ミノキシジルが肝臓へ与える影響
ミノキシジルを服用すると、肝臓ではお薬を体の外へ排出しやすい形に変える「代謝」という仕組みが働きます。
お薬を代謝する過程で、肝臓には負荷がかかるため、肝機能への影響が懸念されることがあります。
ただし、健康な方であれば重篤な肝機能障害が起こる可能性は低く、過度に心配する必要はありません。安心してAGA治療を進めるために、まずは代謝の仕組みから理解しましょう。
お薬が肝臓で代謝される仕組み
お薬を服用すると、その成分は血流に乗って肝臓へ運ばれます。
肝臓は体内に入った物質を処理する臓器です。お薬やアルコール、食べ物から摂取した栄養素など、血液中のさまざまな成分を分解・処理しています。
ミノキシジルも、肝臓にある代謝酵素によって分解され、体外へ排出しやすい形に変わります[1]。この一連の働きが「代謝」という仕組みです。
ミノキシジルを服用している間、肝臓は継続して代謝をおこなう必要があり、常に働いている状態になります。
ミノキシジルで肝機能障害が起こる可能性
ミノキシジルの服用によって肝臓が働き続けるとはいえ、実際に肝機能障害が起こる可能性は低いと考えられています。
健康な肝臓では、お薬を処理する能力が十分に備わっているためです。
高用量のミノキシジルを用いた臨床データでも、肝機能障害を示す検査値の異常はありませんでした[1]。
そのほかミノキシジルに関するさまざまな研究において、肝機能障害は主要な副作用として位置づけられていません。
肝臓の状態が良好であり、自分に合った用量で治療していれば、肝臓への影響を過度に心配する必要はないでしょう。
一方で、すでに肝機能が低下している場合や、飲酒習慣・脂肪肝など日常的に肝臓へ負荷がかかっている場合は注意が必要です。これらの状況では、ミノキシジルの代謝が相対的に肝臓の負担となる可能性も否定できません。
心配な点がある場合は、自己判断で服用を中止するのではなく、現在の健康状態や併用薬について医師に相談し、治療方針や用量を調整してもらうことが安心につながります。
【内服薬と外用薬を比較】肝臓への負担の違い
同じミノキシジル製剤であっても、外用薬は内服薬に比べて肝臓への負担は少ないと考えられます。
内服薬と外用薬では、成分が体内に取り込まれる仕組みが異なるためです。
以下の表では、お薬が体内へ入る経路と肝臓への影響を比較しました。
<内服薬と外用薬の違い>
| 内服薬 | 外用薬 | |
| お薬が吸収される経路 | 消化管から吸収される | 頭皮から取り込まれる |
| 全身への広がり | 成分の多くが血液に入り、全身へと広がる | 血液に入る成分の量はわずかであり、全身への広がりも少ない |
| 肝臓への負担 | 体に入った成分の多くを肝臓で処理する必要がある | 肝臓へ運ばれる成分の量が少ないため、負担も小さい |
表のとおり、ミノキシジル内服薬の場合は成分の多くが全身へと広がります。海外の研究では、内服薬の成分のうち約90%が肝臓で代謝されると示されていました[2]。
肝臓で処理するお薬の量が多くなるため、人によっては負担がかかる可能性も考えられます。
一方、外用薬は頭皮から取り込まれるため血液に入る量はごくわずかです。
健康な頭皮にミノキシジルを塗布した場合、吸収されるのは1.4%程度ともされており[3]、肝臓に与える影響は小さいと考えられます。
実際に外用ミノキシジルを用いた臨床試験では、かゆみや刺激といった軽度の副作用はみられましたが、全身への影響は確認されませんでした[2]。
肝臓への影響が心配な場合は、医師との相談の上、外用薬による治療を選択肢とするのもよいでしょう。
肝機能検査でチェックしたい3つの数値
ミノキシジルによる肝機能障害のリスクは低いと考えられますが、安心して治療を続けるためには、定期的に肝臓の状態を確認することが重要です。
健康診断などの血液検査では、以下の3つの検査項目を意識してチェックしましょう。
<肝臓に関わる検査項目[4][5]>
| 検査項目 | 数値の説明 | 数値が上昇する主な原因 |
| AST(GOT) | ・肝臓・心臓・筋肉などに多く含まれる酵素 ・これらの臓器の細胞が破壊されると上昇する | ・肝炎(ウイルス性、アルコール性など) ・脂肪肝 ・激しい運動 ・心臓の病気(心筋梗塞など) ・筋肉の病気 など |
| ALT(GPT) | ・おもに肝臓に含まれる酵素 ・肝臓のダメージを反映する | ・肝炎(ウイルス性、アルコール性など) ・脂肪肝 ・肥満 など |
| γ-GTP | ・おもに肝臓や胆管に含まれる酵素 ・アルコールやお薬の影響で上昇しやすい | ・お薬・サプリメントの影響 ・脂肪肝 ・肥満 ・アルコールの過剰摂取など |
表を見ると、肝機能の数値が上昇する背景にはお薬以外の要因も多くあることがわかります。
とくに肥満・脂肪肝などによる内臓脂肪の蓄積や飲酒習慣は、肝臓の数値を上昇させる大きな要因です[4]。
検査値に異常があった場合でも、ご自身でミノキシジルが原因と断定せず、まずは医療機関の指示に従って対応しましょう。追加検査によって原因を突き止める場合もあります。
「ミノキシジルの影響ではないか?」と心配であれば、ひとりで悩まず主治医に相談してください。
ミノキシジル服用中に肝機能障害のリスクが高まるケース
ミノキシジル単独で肝臓に大きなダメージを与えることは少ないと考えられています。
しかし、生活習慣や健康状態、併用薬の有無などいくつかの条件が重なると、肝臓への負担が増える可能性もあります。
ご自身の状況と照らし合わせながら、以下の項目に当てはまるものがないか確認してみてください。
その1:飲酒習慣がある
日常的にアルコールを摂取する方は、肝臓への負担を気にかけるようにしましょう。
お酒を飲む習慣があると、肝臓はアルコールを処理するために常に働き続けている状態です。ミノキシジルの服用により、肝臓への負荷はさらに増すと考えられます。
とくに毎日飲酒する習慣がある方や、一度に多量のアルコールを摂取する方は注意が必要です。
ミノキシジルの治療をきっかけに、飲酒量を控えたり休肝日をつくったりするなど、お酒との付き合い方を見直してみてください。
その2:脂肪肝がある
脂肪肝を指摘されている方も、肝機能の変化に注意しましょう。
脂肪肝とは肝臓に脂肪がたまった状態であり、健康な肝臓よりも代謝機能が低下している場合があります。
この状態でミノキシジルを服用すると、肝臓にはより負担がかかりやすくなります。
肥満傾向の方も、肝臓に脂肪がついている可能性があるため注意してください。
状態によっては、お薬の用量調整が必要となるケースもあります。AGA治療を受ける際には、現在の健康状態を医師へ正確に伝えることが大切です。
その3:他にもお薬やサプリメントを服用している
ミノキシジル以外にお薬を服用している方も、肝臓への負担が懸念されます。
複数のお薬を同時に飲むと、肝臓は一度に多くの量を処理しなければならず、負担が大きくなるためです。
お薬だけでなく市販のサプリメントであっても、肝機能へ影響を及ぼす可能性はあります。
安心してAGA治療を進めるために、現在服用しているお薬やサプリメントがあれば医師に伝えてください。
その4:他のAGA治療薬と併用している
ミノキシジル以外のAGA治療薬を併用している場合は、肝機能の変化に注意が必要です。
AGA治療では、ミノキシジルに加えてフィナステリドかデュタステリドを併用するケースがあります。
これらのお薬はミノキシジルとは作用の仕組みが異なるため、脱毛抑制と発毛促進の両面から治療効果が期待される点が併用される理由です。
ただし、複数の治療薬を同時に使用することで、体内で代謝される薬剤の種類が増えるため、肝臓への負荷が相対的に高まる可能性があります。
また、フィナステリドやデュタステリドの臨床試験では、ごく一部で肝機能検査値の上昇が報告された例もあるため[6][7]、併用時にはより慎重に経過を確認することが望まれます。
併用療法を行う場合は、定期的な血液検査や体調の変化を医師と共有しながら、安全性を確認して治療を進めましょう。
肝臓を守りながらAGA治療を続けるためのポイント
ミノキシジル治療を続けたいものの、肝臓への影響に不安を感じる方もいるでしょう。
安心して治療を継続するためには、体調変化にいち早く気づくことが大切です。
それでも肝臓への影響が心配な場合は、医師とともに治療方針を見直してみてください。
ここでは、安心して治療を進めるうえでとくに大切な3つのポイントをお伝えします。
ポイント1:体調変化に気をつける
ミノキシジル服用中は、肝機能の異常を示す体調変化がないか意識して過ごしましょう。
気にかけておかなければ「単なる体調不良だろう」と見過ごしてしまいがちです。
早い段階で肝機能の異変に気づけるように、起こりうる症状を理解し、日頃から体調を観察することが大切です。
<肝機能障害の初期症状[8]>
- 全身がだるく疲れが取れない
- 食欲がわかない
- 皮膚や白目が黄色っぽくなる(黄疸)
- 全身がかゆくなる
- 吐き気・嘔吐
- むくみ
とくに黄疸は、肝臓がビリルビンという物質を適切に処理できなくなることで起こり、肝機能の低下を示す重要なサインです。
ご自身の体調を振り返り、上記のような変化に気づいたら早めに医師に相談してください。
ミノキシジルの影響とは限らないため、生活面での変化や服用中のお薬など、ご自身の状況を正確に伝え、総合的に判断してもらいましょう。
ポイント2:定期的に血液検査を受ける
ミノキシジル服用中は、定期的に血液検査を受け、肝機能の数値に異常がないかチェックしましょう。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、どんなに気をつけていても自覚症状としてあらわれないこともあります。自分では気づかないうちに肝機能が低下しているケースもあるのです。
定期的に血液検査を受けていれば、万が一異常があっても早い段階で発見し、適切に対処することが可能です。
「生活習慣を整える」「治療方法を見直す」といった原因に合わせた対応によって、肝機能の改善も期待できます。
AGA治療中は、3か月から半年ごとに定期的に血液検査を受け、数値に変化がないか確認すると安心です。
ポイント3:外用薬による治療を検討する
肝臓への負担が心配な方は、ミノキシジル外用薬での治療も選択肢のひとつです。
ミノキシジル外用薬は、血液に取り込まれる成分がごく一部です。肝臓で処理する量が少ないため、内服薬に比べて肝臓への負担を抑えられます。
外用薬でも発毛効果は期待できます。海外の臨床試験では、5%濃度のミノキシジル外用薬を使用した人で明らかな発毛効果が確認されました[9]。
安心して治療を続けるためにも、肝臓への負担に不安があるときは治療方針について医師に相談してみましょう。
ミノキシジルと肝臓の関係についてよくある質問
ミノキシジル服用中の肝臓への負担や健康診断への影響について、不安や疑問を感じる方も多いでしょう。ここでは、とくによく寄せられる質問について解説します。
安心してAGA治療を続けるために、適切な対応を理解しておきましょう。
Q1:健康診断でミノキシジル服用中であることを申告した方がよいですか?
健康診断の際は、ミノキシジルを服用していることを医療機関に伝えてください。血液検査や血圧などの検査結果に影響する可能性があるためです。
万が一検査値に異常があった場合、医師はお薬の影響も考慮に入れて総合的に判断できます。
これはミノキシジルに限らず、どのお薬にも共通することです。健康診断では、ミノキシジルだけでなく服用中のお薬を正確に伝えましょう。
なお、申告した内容が第三者に漏れることはありませんので、ご安心ください。
Q2:肝臓の数値が悪くなったら、すぐにお薬をやめるべきですか?
ミノキシジルは自己判断で中止せず、まずは医師に相談してください。
肝臓の数値が悪くなっている原因は、ミノキシジルの影響とは限りません。
食生活や運動不足による内臓脂肪の蓄積、飲酒習慣など、他の要因が影響している可能性もあります。これらが原因である場合、ミノキシジルの服用を中止しても肝機能は改善しないでしょう。
自己判断でミノキシジルの服用を中止すると、これまで得られた発毛効果が失われる可能性もあります[10]。
肝臓の数値が悪くなった場合、まずは検査を受けた医療機関の指示に従い、原因を調べてもらいましょう。
AGA治療の継続が不安であれば、主治医とともに治療方法を見直してみてください。
まとめ:正しい知識で健康を守りながらAGA治療を続けよう
ミノキシジル内服薬は肝臓で代謝されるため、一定の負担がかかると考えられます。
ただし、重篤な肝機能障害が起こる可能性は低く、過度に心配する必要はありません。
安心してAGA治療を続けるために、定期的に血液検査を受けて肝臓の数値を確認しましょう。
また、日頃から体調変化に気を配り、異変があれば早めに医師に相談してください。
大切なのは、自己判断で服用を中止しないことです。肝機能の数値が上がったとしても、その原因はミノキシジルとは限りません。飲酒習慣や脂肪肝など他の要因が影響している可能性もあります。
それでも肝臓への影響が心配な場合は、外用薬で治療することも検討してみてください。
不安や悩みをひとりで抱えず、医師とともにご自身に合ったAGA治療を見つけていきましょう。
当クリニックではオンライン診療で、気軽に医師に相談していただけます。
また「オンライン血液検査」にも対応しており、ご自宅で血液検査をお受けいただくことも可能です。
検査データを元に、精密検査の必要性や生活習慣改善などについてもアドバイスいたします。
初診から利用できますので、肝臓への負担が心配な方や、肝臓の数値を定期的にチェックしたい方はご活用ください。
※自由診療
※医薬品副作用被害救済制度等の対象外となります。
※効果・効能・副作用のあらわれ方は個人差がございます。医師の診察を受け、診断された適切な治療方法をお守りください。
※医師の判断でお薬の処方可否・お薬の処方日数は変わります。
※1キットにつき7,200円(税込7,920円)。(別途、配送料550円がかかります。)
