ミノキシジルの内服と外用はどっちを選ぶ?効果と副作用の違いから見る選び方の基準

薄毛治療を検討する中で、「ミノキシジルには飲むタイプ(内服)と塗るタイプ(外用)があるけれど、結局どちらが良いのか?」と迷っていませんか。
どちらにもメリット・デメリットがあり、一概に「こちらが正解」とは言えません。ライフスタイルや治療に求める効果、副作用への許容度によって、最適な選択は変わってきます。
この記事では、ミノキシジルの内服と外用の決定的な違い、それぞれのメリット・デメリット、そして副作用のリスクについて解説します。

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外用薬と内服薬、それぞれに異なる強みがある

外用薬と内服薬はそれぞれ異なる特徴を持っており、ご自身の優先事項に応じて選択することが大切です。

日本皮膚科学会のガイドラインでは、外用ミノキシジルは男性には5%製剤、女性には1%製剤が「強く勧められる」とされています[1]

これはエビデンスレベルの高い複数のランダム化比較試験に基づく評価です。一方、内服ミノキシジルについては、国内ガイドラインでは積極的な推奨はされていません。

ただし、内服ミノキシジルの有効性に関するエビデンスは近年蓄積されつつあります。

低用量経口ミノキシジル(LDOM:0.25〜5mg/日)は、男性型脱毛症(AGA)および女性型脱毛症(FPHL)に対して有効性を示す報告が増えています[2]。効果は用量依存性があり、医師の管理のもと患者の反応に応じて調整されます。

手軽さ・安心感を重視するなら外用薬、医師の管理のもとより高い発毛効果を求めるなら内服薬という選び方が一つの目安になりますが、どちらを選ぶ場合も医師と相談のうえ、ご自身に合った治療法を決めていきましょう。

【外用薬】日本皮膚科学会ガイドラインでは推奨Aランク

日本皮膚科学会が策定した男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)では、外用ミノキシジルは第一選択のお薬として位置づけられています[1]

具体的には、男性型脱毛症(AGA)には5%ミノキシジル外用液を1日2回塗布、女性型脱毛症(FPHL)には1%ミノキシジル外用液を1日2回塗布が推奨されています。推奨度は「A」であり、これは「行うよう強く勧められる」ことを意味します。

この評価は、男性を対象とした14件以上、女性を対象とした10件以上の信頼性の高い臨床研究に基づいています[1]。約6ヶ月間の使用で、2%および5%ミノキシジル外用液を使用したグループでは、毛髪の本数が明らかに増加したことが確認されています。

【内服薬】未承認だが高い有効性が報告されている

内服ミノキシジルは、日本国内でもFDAでも脱毛症治療薬としての承認を受けていません[2]。日本皮膚科学会ガイドラインでは「行うべきでない」(推奨度D)と記載されています[1]

しかし、近年の複数の臨床研究により、低用量経口ミノキシジル(LDOM)の有効性に関するエビデンスが蓄積されています。男性AGAに対しては1日1〜5mg、女性FPHLに対しては1日0.5〜1mgが一般的な開始用量とされています。最大用量は通常5mg/日です。

1,404名を対象とした多施設研究では、低用量経口ミノキシジルの安全性が確認されています[2]。この研究において、女性の中央値用量は1.11mg/日、男性の中央値用量は2.60mg/日でした。主な副作用は多毛症であり、女性で20.1%、男性で5.8%に認められました。

外用薬で十分な効果が得られない場合に、医師の管理下で内服薬が選択肢となることがあります。ただし、使用にあたっては循環器系への影響を含めた定期的なモニタリングが必要です。

ミノキシジル内服薬と外用薬の主な違い

ミノキシジルの内服薬と外用薬には、承認状況・作用範囲・副作用の性質という3つの大きな違いがあります。

外用薬は男性型および女性型脱毛症の治療薬としてFDA承認を受けており、日本でも一般用医薬品として市販されています[1][3]。一方、内服薬は脱毛症治療としてはFDA未承認であり、医師の判断による適応外使用(オフラベル)となります[2]

作用範囲も異なり、外用薬は塗布した頭皮局所に主に作用するのに対し、内服薬は消化管から吸収され全身の血流に影響を与えます。そのため、内服薬では頭部以外の体毛増加(多毛症)が起こりやすい傾向があります。

副作用の系統も明確に分かれ、外用薬では頭皮のかゆみや乾燥といった皮膚症状が主体です。内服薬では動悸、浮腫(むくみ)、低血圧などの循環器系症状に注意が必要です。

比較項目外用薬内服薬
承認状況米国ではFDA承認済み/日本では一般用医薬品脱毛症治療としては米国FDA未承認(適応外使用)/日本でも未承認
作用範囲頭皮局所全身
主な副作用頭皮のかゆみ
・乾燥
多毛症
・動悸
・むくみ
・低血圧

承認状況の違い:外用は一般用医薬品として認可済み

外用ミノキシジルは、男性型脱毛症(AGA)および女性型脱毛症(FPHL)の治療薬としてFDAの承認を受けています。日本においても、男性用の5%製剤は一般用医薬品として薬局・ドラッグストアで処方箋なしで入手できます。

日本皮膚科学会のガイドラインでは、外用ミノキシジルは推奨度A(行うよう強く勧められる)に分類されています[1]。これは、複数のランダム化比較試験によって有効性が確認された、エビデンスレベルの高い標準治療であることを意味します。

一方、内服ミノキシジルは脱毛症治療としてFDAの承認を受けていません。本来は重症高血圧の治療薬として開発された経緯があり、脱毛症への使用は適応外(オフラベル)となります。日本皮膚科学会ガイドラインでも推奨度D(行うべきでない)とされています[1]

ただし、内服ミノキシジルの有効性を示すエビデンスは蓄積されつつあり、医師の管理下で処方されるケースは増加しています。

作用範囲の違い:外用は頭皮局所、内服は全身の血流に作用

外用ミノキシジルと内服ミノキシジルでは、体内での作用範囲が大きく異なります。

外用ミノキシジルは頭皮に直接塗布するため、作用は主に塗布部位のみです。頭皮の血管を拡張させ、毛包への酸素・栄養供給を増加させることで発毛を促進します。全身への影響は通常は限定的であり、全身性の副作用は比較的まれです。

内服ミノキシジルは消化管から吸収され、全身の血流に入ります。ミノキシジルはATP感受性カリウムチャネルを刺激し、血管平滑筋を弛緩させる血管拡張作用を持っています[2]。この作用が全身に及ぶため、頭部だけでなく顔面、腕、脚、背中など全身の体毛が増加する多毛症が起こりやすくなります。

副作用の性質:皮膚トラブルか循環器系への影響か

外用薬と内服薬では、注意すべき副作用の系統が明確に異なります。

外用ミノキシジルの主な副作用は皮膚症状です。頭皮のかゆみ(そう痒感)が代表的であり、乾燥や刺激感を感じる方もいます[2]。まれに顔面の体毛増加が報告されることもあります。これらは塗布部位およびその周辺に限局した症状であり、使用を中止すれば多くの場合改善します。

内服ミノキシジルでは、循環器系への影響に注意が必要です。低用量経口ミノキシジル(LDOM)の副作用は、用量依存性に起こりやすいもの(多毛症、循環器症状など)と、まれだが重篤化し得るもの(例:心嚢液貯留など)が報告されています。

心血管症状には、低血圧、浮腫(むくみ)、期外収縮、疲労、頻脈、心電図変化などが含まれます。

心血管症状や多毛症はの発現率は用量依存性が示唆されており、用量が高いほど報告頻度が高いとされています。また、女性は男性よりも多毛症を発症しやすい傾向があります。

副作用の種類外用薬内服薬
皮膚症状かゆみ、乾燥、刺激感まれ
多毛症まれ(顔面に限定)高頻度(全身性)
循環器症状まれ低血圧、むくみ、動悸、頻脈
心嚢液貯留報告なしまれ(特異体質性)

内服薬と外用薬の選び方と向いている人の特徴

ミノキシジルの内服薬と外用薬、どちらを選ぶべきかは、ご自身の状況や優先事項によって異なります。

外用薬が向いているのは、副作用リスクを抑えながらガイドライン推奨の治療を受けたい方です[1]。初めて薄毛治療を始める方、全身性の副作用を避けたい方に適しています。

内服薬が検討されるのは、外用薬で十分な効果が得られなかった方や、広範囲の薄毛改善を目指す方です。ただし、内服薬はFDA未承認であり、医師の管理下での服用が前提となります。

選択にあたっては、まず外用薬から開始し、6〜12ヶ月継続しても効果が不十分な場合に内服薬への切り替えや併用を検討する方が多いです。[2]。いずれの場合も、治療開始前に医師と相談し、ご自身の脱毛の進行度、健康状態、ライフスタイルを踏まえて判断することが重要です。

選択基準外用薬が向いている人内服薬が向いている人
治療歴初めて薄毛治療を始める外用薬で効果不十分だった
薄毛の範囲局所的(頭頂部や生え際のみ)広範囲に及ぶ
副作用への考え方リスクを最小限に抑えたい医師管理下でより高い効果を求めたい
入手方法市販品を手軽に使いたい医療機関で処方を受けられる

外用薬が向いているのは「副作用リスクを最小限に抑えたい人」

外用ミノキシジルは、全身性の副作用リスクを抑えながら薄毛治療を行いたい方に適しています。

外用薬の主な副作用は頭皮のかゆみや乾燥といった皮膚症状に限られます。全身への影響は限定的であり、心血管系への負担も少ないとされていますが、循環器疾患のある方は使用前に医師にご相談ください。

<外用薬が向いている方の特徴>

  • 初めて薄毛治療を始める方
  • ガイドライン推奨の治療を希望する方
  • 全身性の副作用を避けたい方
  • 心血管系に不安がある方
  • 市販品で手軽に治療を始めたい方

まずは外用薬から開始し、2〜4ヶ月で効果の兆候を確認することが推奨されます。

内服薬が検討されるのは「広範囲の薄毛で外用では効果不十分な人」

内服ミノキシジルは、外用薬では満足な効果が得られなかった方や、広範囲の薄毛改善を目指す方にとって選択肢となります。

低用量経口ミノキシジル(LDOM)に関する複数の臨床研究では、外用薬で十分な効果が得られなかった患者に対しても有効性が報告されています[2]。男性AGAでは1〜5mg/日、女性FPHLでは0.5〜1mg/日が一般的な開始用量です。効果は用量依存性があり、反応に応じて最大5mg/日まで増量されることがあります。

<内服薬が検討される方の特徴>

  • 外用薬を6〜12ヶ月継続しても効果が不十分だった方
  • 広範囲にわたる薄毛の改善を希望する方
  • 塗布の手間を避けたい方
  • 定期的な医師の診察を受けられる方

心血管系への影響に注意が必要なため、循環器疾患のある方は慎重な判断が求められます。

治療前に知っておくべき副作用と初期脱毛のメカニズム

ミノキシジル治療を始める前に、副作用と初期脱毛(シェディング)について理解しておくことが重要です。

初期脱毛とは、治療開始後の数週間から数ヶ月で一時的に抜け毛が増える現象です[3]。これは治療が効いていないのではなく、むしろ効果が現れている兆候と考えられています。ミノキシジルが毛包に作用し、休止期(テロゲン期)の毛髪が成長期(アナゲン期)の新しい毛髪に押し出されることで起こります。

外用ミノキシジルを使用した49名の患者を対象とした研究では、治療開始後最初の12週間で一時的な脱毛増加が認められました[3]。5%製剤を使用した患者は2%製剤より短期間で収束する傾向があり、脱毛の程度は治療効果の予測因子となる可能性が示されています。

副作用については、外用薬と内服薬で性質が異なります。外用薬では頭皮のかゆみや乾燥が主体です。内服薬では多毛症(全身の体毛増加)と心血管症状(低血圧、むくみ、動悸など)に注意が必要です。内服薬の副作用は用量依存性があり、低用量から開始することでリスクを軽減できます。

種類主な副作用発現時期対処法
初期脱毛一時的な抜け毛増加開始後2〜12週間継続使用(通常3〜6ヶ月で収束)
外用薬の副作用かゆみ、乾燥、刺激感使用中随時濃度変更、使用頻度調整
内服薬の副作用多毛症、むくみ、動悸服用中随時減量、中止の検討(医師と相談)

ミノキシジルの効果を実感し維持するための重要ポイント

ミノキシジル治療で効果を実感し、それを維持するためには、長期的な視点を持つことが重要です。

  • 効果の判定には最低でも4ヶ月以上の継続が必要
  • 使用を中止すると数ヶ月で元の状態に戻る可能性が高い

効果の発現には時間がかかります。また、効果を維持するには継続使用が前提となります。治療を検討する際は、長期間にわたってお薬を使い続ける意思と費用的な余裕があるかを事前に確認しておくことが大切です。

効果の判定には最低でも4ヶ月以上の継続が必要

ミノキシジルの効果を正しく判定するには、最低でも4ヶ月以上の継続使用が必要です。

ミノキシジルは使用開始後すぐに毛包への作用を開始しますが、目に見える発毛効果が現れるまでには時間がかかります[3]。新しい毛髪の成長が目視で確認できるようになるのは、一般的に2〜4ヶ月後です。

効果の発現には個人差があります。低用量経口ミノキシジルを服用した臨床研究では、24週間(約6ヶ月)の観察期間で総毛髪数や毛髪密度の増加が評価されています。専門家の意見では、6〜8ヶ月継続しても効果が見られない場合に治療の見直しを検討することが推奨されています[2]

<効果判定の目安>

期間期待される変化
0〜2ヶ月初期脱毛(シェディング)が起こる可能性あり
2〜4ヶ月新しい発毛の兆候が現れ始める
4〜6ヶ月毛髪密度や太さの改善が確認できる
6〜12ヶ月外見上の明確な改善が期待できる

途中で効果がないと判断して服用を中止すると、正確な評価ができません。最低4ヶ月、できれば6ヶ月以上は継続してから効果を判定しましょう。

使用を中止すると数ヶ月で元の状態に戻る可能性が高い

ミノキシジルは使用を中止すると、得られた発毛効果が時間とともに減弱し、治療前の状態に近づく可能性があります。

ミノキシジルは脱毛の根本原因を治療するお薬ではありません。毛包への血流を増加させ、毛包のサイズを拡大し、成長期を延長させることで発毛を促進します。しかし、遺伝的素因やホルモンバランスといった脱毛の原因自体には作用しないため、使用を中止すれば効果は持続しません。

使用中止後の経過として、一般的に3〜6ヶ月以内に治療中に得られた新しい発毛が失われるとされています[3]。これは、ミノキシジルによる毛包への刺激がなくなることで、毛髪が再び休止期に移行し、脱落するためです。

長期的な効果の維持を希望する場合は、ミノキシジルの継続使用が必要です。低用量経口ミノキシジルに関する専門家の見解でも、治療結果が満足できるものであり重大な副作用がない場合は、長期間の継続服用が可能とされています。

治療を始める前に、長期継続の意思と費用面の計画を立てておくことが重要です。

ミノキシジルに関するよくある質問

ミノキシジルの内服薬と外用薬について、よくある質問にお答えします。

治療を検討される方の多くが疑問に感じるポイントを解説します。

ミノキシジルの内服と外用は併用しても大丈夫ですか?

内服薬と外用薬の併用は、治療効果を高めるために、医師の判断のもとで行われる場合があります。ただし、併用による相乗効果と副作用リスクの両面を考慮することが必要です。

<併用を検討する際の注意点>

  • ミノキシジルの総量が増えるため、副作用リスクも上昇する可能性がある
  • 特に心血管系への影響を慎重にモニタリングする必要がある
  • 自己判断での併用は避け、必ず医師に相談する

内服薬と外用薬の併用を希望する場合は、現在の脱毛の状態、健康状態、他に服用しているお薬について医師に伝え、適切な判断を仰いでください。

内服薬は女性でも服用できますか?

低用量経口ミノキシジル(LDOM)は、女性型脱毛症(FPHL)に対しても有効性が報告されており、女性でも服用できます。ただし、男性とは用量が異なり、副作用の出方にも違いがあるため注意が必要です。

女性に対する一般的な開始用量は0.5〜1mg/日であり、男性の1〜5mg/日と比較して低く設定されています[2]。<女性の服用における注意点>

  • 女性は男性よりも多毛症を発症しやすい傾向があります
  • 1,404名を対象とした多施設研究では、女性の20.1%に多毛症が認められました(男性は5.8%)
  • 妊娠中・授乳中の服用は禁忌です
項目女性男性
開始用量0.5〜1mg/日1〜5mg/日
多毛症発現率20.1%5.8%
妊娠中の服用禁忌

女性が内服ミノキシジルを検討する場合は、婦人科的な状態も含めて医師と十分に相談し、適切な用量で開始することが重要です。

まとめ

ミノキシジルは、安心と実績を重視するなら「外用薬」、医師の管理下でより高い効果を目指すなら「内服薬」という選び方が基本です。

どちらを選ぶにせよ、効果の実感には4ヶ月以上の継続が必要であり、初期脱毛などの反応も理解しておくことが大切です。

特に内服薬は心血管系への副作用リスクがあるため、個人の判断で輸入などはせず、必ず医師の診断のもと処方を受けるようにしてください。

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AGAセルフチェック

自分がAGAなのか、簡単セルフチェック。

AGAの原因

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AGAのお薬について

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参考文献

  1. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
  2. Gupta AK, Talukder M, Shemer A, Piraccini BM, Tosti A. Low-Dose Oral Minoxidil for Alopecia: A Comprehensive Review. Skin Appendage Disord. 2024;10(1):44-59. PMID: 38376087. doi: 10.1159/000531890
  3. Cheng Y, et al. Whether the transient hair shedding phase exist after minoxidil treatment and does it predict treatment efficacy? A retrospective study in androgenetic alopecia patients. J Dermatolog Treat. 2025. PMID: 40122142. doi: 10.1080/09546634.2025.2480739