現在、アレルギー性疾患の治療は、抗アレルギー薬の内服・点眼や、ステロイドの吸入・外用・点鼻薬等、様々な方法で行われています。
ここでは、根本的な体質改善が期待できる「舌下免疫療法」について、ご紹介させていただきます。
「舌下免疫療法」のポイント
・スギ花粉及びダニアレルギーに対する効果の高い治療方法で、患者様の満足度も非常に高いです。
・スギ花粉及びダニのエキスを少量含む錠剤を服用し、アレルゲンに身体を慣らしていく治療です。
・スギ花粉アレルギーの場合、スギ花粉の飛んでいない5月後半から12月に治療開始できます。
・治療期間は3〜5年、朝1回の内服となります。数ヶ月の治療で効果が出始める方が多いです。
・毎月の受診が必要ですが、保険を使って治療を行うことができます。費用は約2,000~2,500円/月になります。
舌下免疫療法とは?
特に、スギ花粉アレルギー(春の花粉症=季節性アレルギー性鼻炎)、およびダニアレルギー(通年性アレルギー性鼻炎)の患者様を対象とした治療です。
これは、スギ花粉アレルギー、あるいはダニアレルギーと診断された患者様に対して、スギ花粉あるいは、ダニのタンパク質を主成分とする薬剤を内服し続けることで、体の免疫を刺激し、スギやダニに耐性をつける治療法となります。
薬の種類は、スギ花粉アレルギーの方には「シダキュア(錠剤)」、ダニアレルギーの方には、「ミティキュア(錠剤)」というものがあります。
こちらの治療は、指定認可を受けた医師のみ実施することができます。
舌下免疫療法のメリットとは?
「舌下免疫療法」のメリットは多くあります。
例えば、アレルギーというものは一般的には治ることが難しいとされますが、舌下免疫療法で体質を改善することによって、症状が全く出なくなる寛解(治癒)という状態まで持っていくことが可能です。
また、完全に治癒まで至らなくても、症状が改善すること、使用しなければならない薬の量を減らすことや、舌下免疫療法を終了後も効果が持続しやすいこと、また、スギ花粉やダニ以外の他のアレルゲンに対するアレルギー反応を抑えたり、喘息の発症を抑えられる可能性が上がることも臨床研究の結果からわかっています。
このように、免疫療法は、正しく行われた場合、スギ花粉・ダニアレルギーの患者様にとってメリットが大きい治療法であることは間違いありません。
免疫療法には「皮下」と「舌下」の2種類ありますが、「舌下免疫療法」が一般的です。これは
・ 「皮下」よりも「舌下」免疫療法のほうが、重篤な副作用を起こす頻度が少ないこと
・ 注射の痛みがない
・ 自宅で継続できる
というメリットがあるためです。
クリニックフォアグループでは、適応となる患者様を対象に、保険診療にて「舌下免疫療法」の治療を行っております。(アレルギー検査による確定診断が必須です)
どれくらいの期間治療が必要?
約3-5年継続することが推奨されています。体質を変えていく、アレルギーに対する認容性を促す治療になりますので、長期間の治療が必要になることはご理解ください。
対象となる患者様は?対象とならない患者様は?
原則5歳以上であることが保険診療で舌下免疫療法を行う条件となります。
また、
・妊娠中/授乳中の方
・気管支喘息の患者様
・悪性腫瘍、または免疫系に影響を及ぼす全身性疾患を伴う方
は、免疫療法を行うことはできません(治療中に妊娠した場合は、舌下免疫は継続可能です)
いつから始められるの?
初回受診時に、診察・アレルギー検査を実施し、「スギ花粉症」あるいは「ダニアレルギー」と診断された後、舌下免疫療法を開始します。
スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、初回治療が5月後半から12月までの間とされています。
ダニアレルギーに対する舌下免疫療法は一年中いつでも開始可能です。
スギ花粉症の開始時期が限られているのは、スギ花粉が飛散しているときに、舌下免疫療法の初回治療を開始すると、重篤な副作用を起こす可能性が上がるためです。患者様のリスクを減らすためですのでご理解ください。
どのくらいお金がかかるの?
舌下免疫療法は、「スギ花粉症」あるいは「ダニアレルギー」とアレルギー検査で診断された患者様にのみ治療が適応となります。
そのため、初回時には、確定診断を行うための血液アレルギー検査を実施し、約1週間後の2回目の受診より、舌下免疫療法が開始となります。
かかる費用としては、
初診時: 3割負担の方は、おおよそ 6,000円程度。初診時の場合、検査費用含め費用がかかります。
(初診料、アレルギー検査料の3割となります。血液アレルギー検査自体の自己負担額は約5,000円です。処方されるお薬等によって若干異なりますのでご了承ください)
2回目以降: 3割負担の方は、おおよそ1,000円。ここに、シダキュアあるいはミティキュアの薬剤費 約1,500円~2,000円/月がかかります。
どのように治療を行うの?
Webでご予約を取っていただいた時間にご来院いただきます。
初回は、診察を行い、スギあるいはダニアレルギーであることを確定するために、採血を行いアレルギー検査を実施します。検査結果は、採血から7日程でクリニックに届きます。結果の説明は対面での診察が必要となり、メールや電話・郵送等での結果説明はできません。検査から1週間後以降に対面診療をご受診いただき、結果説明を受けていただきますようお願い申し上げます。アレルギー検査の結果、スギ花粉あるいはダニに対するアレルギーが認められた場合、「舌下免疫療法」が保険で治療適用となります。
舌下免疫療法初回の場合、診療終了時刻の1時間前にはご来院ください。お薬をお渡ししますので、そのまま院内で内服していただき、副作用が出ないか確認する必要がありますので、内服後15〜30分ほど、院内で待機していただきます。副作用等の問題がないことを確認後、帰宅していただきます。
その後、以下のスケジュールでご来院いただくことになります。
必ず定期的な受診が必要になりますので、ご理解・ご協力いただければ幸いです。
・2週間後
・4週間後
・このあとは、原則4~8週間毎の来院
薬剤自体は、1日1回、少量から服用開始します。副作用等の問題がないことを確認し、徐々に増量していきます。
最大用量まで増加したら、その後は、最大用量を約3〜5年継続して服用していただきます。
ご注意いただくこと
・特に治療開始後しばらくの間、薬剤を服用約2時間程度は、激しい運動・アルコール摂取・入浴などを控えていただくようお願いいたします。
・導入初期のアレルギー症状を防ぐために、抗アレルギー薬を併用していただきます。
・服用し忘れた場合は、追加で飲んで頂く必要はありません。アレルギー治療は長期間に渡って行うものです。むしろ、あわててたくさん内服したほうが体にとってリスクとなります。医師から指示された一日分以上の用量を服用しないようお願いいたします
副作用について
どのような薬も副作用があります。事前に薬剤によって起き得る副作用をご理解いただき、適切に治療を行うことが重要になります。
主な副作用
口内のしびれやピリピリ感、舌の腫れ、口内の腫れ、のどのかゆみ、耳のかゆみ、頭痛など
上記のような症状が現れた場合、来院いただき、医師の診療を受けるようお願いいたします。
重大な副作用
・動悸・血圧低下
・呼吸困難・喘鳴・喉の圧迫感
・持続する胸痛・持続する嘔吐
上記のような症状が1つでもあてはまる場合、クリニックが診療している時間はクリニックにすぐにお電話ください。
また、来院するまでに症状が悪化する可能性もありますので、救急車を要請して救急病院を受診するなど迅速な対応が必要です。
最近すでにアレルギー検査を受けており、スギ花粉症の診断を受けていますが、舌下免疫療法は始められる?
他院での1年以内のアレルギー検査の結果用紙をご持参いただければ、その結果をもって舌下免疫療法を行うことが可能です。また他院で舌下免疫療法を継続中の方は、当院での継続治療も可能ですのでお気軽にご相談ください。安定した後の継続治療については、オンライン診療での処方も可能ですのでご活用いただけますと幸いです。
どこで検査・治療ができる?
クリニックフォアの対面診療で血液アレルギー検査と治療が可能です。2023年2月現在、東京と埼玉に10院(田町・新橋・池袋・渋谷・飯田橋・有楽町・四谷・大手町・亀戸・大宮)と大阪に1院(心斎橋)ございます。Web予約の上でご来院いただければ幸いですが、予約なしでも土日祝含めて即日検査が可能です。つらいアレルギー症状でお悩みの方は、ぜひご受診をご検討ください。