マンジャロとリベルサスの違いは?
マンジャロとリベルサスは、どちらも食欲を抑える効果を持つGLP-1受容体作動薬ですが、その主成分や作用、剤形に違いがあります。特に体重減少効果を重視する場合、どちらがより自分に適しているのかを理解することが重要です。以下の表で、両者の主な違いをまとめました。
| 項目 | マンジャロ | リベルサス |
| ダイエット効果 | より高い傾向 | 効果あり |
| 有効成分 | チルゼパチド | セマグルチド |
| 作用メカニズム | GIP/GLP-1受容体作動薬 | GLP-1受容体作動薬 |
| 副作用 | 吐き気、下痢、便秘注射部位反応 など | 吐き気、下痢、便秘など |
| 剤形・使用頻度 | 週1回の注射薬 | 毎日1日1回起床時の空腹時に飲む |
それぞれの項目について、詳しく説明します。
ダイエット効果の違いは?
体重減少効果は、マンジャロの方がリベルサスよりも高いと考えられます。両方のお薬を直接比較した臨床試験はありませんが、リベルサスの有効成分であるセマグルチドの注射薬(オゼンピック)とマンジャロを比較した臨床試験の結果から効果の違いを推察できます。
以下は非糖尿病患者を対象に行われた、チルゼパチド(マンジャロ)とセマグルチド(リベルサスの有効成分)の減量効果を検証した臨床試験のデータです。(The New England Journal of Medicine, 2025)チルゼパチド(マンジャロ)の平均体重減少量(72週時点):-20.2%
セマグルチド(リベルサスの有効成分)の平均体重減少量(72週時点):-13.7%
この結果から、マンジャロの方が、リベルサスと比較してより高いダイエット効果が期待できると考えられます。
主成分と作用の違い
マンジャロとリベルサスの効果の違いは、主成分と作用メカニズムの違いによるものです。どちらも食欲抑制や満腹感を持続させる点は共通していますが、マンジャロはそれを引き起こすメカニズムがより強化されたお薬です。
<マンジャロ(主成分:チルゼパチド)[1] >
マンジャロは「GIP/GLP-1受容体作動薬」と呼ばれ、GIPとGLP-1という2種類のホルモン受容体に働きかけるお薬です。GLP-1受容体作動薬の食欲抑制、満腹感の持続作用に加え、GIP受容体への作用によって食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌を高めたり、エネルギー消費を促したりする効果も期待できます。
<リベルサス(主成分:セマグルチド)[2] >
GLP-1というホルモンの受容体のみに働きかける「GLP-1受容体作動薬」です。GLP-1は食欲を抑制し、胃の動きを緩やかにして満腹感を持続させます。マンジャロが持つGIP受容体への作用はありません。
副作用の違い
主な副作用である吐き気や下痢などの胃腸障害は、マンジャロとリベルスで共通してみられます。大きな違いは、マンジャロが注射薬であるために起こりうる注射部位の副作用です。
<マンジャロ・リベルサス共通の副作用[3]>
吐き気、嘔吐、下痢、便秘、胃もたれなどの胃腸障害
マンジャロ特有の副作用[4]
注射部位の赤み、腫れ、かゆみなど
マンジャロの注射部位反応はマンジャロに限らず、注射薬全般で起こる可能性がある副作用です。注射する場所を毎回変える、など使用時に注意することで予防することができます。
また、マンジャロ、リベルサスに共通でみられる吐き気などの副作用の程度は、軽度から中等度のものが多いと言われています。お薬を継続することで次第に軽減されることが多いです。
剤形の違い
マンジャロは週1回の注射薬、リベルサスは毎日1回の経口薬(飲み薬)であり、使用方法が大きく異なります。
マンジャロの使用時間帯に指定はなく、週に一度、自分で注射を行います。針は本体に内蔵されており、1回使い切りのため面倒な針の付け替え作業は不要です。
リベルサスは、必ず1日の最初の食事・飲水の前に、空腹の状態で飲む必要があります[4][5]。コップ半量(約120mL)以下の水で服用し、その後少なくとも30分間は飲食や他のお薬の服用を避けなければいけません。
リベルサスとマンジャロはどっちが向いているのかタイプ別の選び方
マンジャロとリベルサスのどちらが自分に合っているかは、ライフスタイルや治療に何を求めるかによって異なります。
ここで解説する選び方のポイントを参考に、ご自身に適したお薬を選びましょう。
GLP-1ダイエット薬の選び方
GLP-1ダイエット薬を選ぶ際は、以下の4つのポイントを考慮すると自分に合ったお薬を見つけやすくなります。
- 注射薬か飲み薬か
- 週1回の使用か毎日の服用か
- ダイエット効果の高さを重視するか
- 服用(使用)ルールを守れるか
たとえば「注射はハードルが高い」「毎日お薬を飲むのは続くか不安」など、自分の性格や生活リズムに目を向けてみましょう。
生活スタイルや優先したい項目を整理することで、無理なく続けられるお薬を選択できます。
マンジャロが向いている人
以下に当てはまる方は、週1回投与のマンジャロが向いているでしょう。
- なるべく早く、しっかりと体重を落としたい人
- 毎日のお薬の内服を避けたい、面倒だと感じる人
- 注射針を付け替えるなどの取り扱いに不安がある人
2023年に発表された研究でも、マンジャロは他のGLP-1受容体作動薬と比較して優れた体重減少効果が期待できるとされています。(Internal Medicine Journal,2023)そのため、高いダイエット効果を期待する方にはマンジャロがおすすめです[6]。
また、マンジャロは週に1回決まった曜日に注射するだけなので、毎日の服用を忘れがちな方でも続けやすいと言えます。
加えてマンジャロは針が本体に内蔵されている一体型の製剤です。自身で針を着脱する必要がないため、注射薬がはじめての方でも簡単に使用できるでしょう。また、採血や予防接種で使う針より細い設計のため、痛みを感じにくく、負担が少ないとされています。
リベルサスが向いている人
リベルサスは、GLP-1受容体作動薬の中で唯一の飲み薬です。次に当てはまる方はリベルサスが向いていると言えるでしょう。
- 注射が苦手・怖いと感じる人
- 朝の服用ルールを守れる人
- 毎日服用の方が安心できる人
リベルサスは飲み薬であるため、注射の痛みや使用済み注射針の廃棄、冷蔵保管といった手間がありません。
かわりに起床後すぐの空腹時に少量の水で服用し、その後30分間は飲食を控えるというルールを守る必要があります。また、前日の夜遅くに食事をすると、お薬の吸収が悪くなってしまうため十分な効果が得られません。
リベルサスは週1回の注射だと忘れてしまいそうで不安、毎日飲む方がスケジュール管理しやすいと感じる方にも適しているお薬です。
効果が出ないときは併用や切り替えできる?
GLP-1受容体作動薬による治療で期待した効果が得られない場合、お薬の変更を検討することもあるでしょう。
ただし、自己判断で併用や切り替えを行うのは危険です。ここでは、マンジャロとリベルサスの併用や切り替えについて、詳しく解説します。
切り替えはOKだが併用はできない
リベルサスからマンジャロ、あるいはその逆であっても両者間の切り替えは可能です。ただし、2つのお薬の併用はできません。
いずれもGLP-1受容体に働きかけるお薬のため、同時に使用すると作用が強まり、副作用が増える可能性があります。
安全に治療を続けるためにも必ずどちらか1種類のみを使用し、切り替えたいときは医師に相談しながら行いましょう。
リベルサスからマンジャロへの切り替えのタイミング
リベルサスからマンジャロへ切り替えは、基本的にはリベルサスの服用を中止したあとに一定期間をあけてからマンジャロの投与を開始します。
その際、マンジャロは効果と安全性を確認しながら徐々に増量していく必要があるため、必ず最初の4週間(1ヶ月間)は、週1回2.5mgという最も少ない用量から開始します。
切り替えは医師の指示に従い、適切なタイミングと用量で開始することが重要です[7]。
切り替え時の注意点
マンジャロへ切り替える際に、いきなり高用量から始めてはいけません。それまでリベルサスをどのくらいの用量で服用していたかに関わらず、再度医師による診察を受けた上で、最低用量の「週1回2.5mg」から投与を開始します[7]。
これは、急に高用量のマンジャロを投与することで、吐き気や下痢などの胃腸障害が強く出るのを防ぐためです。約4週間(1ヶ月)2.5mgを継続し、体が慣れた段階で再診察を経て5mgへ増量します。自己判断で用量を調節せず、医師の指示に従って切り替えを行いましょう。
マンジャロやリベルサス・その他GLP-1薬の値段
マンジャロやリベルサスを用いたダイエット治療は、すべて保険適用外の自由診療です。価格はクリニックによって異なるため、事前に確認しておきましょう。
以下はクリニックフォアでの価格表です。
| お薬 | 用量(1回あたりの量) | 月額目安 |
| マンジャロ(チルゼパチド/週1注射) | 2.5mg/5mg/7.5mg/10mg/12.5mg/15mg | ¥25,520/本※5 |
| リベルサス(経口セマグルチド/飲み薬) | 3mg/7mg/14mg | ¥8,027/月※7 |
| オゼンピック(セマグルチド/週1注射) | 0.25mg/0.5mg/1mg(1本で用量を調整できるタイプ。メモリ操作で0.25mg/0.5mg/1mgの設定可) | ¥26,730/本※6(1本につき、注射針・消毒綿が8個ずつセットとなります) |
※1 保険適用外の自由診療になります。
※2 医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※3 医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
※4 医学的必要性がないと医師が判断した場合はお薬の処方はいたしません。
※5 マンジャロ2.5mg3ヶ月まとめて定期の1ヶ月あたりのお薬代 別途配送料1,100円(クール便代込み)
※6 オゼンピック2mg3本セットの1本あたりのお薬代 別途配送料1,100円(クール便代込み)
※7 リベルサス3mg6ヶ月まとめて定期の1ヶ月あたりのお薬代 別途配送料550円
また、お薬代とは別に診察料、配送料がかかります。
| 診察料 | ¥1,650 |
| 配送料 | ¥550/回 注射薬はクール便のため¥1,100 |
3ヶ月分、半年分のセットなら送料が1回分なのでさらにお得です。
マンジャロ・リベルサスの違いに関するよくある質問
ここでは、マンジャロとリベルサスの違いについて、多くの方から寄せられる疑問にお答えします。お薬選びの際の参考にしてください。
マンジャロで1ヶ月で何キロ痩せますか?
2022年に発表された肥満症の方を対象とした臨床試験では、治療開始から4週間で平均約4%)の体重減少がみられました[8]。(The New England Journal of Medicine,2022)
ただし、効果のあらわれ方には、元の体重や体質、生活習慣などが影響します。
体重減少効果には個人差があるため一概には言えませんが、マンジャロでは1ヶ月からでもダイエット効果が期待できるでしょう。しかし、急なお薬の中止はリバウンドを引き起こしやすいこと、マンジャロは継続、または用量を増やしながら使用することで2-3ヶ月目以降により効果を発揮しやすいことから、短期間で中止せず、継続することが大切です。
マンジャロの欠点は何ですか?
マンジャロの欠点としては、主に以下の3点が挙げられます。
- 費用が高め
- 冷蔵保管が必要
- 廃棄に手間がかかる
マンジャロはほかのGLP-1受容体作動薬と比較して、やや高めの価格設定であることが多いです。
また、未開封の状態では2〜8℃での冷蔵保管が必要なため、保管に注意が必要です。ただし、冷蔵保管が必要なのは他のGLP-1受容体作動薬の注射も同様のため、マンジャロ特有のデメリットというわけではありません。
マンジャロを廃棄するときは、牛乳パックや薬の空容器などしっかりフタのできる固い容器に入れ、さらにごみ袋に入れて廃棄します。自治体によって対応が異なる場合もあるため、迷ったときは薬局や自治体に確認してください。地域によっては、薬局で回収を行っている場合もあります。
マンジャロの代わりになるお薬はありますか?
マンジャロとまったく同じ有効成分「チルゼパチド」を含むお薬として「ゼップバウンド」があります。
ゼップバウンドは日本でも肥満症治療薬として承認されていますが、美容目的のダイエットには保険適用されません。肥満症治療薬として様々な条件を満たした場合のみ、特定の高次医療機関において保険適用での治療が可能です。
リベルサスは1ヶ月で何キロ痩せますか?
リベルサスでは、治療開始から4週間で平均約2%程度の体重減少であったことが示されている臨床試験の報告があります。(The Lancet, 2023) 前述のマンジャロの結果と比較すると、お薬使用開始初期の減量効果もマンジャロの方が高い可能性が示唆されます。
リベルサスもマンジャロと同様に継続することが大切です。副作用を避けるため、低用量から少しずつ量を増やしていくスケジュールで服用するので、飲み始めの1ヶ月は体をお薬に慣らす期間と捉えると良いでしょう。
自分に合うお薬を選ぼう!しっかり痩せたい人にはマンジャロがおすすめ
マンジャロとリベルサスはどちらも有効なGLP-1ダイエット薬ですが、それぞれに特徴があります。大きな違いは、剤形の違いと服用頻度です。
マンジャロは週1回使用する注射薬で、より高い体重減少効果が期待できます。一方で、リベルサスは毎日起床時に飲む必要のあるお薬です。飲み薬なので注射が苦手な方でも始めやすいでしょう。
マンジャロとリベルサスの違いを理解したうえで、ご自身のライフスタイルやダイエット目標に合わせて選択することが重要です。なるべく早く、しっかりとダイエット効果を実感したいのであれば、体重減少効果のデータが豊富なマンジャロがおすすめです。
