ジヒドロテストステロン(DHT)とは
ジヒドロテストステロンとは男性ホルモンの一種です。男性胎児の外性器の生成に関与する役割を持つ他、海馬の内部で合成され、認知力や記憶力にも関与することが知られています。
一方で毛根の受容体に作用すると、毛母細胞の働きを弱める力を持っており、AGAの原因として重要なホルモンでもあります。
ジヒドロテストステロンは男性ホルモンである「テストステロン」と5αリダクターゼという還元酵素が結合して生成されます。
AGA治療ではフィナステリドやデュタステリドを用いて5αリダクターゼの活動を抑制し、ジヒドロテストステロンの生成を減らす治療が一般的です。
ジヒドロテストステロンを抑制・減らす方法
ジヒドロテストステロンを抑制・減らす方法には以下の3点が挙げられます。
- 亜鉛の摂取
- ノコギリヤシの摂取
- フィナステリド・デュタステリドの服用
それぞれ詳しく解説していきます。
亜鉛の摂取
亜鉛はジヒドロテストステロンを促進する酵素である、5αリダクターゼへの抑制作用があると言われています。そのため、結果的にジヒドロテストステロンの生成が抑制されるとされています。
しかし亜鉛は過剰摂取をすると、急性亜鉛中毒や胃障害、めまいを引き起こすため注意が必要です。サプリメント等を用いる際には、摂取量を必ず守るようにしましょう。
ノコギリヤシの摂取
AGAサプリにしばしば含まれるノコギリヤシも亜鉛と同様に5αリダクターゼの抑制作用があると言われています。
ノコギリヤシ自体は成分では無く、その名の通りヤシの一種です。ノコギリヤシに含まれるβシトステロールとオクタコサノールという成分が、5αリダクターゼへの抑制作用があるとされています。イタリアで行われた研究では、ノコギリヤシを摂取した約38%の人に薄毛の改善傾向が見られたとされています。
亜鉛などと同様にサプリメントでも売られています。
フィナステリド・デュタステリドの投薬
AGAは進行性の疾患であるため、しっかりと予防するには、医薬品であるフィナステリドとデュタステリドでの治療をおすすめします。
フィナステリド、デュタステリドは、亜鉛、ノコギリヤシと同様、5αリダクターゼを抑制し、結果的にジヒドロテストステロンの生成を減少させる作用があります。
当然、フィナステリド・デュタステリドは医療用医薬品であるため、亜鉛やノコギリヤシとは効果は比べるべくもありません。
また、デュタステリドはフィナステリドよりもジヒドロテストステロンへの変化を抑える効果が高いです。
DHT への変化の原因となっている 5α還元酵素 (リダクターゼ)には I 型と II 型とが存在します。フィナステリドは、Ⅱ型のみに阻害効果がありますが、それに対して、デュタステリドは I 型と II 型の両方に有効であるため、デュタステリドの方がフィナステリドと比較して、約1.6倍の薄毛改善効果が期待できるとされています。
ジヒドロテストステロンでよくある質問
最後にジヒドロテストステロンに関する、よくある質問についてまとめました。是非チェックしてみてください。
Q. ジヒドロテストステロンの多い人に特徴はありますか?
A. 薄毛の進行とジヒドロテストステロンには関係性があります
ジヒドロテストステロンが高いと、AGAのリスクが高いといえます。若い内から、AGA特有の薄毛症状(生え際や頭頂部の薄毛)が認められることが多いと考えられます。
Q. ジヒドロテストステロンと体毛の濃さは関係ありますか?
A. ジヒドロテストステロンには体毛が濃くなる作用があります。
ジヒドロテストステロンは男性ホルモンとして重要な働きをしており、特に思春期においては体毛の増加や声変わりの発現と関係しています。
体毛が濃いからといって必ずしも薄毛になるわけではありません。しかし、体毛が濃い方がAGAを発症した場合、薄毛の症状が進行しやすい傾向はあるといえます。
Q. ジヒドロテストステロンが体臭を臭くするというのは本当ですか?
A. ジヒドロテストステロンと体臭には関係性があります。
体臭の直接的な原因となるわけではありませんが、ジヒドロテストステロンをはじめ、男性ホルモンは皮脂の分泌を促進させるため、体臭を強くします。皮脂は肌のベタつきや毛穴のつまりの原因となり、放置すると酸化してにおいの原因となります。