」と判定された割合は58.3%でした。言い換えれば、41.7%の患者は目に見える変化を感じにくかったことになります。
ただし、注意してほしいのが「毛が生えない=効果なし」ではないということです。フィナステリドの主な効果は「脱毛の進行を抑制すること」であるため、「現状維持=お薬が効いている」と考える視点が必要です。
フィナステリドを1年続けても効果を感じにくい6つの理由
フィナステリドを1年服用しても効果を実感できない場合は、薬理作用の限界、体質、脱毛症の種類など複数の原因が考えられます。
ここでは医学的な観点から考えられる6つの原因を解説します。
原因1:「発毛=フィナステリドの効果」と誤った認識をしている
AGA治療と聞くと「髪が大きく増える」ことをイメージしがちですが、フィナステリドの主な作用は”発毛”ではなく脱毛の進行を抑えることです。
そのため、見た目の大きな変化がなくても、抜け毛が減り現状を保てている場合は、薬が適切に作用している可能性があります。[1]
実際に、フィナステリド1mgを5年間投与した試験では、「改善(毛量増加)」または「進行抑制(現状維持)」 と評価された割合は 90% と報告されています。[1]
◎フィナステリド5年間投与後の脱毛への効果[1]
| 評価項目 | 結果 |
| 改善 | 48% |
| 脱毛進行なし(改善+現状維持) | 90% |
| 脱毛進行 | 10% |
脱毛抑制効果は、患者が期待する「劇的な毛量の増加」ほど目立たないため、「効果がない」と感じられやすい傾向があります。
しかし、進行性のAGAにおいて「現状維持」は十分な治療成果であることを理解する必要があります。
原因2:薬が体質的に効かない、または効果が緩やか
フィナステリドは、遺伝的な要因によって効果に差があらわれるお薬です。
フィナステリドの治療効果は、患者の遺伝的背景の中でもとくにアンドロゲン受容体の感受性が影響すると考えられています。
具体的には、アンドロゲン受容体遺伝子の「CAGリピート数」という塩基配列が関わっており
- CAGリピート数が短い:フィナステリドが効きやすい
- CAGリピート数が多い:フィナステリドが効きにくい
ということが示唆されています。[2]
このような遺伝子レベルでの違いが、フィナステリドの効果発現に個人差をもたらす一因と考えられています。
原因3:薄毛が進行しすぎている
薄毛の進行度が重度の場合、フィナステリドだけでは効果を実感しにくい可能性があります。
AGAの進行度は1~7段階に分けられます。早期のステージ1~3では治療薬の効果が期待できる一方で、脱毛がかなり進んだステージ5〜7では、お薬だけで元の毛密度に戻すのは難しいのが現状です。[3]
フィナステリドだけでは毛髪の回復に限界があり、発毛促進作用を持つミノキシジルとの併用や、他の治療法を検討する必要があります。
原因4:AGA以外の脱毛症の可能性
フィナステリドはAGAにのみに効果があり、他の脱毛症には効果がありません。
AGA以外が原因となる脱毛症には、以下のようなものがあります。[4]
- 円形脱毛症
- 粃糠性脱毛症
- 脂漏性脱毛症
- 牽引性脱毛症
- 瘢痕性脱毛症
- 内分泌疾患に伴う脱毛
これらの場合はフィナステリドを服用しても効果は得られないため、医師の診断を受け、それぞれの原因に応じた治療を受けることが重要です。
原因5:医師の指示通りに毎日継続して服用できていない
フィナステリドを医師の指示通りに毎日服用できていない場合、効果を最大限に引き出せません。
フィナステリドは1日1回、毎日服用することにより、有効成分を常に体内で循環させ、頭皮からAGAの原因を除去し続けることで効果を発揮します。[1]
服用を飛ばしたり不規則に服用したりすると十分な効果が得られず、期待した治療成果があらわれにくくなります。
少なくとも6か月程度は内服を継続したうえで効果を判断することが推奨されているため、効果を感じにくい場合は「指示どおりに継続して服用できていたか」を一度振り返ってみることも大切です。
原因6:個人輸入などの非正規品を服用している
医師から処方されていない個人輸入のフィナステリドは、品質や含有成分が保証されていない可能性があります。[5]
個人輸入で入手した医薬品には、以下のようなリスクがあります。
- 有効成分が規定量含まれていない
- 不純物が混入している
- 偽造品である可能性
このような非正規品を服用すると、十分な治療効果が得られない可能性に加えて、予期しない健康被害が生じるおそれがあります。
AGA治療薬は、品質や安全性が確認された医療機関で処方されたものを使用することが推奨されます。
フィナステリドの効果が出ないときに検討すべき治療選択肢
フィナステリドを1年服用しても効果を実感できない場合、お薬の変更や併用療法、生活習慣の見直しといった選択をするべきタイミングかもしれません。
その1:フィナステリドから「デュタステリド」への切り替えを検討する
デュタステリドは、フィナステリドよりも強い脱毛抑制効果を示すことが報告されており、お薬の切り替えは有効な選択肢です。[6]
フィナステリドとデュタステリドの違いは、お薬が作用する場所の「数」にあります。
どちらも男性ホルモン(テストステロン)をより強力な男性ホルモン(DHT:ジヒドロテストステロン)に変換する「5α-還元酵素」を阻害するお薬です。
阻害する5α-還元酵素のうち、フィナステリドは「2型のみ」、デュタステリドは「1型と2型の両方」を阻害します。
この作用場所の「数」の違いにより、デュタステリドはフィナステリドよりも高い効果が期待できるのです。
◎フィナステリドとデュタステリドの違い
| 薬名 | 阻害する5α還元酵素 |
| フィナステリド | 2型のみ |
| デュタステリド | 1型+2型の両方を阻害 |
フィナステリドで十分な効果が得られない場合は、医師にデュタステリドへの変更を相談してもよいでしょう。
その2:「ミノキシジル」との併用療法に切り替える
フィナステリドとミノキシジルの併用により、より高い改善効果が期待できます。
中国人男性を対象としたフィナステリドとミノキシジル外用薬の併用実験では、それぞれの薬単独よりも、併用した群でより高い効果が示されました。[7]
また、ミノキシジル内服薬とフィナステリドとの併用効果を調査した研究では、併用により90%以上の人が「現状維持以上」、57%以上の人が「明確な改善」という結果が得られています。[8]
両薬剤は作用機序が異なり、フィナステリドは「脱毛の進行を抑える」作用、ミノキシジルは「発毛を促す」作用を持っています。
| 薬名 | 作用機序 | 期待される効果 |
| フィナステリド | DHT産生抑制 | 脱毛進行抑制 |
| ミノキシジル | 血管拡張 ・毛乳頭細胞活性化 | 発毛促進 |
より高い改善を目指す場合や、単剤で不十分な場合は、フィナステリドの「抑制」効果とミノキシジルの「発毛」効果を組み合わせることで、より良い効果を期待できるでしょう。
その3:生活習慣・健康状態を見直す
生活習慣や健康状態の改善もAGA治療にとって大切です。
早期発症AGAのリスク因子として、以下が報告されています。[9]
- 喫煙
- 不健康な食生活(高脂肪・加工肉の摂取、野菜・果物不足など)
- 高いBMI(肥満)
これらの因子はAGAだけでなく、メタボリックシンドロームや心血管疾患のリスクとも関連しています。
薬物療法と並行して生活習慣を見直すことで、治療効果の底上げをはかっていきましょう。
フィナステリド「効果なし」に関するよくある質問
フィナステリドを継続して飲んだ場合の効果に関して、よくある質問にお答えします。
同じような疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
フィナステリドを半年飲んでも効果がない場合はどうしたらいいですか?
フィナステリドの効果判定は、服用から6か月(半年)が目安とされています。[1]
6か月服用しても効果を感じられない場合は、治療の変更を検討するタイミングと考えてよいでしょう。ただし、効果判定は医師による客観的な評価が必要です。自己判断で服用を中止せず、まずは医師に相談することをおすすめします。
フィナステリドを10年続けるとどうなりますか?
日本人男性532名を対象にしたフィナステリド1mg・10年間投与の調査では、長期的な有効性と安全性が確認されています。[10]
◎フィナステリド1mgを10年間投与した場合のAGA治療評価
| 評価項目 | 結果 |
| 改善 | 91.5% |
| 進行抑制 | 99.1% |
副作用は全体の6.8%に性欲減退(5.6%)や勃起機能不全(3.0%)などが認められましたが、いずれも軽度であり、全員が10年間の治療を継続できました。
この結果から、フィナステリドは長期服用によって効果が安定し、10年後も高い有効性を維持することが示されています。
まとめ:フィナステリドを1年服用して効果がないと感じるときは、治療の方針を見直そう
フィナステリドを1年服用しても効果を感じにくい場合、服薬期間だけの問題ではなく、薬の作用の現れ方や薄毛の進行度、治療内容を見直す段階に差しかかっている可能性があります。
まずは「発毛=効果」という認識を見直し、「脱毛の進行が止まっている=効果が出ている」という視点を持つことが大切です。
そのうえで、進行度や体質に合わせて、デュタステリドへの切り替えやミノキシジルとの併用、生活習慣の改善など、複数の選択肢を検討することが大切です。
最終的な効果判定や治療方針の調整は、自己判断ではなく医師による客観的な評価を受けながら進めることをおすすめします。
