マンジャロはお酒を普段飲む人でも使用して大丈夫なの?

「飲み会でお酒を飲んだけどマンジャロを注射して大丈夫なの?」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか?
結論から言うと、マンジャロ使用中の飲酒は禁止ではありませんが、低血糖や消化器症状の悪化などのリスクがある可能性があります。
一方で、GLP-1受容体作動薬の使用により「お酒を飲みたくなくなった」などの食べ物や飲み物に対する欲求が減少する可能性も考えられます。

この記事では、FDA(米国食品医薬品局)の情報や厚生労働省のガイドライン、最新の研究データをもとに、マンジャロとお酒の関係について詳しく解説します。
マンジャロ使用中の飲酒が気になる方や、お酒を飲んだ後の注射について不安がある方は、ぜひ最後までお読みください。

マンジャロとお酒の併用は禁止されている?

マンジャロとアルコールの併用が禁止されているわけではありません。

しかし、併用することでいくつかのリスクが生じる可能性があるため、注意が必要です。

ここでは、マンジャロとお酒の併用について解説します。

マンジャロとアルコールに直接的な薬物相互作用はない

マンジャロとアルコールの間には、直接的な薬物相互作用は現在のところ報告されていません。

FDA(アメリカ食品医薬品局)が承認した処方情報においても、アルコールは正式な薬物相互作用としてリストされていないのが現状です【3】。

つまり、マンジャロの成分とアルコールが体内で反応して、成分同士が体内で反応して有害物質が生じたり、薬の効果が大きく変わったりする可能性は低いと考えられています。

「お酒を飲んだらマンジャロが効かなくなる」「お酒とマンジャロが反応して危険」といった心配は今のところは不要と考えて良いでしょう。

ただし、直接的な相互作用がないことと、併用してもリスクがないことは別の問題です。

マンジャロとアルコールの併用時のリスクは存在する

マンジャロとアルコールに直接的な薬物相互作用は今のところ認められていませんが両方とも血糖値や消化器系に影響を与えるため、併用時には注意が必要です。

マンジャロはインスリン分泌を促進して血糖値を下げる作用があり、アルコールもまた血糖値に影響を与える可能性があります【3】。

また、マンジャロの代表的な副作用である吐き気や胃もたれなどの消化器症状は、アルコールによっても引き起こされる可能性があるでしょう【6】。

これらの作用が重なることで、単独では起こりにくい症状が現れたり、症状が強くなったりする可能性があります。

そのため、マンジャロ使用中にお酒を飲む場合は、リスクを理解した上で慎重に判断することが大切です。

マンジャロ使用中に飲酒するとどんなリスクがある?

マンジャロ使用中に飲酒した場合に考えられる主なリスクについて解説します。

特に低血糖、消化器症状、膵炎の3つは重要なポイントです。

低血糖リスクが高まる理由

マンジャロ使用中に飲酒すると、低血糖のリスクが高まる可能性があります。

これは、マンジャロとアルコールがそれぞれ異なる作用で血糖値を下げる方向に作用するためです。

マンジャロはインスリン分泌を促進して血糖値を下げる効果があり、一方でアルコールは肝臓の糖新生(糖を作り出す働き)を抑制するため、血糖値が上がりにくくなります。

マンジャロ単独で低血糖が起こることは比較的まれですが、この二つの作用が重なると、血糖値が上がりにくい状況が続く可能性があるでしょう。

特に注意が必要なのは、飲酒後数時間〜就寝中に起こる「遅発性低血糖」で、寝ている間に症状が進行すると対処が遅れる危険性があります。

消化器症状が悪化する可能性

マンジャロの代表的な副作用には、吐き気、嘔吐、下痢、胃もたれなどの消化器症状が挙げられます【6】。

アルコールもまた胃腸に刺激を与えるため、これらの症状を悪化させる可能性があるでしょう。

マンジャロには胃の内容物の排出を遅らせる作用があり、アルコールが胃に長くとどまることで刺激が続くことが考えられます。

また、アルコールの利尿作用によって脱水状態になりやすく、頭痛やだるさが残りやすくなることもあるでしょう。

特にマンジャロを開始したばかりの時期や、用量を増やした直後は消化器症状が出やすいため、飲酒は控えめにすることをおすすめします。

急性膵炎のリスクにも注意が必要

マンジャロを含むGLP-1受容体作動薬では、まれに急性膵炎が報告されています【6】。

急性膵炎の主な原因としてはアルコールと胆石が知られており、アルコールは膵臓の細胞を傷つけたり、膵液の過剰分泌を促したりする可能性があります。

マンジャロ使用中に過度の飲酒をすると、膵炎のリスクがさらに高まる可能性も考えられるため注意しましょう。

急性膵炎の症状としては、みぞおちから背中にかけての激しい痛み、吐き気、嘔吐などがあります。

このような症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

お酒を飲んだ後にマンジャロを注射しても大丈夫?

飲酒後の注射に関する明確なデータや公式な見解は存在しません。そのため、一概に「大丈夫」とも「危険」とも言い切れないのが現状です。

ここでは、飲酒後の注射について知っておきたいポイントを解説します。

飲酒後の注射に関する明確なデータはない

2025年11月28日現在では、「お酒を飲んだ後にマンジャロを注射しても問題ないか」という点について、明確な臨床データは存在しません。

製薬会社の公式情報においても、マンジャロとアルコールの相互作用を具体的に検証したデータは公開されていないのが現状です。

そのため、「飲酒後の注射が安心」とも「危険」とも断言することはできないでしょう。

ただし、マンジャロは週1回の注射であり、注射日を1日ずらしても大きな問題にはならないケースが多いとされています。

不安がある場合は、飲酒量が多かった日の注射を翌日にずらすという選択肢も検討してみてください。

体調が悪いときはマンジャロの注射を見送ることも選択肢

お酒を飲んだ翌日に二日酔いの症状がある場合、マンジャロの注射を見送ることも一つの選択肢です。

マンジャロの副作用には吐き気や胃もたれがありますが【6】、二日酔いの状態でこれらの症状が重なると、体調が大きく崩れる可能性があるでしょう。

特に、嘔吐や下痢が続いて水分が摂れない状態では、脱水のリスクも高まります。

マンジャロは週1回の注射なので、1日程度のずれであれば治療に大きな影響を与えないケースが多いでしょう。

ただし、自己判断で長期間注射を中止することは避け、判断に迷う場合は医師に相談してください。

判断に迷ったら医師に相談する

飲酒後の注射について不安がある場合は、遠慮せずに医師に相談することをおすすめします。

医師はあなたの健康状態、使用しているお薬、飲酒の頻度などを総合的に判断して、適切なアドバイスをしてくれるでしょう。

オンライン診療を利用している場合でも、チャットやメッセージで気軽に質問できるクリニックもあります。

「こんなことで相談していいのかな」と悩むよりも、症状が悪化する前に相談しましょう。

気になることがあれば早めに確認することで、安心してマンジャロを続けることができるでしょう。

※クリニックフォアでは、診療行為にあたるものはチャットでのご対応が難しく、ご相談内容によっては診察を受けていただく場合がございます。

マンジャロ使用中にお酒を飲むときの注意点

マンジャロ使用中でも、注意点を守れば適度な飲酒は可能とされています。

ただし、飲み方によってはリスクが高まることがあるため、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。

ここでは、マンジャロ使用中にお酒を飲む場合の具体的な注意点を紹介します。これらを意識することで、より安心してお酒を楽しむことができるでしょう。

空腹時の飲酒は避ける

マンジャロ使用中にお酒を飲む場合、空腹時の飲酒は避けることが重要です。

空腹状態でアルコールを摂取すると、肝臓がアルコールの分解を優先するため、血糖値を維持する糖新生の働きが抑えられてしまいます。

これにより、低血糖のリスクが大幅に高まる可能性があるでしょう。

お酒を飲む前には必ず食事を摂り、飲酒中もおつまみを食べながらゆっくり飲むことを心がけてください。

飲酒量は控えめに(厚生労働省ガイドラインの目安)

マンジャロ使用中にお酒を飲む場合は、通常よりも控えめな量を心がけることが大切です。

厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」として、1日あたり純アルコール約20gを目安としています【1】。

純アルコール20gの目安は、ビール500ml(中瓶1本)、日本酒1合(180ml)、ワイン200ml、ウイスキーダブル1杯(60ml)程度です【1】。

マンジャロ使用中は、この目安よりもさらに少なめの量にとどめることをおすすめします。

また、体重が減少している場合は同じ量のお酒でも酔いやすくなるため、以前より少ない量で調整することが大切でしょう。

水分補給と休肝日を意識する

マンジャロ使用中にお酒を飲む場合は、水分補給と休肝日を意識することも重要です。

アルコールには利尿作用があるため、脱水状態になりやすくなります。

マンジャロの副作用である嘔吐や下痢が重なると【6】、さらに脱水が進む可能性があるでしょう。

お酒を飲む際は、合間に水やお茶を挟みながらゆっくり飲むことを心がけてください。

また、毎日の飲酒は肝臓に負担をかけるリスクや、カロリーを過剰に摂取してしまう可能性もあるため、飲み過ぎに注意し週に数日は休肝日を設けることをおすすめします。

マンジャロとお酒に関するよくある質問

Q1: マンジャロを使用中にお酒を飲んでも大丈夫ですか?

マンジャロ使用中の飲酒は禁止ではありませんが、注意が必要です。

低血糖や消化器症状の悪化などのリスクがあるため、飲酒をする場合は少量にとどめることをおすすめします。

不安な場合は、事前に医師に相談してみてください。

Q2: お酒を飲んだ日にマンジャロを注射しても問題ありませんか?

飲酒後の注射に関する明確な臨床データは存在しないため、一概に「大丈夫」とは言えません。

二日酔いで体調が悪い場合は、注射を1日ずらすことも選択肢の一つでしょう。判断に迷う場合は、医師に相談することをおすすめします。

Q3: 飲み会がある日はマンジャロの注射日をずらした方がいいですか?

必ずしもずらす必要はありませんが、大量の飲酒が予想される場合は注射日を調整することも一つの選択肢です。

マンジャロは週1回の注射なので、1日程度のずれであれば治療に大きな影響は出にくいでしょう。

注射日の変更について不安がある場合は、医師に相談してみてください。

マンジャロとお酒に関するまとめ

マンジャロ使用中の飲酒は禁止ではありませんが、低血糖や消化器症状悪化などのリスクがあるため注意が必要です。

マンジャロとアルコールに直接的な薬物相互作用はありませんが、両方が血糖値に影響を与えるため、併用時は慎重になるべきでしょう。

飲酒する場合は、空腹時を避け、厚生労働省が示す「節度ある適度な飲酒」(純アルコール約20g)より少なめを心がけることが大切です【1】。

お酒を飲んだ後の注射について明確なデータはないため、体調が悪い場合は無理をせず、判断に迷ったら医師に相談しましょう。

自己判断で注射を中止せず、不安なことがあれば医師に確認することが大切です。

マンジャロとお酒の付き合い方に不安がある方は、まずは医師に相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献

  1. 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年2月)
  2. 厚生労働省「アルコール|e-ヘルスネット」
  3. Drugs.com「Tirzepatide and Alcohol/Food Interactions」
  4. Quddos F, et al. "Semaglutide and Tirzepatide reduce alcohol consumption in individuals with obesity". Scientific Reports. 2023 Nov 28.
  5. Mahase E, et al. "Association between glucagon-like peptide-1 receptor agonists use and change in alcohol consumption: a systematic review". eClinicalMedicine (The Lancet). 2024 Nov.
  6. 日本イーライリリー株式会社「マンジャロ皮下注アテオス 添付文書」(2025年7月改訂・第8版)
  7. 日本イーライリリー株式会社「マンジャロ皮下注アテオス インタビューフォーム」(2025年7月改訂・第8版)