これから暑くなってくると汗をかきやすくなって困るという方もいらっしゃるかと思います。特に普段から汗の量が多い方は自分が多汗症なのか、汗っかきなのか悩まれる方もいらっしゃるでしょう。
今回は自分が汗っかきなのか多汗症なのかお分かりいただけるようにチェックの方法、そして治療法について解説します。
1.多汗症とは?どんな症状が出るの?どれくらいの人が悩んでる?
多汗症とは発汗が過剰となった状態のことを言います。10~30才代に多く、男女比はほぼ1:1であるといわれています。多汗症は2つの種類に分類されます。
1つは全身性多汗症といい、全身の発汗が過剰な状態です。もう1つは局所性多汗症といい手掌や足の平など局所的な発汗が過剰な状態を指します。両者とも原発性と続発性の病態があります。
原発性とは原因がはっきりとしない多汗症のことです。はっきりと原因が分かっていないものの、発汗を促す交感神経が人よりも興奮しやすいのではないかと考えられています。原発性手掌多汗症患者さんの有病率は人口の約5.3%といわれていますが、このうち医療機関で治療を行っている方はそのうちの1割未満ともいわれており、治療をせずに体質だからとあきらめてしまっている方が多く見受けられるようです。また、原発性多汗症の中には、遺伝の要因が関係する方もいると言われています。海外では多汗症患者で60~65%が家族内で発生していることも分かっています。
もう1つの続発性多汗症は病気や内服している薬が原因となるものであり、いろいろな病気や内服薬が多汗症へとつながっていることが分かっています。例えば糖尿病による神経障害、中枢性神経疾患、肥大性骨関節症、耳下腺の損傷などさまざまな神経に係る病気が多汗症を誘発していることが分かっています。
発汗という観点だけで見るとストレスを感じたり、緊張や恐怖、不安などで汗をかくことがあります。ことわざにもありますが、「手に汗を握る」とは興奮している時などを表す表現であり、まさに興奮している時に手に汗をかきやすい方もいらっしゃるでしょう。こういう一時的な発汗は多汗症には分類されません。
また、汗をかきやすくなる環境は多汗症を悪化させることがあります。例えば、香辛料の入っているものを食べたり、ニコチンをとったりすると汗腺を刺激するため多汗症でない方でも発汗量が増えるので、多汗症の方においては症状を悪化させることがあります。
また、汗をかく病気というと関連付ける方も多いのが腋臭症、いわゆるワキガではないでしょうか。ワキガは汗腺であるアポクリン腺とエクリン腺のうち、腋窩や外陰部に分布するアポクリン腺腔の発汗量が多くなることによってニオイのもととなる汗が多く分泌されて特有のにおいを放つ病気です。汗をかくという点ではワキガも多汗症も似ていますが、多汗症だからといってワキガを合併しているということではありません。多汗症とワキガはまた別の病気とお考えいただくとよいでしょう。
↓初診からOK!オンライン診療はこちら
2.セルフチェック方法について
自分が多汗症なのかどうかが気になるという方へ、多汗症のセルフチェックをしてみましょう。
以下の質問に当てはまるという方は多汗症の可能性があります。
- 原因不明の多量の発汗が半年以上続く
- 緊張すると汗が過剰に出る
- 滴り落ちるほどの汗が出る、タオルで拭き続けなければ生活や学業に支障が出る
- 常に手掌や足の裏や脇のあたりが湿っている
- 指先の色が悪い
- 脇の汗じみが常に目立つほど汗をかいている
- 両脇の発汗量は同じくらいである
- 常にタオルで汗を拭いていたり、何回も着替えたりする。制汗剤が手放せない
- 昼間(10時~18時)によく汗をかくが睡眠中は発汗していない
また、質問に当てはまった方のうち、以下の(3)、(4)に当てはまる方は重症な多汗症となるため治療をおすすめします。
汗をかいているということに・・・
(1)まったく気付かない、邪魔にならない。
(2)我慢できる、たまに邪魔になる。
(3)どうにか耐えられる、しばしば邪魔になる。
(4)耐えがたい、いつも邪魔になる。
重症な多汗症ではなかったという方でも当てはまる項目がある、日常生活に支障をきたしている、汗をかいているということが嫌で人と接するのがおっくうになるという方では治療を考えてもよいでしょう。
↓初診からOK!オンライン診療はこちら
3.治療方法とは?
多汗症の治療は段階的に治療を変えていく必要があります。
まず初期段階はお薬による治療として塩化アルミニウムというローションタイプのお薬を塗布します。脇の場合は塩化アルミニウムを塗るだけで効果がありますが、手掌や足の裏の場合はさらにラップなどで密封することでより効果が出てきます。お薬で炎症を起こして汗腺をふさぎ、過度な発汗を防ぐという方法ですが、継続して治療をしていくことが必要です。手掌や足の裏の場合は、この塩化アルミニウムと同等の効果のある治療法としてイオントフォレーシスといい、水道水の入った容器の中に汗が気になる部位を浸し、10~20mAの直流電流を流すという治療があります。通電することで発生する水素イオンが汗の出口を障害して汗を出にくくすることで効果を発揮する治療法です。この治療は8~12回で効果を実感できいますが、その後も状態維持のために定期的に治療を受けることが必要となります。
この治療法でも効果が実感できないという場合には腋窩、手掌、足の裏に対するA型ボツリヌス毒素(BT-A)の局所注射療法を行います。交感神経から発汗の指令をだすアセチルコリン分泌を抑制するもので、1週間ほどで効果が出て6ヶ月ほど持続します。ですが、筋力の低下や注射による副作用があることからこの方法は保険適用外になっています。
この治療方法でも効果が見られないという方は手術を行います。手術は内視鏡的胸部神経遮断術(ETS)という方法があるのですが、この手術は手掌の多汗症のみに有効です。掌の汗を出す神経を遮断するのですが、副作用として代償性発汗があげられます。 除神経されていない背部、大腿部の発汗の促進が見られることがあり、かなり高率で見られるとされています。ほかにも抗コリン薬というお薬を内服して発汗を抑えるという治療方法もあります。
近年市販でもテサランという手汗をとめるクリームなども売っていますが、長期的に見ればやはり医療機関でしっかりと治療を行うことがおすすめです。実際に治療を行ったことで、恋人や子どもと手をつなぐことに抵抗が無くなった、というようなコメントも多数あります。
手汗や脇の汗、足の裏の汗でお困りの方はクリニックフォアへお気軽にご相談ください。
クリニックフォアグループのオンライン診療について
より便利に診療を受けていただくために、初診から受診可能なオンライン診療を始めました。自宅で・オフィスで・外出先で・スキマ時間に、ご来院いただかなくても、便利に診療を受けて決済いただき、必要なお薬をご自宅までお届けします。
クリニックに来院することによる新型コロナウイルス感染リスクを防ぐ為にも、ぜひご利用ください。
↓初診からOK!オンライン診療はこちら
また保険診療だけでなく、低用量ピル、ED・AGA・FAGA治療薬、美容皮膚科などの自費診療のオンライン診療も行っております。ぜひご利用ください。
↓自費診療のオンライン診療はこちら
「新型コロナ相談」LINE公式アカウント
クリニックフォアグループでは、Lineの「新型コロナ相談」アカウントを開設し、BOT形式で疑問・ご質問にお答えしています。
クリニックフォアグループの医師が、厚生労働省やWHOの提供している情報や論文を元に作成しています。
公開日:6月16日
監修:クリニックフォアグループ医師