冬の時期になると流行する感染性胃腸炎。感染性胃腸炎とはどういった病気なのか、症状や治療など詳しく解説していきます。
また、感染性胃腸炎の予防法もご紹介するので感染性胃腸炎流行に備えてぜひご活用ください。
感染性胃腸炎ってどんな病気?種類と原因について
感染性胃腸炎とは、ウイルスが原因で起こる胃腸炎の総称です。原因となるウイルスがさまざまあるので、流行シーズンを見てみると、例年初冬から増加し始めて12月頃に一度ピークを迎えます。そのあと、春にもう一つなだらかではありますが感染者が増加し、その後初夏までだらだらと続いて減少していくという経過をたどります。
感染性胃腸炎の原因ウイルスはさまざまなものがありますが、主に毎年流行が見られるのは6つのウイルスや細菌となります。
腸炎ビブリオ
1つ目は腸炎ビブリオで、魚介類の刺身、すし類の喫食が原因で感染します。潜伏期間は10~24時間となります。
腸炎ビブリオ
2つ目はサルモネラで、卵および卵製品、洋菓子類、加熱不十分な食肉で感染をします。潜伏期間は5~72時間と感染後比較的早期に発症します。発症までの平均潜伏期間は12時間ほどとされています。
病原大腸菌
3つ目は病原大腸菌(腸管出血性大腸菌以外)です。お弁当や給食を原因とする事例の発生があり、梅雨の時期に多く見られます。感染者が出た時に多くの場合は、原因食品の特定が困難であることが特徴です。12~72時間の潜伏期間を経て発症します。
カンピロバクター
4つ目はカンピロバクターで、鶏肉、牛の生レバー、殺菌不十分な井戸水の喫食で感染します。潜伏期間は2~5日程とされています。
ロタウイルス
5つ目はロタウイルスで、飲料水や食物から感染をします。特に乳幼児に感染することの多いウイルスで、乳児では、予防にワクチンを接種することもできます。1~3日の潜伏期間を経て発症します。
ノロウィルス
6つ目はノロウィルスで、カキなどの2枚貝の喫食が原因で感染します。潜伏期間は1~2日程度です。ノロウイルスは人から人への感染力が非常に強く、これらの原因ウイルスの中でも毎年冬になると爆発的に感染が拡大するウイルスです。
感染性胃腸炎の症状は?
感染性胃腸炎の症状は感染したウイルスや細菌によっても症状が異なりますが、主にみられるのは発熱、下痢、悪心、嘔吐、腹痛などです。 最初に発熱が見られ、風邪かと思い経過を見ていたら嘔吐、下痢など腹部症状が遅れて出現し、後々になって感染性胃腸炎であったことが分かるということもあります。
特に乳幼児に感染者が多く、1歳以下の乳児では症状の進行が非常に速いという特徴があります。どのくらいの症状がいつまで続くのかについては個人差がありますが、通常は3日以内に回復します。
ノロウイルスについては世代関係なく流行する傾向にあり、小学校や高齢者施設など集団生活の場における集団感染の事例がたびたび報告されています。
感染性胃腸炎の検査と治療方法は?
感染性胃腸炎は、感染者の便に含まれているウイルスを検査することで、どのウイルスに感染したかを診断します。ですが、例えば周囲にすでにどのウイルスに感染したかが分かっている人がいる、地域で流行しているウイルスが既に分かっている場合で症状が同じであれば、検査をしないということもあります。
感染性胃腸炎は、ウイルスに感染していた場合には、抗ウイルス薬がないため、対処療法が基本です。下痢が辛い、吐き気が辛い等、辛い症状を和らげるお薬を処方して経過を見るというのが一般的な治療方法です。下痢や嘔吐によって脱水状態となっている場合には、脱水の予防や改善の目的で点滴を行うこともあります。
また、感染したのが細菌や寄生虫であった場合にはその原因に対して治療を行うことがあります。
感染性胃腸炎は予防できる?
感染性胃腸炎の最たる予防方法は手洗いです。石鹸で手を洗い、流水で30秒以上しっかりと洗い流しましょう。特に外出後や食事の前、食事の調理の前後にはしっかりと手を洗うことが必要です。
また、感染性胃腸炎の原因ウイルスは症状が回復したとしてもその後1週間程度、長ければ1ヶ月程度は便中にウイルスが含まれています。ですので、家族内に感染性胃腸炎にかかった方がいらっしゃる場合には、その方の便に含まれるウイルスで感染しないようにすることが必要です。
トイレに窓がある場合にはトイレを換気しましょう。窓がないという場合には換気扇などを活用して換気をしましょう。感染者の方との手洗い後のタオルの共有は避け、感染者の方は手洗い後はペーパータオルを使用するとよいでしょう。
感染したウイルスや細菌によって消毒法は異なりますので、ウイルスや細菌に効果のある消毒法でドアノブやスイッチなどを消毒することも感染予防へとつながります。
クリニックフォアの内科では、感染性胃腸炎にかかった場合の検査や治療を行っております。家族内でも感染を拡大させないために、早めに診断を受けられるとよいでしょう。感染性胃腸炎と思わしき症状がある、周囲に感染性胃腸炎となった方がいるという方はお気軽にご相談ください。
公開日:9月8日
監修:クリニックフォアグループ医師