ハゲの種類・パターンは大きく分けて3つ
ハゲの種類を形で分類すると、大きく以下の3つに分けられます。
M字ハゲ、U字ハゲ、O字ハゲの3つの主要なパターンがありますが、これらはAGA(男性型脱毛症)の進行段階や発現パターンの違いを示しています。
それぞれ詳しく解説していきます。
M字ハゲ

M字ハゲは左右の生え際が、剃りこまれたように後退しているハゲの形です。正面から見た時にアルファベットのMの様な形をしている事からM字ハゲと呼ばれています。
医学的にはハミルトン・ノーウッド分類のII型からIII型に相当し、AGAの初期から中等度の段階で多く見られるパターンです。額の両側、特に剃り込み部分(側頭部寄りの生え際)から薄毛が始まり、徐々に後退していきます。[1]
U字ハゲ
U字ハゲはM字ハゲが進行したものです。今までは剃り込みのようになっていた部分が頭頂部までに達し、上から見た際にUの字に見えるため、U字ハゲと呼ばれます。
これはハミルトン・ノーウッド分類のV型からVII型に相当する進行段階で、額全体の生え際が大きく後退し、最終的には頭頂部の薄毛と合流してU字型になります。側頭部と後頭部にのみ毛髪が残る状態となり、AGAの進行した段階を示しています。[1]

O字ハゲ
O字ハゲは頭頂部が薄くなり、上から見た時にO字のように見える形です。つむじハゲと呼ばれることもあります。
頭頂部(つむじ周辺)から円形に薄毛が広がるパターンで、自分では鏡で確認しにくいため、家族や友人から指摘されて気づくケースが多いです。日本人男性に特に多く見られるパターンであり、高島分類では「II型vertex」という独自の分類が追加されています。[1]

ハゲは何型? AGAとその他の脱毛症を見分ける
AGAの特徴的なパターン
AGAは特定のパターンで進行することが特徴です。上記のM字型、U字型、O字型のいずれか、またはこれらの組み合わせで薄毛が進行します。これは、前頭部と頭頂部の毛包が男性ホルモン(DHT)の影響を受けやすいためです。一方、側頭部や後頭部の毛髪はDHTの影響を受けにくく、AGAが進行しても残りやすい特徴があります。[1][2]
円形脱毛症や皮膚炎による脱毛の場合は異なる
しかし脱毛症の中でも、円形脱毛症や皮膚炎による脱毛などの場合は、DHTだけが原因とは限りません。
円形脱毛症の場合は、毛の抜け方が特徴的なため通常のAGAと区別がつきやすいのですが、皮膚炎の場合にはハゲ方に特徴が乏しい為、AGAと見分けるのが少々難しい場合もあります。
過剰なフケや頭皮のベタ付きを感じた場合には、皮膚炎が関連している可能性もあるため、一度医師の診察を受けるようにしましょう。円形脱毛症は自己免疫疾患の一種と考えられており、突然コイン大の円形に毛が抜けるのが特徴です。AGAとは異なり、年齢や性別に関係なく発症し、ストレスが誘因となることもあります。一方、皮膚炎は頭皮の皮脂分泌異常や真菌増殖などが関与しており、フケの増加、頭皮の赤み、かゆみなどを伴う場合があります。[3]
その他の脱毛症のパターン
AGAや円形脱毛症、皮膚炎以外にも、以下のような脱毛症があります。
| 脱毛症の種類 | 主な特徴 | 原因 |
| 牽引性脱毛症 | ポニーテールなど髪を強く引っ張る髪型を続けることで、生え際や分け目が薄くなる | 物理的な牽引による毛包へのダメージ |
| 休止期脱毛症 | 出産後、高熱、手術、過度なダイエットなどの後に一時的に広範囲の脱毛が起こる | ストレスや栄養不足により毛髪が一斉に休止期に入る |
| びまん性脱毛症 | 頭部全体が均一に薄くなる。女性に多い | 加齢、ホルモンバランスの変化、栄養不足など複合的な要因 |
これらの脱毛症はAGAとは治療法が異なるため、正確な診断が重要です。[3]
AGAの原因は形によって異なる訳では無い
ここまでハゲの形について説明させて頂きましたが、形によってAGAの原因が異なる訳ではありません。基本的にはヘアサイクルの乱れによって引き起こされるものです。
そして、そのヘアサイクルの乱れはDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンが大きく影響しています。
DHTは毛母細胞の活動を弱める
DHTは、男性ホルモンであるテストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素によって変換されてできる物質です。このDHTが髪の毛の基となる毛母細胞の活動を弱めます。
毛母細胞の受容体にDHTが結合すると、毛包の成長期が短縮され、毛髪の成長サイクルが乱れます。それにより髪の毛はどんどん細くなっていき、ヘアサイクルの乱れを引き起こし、薄毛へと繋がります。
正常なヘアサイクルでは、成長期(2~6年)、退行期(2~3週間)、休止期(数ヶ月)を繰り返しますが、DHTの影響を受けると成長期が数ヶ月から1年程度に短縮されてしまいます。
その結果、太く長い毛髪に成長する前に抜けてしまい、次第に細く短い軟毛が増えていきます。これを「毛包のミニチュア化」と呼びます。[2]
フィナステリド(商品名:プロペシア)やデュタステリド(商品名:ザガーロ)といったAGA治療薬は、テストステロンをDHTに変換する酵素である5αリダクターゼの働きを抑えることで、DHTの生成を減少させます。5αリダクターゼにはI型とII型があり、フィナステリドは主にII型を、デュタステリドはI型とII型の両方を抑制します。
これにより、DHTによる毛包への悪影響を軽減し、ヘアサイクルの正常化を促します。[4][5]
注: 上記の説明はお薬の作用の仕組みを説明したものであり、効果を保証するものではありません。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ効果が得られるとは限りません。
進行が進めば進むほど治療も困難になる
AGAは進行性の疾患です。進行が進めば進むほど、治療も困難になります。元通りに戻る可能性も低くなってしまうといえます。基本的に投薬治療で用いられるお薬は変わりませんが、元通りに戻るまで時間がかかる上、治療を続ける期間も長くなるため、費用もより高くなります。
またAGAが進行して、毛根が完全に消失した状態になってしまうとAGA治療薬を用いても改善は不可能なため、少しでも早いタイミングで治療を始めることを強くおすすめいたします。毛包が完全にミニチュア化し、毛幹が形成されなくなった状態では、薬物療法による改善は期待できません。このため、AGAの兆候に気づいたら、早期に専門医に相談し、適切な治療を開始することが重要です。早期治療により、毛髪の密度を維持し、進行を遅らせることができる可能性が高まります。[2][6]
治療の選択肢(効果比較×安全性)
ミノキシジル外用薬の効果と注意点
ミノキシジル外用薬は、頭皮に直接塗布するタイプのAGA治療薬です。ミノキシジルは毛包に直接作用し、毛母細胞の増殖を促進することで発毛を促します。また、頭皮の血流を改善する効果もあり、毛髪の成長をサポートします。[7]
日本皮膚科学会のガイドラインでは、ミノキシジル外用(5%製剤)は男性型脱毛症に対して「行うよう強く勧める」(推奨度A)とされています。[6]
| 期待される効果 | 主な副作用・注意点 |
| 毛髪数の増加 毛髪の太さの改善 頭皮の血流改善 効果発現まで:通常4~6ヶ月 | 頭皮のかゆみ、発赤 初期脱毛(治療開始後1~2ヶ月) 動悸、浮腫(むくみ) 低血圧の方は使用前に医師に相談が必要 女性は5%製剤の使用に注意が必要 |
重要な注意事項:
ミノキシジル外用薬は一部が皮膚から吸収されるため、動悸や浮腫などの全身性の副作用が現れることがあります。特に心血管系の疾患がある方や低血圧の方は、使用前に必ず医師に相談してください。[7]
フィナステリド/デュタステリドの効果と注意点
フィナステリドとデュタステリドは、いずれも5αリダクターゼという酵素の働きを抑えることでDHTの生成を減少させる内服薬です。[4][5]
| 薬剤名 | 作用の仕組み | 期待される効果 | 主な副作用 |
| フィナステリド | 5αリダクターゼII型を抑制してDHTの生成を減少させる | 脱毛の進行抑制 毛髪数の増加 効果発現まで:3~6ヶ月 日本皮膚科学会推奨度:A ※男性型脱毛症(AGA)に対しての推奨度 | 性機能関連(性欲減退、勃起不全など:1~5%未満) 肝機能障害(まれ)PSA値の低下気分の変化 |
| デュタステリド | 5αリダクターゼI型とII型の両方を抑制してDHTの生成を減少させる | 脱毛の進行抑制 毛髪数の増加 フィナステリドより強力 効果発現まで:3~6ヶ月 日本皮膚科学会推奨度:A ※男性型脱毛症(AGA)に対しての推奨度 | 性機能関連(性欲減退、勃起不全など:1~10%未満) 肝機能障害(まれ) PSA値の低下気分の変化 女性化乳房 |
極めて重要な注意事項:
1. 妊婦・授乳婦への影響: フィナステリドとデュタステリドは男性胎児の生殖器官の発育に影響を及ぼす可能性があるため、妊娠中または妊娠の可能性がある女性は絶対に服用してはいけません。また、これらのお薬は皮膚からも吸収されるため、錠剤に触れることも避けてください。割れたり砕けたりした錠剤には特に注意が必要です。[4][5]
2. 献血制限: フィナステリド服用中および服用中止後1ヶ月間、デュタステリド服用中および服用中止後6ヶ月間は献血ができません。これは、輸血を受けた妊婦や胎児への影響を防ぐためです。日本赤十字社の献血基準で明確に定められています。[8]
3. PSA検査への影響: デュタステリドおよびフィナステリドは前立腺がんのスクリーニング検査であるPSA(前立腺特異抗原)の値を約50%低下させます。PSA検査を受ける際は、必ず医師にこれらのお薬を服用していることを伝えてください。[5]
主要治療の相対効果(ネットワーク・メタ解析)
2022年にJAMA Dermatologyで発表されたネットワーク・メタ解析では、複数のAGA治療法の効果が比較されました。この研究によると、総毛髪数の増加という指標において、デュタステリドが最も高い効果を示し、次いでフィナステリドと高用量にミノキシジルの組み合わせが効果的であるとされています。ただし、効果には用量や治療期間が影響するため、個々の患者に最適な治療法を選択することが重要です。10
再生医療などの位置づけ(現時点のエビデンス)
近年、幹細胞移植やPRP(多血小板血漿)療法などの再生医療がAGA治療の選択肢として注目されています。これらの治療法は、毛包幹細胞の活性化や成長因子の供給により発毛を促すことを目指しています。[11]
しかし、現時点では多くの再生医療技術が臨床試験段階にあり、長期的な効果や安全性についての十分なエビデンスが確立されていません。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、一部の再生医療については「行わない方がよい」(推奨度C2)と評価されているものもあります。これは効果が不確実であることや、十分な検証結果がないことが理由です。[6]
再生医療を検討する場合は、治療の現状とリスクについて医師と十分に相談し、納得した上で選択することが重要です。
受診の目安とセルフチェック
AGAのセルフチェック方法
ご自身かAGAかどうか気になる方は、「【医師監修】AGA(薄毛)のセルフチェック診断全9項目!無料診断も実施中」の記事を参考にセルフチェックをしてみてくださいね。
受診を検討すべきサイン
以下のような症状や変化に気づいた場合は、早めに専門医に相談することをお勧めします。
| 症状・変化 | 受診の必要性 |
| 生え際の後退が目立つようになった | AGA初期の可能性があり、早期治療で効果が期待できます |
| 頭頂部が薄くなっている | O字型のAGAの可能性があり、専門的な評価が必要です |
| 髪が細く柔らかくなった | 毛包のミニチュア化が始まっている可能性があります |
| 抜け毛が急激に増えた | AGAまたは他の脱毛症の可能性があり、原因の特定が重要です |
| 家族にAGAの方がいる | 遺伝的要因があり、予防的な相談も有用です |
AGAのよくある質問
最後にAGAに関するよくある質問についてまとめて回答したので、ぜひチェックしてくださいね。
Q. 何もしなくてもハゲの進行は止まることがあるんですか?
A. AGAは進行性の病気のため、止まりません
AGAは進行性の病気のため、完治することはありません。そのため、何もしなければ当然のように薄毛は進行していきます。
Q. 高校生でもAGAになる可能性はありますか?
A. あります。
高校生でもAGAになる可能性はあります。またAGA発症者のうち、約10%は10代の方が発症しているとされています。早期治療が肝心です。クリニックフォアでは15歳の方から治療を受けていただけます。まずは相談してみてくださいね。
Q. 薄毛治療を始めたら、どのくらいで髪は生えてきますか?
A. 治療法にもよりますが、一般的に3~6ヶ月で効果を実感し始める方が多いです
個人差はございますがフィナステリド・デュタステリドの場合は、1〜2ヶ月程度で実感できる方が多いです。ミノキシジルの場合は、早い方で3ヶ月程度、一般的には半年程度で、治療の効果をはっきりと実感することができる方が多いです。個人差がありますが、最大の効果が得られるまでには1年以上継続することが推奨されています。治療開始後1~2ヶ月で一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こることがありますが、これは新しい毛髪が生えるための準備段階であり、通常は治療を継続することで改善します。[6][7]
Q. 妻が妊娠中です。治療薬に触れても大丈夫ですか?
A. フィナステリドやデュタステリドの錠剤には触れないようにしてください
フィナステリドとデュタステリドは、皮膚からも吸収される可能性があります。特に錠剤が割れたり砕けたりしている場合、お薬が直接皮膚に触れると吸収されるリスクが高まります。妊娠中または妊娠の可能性がある女性がこれらのお薬に曝露すると、男性胎児の生殖器官の発育に影響を及ぼす可能性があります。そのため、錠剤の保管や取り扱いには十分注意し、妊娠中の女性や妊娠の可能性がある女性が触れないようにしてください。[4][5]
Q. 治療中に献血はできますか?
A. フィナステリドまたはデュタステリド服用中および服用中止後一定期間は献血できません
日本赤十字社の献血基準により、フィナステリド服用中および服用中止後1ヶ月間、デュタステリド服用中および服用中止後6ヶ月間は献血ができません。これは、これらのお薬を含む血液が妊婦や胎児に輸血された場合の影響を防ぐための措置です。[8]
Q. 女性もAGA治療薬を使用できますか?
A. フィナステリドとデュタステリドは女性には使用できません。ミノキシジル外用や内服薬は使用可能です フィナステリドとデュタステリドは、女性、特に妊娠中または妊娠の可能性がある女性には禁忌です。一方、ミノキシジル外用薬は女性の脱毛症(FAGA)にも使用できますが、濃度が男性用(5%)と女性用(1~2%)で異なる場合があります。また、女性もミノキシジル内服薬を服用できる場合があります。女性の薄毛治療については、こちらをご確認ください[6][7]
オンライン診療について
クリニックフォアでは、AGAに関するオンライン診療を提供しています。自宅にいながら診察を受けることができ、お薬の処方も可能です。忙しい方や通院が難しい方でも、気軽に相談できる環境を整えています。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
オンライン診療のメリット:
- 自宅や外出先から診察を受けられる
- 待ち時間が少ない
- プライバシーが保たれる
- お薬は自宅に配送される
- 定期配送サービスで継続治療がスムーズ
AGAが気になる方、薄毛の進行を防ぎたい方は、ぜひクリニックフォアのオンライン診療をご利用ください。

