健康診断で「所見あり」となる人の割合
健康診断を受けると、結果表には「異常なし」「要経過観察」「要再検査」「要精密検査」といった判定が記載されます。
このうち「異常なし」以外の判定を受けた方は「所見あり」と分類され、何らかの注意が必要な状態であることを示しています。
健康診断で所見ありとなることは決して珍しいことではなく、むしろ多くの方が経験しているのが実情です。
ここでは、実際にどのくらいの割合の方が所見ありとなっているのか、そしてどの項目で引っかかりやすいのかを見ていきましょう。
約6割が何らかの異常を指摘されている
健康診断で「所見あり」と判定される方の割合は、年々増加傾向にあります。
厚生労働省がまとめた定期健康診断実施結果によると、2021年の有所見率は58.7%に達しており、健康診断を受けた方の約6割が何らかの異常を指摘されている計算になります[1]。
1997年までは3割台だった有所見率が2008年に5割を超え、その後も上昇を続けているのが現状です[1]。
この背景には、加齢に伴う生活習慣病予備群の増加や、食生活の欧米化、運動不足といった現代人の生活習慣の変化が影響していると考えられています。
また、検査技術の向上により、以前は見逃されていた軽度の異常も検出できるようになったことも一因とされています。
健康診断で引っかかることは特別なことではなく、多くの方が同じ悩みを抱えていることを知っておくと、過度に不安を感じる必要はないでしょう。
引っかかりやすい項目は血中脂質・血圧・肝機能・血糖
健康診断で特に所見が出やすい項目には傾向があります。
最も所見が多いのは血中脂質で、続いて血圧、肝機能検査、血糖の順となっています[1]。
血中脂質の有所見率は全体の約3割を占め、LDLコレステロールや中性脂肪が高いと指摘される方が非常に多いのが特徴です。
血圧は約2割、肝機能と血糖はそれぞれ約1〜2割の方が所見ありとなっています。
これらの項目は内臓脂肪の蓄積や日々の生活習慣と深く関わっており、食事内容や運動習慣、飲酒量などによって数値が大きく変動する特徴があります。
逆に言えば、生活習慣を見直すことで数値の改善が期待できる項目でもあるため、健康診断に向けて対策を立てやすい項目です。
自分がどの項目で引っかかりやすいかを把握しておくことで、効率的な対策が可能になります。
健康診断で引っかかりやすい5つの項目と基準値
健康診断で所見ありとなりやすい項目には、それぞれ基準値が設けられています。
基準値を超えると「要経過観察」や「要再検査」といった判定となり、場合によっては医療機関での精密検査が必要になることもあります。
各項目の基準値を知っておくことで、自分の数値がどの程度なのかを把握しやすくなります。
ここでは、引っかかりやすい5つの項目について、基準値と数値が高くなる原因、改善の目安を解説します。
血中脂質(LDLコレステロール・中性脂肪)
血中脂質は健康診断で最も所見が出やすい項目です。
血中脂質にはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、中性脂肪の3種類があり、それぞれに基準値が設定されています。
一般的な基準値は、LDLコレステロールが140mg/dL未満、HDLコレステロールが40mg/dL以上、中性脂肪が150mg/dL未満とされています[2]。
LDLコレステロールや中性脂肪が基準値を超えると「脂質異常症」と診断され、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高まる可能性があります。
特に中性脂肪は食事の影響を受けやすく、前日に脂っこい食事や糖質を多く摂取すると数値が跳ね上がることがあります。
脂質の数値は食事内容の影響を受けやすく、脂っこい食事や糖質の摂りすぎが続くと上昇しやすくなるため、食生活の見直しが改善への第一歩となります。
改善の目安として、1カ月間の食事改善と運動習慣で中性脂肪が10〜20%程度低下するケースも報告されています。
血圧
血圧も健康診断で引っかかりやすい項目のひとつです。
健康診断では収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)を測定し、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上で高血圧と判定されます[3]。
ただし、健康診断では「軽度異常」として収縮期130mmHg以上、拡張期85mmHg以上から注意を促すケースも多く、学会基準よりもやや厳しめに設定されていることがあります[4]。
血圧は1日の中でも変動しやすく、朝は低めで日中から夕方にかけて上昇する傾向があります。
高血圧は自覚症状がほとんどないまま進行し、放置すると動脈硬化を進行させて脳卒中や心筋梗塞のリスクを高める可能性があります。
健康診断で緊張して血圧が高めに出てしまう「白衣高血圧」もあるため、家庭で測定した数値と比較することも大切です。
家庭用血圧計を用意して、毎朝起床後と就寝前に測定する習慣をつけると、自分の本当の血圧を把握しやすくなります。
肝機能(γ-GTP・AST・ALT)
肝機能の検査では、γ-GTP、AST(GOT)、ALT(GPT)といった数値を測定します。
これらは肝臓の細胞内にある酵素で、肝臓に負担がかかると血液中に漏れ出して数値が上昇する仕組みになっています。
一般的な基準値は、γ-GTPが50U/L以下、ASTが30U/L以下、ALTが30U/L以下とされています。
特にγ-GTPはアルコールの影響を受けやすく、日常的にお酒を飲む習慣がある方は数値が高くなりやすい傾向があります。
飲酒量が多い場合、γ-GTPが基準値を大きく超えることがあります。
AST・ALTは肝炎や脂肪肝の指標となり、肥満や運動不足が原因で上昇することもあります。
肝機能の数値を改善するには最低でも1カ月程度の禁酒が必要とされているため、健康診断に向けて早めの対策が求められます。
禁酒を続けるとγ-GTPは2週間程度で低下し始め、1カ月後には大幅な改善が期待できるとされています。
血糖値・HbA1c
血糖値は血液中のブドウ糖濃度を示す数値で、糖尿病の有無を判定する重要な指標です。
健康診断では空腹時血糖値を測定することが一般的で、基準値は100mg/dL未満、126mg/dL以上で糖尿病型と判定されます[5]。
100〜125mg/dLは「境界型」と呼ばれ、糖尿病予備群として注意が必要な状態です。
HbA1cは直前の食事や運動の影響を受けにくいため、長期的な血糖コントロールの状態を知る指標として重視されています。
血糖値は食事の影響を直接受けるため、前日や当日の食事によって大きく変動する特徴があります。
糖尿病は自覚症状がないまま進行し、網膜症や腎症、神経障害などの合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見と生活習慣の改善が重要です。
BMI・腹囲
BMI(体格指数)と腹囲は、肥満度やメタボリックシンドロームのリスクを判定するための指標です。
BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出され、18.5〜25未満が標準、25以上で肥満と判定されます[6]。
日本人の場合、BMI22が最も病気になりにくい数値とされており、この数値を目標に体重管理を行うことが推奨されています。
腹囲はメタボリックシンドロームの診断基準として用いられ、男性85cm以上、女性90cm以上で内臓脂肪の蓄積が疑われます[6]。
腹囲が基準値を超えていて、かつ血圧・血糖・脂質のうち2つ以上が基準値を超えると、メタボリックシンドロームと診断されます。
内臓脂肪が蓄積すると、血圧や血糖値、血中脂質の異常を併発しやすくなり、生活習慣病のリスクが高まります。
BMIや腹囲は日々の食事量と運動量のバランスを反映しているため、健康診断までに意識的に対策を行うことで改善が期待できます。
腹囲を1cm減らすには約1kgの体重減少が必要とされており、1カ月で1〜2cmの減少を目標にすると無理なく取り組めるでしょう。
健康診断でひっかからないための1カ月前からの対策
健康診断の結果を改善するためには、少なくとも1カ月前から生活習慣を見直すことが効果的です。
血中脂質や血圧、肝機能、血糖といった項目は、短期間で劇的に改善することが難しく、一定期間の継続的な取り組みが必要になります。
1カ月という期間があれば、体の内側から変化を起こすことが可能です。
ここでは、1カ月前から始められる具体的な対策を紹介します。
栄養バランスの良い食事を心がける
健康診断の数値改善において、食事内容の見直しは最も基本的かつ重要な対策です。
1日3食を規則正しく摂ることが基本で、特に朝食を抜くと昼食や夕食で血糖値が急上昇しやすくなるため、毎朝しっかり食べる習慣をつけましょう。
朝食を抜く習慣がある方は、まずはヨーグルトやバナナなど手軽に食べられるものから始めてみてください。
主食・主菜・副菜をバランスよく組み合わせ、野菜や果物、魚、全粒穀物を積極的に摂り入れることで、血中脂質や血糖値の改善が期待できます。
加工食品やインスタント食品は塩分や脂質が多い傾向にあるため、できるだけ控えて自炊を心がけると効果的です。
毎日の食事が1カ月後の検査結果に反映されることを意識して、無理のない範囲で食生活を整えていきましょう。
塩分・脂質・糖質を控えめにする
血圧や血中脂質、血糖値を改善するためには、塩分・脂質・糖質の摂取量を意識的に減らすことが大切です。
塩分の摂りすぎは血圧上昇の原因となるため、醤油やソースの使用量を減らし、レモンや酢、香辛料で味付けを工夫してみましょう。
1日の塩分摂取量は男性7.5g未満、女性6.5g未満が目標とされていますが、日本人の平均摂取量は10g以上といわれています[7]。
ラーメンの汁を残す、漬物を控える、減塩調味料を活用するなど、小さな工夫の積み重ねが効果的です。
脂質については、揚げ物や脂身の多い肉を控え、焼き魚や蒸し鶏など調理法を変えるだけでも摂取量を抑えることができます。
糖質は白米や麺類、甘いお菓子に多く含まれているため、白米を玄米に置き換えたり、間食を控えたりすることで血糖値の改善につながります。
極端な制限はストレスになり長続きしないため、できる範囲で少しずつ減らしていく意識を持つことが継続のコツです。
有酸素運動を習慣にする
運動は内臓脂肪の減少や血中脂質の改善に効果的で、健康診断対策として取り入れたい習慣のひとつです。
ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動は、体脂肪をエネルギー源として消費するため、中性脂肪値やLDLコレステロール値の改善に役立ちます。
有酸素運動は1回30分以上を目安に行うと効果的とされています。
1日30分以上の運動を目標に、通勤時にひと駅分歩く、エレベーターを使わず階段を利用するなど、日常生活の中で活動量を増やす工夫から始めてみましょう。
運動する時間が取れない方は、10分の運動を1日3回に分けて行っても同様の効果が期待できます。
無理なく継続できることが大切なので、自分のペースで取り組める運動を選ぶことがポイントです。
1カ月間続けることで体の変化を実感できる方も多いため、健康診断をきっかけに運動習慣を身につけてみてはいかがでしょうか。
禁酒・禁煙に取り組む
肝機能の数値が気になる方は、健康診断の1カ月前から禁酒に取り組むことをおすすめします。
毎日飲酒の習慣がある方は、まず週に2日の休肝日を設けることから始めてみましょう。
お酒の代わりにノンアルコールビールや炭酸水を活用すると、飲みたい気持ちを紛らわせやすくなります。
喫煙についても、血圧の上昇やコレステロール値への悪影響があるため、健康診断に向けて禁煙または減煙を検討することが望ましいです。
1カ月間の禁酒・禁煙は簡単ではありませんが、健康診断という明確な目標があることで取り組みやすくなる方も多いでしょう。
十分な睡眠を確保する
睡眠不足は血圧や血糖値の上昇、免疫力の低下など、健康診断のさまざまな項目に悪影響を及ぼす可能性があります。
睡眠時間が6時間未満の方は、7〜8時間睡眠の方と比べて肥満や糖尿病、高血圧のリスクが高まることが研究で示されています。
一般的に成人では6〜8時間程度の睡眠が理想的とされており、睡眠の質を高めることも健康維持には欠かせません。
就寝前のスマートフォンやパソコンの使用は睡眠の質を下げる原因となるため、寝る1時間前からは画面を見ないようにすると良いでしょう。
寝室の温度や明るさを調整し、リラックスできる環境を整えることも快適な睡眠につながります。
毎日同じ時間に就寝・起床する習慣をつけると、体内時計が整い、睡眠の質が向上しやすくなります。
規則正しい生活リズムを1カ月間続けることで、体調が整い、健康診断に良いコンディションで臨めるようになります。
ストレスを上手に管理する
ストレスは血圧や血糖値、コレステロール値など、さまざまな検査項目に影響を与える要因のひとつです。
慢性的なストレスを感じていると、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加し、血圧や血糖値が上昇しやすくなります。
また、ストレスが溜まると暴飲暴食や喫煙、飲酒量の増加につながりやすく、間接的に検査数値を悪化させることもあります。
ストレス解消法は人それぞれですが、軽い運動や入浴、趣味の時間、友人との会話などが効果的とされています。
深呼吸や瞑想といったリラクゼーション法を取り入れると、自律神経のバランスが整い、血圧の安定にもつながります。
1日の終わりに10分程度でも自分のための時間を作り、心身をリラックスさせる習慣を持つことが大切です。
健康診断への不安がストレスになっている場合は、対策を立てて行動することで気持ちが楽になることも多いでしょう。
健康診断でひっかからないための1週間前からの対策
健康診断の1週間前からは、より具体的な対策を意識して生活することが大切です。
この時期は数値に直接影響を与える行動を控え、体調を整えることに集中しましょう。
1週間という短期間でも、食事内容を変えることで中性脂肪や血糖値に良い影響を与えることができます。
1カ月前からの対策を継続しながら、以下のポイントを意識してみてください。
揚げ物や脂っこい食事を控える
健康診断の1週間前からは、揚げ物や脂っこい食事を意識的に控えるようにしましょう。
高脂肪の食事は中性脂肪を急激に上昇させる原因となり、たった1回の食事でも数値に影響を与えることがあります。
中性脂肪は食後4〜6時間でピークに達し、その後徐々に低下していきますが、脂質の多い食事が続くと基準値を超えやすくなります。
とんかつや唐揚げ、天ぷらなどの揚げ物は避け、焼き魚や蒸し鶏、豆腐など脂質の少ないメニューを選ぶようにしましょう。
調理法を「揚げる」から「焼く」「蒸す」「煮る」に変えるだけでも、脂質の摂取量を大幅に減らすことができます。
外食が多い方は、定食屋で焼き魚定食を選んだり、コンビニでサラダチキンを選んだりするなど、意識的に脂質を抑えた選択をすることがポイントです。
1週間という短期間でも、食事内容を変えることで中性脂肪の数値改善が期待できます。
アルコールの摂取を控える
肝機能の数値を少しでも良くしたい方は、健康診断の1週間前からアルコールの摂取を控えることが大切です。
先述の通り、γ-GTPの数値を大きく改善するには1カ月以上の禁酒が必要ですが、1週間の禁酒でも中性脂肪や血糖値への影響を抑える効果は期待できます。
アルコールは肝臓で分解される際に中性脂肪の合成を促進するため、飲酒量が多いと中性脂肪値が高くなりやすい傾向があります。
飲み会や会食の予定がある場合は、ノンアルコール飲料や炭酸水を選ぶなど、お酒を飲まない工夫をしてみましょう。
「健康診断前だから」と周囲に伝えれば、お酒を勧められることも減り、断りやすくなります。
どうしても付き合いで飲む必要がある場合は、ビール1杯程度にとどめ、水やお茶を交互に飲むことで飲酒量を抑えることができます。
1週間の我慢が健康診断の結果を左右することもあるため、この期間だけでも徹底してみてください。
食物繊維を意識して摂る
健康診断の1週間前からは、食物繊維を多く含む食材を積極的に摂り入れることをおすすめします。
食物繊維には糖質や脂質の吸収を緩やかにする働きがあり、血糖値や中性脂肪の急上昇を抑える効果が期待できます。
食物繊維は腸内で水分を吸収して膨らむため、満腹感を得やすく、食べ過ぎ防止にも役立ちます。
野菜、海藻類、きのこ類、豆類などに食物繊維は豊富に含まれており、食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」を実践するとより効果的です。
ベジファーストを行うことで、糖質の吸収スピードが緩やかになり、食後血糖値の急上昇を防ぐことができます。
毎食サラダや野菜スープを追加するなど、無理なく食物繊維の摂取量を増やす工夫をしてみましょう。
ただし、健康診断の前日は消化に時間がかかる繊維質の多い食材は控えめにする必要があるため、1週間前から前々日までを目安に意識的に摂取してください。
暴飲暴食を避ける
健康診断の1週間前は、暴飲暴食を徹底的に避けることが重要です。
一度の暴飲暴食でも血糖値や中性脂肪、肝機能の数値に影響を与える可能性があり、せっかくの対策が無駄になってしまうことがあります。
特に食べ放題や飲み放題では、普段の2〜3倍のカロリーを摂取してしまうことも珍しくありません。
食べ放題や飲み放題の予定がある場合は、健康診断後に延期することを検討しましょう。
また、ストレスによる過食を防ぐため、十分な睡眠を取り、リラックスできる時間を確保することも大切です。
空腹の状態で買い物に行くと必要以上に食べ物を購入してしまいがちなので、食後に買い物をする習慣をつけると過食を防ぎやすくなります。
1週間という短い期間を乗り越えれば健康診断を受けられるので、この期間だけは自分の体を労わる意識を持って過ごしてください。
健康診断の前日にやるべきこと・やってはいけないこと
健康診断の前日は、検査結果に直接影響を与える行動に注意が必要です。
前日の過ごし方次第で、実際の健康状態とは異なる数値が出てしまい、不必要な再検査を受けることになる可能性もあります。
前日に守るべきルールを把握しておくことで、正確な検査結果を得ることができます。
正確な検査結果を得るために、前日の注意点をしっかり押さえておきましょう。
21時までに消化の良い食事を済ませる
健康診断の前日は、21時までに食事を済ませておくことが基本的なルールです。
血糖値や中性脂肪は食事の影響を強く受けるため、検査の10時間以上前には食事を終えている必要があります。
午前9時に健康診断を受ける場合、前日の23時までに食事を終えていれば問題ありませんが、余裕を持って21時までに済ませておくと安心です。
前日の夕食は消化の良いものを選び、うどんやおかゆ、白身魚、豆腐など胃腸に負担のかからないメニューがおすすめです。
揚げ物や脂っこい料理、繊維質の多い食材(きのこ、海藻、生野菜など)は消化に時間がかかるため、前日は避けるようにしましょう。
食事量も腹八分目を意識し、普段より少なめに抑えることで翌朝の検査に備えることができます。
21時以降は水やお茶など糖分を含まない飲み物のみ摂取可能ですが、飴やガムも血糖値に影響するため控えてください。
飲酒は控える
前日の飲酒は控える必要があります。
アルコールを摂取すると、血糖値や中性脂肪、尿酸値、肝機能の数値に直接影響を与え、正確な検査結果が得られなくなる可能性があります。
特に中性脂肪はアルコール摂取後に急上昇しやすく、前日に飲酒すると基準値を大幅に超えてしまうことがあります。
血中アルコール濃度が低下するまでには数時間かかり、缶ビール1本(350ml)でも2〜3時間、ハイボールでは3〜4時間程度必要とされています。
「少量なら大丈夫」「検査時間までに抜けるから」と考えて飲酒してしまうと、想定外の結果につながることもあります。
前日だけは必ずお酒を控え、万が一飲んでしまった場合は検査時に正直に申告しましょう。
飲酒したことを申告すれば、医師や検査技師が数値を適切に解釈してくれるため、無駄な再検査を避けられる可能性があります。
激しい運動を避ける
健康診断の前日は、激しい運動を控えることも重要なポイントです。
運動は健康に良いイメージがありますが、激しい運動をすると筋肉から酵素が放出され、肝機能の数値(AST・ALT)が一時的に上昇することがあります。
特に普段運動習慣のない方が急に激しい運動をすると、数値への影響が大きくなりやすい傾向があります。
また、尿検査でタンパク質が検出されやすくなったり、尿酸値が変動したりする可能性もあります。
ジョギングや筋トレ、テニス、水泳などの激しい運動は前日から控え、軽い散歩程度にとどめておきましょう。
前日の運動が原因で「再検査」となってしまうのは時間もお金ももったいないため、この1日だけは体を休めることを優先してください。
運動習慣がある方は、健康診断の2日前までに運動を済ませておくと安心です。
十分な睡眠をとる
健康診断の前日は、十分な睡眠をとって体調を整えることが大切です。
睡眠不足は血圧や血糖値、尿検査の結果に影響を与える可能性があり、自律神経の乱れから心拍数が変動することもあります。
睡眠時間が4〜5時間以下になると、翌日の血圧が5〜10mmHg程度上昇することがあるとされています。
緊張して眠れないこともあるかもしれませんが、いつも通りの時間に布団に入り、リラックスして過ごすよう心がけましょう。
就寝前のカフェイン摂取は睡眠の質を下げるため、夕方以降はコーヒーや紅茶、緑茶などを避け、カフェインを含まない麦茶や白湯を選ぶと良いでしょう。
ぬるめのお風呂にゆっくり浸かると、体がリラックスして眠りにつきやすくなります。
翌日の健康診断に備えて、早めに就寝し、体を十分に休めてください。
健康診断の当日に気をつけるポイント
健康診断の当日も、正確な検査結果を得るために守るべきルールがあります。
前日からの準備を無駄にしないよう、当日の行動にも注意を払いましょう。
当日の過ごし方ひとつで検査結果が変わることもあるため、以下のポイントをしっかり押さえておいてください。
ここでは、健康診断当日に気をつけるべきポイントを解説します。
朝食は摂らない(空腹状態で受診)
健康診断が午前中の場合、当日の朝食は摂らずに空腹状態で受診することが基本です。
空腹時血糖や空腹時中性脂肪を正確に測定するためには、食事から10時間以上経過した状態で採血を行う必要があります。
食後は血糖値が上昇し、2〜3時間後にピークを迎えるため、朝食を摂ってしまうと実際より高い数値が出てしまい、再検査となる可能性があります。
固形物でなくても、飴やガム、フルーツなど糖分を含むものは血糖値に影響するため、口にしないようにしましょう。
うっかり朝食を食べてしまった場合は、検査機関に連絡して指示を仰いでください。
午後に健康診断を受ける場合は、軽い朝食のみ摂取可能な場合もあるため、事前に検査機関に確認しておくと安心です。
水分補給は水またはお茶のみ
健康診断当日の水分補給は、水または糖分を含まないお茶のみ許可されています。
コップ1〜2杯程度(200〜400ml)の水であれば、検査の2〜3時間前まで摂取しても問題ないとされています。
適度な水分補給は採血をスムーズにする効果もあるため、全く水分を摂らないのは避けましょう。
ジュースやスポーツドリンク、コーヒー(砂糖・ミルク入り)などは血糖値に影響するため、当日は避けてください。
ブラックコーヒーは血糖値への影響は少ないものの、カフェインが血圧に影響を与える可能性があるため、控えた方が無難です。
脱水状態になると血液が濃縮されて検査値に影響することがあるため、適度な水分補給は忘れないようにしましょう。
検査前に喉が渇いた場合は、水を少量ずつ飲んで口を潤す程度にしておくと安心です。
喫煙は控える
健康診断当日は、検査が終わるまで喫煙を控えてください。
タバコを吸うと血圧が一時的に上昇し、心拍数も増加するため、血圧測定や心電図検査の結果に影響を与える可能性があります。
ニコチンには血管を収縮させる作用があり、喫煙直後は血圧が10〜20mmHg程度上昇することがあります。
また、胃部X線検査(バリウム検査)がある場合、喫煙によって胃液の分泌が促進され、バリウムが胃の粘膜に付着しにくくなり、鮮明な画像が撮れないことがあります。
健康診断の朝だけは喫煙を我慢し、検査が終わってから吸うようにしましょう。
どうしても我慢できない場合は、検査の2時間以上前に1本だけ吸い、その後は控えるようにしてください。
激しい運動や階段の駆け上がりを避ける
健康診断当日は、会場に到着するまでの間も激しい運動を避けることが大切です。
階段を一気に駆け上がったり、遅刻しそうになって走ったりすると、血圧や心拍数が上昇したまま検査を受けることになってしまいます。
また、筋肉を激しく動かすと血液中の成分が一時的に変化し、正確な検査結果が得られにくくなることもあります。
時間に余裕を持って家を出て、会場には検査開始の10〜15分前には到着し、椅子に座って心と体を落ち着けてから検査に臨みましょう。
血圧測定の前には5分程度安静にしてから測定することが推奨されているため、到着後は慌てずにゆっくり呼吸を整えてください。
焦らず穏やかな気持ちで受診することが、正確な検査結果を得るための最後のポイントです。
健康診断でひっかからないための「悪あがき」は効果がある?
健康診断の直前になると、「少しでも数値を良くしたい」と焦って急な対策を始める方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、直前の「悪あがき」が必ずしも良い結果につながるとは限らず、場合によっては逆効果になることもあります。
健康診断の本来の目的は、普段の健康状態を正確に把握することです。
ここでは、直前の対策にどの程度の効果があるのかを解説します。
数日前の食事制限は逆効果になることも
体重を気にして健康診断の数日前から食事量を極端に減らす方がいますが、これは逆効果になる可能性があります。
食事を大幅に減らすと、食事に含まれる水分の摂取量も減るため、脱水傾向になりやすく、尿酸値や腎機能の数値が悪化することがあります。
脱水状態では血液が濃縮されるため、ヘモグロビンや赤血球の数値が実際より高く出てしまうこともあります。
また、急にタンパク質の摂取量を増やすと尿タンパクの数値に影響したり、食物繊維を摂りすぎると消化しきれず胃の検査に支障をきたしたりすることもあります。
極端な糖質制限を行うと、体がエネルギー不足を感じて筋肉を分解し始め、かえって代謝が低下してしまう可能性もあります。
健康診断は普段の体の状態を調べることが目的なので、直前に無理な食事制限をしても本来の健康状態を把握できなくなってしまいます。
数日前からの急な対策よりも、日頃からバランスの良い食事を心がけることが大切です。
短期間の禁酒で肝機能は改善しにくい
「健康診断の前だけお酒を控えれば大丈夫」と考える方もいますが、残念ながら数日間の禁酒では肝機能の数値は大きく改善しません。
日頃からお酒を飲む習慣があり、すでに肝機能の数値が高めの方が数日間禁酒しても、効果はほとんど期待できないでしょう。
ただし、前日の飲酒は中性脂肪や血糖値に直接影響するため、前日だけでも禁酒することには意味があります。
肝機能を本気で改善したい場合は、健康診断後も継続して禁酒または減酒に取り組むことが重要です。
健康診断をきっかけに飲酒習慣を見直し、週に2日以上の休肝日を設ける習慣を始めてみてはいかがでしょうか。
禁煙は数日でも血圧に効果あり
禁酒とは異なり、禁煙は数日間でも血圧への効果が期待できます。
ニコチンには血管を収縮させて血圧を上昇させる作用がありますが、3日間程度禁煙することで血圧の上昇を抑えられるとされています。
禁煙を始めると、24時間後には心臓発作のリスクが低下し始め、48時間後には味覚や嗅覚が改善し始めるといわれています。
ただし、コレステロール値への影響はニコチンが長期的に作用して起こるものであるため、数日の禁煙では改善されません。
血圧が気になる方は、健康診断の数日前から禁煙に取り組んでみる価値はあるでしょう。
短期間であっても禁煙できたという成功体験が、健康診断後の禁煙継続につながることもあります。
禁煙が難しい場合は、1日の喫煙本数を半分に減らすだけでも血圧への影響を軽減できる可能性があります。
サプリメントや健康食品に頼りすぎない
健康診断前になると、コレステロールを下げるサプリメントや血糖値対策のお茶などに頼りたくなる方もいるかもしれません。
しかし、サプリメントや健康食品は医薬品ではないため、数日間の摂取で検査数値が劇的に改善することは期待しにくいのが現実です。
これらの製品は継続的に摂取することで緩やかな効果が期待できるものであり、直前だけ摂取しても意味がありません。
また、一部のサプリメントは肝臓に負担をかけることがあり、かえって肝機能の数値を悪化させてしまう可能性もあります。
健康診断前に新しいサプリメントを始めることは避け、普段から摂取しているものがあれば検査機関に申告しておくと安心です。
サプリメントに頼るよりも、食事や運動、睡眠といった基本的な生活習慣を整えることが、検査数値の改善には効果的です。
健康診断で引っかかった場合の対処法
健康診断で「要再検査」や「要精密検査」と判定されると、不安を感じる方も多いでしょう。
しかし、これらの判定は必ずしも重大な病気を意味するわけではなく、一時的な変動や生活習慣の影響で異常値が出たケースも少なくありません。
再検査や精密検査を受けることで、自分の体の状態をより正確に把握することができます。
ここでは、引っかかった場合の対処法について解説します。
「要再検査」と「要精密検査」の違い
「要再検査」と「要精密検査」は似たような言葉ですが、それぞれ意味が異なります。
「要再検査」は、検査結果の数値が異常だったときに、それが一時的なものか継続的なものかを確認するために同じ検査をもう一度行うことを指します。
前日の食事や体調、生活習慣の影響で一時的に数値が高くなっただけというケースも多く、再検査で異常なしとなることも珍しくありません。
再検査で異常なしとなる割合は項目によって異なりますが、血中脂質や血糖値では3〜4割の方が正常範囲に戻るといわれています。
一方、「要精密検査」は、健康診断の検査だけでは異常の原因を特定できないため、より詳しい検査が必要と判断された場合に出される指示です。
精密検査では、CT、MRI、内視鏡検査など、より詳細な検査を行い、病気の有無や進行度を確認します。
健康診断に関するQ&A
Q1:健康診断で引っかかりやすい項目は何ですか?
健康診断で最も所見が多い項目は血中脂質(LDLコレステロール・中性脂肪など)で、続いて血圧、肝機能、血糖の順となっています。
これらの項目は食事内容や運動習慣、飲酒量といった生活習慣と深く関わっているため、日頃の生活が結果に反映されやすい特徴があります。
気になる項目がある方は、1カ月前から食事や運動を見直すことで数値の改善が期待できますので、早めの対策を心がけましょう。
Q2:健康診断の前日に食事は何時までに済ませればいいですか?
健康診断の前日は、21時までに食事を済ませておくことが一般的なルールです。
血糖値や中性脂肪は食事の影響を直接受けるため、検査の10時間以上前には食事を終えている必要があります。
前日の夕食は消化の良いものを選び、揚げ物や脂っこい料理は避けるようにしましょう。
Q3:健康診断の1週間前からできる対策はありますか?
健康診断の1週間前からは、揚げ物や脂っこい食事を控える、アルコールの摂取を減らす、食物繊維を意識して摂るといった対策が効果的です。
特に中性脂肪の数値は直近の食事内容の影響を受けやすいため、1週間の食事改善でも変化が期待できます。
暴飲暴食を避け、規則正しい生活を心がけることで、より良い状態で健康診断に臨めるでしょう。
Q4:健康診断で再検査と言われたらどうすればいいですか?
「要再検査」と判定された場合は、指示に従って医療機関を受診しましょう。
再検査は、異常値が一時的なものか継続的なものかを確認するために行われるもので、再検査の結果「異常なし」となるケースも少なくありません。
受診先は健康診断を受けた医療機関やかかりつけ医を選べますので、3カ月以内を目安に受診することをおすすめします。
Q5:健康診断当日の朝に水は飲んでも大丈夫ですか?
健康診断当日の朝は、水または糖分を含まないお茶であればコップ1〜2杯程度(200〜400ml)飲んでも問題ありません。
むしろ、全く水分を摂らないと脱水状態になり、血液が濃縮されて検査値に影響を与える可能性があるため、適度な水分補給は大切です。
ただし、ジュースやスポーツドリンク、砂糖入りのコーヒーなどは血糖値に影響するため、避けるようにしてください。
Q6:健康診断前のダイエットは効果がありますか?
健康診断の数日前から急にダイエットを始めても、効果は限定的で、かえって逆効果になることもあります。
極端な食事制限は脱水や栄養不足を招き、尿酸値や腎機能の数値を悪化させてしまう可能性があります。
健康診断で良い結果を得るためには、1カ月以上前から計画的に食事と運動を見直すことが効果的です。
まとめ
健康診断で「所見あり」と判定される方は約6割にのぼり、引っかかること自体は決して珍しいことではありません。
特に血中脂質、血圧、肝機能、血糖といった項目は引っかかりやすく、日頃の生活習慣が結果に大きく影響します。
これらの数値を改善するためには、1カ月前からの食事や運動の見直しが効果的で、バランスの良い食事、適度な運動、禁酒・禁煙、十分な睡眠を意識することが大切です。
1週間前からは揚げ物や脂っこい食事を控え、前日は21時までに消化の良い食事を済ませ、当日は空腹状態で受診するというルールを守ることで、正確な検査結果を得ることができます。
直前の「悪あがき」は逆効果になることもあるため、普段から健康的な生活習慣を心がけることが最善の対策といえるでしょう。
