マンジャロの保険適用について
マンジャロは、GIPとGLP-1という2つのホルモンに作用する新しいタイプの注射薬です。
血糖値を下げる効果に加えて食欲を抑える作用があることから、体重減少効果も期待されています。
ただし、日本では2型糖尿病の治療薬として承認されているため、保険適用となる対象は限られているのが現状です。
ここでは、マンジャロの保険適用条件について詳しくお伝えしていきます。
保険適用となるのは2型糖尿病の方のみ
マンジャロが保険適用となるのは、医師から2型糖尿病と診断された方のみです。
2型糖尿病とは、インスリンの分泌量が低下したり、インスリンの効きが悪くなったりすることで血糖値が高くなる病気を指します。
マンジャロはこの2型糖尿病の血糖コントロールを改善する目的で承認された薬であり、それ以外の目的での使用は保険の対象外となります[1]。
体重減少効果があることは知られていますが、あくまでも糖尿病治療における副次的な効果として位置づけられているのです。
そのため、糖尿病の診断がない方が「痩せたい」という目的でマンジャロを希望しても、保険診療では処方を受けられません。
保険適用されるための条件
保険適用でマンジャロを処方してもらうには、2型糖尿病の診断に加えていくつかの条件を満たす必要があります。
まず、食事療法や運動療法といった基本的な治療を行っても、十分な血糖コントロールが得られていないことが前提となります[1]。
他の糖尿病治療薬を使用しても効果が不十分な場合に、マンジャロが選択肢として検討されることになるでしょう。
また、医師が患者さんの状態を総合的に判断し、マンジャロによる治療が適切であると認めた場合に限り処方が行われます。
これらの条件を満たしているかどうかは、糖尿病内科や内科で相談することで確認できます。
糖尿病以外の方は保険適用にならない
ダイエットや美容目的でマンジャロを使用したい場合、保険は適用されません。
日本の医療保険制度では、病気の治療を目的とした医療行為に対して保険が適用される仕組みになっています。
マンジャロは2型糖尿病の治療薬として承認されているため、糖尿病でない方が体重管理だけを目的とした使用は保険診療の対象外となるのです。
肥満が気になっている方や、健康のために体重を減らしたいと考えている方がマンジャロを希望する場合は、自由診療での処方を受けることになります。
自由診療では、医師が安全性や適応を確認したうえで、必要と判断される場合に処方を行います。
自由診療でマンジャロを使用する場合
自由診療は保険が適用されないため、費用は全額自己負担となりますが、体重管理を目的とした使用が可能になるというメリットがあります。
ここでは、自由診療の仕組みや処方を受けるまでの流れについて解説していきます。
マンジャロの自由診療とは
自由診療とは、公的な健康保険を使わずに医療サービスを受ける診療のことです。
保険診療では、国が定めた診療報酬に基づいて治療内容や使用できるお薬が決められています。
一方で、自由診療とは、公的な健康保険の対象外となる治療を、患者さんと医師が相談のうえで行う診療形態です。マンジャロについては、日本では 2型糖尿病治療薬としてのみ保険適用 が認められているため、体重に関するご相談など、糖尿病以外の目的で使用する場合は自由診療となり、費用は全額自己負担になります。
マンジャロを自由診療で処方を受ける流れ
自由診療でマンジャロを処方してもらうには、まず対応しているクリニックを探して予約を取ることから始まります。
初診時には必要に応じて血液検査などを行い、マンジャロの使用が適切かどうかを医師が判断することになるでしょう。
持病がある方や服用中のお薬がある方は、事前に医師へ伝えておくことが大切になります。
処方が決まったら、使用方法や注射の打ち方について説明を受け、お薬を受け取ります。
その後は定期的に通院し、体調の変化や副作用の有無を確認しながら治療を継続していく流れになります。
マンジャロはオンライン診療でも取り扱う医療機関が増えています。
近年では、オンライン診療でマンジャロを取り扱うクリニックも増えています。
オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンを使ってビデオ通話で医師の診察を受けられる仕組みのことです。
自宅にいながら診察を受けられるため、仕事や育児で忙しい方、近くにクリニックがない方にとって受診しやすい選択肢となるでしょう。
処方されたお薬は自宅に配送されるため、通院の手間を省くことができます。
オンライン診療であっても医師による問診や体調確認は行われますので、不安なことがあれば相談しながら治療を進められます。
マンジャロの保険適用と自由診療の違い
マンジャロを保険診療で受ける場合と自由診療で受ける場合では、いくつかの違いがあります。
どちらが自分に合っているかを判断するために、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。
ここでは、処方条件や通院頻度などの違いについて詳しくお伝えしていきます。
チルゼパチドを使用した肥満症治療薬について
マンジャロの有効と同じ成分であるチルゼパチドは、肥満症治療薬としても注目されています。
日本では2025年に入り、チルゼパチドを使用した肥満症治療薬が新たに承認されました。ここでは、その肥満症治療薬の概要やマンジャロとの違いについて解説していきます。
肥満症治療薬のゼップバウンドとは
ゼップバウンドは、マンジャロと同じ有効成分であるチルゼパチドを含む肥満症治療薬です。
2025年4月に日本で発売され、保険診療で使用できる肥満症治療薬として注目を集めています[6]。
週1回の注射で使用する点はマンジャロと同じであり、GIPとGLP-1の2つのホルモンに作用する仕組みも共通しています。
ゼップバウンドとマンジャロとの違い
ゼップバウンドとマンジャロは同じチルゼパチドを含むお薬ですが、承認されている適応症が異なります。
マンジャロは2型糖尿病の治療薬として承認されており、血糖コントロールの改善を主な目的としています[1]。
一方、ゼップバウンドは肥満症の治療薬として承認されており、体重減少を主な目的として使用されます[6]。
また、用量設定にも若干の違いがあり、ゼップバウンドは10mgが維持用量として設定されています。
同じ成分でありながら、どのような目的で使用するかによって処方されるお薬が変わってくるのです。
ゼップバウンドの保険適用条件
ゼップバウンドは肥満症治療薬として承認されていますが、保険適用されるにはとても厳しい条件を満たす必要があります[6]。
まず、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られていないことが前提です。
そのうえで、BMIが35以上であるか、BMIが27以上かつ肥満に関連する健康障害を2つ以上有している必要があります。
さらに、処方できる医療機関も限定されており、肥満症治療の専門施設として認定された施設でのみ保険診療が可能です。
そのため、一般的なクリニックでゼップバウンドを保険診療で処方してもらうことは難しいのが現状となっています。
他のGLP-1製剤との違い
マンジャロ以外にも、GLP-1に作用するお薬はいくつか存在します。それぞれ特徴や適応症が異なるため、自分の目的に合ったお薬を選ぶことが大切です。
ここでは、代表的なGLP-1製剤とマンジャロの違いについてお伝えしていきます。
マンジャロとウゴービとの違い
ウゴービは、セマグルチドという成分を含む肥満症治療薬です。
2024年2月に日本で発売され、ゼップバウンドと同様に肥満症を適応症として承認されています。
マンジャロとの大きな違いは、マンジャロがGIPとGLP-1の両方に作用するのに対し、ウゴービはGLP-1のみに作用する点です。
ウゴービの保険適用条件もゼップバウンドと同様に厳格であり、BMI35以上またはBMI27以上で健康障害を複数有する方が対象となります。
また、6ヶ月以上の食事・運動療法を行っても効果が不十分であることが条件として求められます。
マンジャロとオゼンピック・リベルサスとの違い
オゼンピックとリベルサスは、ウゴービと同じセマグルチドを含むお薬ですが、適応症が2型糖尿病に限られています。
オゼンピックは週1回の皮下注射、リベルサスは毎日服用する内服薬という違いがあります。
マンジャロと同様に、これらのお薬も体重減少効果が期待されていますが、日本では糖尿病治療薬としてのみ承認されています。
マンジャロはGIPとGLP-1の両方に作用するため、GLP-1のみに作用するこれらのお薬とは作用機序が異なるのが特徴です。
自由診療でGLP-1製剤を使用する場合は、それぞれの特徴を理解したうえで医師と相談して選ぶことをおすすめします。
自由診療でマンジャロを検討するときのポイント
自由診療でマンジャロの処方を受ける場合、いくつか知っておくべきポイントがあります。安全に治療を続けるためにも、事前にポイントを確認しておきましょう。
ポイント①:医師の診察が必須
マンジャロは医療用医薬品であり、必ず医師の診察を受けたうえで処方してもらう必要があります。
自己判断で使用を開始したり、用量を変更したりすることは避けてください。
持病がある方や他のお薬を服用している方は、相互作用のリスクがあるため事前に医師へ伝えることが大切です。
定期的に医師と相談しながら治療を進めることで、効果を実感しやすくなるだけでなく、副作用の早期発見にもつながります。
信頼できるクリニックを選び、継続的なサポートを受けながら治療を行っていきましょう。
ポイント②:副作用が出た場合の対応
マンジャロを使用すると、悪心・嘔吐・下痢・便秘といった消化器症状が現れることがあります[1]。
これらの症状は使用開始時や増量時に出やすく、多くの場合は時間とともに軽減していきます。
ただし、症状が強い場合や長く続く場合は、無理せず医師に相談することが大切です。
医師の判断により、用量の調整や一時的な休薬が検討されることもあるでしょう。自己判断で使用を中止せず、必ず医師の指示に従って対応するようにしてください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。医師の診察をうけ、診断された適切な治療方法をお守りください。
個人輸入のリスク
マンジャロを安く手に入れたいからといって、個人輸入で購入することは避けてください。
海外から個人輸入した医薬品の中には、偽造品や品質に問題があるものが混ざっている可能性があります。
正規のルートで購入した医薬品でないと、期待した効果が得られないだけでなく、思わぬ健康被害につながるリスクもあるでしょう。
また、冷蔵保存が必要なお薬であるため、適切な温度管理がされていない状態で届く可能性も否定できません。
安全にマンジャロを使用するためにも、必ず国内の医療機関で医師の診察を受けて処方してもらうことをおすすめします。
よくある質問
Q1. マンジャロは保険適用されますか?
マンジャロが保険適用されるのは、2型糖尿病の治療目的で使用する場合に限られます。
糖尿病の診断があり、食事療法や運動療法を行っても血糖コントロールが不十分な場合に、医師の判断で処方されます。
体重管理やダイエットを目的とした使用は保険の対象外となりますので、その場合は自由診療での処方となります。
Q2. 糖尿病でなくてもマンジャロは使えますか?
マンジャロは日本では 2型糖尿病の治療薬として承認されている薬 です。そのため、保険診療で使用できるのは糖尿病の方に限られます。
一方で、糖尿病以外の目的での使用を希望される場合は、自由診療として医師が安全性や適応を確認したうえで、処方の可否を判断することになります。
自由診療では保険が適用されないため、費用は自己負担となります。
※医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
Q3. オンライン診療でも処方を受けられますか?
オンライン診療に対応しているクリニックであれば、自宅にいながらマンジャロの処方を受けることができます。
スマートフォンやパソコンを使ってビデオ通話で診察を受け、処方されたお薬は自宅に配送される仕組みです。
診察内容に基づき、治療として適切と医師が判断した場合に限り、オンラインでも処方が行われることがあります。
通院の手間を省きたい方や、近くにクリニックがない方にとって受診しやすい選択肢となるでしょう。
※医師の判断により、必要に応じて対面での診察が推奨される場合もあります。
Q4. 個人輸入で購入しても大丈夫ですか?
個人輸入でマンジャロを購入することは、安全面でおすすめできません。
海外から取り寄せた医薬品には偽造品が混ざっている可能性があり、品質や保管状態に問題があるケースも報告されています。
安全に使用するためにも、必ず国内の医療機関で処方を受けるようにしてください。
Q5. どのくらいの期間使用するものですか?
マンジャロの使用期間は、治療の目的や効果の出方によって個人差があります。
自由診療で体重管理を目的として使用する場合は、医師と相談しながら継続期間を決めていくことになるでしょう。
使用を中止するタイミングについても、自己判断ではなく必ず医師と相談して決めることが大切です。
まとめ
マンジャロは2型糖尿病の治療薬として承認されており、保険適用となるのは糖尿病と診断された方に限られます。
体重管理を目的として使用したい場合は、自由診療で医師の診察を受けることで処方してもらうことが可能です。
同じ有効成分であるチルゼパチドを使用した肥満症治療薬「ゼップバウンド」も登場していますが、保険適用の条件は非常に厳格に設定されています。
自由診療でマンジャロを使用する場合は、信頼できるクリニックで医師の診察を受け、継続的なサポートを受けながら治療を進めることが大切です。
副作用が出た場合の対応や、個人輸入のリスクについても理解したうえで、安全に使用していきましょう。
マンジャロの処方を検討している方は、まずは対応しているクリニックに相談してみてください。
