漢方で痩せることはできる?漢方を使ったダイエットの効果や気を付けることなどを解説

ダイエット効果が期待でき、体にも優しいとして注目されている漢方薬。即効性は期待できませんが、体質を根本から改善しダイエットを目指すため、リバウンドもしにくいとされています。

この記事では、漢方のメリットや、痩せるためのポイント、自分に合った漢方の選び方などを解説します。

漢方で痩せることはできる?

医療機関で行われるメディカルダイエットでも、漢方薬が処方されることがありますが、その効果は実際のところどうなのでしょうか。まずは、漢方で痩せることができるのかや、漢方の概念について見ていきましょう。

そもそも漢方って何?

漢方薬とは、植物や鉱物、動物由来の生薬と呼ばれるものを使ったお薬のことです。単独で用いられることはあまりなく、体質や症状に合わせて複数を組み合わせるのが一般的です。

「漢」と入っているため中国伝来と思われがちですが、漢方自体は日本の伝統医学です。中国医学を基に独自の発展を遂げ、現在の形になりました。

また、漢方では人間の体は「気」「血」「水」の3要素から成るとされています。「気」は体を温めたり代謝を促したりといった、人体のエネルギーです。「血」は血液のことで体の栄養分を、「水」は血液以外の体液や潤いを指します。体に不調が表れるのは「気」によって全身を巡る「血」と「水」の流れが滞るためだと考えられています。

漢方はその人の体質に合ったお薬を探すことが大切です時間をかけて体質を改善することで、体の悩みや不調を緩和するという考え方です。

漢方は痩せやすい体作りをサポートしてくれる

「漢方を飲んだら痩せる」といった直接的な効果があるわけではありません。即効性も期待しない方がよいでしょう。

しかし、漢方では肥満のタイプや原因を探り、一人一人に合った適切な処方で体質を改善することで、痩せやすく太りにくい体を作っていくのです。

例えばむくみによる水太りの方には、利尿作用や発汗作用のある漢方で水分の排出を促します。

漢方を飲むことで期待できるダイエット効果とは?

ダイエット向けとされる漢方では、以下のような効果が期待できます。

  • 消化機能や代謝機能の促進・改善
  • 脂肪の燃焼を促す
  • 水分の排出を促してむくみを解消
  • 血行促進して体を温める
  • ストレスを緩和して自律神経を整える

漢方がダイエットにおすすめな理由

漢方には、体質を改善することで、痩せる効果が期待できると分かりました。続いては、漢方における、ダイエットにおすすめできるポイントを紹介します。

自然由来の成分を使用しているから体に負担がかかりにくい

漢方に用いられる生薬は、植物や鉱物、動物など自然由来のものがほとんどです。効き目が緩やかで副作用も少なく、体に負担がかかりにくいとされています。

根本原因の解決をサポートするからリバウンドしづらい

漢方の根本にあるのは「体質改善」です。疾患や症状だけでなく、体の状態や生活習慣、食生活などを総合的に見て、バランスを整えていきます。

肥満の原因は人によって異なります。食べすぎや運動不足による脂肪太り、代謝が悪くなっているための水太りなど、肥満のタイプもさまざまです。肥満の原因やタイプを探り、それぞれに合わせた漢方を用いることで体質改善につながります。その結果、太りにくいだけでなく、リバウンドもしづらい体になることが期待できるのです。

なお、西洋医学のお薬の多くは、一つの症状に対してのみ効果のある単一成分で作られていることが多く、さまざまな症状を改善・緩和するのには不向きです。「暴飲暴食しているわけではないのに太ってしまう」といったように、理由のわからない肥満に対しては、漢方で体質改善を目指すことが有効な可能性もあります。

緩やかに痩せるからリバウンドしづらい

食事制限や特定の食べ物ばかりを食べる(または食べない)ダイエットで急激に痩せると、食生活を元に戻した途端リバウンドしやすくなります。健康的とは言えないダイエットで筋肉量が落ち、代謝が悪くなるためです。

代謝が低下すると、食べる量はダイエット前と同じでも太りやすくなります。せっかく頑張って痩せても、元通りどころかダイエット前より太ってしまうこともあるのです。

しかし、漢方なら体質を改善しながら緩やかに減量を目指せるため、リバウンドしづらいというメリットがあります。

なお、リバウンドしづらい減量の目安は、1ヶ月に元の体重の5%までとされています。60kgの方なら、3kgを目標にするとよいでしょう。

種類が豊富だから自分の体質にあったものを見つけやすい

漢方は自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。ダイエットだけでなく、むくみや便秘など、気になる症状がある場合にも改善が期待できます。

2024年3月現在、一般用漢方製剤(2種類以上の生薬を組み合わせたもの)は294処方が厚生労働省から承認されています。ダイエット効果が期待できる漢方にも、食欲を調整する、代謝を促す、脂肪の燃焼を促進する、便秘を解消するなど、さまざまな種類があります。自分の体質に合ったものも見つけやすいでしょう。

参考:厚生労働省医薬食品局, 一般用漢方製剤承認基準の改正について 薬食審査発0830第1号, 平成24年8月30日

漢方に副作用はある?

漢方は時間をかけて体質を改善していくため、ある程度飲み続けることが前提です。体に負担がかかりにくいとはいえ、長期間服用するとなると副作用が気になります。漢方は比較的起こりにくいとされていますが、実際のところはどうなのでしょうか?

自然の成分でできているから副作用は少ない

漢方は自然由来の成分を主としています。しかし、自然=全く副作用がないというわけではありません。

1996年、厚生省(当時)から胃腸の不調や食欲不振などによいとされる漢方製剤・小柴胡湯に対して緊急安全情報(医療関係者や一般国民に対して緊急に注意喚起や使用制限を知らせるもの)が出されました。1989年を皮切りに、小柴胡湯を服用した人から間質性肺炎(肺胞の壁に炎症が起こる肺炎の一種)の報告が相次いだためです。

このように、漢方でも、場合によっては重篤な副作用を起こす恐れがあります。服用して少しでも「おかしい」と感じたり、体の不調が現れたりした時は、すぐに服用を中止し、医師に相談しましょう。

長期的に使用するなら定期的な検診はしておこう

ダイエット目的であっても、漢方を長期的に使用するなら定期的に医師の診察を受けましょう。生薬によっては肝機能障害や肺障害といった副作用を生じる恐れがあるため、血液検査も必要です。

また、かゆみや発疹、赤みといった皮膚症状、便秘やむくみ、高血圧などの症状が現れることもあります。なかなか治まらない時や、効果が感じられない時は、体に合っていないのかもしれません。

漢方の正しい選び方

漢方の選び方にはいくつかのポイントがあります。医師に処方してもらう時だけでなく、自分で選ぶためにもチェックしておきましょう。

体質や肥満の原因に合わせて選ぼう

漢方では体力や抵抗力を表す「証」と「気・血・水」の状態を基に、体質に合わせて処方をします。「証」に合わない漢方を服用しても、効果は期待できません。

体力や抵抗力が充実している人を「実証」、やや弱い人を「虚証」といいます。実証向けの漢方を虚証の人が飲むと、効果につながらないばかりか体の不調を招く恐れがあります。

また、同じような体質だからと自分の漢方を人に譲るのは避けましょう。漢方の処方は一人一人異なるため、他人には合わないことがあるからです。

ダイエットにおいても同様です。防風通聖散という製剤は肥満全般に向いているためよく使われますが、基本的に脂肪太りと水太りでは、適した漢方が異なります。体質に加えて、肥満のタイプも考慮して選ぶことが大切です。

日本製のものを選ぼう

日本には多くの漢方製剤メーカーがあります。中国産の原料も用いられていますが、日本基準の品質・衛生管理の下で製造されているため安心です。

韓国にも独自に発達した「韓方」があり、近年日本のクリニックでも取り入れているところが増えていますが、希望する際は、信頼できるクリニックで体質に合ったお薬があるか診てもらうとよいでしょう。

なお、海外製のお薬を通販で購入する、いわゆる「個人輸入」は品質や真贋(しんがん)に不安があるため、おすすめできません。日本には、国内で医薬品医療機器等法を遵守して販売されている医薬品を、適正に用いたにもかかわらず、重大な健康被害が生じた場合に適用される「医薬品副作用被害救済制度」があります。しかし、個人輸入した医薬品については対象にならないため、避けた方がよいでしょう。

漢方の種類と効果を紹介!

日本国内では300近い処方が厚生労働省の承認を受けています。その中から、ダイエットに有効とされる主な漢方製剤を紹介します。

参考:厚生労働省医薬食品局, 一般用漢方製剤承認基準の改正について 薬食審査発0830第1号, 平成24年8月30日

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

  • 成分:ボウフウ、オウゴン、ダイオウ、マオウ、カンゾウなど18種類
  • 期待される効果:代謝の促進、利尿作用、便秘の改善、血流をよくする、脂肪燃焼の促進、高血圧やむくみを改善
  • 適している人:お腹に皮下脂肪の多い人、便秘の人、実証(体力がある、体つきががっちりしている、汗かきで肌の血色がよい)の人(ダイエット向けとして幅広い体質に使われています)
  • 副作用:かゆみや発疹、吐き気、下痢、腹痛、むくみ、動悸、めまいなど

食前や食間に1日2~3回の服用が目安です。飲み忘れたからと2回分まとめて飲むのは避けましょう。飲み始めから1ヶ月くらいで効果が現れるとされています。

大柴胡湯(だいさいことう)

  • 成分:サイコ、ハンゲ、ダイオウ、シャクヤク、オウゴン、タイソウ、ショウキョウ、キジツ
  • 期待される効果:便秘の改善、ストレスによる過食状態(胃熱)の緩和、自律神経を整える
  • 適している人:実証の人、全身特に上半身(二の腕や脇腹など)に脂肪がつきやすい人、加齢やストレスで脂肪代謝が低下している人、便秘気味の人など
  • 副作用:かゆみや発疹、腹痛、下痢、まれに発熱・息切れ・呼吸困難、肝機能障害や黄疸など

食前または食感に1日3回服用します。便秘改善なら1週間程度、ダイエット目的なら1ヶ月程度で効果が期待できるとされています。

なお、他の便秘薬や防風通聖散と併用すると下痢をする恐れがあるため、併用できません。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

  • 成分:トウキ、シャクヤク、センキュウ、ブクリョウ、ビャクジュツ(ソウジュツ)、タクシャ
  • 期待される効果:滋養強壮作用、水分代謝促進
  • 適している人:虚証の人、貧血気味で汗をあまりかかない人、冷え性の人、むくみやすい人、低血圧の人、便通は普通か下痢気味の人、いわゆる水太りの人
  • 副作用:かゆみや発疹、食欲不振、胃部不快感、肝機能障害など

食前または食間に1日2~3回服用します。むくみの改善目的であれば比較的効果は早い(およそ2週間後)とされています。水太りの改善も期待できます。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

  • 成分:サイコ、シャクヤク、トウキ、ソウジュツ、ブクリョウ、サンシシ、ボタンピ、カンゾウ、ショウキョウ、ハッカ
  • 期待される効果:血の巡りを整える、イライラや不安感を抑える
  • 適している人:体力中程度以下でのぼせ・肩こりがある人、イライラしやすい人、便秘気味の人、疲れやすい人
  • 副作用:かゆみ・発疹、吐き気、肝機能障害、まれに腸管膜静脈硬化症(大腸壁内から腸間膜の静脈に石灰化が生じ、腹痛や下痢、嘔吐などの症状が起こる)

食前または食間に1日2~3回服用します。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

  • 成分:ボウイ、オウギ、ビャクジュツ(ソウジュツ)、タイソウ、カンゾウ、ショウキョウ
  • 期待される効果:胃腸機能の改善、水分代謝の促進
  • 適している人:比較的体力がなく疲れやすい人、汗をかきやすい人、むくみや肥満による関節の痛みや腫れがある人、水太りタイプの人、更年期太りの女性
  • 副作用:かゆみ・発疹、食欲不振、胃部不快感、まれに間質性肺炎、偽アルドステロン症(高血圧や低カリウム血症など)、ミオパチー(筋力の低下を伴う筋肉の疾患)、肝機能障害、黄疸など

食前または食間に1日2~3回服用します。むくみの改善効果は、約2週間~1ヶ月で現れるとされています。

※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。

漢方を使う上での注意点

ダイエット目的に限らず、漢方を継続的に使うには注意も必要です。これから漢方を使う方のために、知っておきたい注意点を紹介します。

健康的な食事と適度な運動はセットで行う

漢方は「飲んだら痩せる」というものではありません。体質を根本的に改善し、太りにくい体づくりをサポートしてくれると考えた方がよいでしょう。

漢方で痩せるには、バランスのよい健康的な食事と適度な運動が不可欠です。食べすぎていないか、栄養が偏っていないか、食生活を見直すところから始めましょう。

運動が苦手な方や、運動する時間が確保できない方は、歩くのがおすすめです。なるべく階段を使う、近くなら歩いて買い物に行くなど、日常生活の中でも運動を取り入れてみましょう。

たくさん服用する=すぐに効果が出るわけではない

漢方では基本的に即効性は期待できません。早く痩せたいからと量を増やしても、効果は変わらないので、用法用量を守りましょう。

過剰摂取すると作用が強くなって、体に悪影響を及ぼす恐れもあります。例えば、便秘改善作用のある漢方を飲みすぎると、下痢を起こす恐れがあります。漢方は副作用が少ないといっても、過剰摂取は避けるべきでしょう。

なお、1ヶ月服用しても変化が感じられない場合は、体に合っていない可能性があります。処方してもらった医療機関や薬局などに相談しましょう。

長期間の使用を予定している場合は、定期的な検診を忘れずに

体に優しいとされている漢方でも、長期間使用する場合は注意が必要です。定期的に医師の診察や血液検査を受け、副作用の有無をチェックしておきましょう。

なお、漢方では、効果が現れる前に一時的に体調が悪くなる好転反応というものが起きることがあります。

しかし、副作用や漢方が体に合わないために起こる不調を好転反応と勘違いして、我慢してしまう方も少なくないのです。少しでもおかしいと思ったら、服用を中止し医師に相談しましょう。

医療用漢方製剤と一般用製剤の違い

厚生労働省の承認を受けている漢方製剤には、医師の診察を受けた上で処方してもらう医療用漢方製剤と、処方箋なしで買える一般用漢方製剤があります。

違いは1回分に含まれる成分量です。基本的に、医療用漢方製剤のほうが成分量は多いです。西洋医学の薬でも、医療機関でもらうものとドラッグストアで購入可能なものでは、薬効成分の量が異なることが一般的です。

なお、医療用漢方製剤は疾患・症状の治療をサポートする目的で使われることが多く、医師の処方箋が必要です。一方で、一般用製剤なら処方箋はいりません。

漢方はどこで購入できる?

漢方は、薬局やドラッグストアで購入したり、医療機関を受診するといった選択肢があります。詳しくは以下の通りです。

薬局やドラッグストア

漢方専門の薬局やドラッグストアでは、処方箋なしで漢方を購入できます。薬局では医療行為はできませんが、問診などを基に一人一人の症状や体質に合った漢方を処方してもらえます。生薬の種類も多く、漢方の知識が豊富な薬剤師が対応してくれるのがメリットです。

オンライン診療でも

ビデオ通話を用いたオンライン診療を行うクリニックや漢方薬局も増えてきました。画面ごしではありますが、医師や薬剤師と直接話ができるので安心感があります。

診察結果を基に処方された漢方は、近くの調剤薬局で処方してもらったり、自宅などへに配送してもらったりすることができます。

通院や診察待ちの時間がなく、仕事の空き時間などに診てもらえるのは大きなメリットでしょう。

漢方のよくある質問

漢方が体によさそうなことは分かっても、不安を感じる方もいるかもしれません。初めて使う方や、検討している方向けによくある質問と回答を紹介します。

他のサプリメントとの併用は可能ですか?

漢方と同じ成分が入っているサプリメントを併用すると、効果が強くなることがあります。また、漢方と逆の効能がある成分を含むサプリメントも避けましょう。例えば、便秘改善作用と下痢を抑えるもの、体を温めるものと冷やすものなどです。

治療のための漢方や薬を飲んでいる方は、サプリメントを飲む前に必ず医師に相談しましょう。現物を持参して、薬や漢方の効能を妨げる恐れがないか確認してもらうと安心です。すでにサプリメントを飲んでいて、これから漢方を始める方も同様です。

漢方は保険適用の対象ですか?

治療目的で処方される医療用漢方は、基本的に健康保険が適用されます。脂質異常症や脂肪肝など、肥満が原因の病気があり、痩せることで改善が期待できると診断されれば対象になる場合があります。

自由診療は全額自己負担になり、保険適用の場合より費用がかかることが一般的です。また、自由診療の場合は、同じ漢方を処方されても、医療機関によって金額が異なります。しかし、特に肥満由来の病気がなくてもダイエットや美容目的で自由に受診できる点はメリットと言えます。

漢方で痩せたいならクリニックフォアへ

漢方を用いたダイエットは、緩やかに痩せたい方におすすめです。クリニックフォアではメディカルダイエットのオンライン診療を行っており、じっくり痩せたい方向けに防風通聖散をご用意しています。

そのほかにも、糖や脂質を排出するお薬や食欲を抑えるお薬など、さまざまなお薬を取り扱っているため、目的やライフスタイルに合わせてダイエットをしてみましょう。

スマホなどを使ってオンラインで診療を受けていただければ、薬はご指定の場所に配送します。定期配送もあるので、忙しい方でもダイエットが続けやすくなっています。

※『クリニックフォアの「お薬の補充(追加配送)」「定期配送」について』
クリニックフォアの自費診療では、診察時に患者さんとお話し、一定の日数分の薬剤を処方いたします。
しかしながら、量が多い場合、一度にお支払いが難しい患者さんもおられますので、クリニックにて処方したお薬をお預かりしておき、お手持ちのお薬が無くなる前にお支払いをいただき、お支払いいただいた分のお薬をお届けさせていただいております。
そのため、お薬の種類の変更・用量の追加をご希望の場合は、「お薬の補充(追加配送)」「定期配送」には該当せず、必ず医師の診察が必要になります。ご理解いただきますようお願いいたします。