背中の痛みはストレスが原因?医師が考える原因と対処法を解説します。

なんだか最近背中に痛みを感じるが、特に思い当たる病気はない…という方。もしかしたらその背中の痛みはストレスが原因となっているかもしれません。

背中が痛むのはストレスが原因?

背中が痛む原因は大きく4つに分類されます。

1つ目は神経疾患に由来するもので、背中の骨がずれたり縮んだりすることで背骨の間を通っている神経を圧迫して痛みが生じるというものです。

2つ目は心因性のもので、これが今回ご紹介するストレスが原因にあたります。

3つ目は運動器疾患に由来するもので、筋肉のこわばりが原因で痛みが生じ、転んでけがをしたり、ぎっくり腰を起こしたりといった場合にこれが当てはまります。この運動器疾患に由来するものが背中の痛みの原因として多いといわれています。

4つ目は内臓疾患に由来するもので、医学的に緊急性が高くさまざまな疾患が該当すると考えられています。どのような病気が背部痛を誘発するのかは後述していきます。

それでは、なぜストレスによって背中の痛みは出現するのでしょうか。これにはさまざまな説が考えられています。

疲労と睡眠

1つ目は疲労と睡眠です。ストレスによって眠りが浅くなるあるいは寝付けなくなるなど睡眠に対して影響を及ぼすと、疲れを充分にとることができず、疲労は翌日に持ち越されどんどん蓄積されていきます。このように少しずつ蓄積されたストレスや疲労が内臓に負担をかけ、その結果として筋肉の状態をアンバランスにさせるといわれています。筋肉がアンバランスになってしまうと背骨を歪め、痛みを発すると考えられています。

脳の機能との関係

2つ目は脳の機能との関係です。強いストレスによって脳の機能に不具合が生じると「身体化」といい、もともと身体的には健康であるのに、脳が身体機能に制御をかけることによってさまざまな症状が見られるものです。背部痛もその一種であるといわれています。
また、前述した運動器疾患に由来するぎっくり腰もストレスによる身体化が原因となることがいわれており、実際介護施設で働く職員のぎっくり腰の原因が身体の使い方や労働内容によるものだけではなく、労働環境によるストレスから来るものと考えられるという事例もあります。

また、ストレスによる背部痛は「これは重度の病気なのではないか」と不安になったり、痛みへの恐怖から過度に痛くなった部分をかばい、結果としてほかの部分を痛めてしまうなど、他の症状が後から出現してしまうことも特徴です。

がんなどの病気が隠れている可能性は?症状から自分でチェックできる?

腰痛や背部痛を症状とす病気はいろいろとあり、腰痛や背部痛がする場合にはさまざまな病気が隠れている可能性が考えられます。

例えば、泌尿器系の病気では腎臓の結石や尿路結石、泌尿器の癌、膀胱炎、腎盂炎が考えられます。消化器系ですと胃・十二指腸潰瘍、胆石症、胆のう、胆管炎、消化器のがん、膵炎が考えられますし、循環器系ですと腹部大動脈解離、腹部大動脈瘤が考えられます。女性に特有の病気では子宮外妊娠、子宮筋腫、子宮・卵巣癌、卵巣膿腫、月経困難症が考えられます。また、普段健康で、病気をしている可能性が極めて少ないという方であっても風邪やインフルエンザなどにかかることで背中に痛みが出ることもあります。

このように、腰痛や背部痛が生じる病気はさまざまなものがあり、自分で症状からのチェックは非常に難しいとされています。ですが、腰痛や背部痛が生じ、ストレスではないと自分で判断するためのポイントがいくつかありますのでご紹介します。

発熱があるか

1つ目は、発熱があるかどうかというところです。ストレスの腰部や背中の痛みは熱は出ません。ですので突然高熱が出て、背中や腰が痛むという場合にはストレス以外の病気が隠れている可能性があります。

他に症状があるかどうか

2つ目は他にも何か症状があるかどうかです。上記でご紹介した病気はすべて腰痛や背部痛のみが症状として見られるわけではなく他にもさまざまな症状が見られます。そのため、腰痛や背部痛だけでなく他にも症状が出ているという場合にはストレス以外の原因を疑うべきでしょう。ですが、ストレスによる心身反応でも動悸や息切れ、頭痛や吐き気など他の病気と類似した症状が見られます。そのため判別が難しいかもしれませんが、特に急に症状が強く出てきたという場合にはストレス以外の可能性が高いので、ここをチェックするポイントとして考えていただけることをおすすめします。

また、筋線維筋痛症や胃・十二指腸潰瘍のようにストレスが原因となり結果として身体化ではなく大きな病気に結びつくということも少なくありません。

今の痛みをすぐに何とかしたいという場合には、まず横になってゆっくりと休みましょう。横になるといっても仰向きだと背中の痛みが辛いという場合には、側臥位 (横向き) になったりうつぶせ (下向き) になったりするのも良いでしょう。まずは自分の痛みが楽になるという体制をとりましょう。もしも、あおむけで寝るという場合には膝を曲げて寝るといくらか楽なことがあります。また、痛い部分が明確である場合にはその部分を冷やすというのも良いことがあります。

急性ではないものの毎日あるいは時々背中の痛みを感じるという場合には、さまざまな対策方法があります。まずは、ストレッチをして背中の筋肉をほぐしてあげるということです。一定時間に例えば手を上にあげて体を伸ばしたり、肩や首を大きく回すなどしてあげることで筋肉がほぐれて痛みを改善できる可能性があります。また、40℃位のお風呂にゆっくりと使ったり痛い部分を温めてあげるということも良い方法です。

これらの対処法でも全く効果がないという時には鎮痛剤を内服して痛みを和らげるという方法もありますが、これはあくまで医療機関などでほかの病気ではないということが確定してから行われることをおすすめします。