マンジャロとオゼンピックの違いとは?
マンジャロとオゼンピックでは、主に2つの違いがあります。
- 作用方法
- 体重減少効果
臨床試験であらわれたダイエット効果が、それぞれ異なります。
| 薬剤名 | マンジャロ(チルゼパチド) | オゼンピック(セマグルチド) |
| 作用方法 | GLP-1受容体作動薬+GIP受容体作動薬 | GLP-1受容体作動薬 |
| 注射のタイプ | 使い切りタイプ | 針交換タイプ |
| 投与方法 | 週1回皮下注射 | |
| 開始用量 | 2.5mg | 0.25mg |
| 維持用量 | 5~15mg | 0.5~1.0mg |
| 体重減少効果 (72週時) | 平均約-19.1%〜-21.4%[1] | 平均約-12.6%〜-14.9%[1] |
| 副作用 | 悪心、下痢、便秘、腹痛 | |
マンジャロは2つの受容体に作用するため、オゼンピックよりも体重減少効果が高いとされています。
投与方法や副作用などに大きな違いはないとされています。
このことから、使用するならマンジャロ(チルゼパチド)の方がおすすめであることがわかります。
作用の違い
マンジャロはGLP-1受容体とGIP受容体の両方に作用するお薬であり、オゼンピックはGLP-1受容体のみに作用する単一受容体作動薬です。
2つの受容体に対して効果を発揮することから、体重減少効果や代謝改善効果の差が生まれるとされています[2]。
| GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1) | インスリン分泌を促進グルカゴン分泌を抑制することで血糖値を下げる食欲を抑制し、胃の内容物排出を遅らせる |
| GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド) | インスリン分泌を促進食欲を抑制する |
マンジャロはこのGIP受容体にも作用することで、GLP-1単独作用よりも強い体重減少効果を発揮すると考えられています。
このため、肥満治療においてはマンジャロの方が体重減少効果が高いとされています。
ダイエット効果の違い
マンジャロはオゼンピックと比較して、72週時の体重減少効果が約7%程高いことが臨床試験で示されています[1]。
非糖尿病の肥満成人を対象としたSURMOUNT-5試験では、チルゼパチドの優位性が証明されました。
SURMOUNT-5試験は、マンジャロの有効成分であるチルゼパチドとオゼンピックの有効成分であるセマグルチドを用いた、第IIIb相の非盲検・対照比較試験といわれる臨床試験です。その臨床試験では下記のような結果が示されました[1]。
| ウエスト周囲の減少径 | 平均体重減少率 | |
| チルゼパチド(マンジャロ) | -18.4cm | -20.2% |
| セマグルチド(オゼンピック) | -13.0cm | -13.7% |
10%以上、15%以上、20%以上、25%以上の体重減少率を達成した被験者の割合も、すべてチルゼパチド群の方が高い結果が得られました。
体重減少率などは個人差があるため、すべての患者で同様の効果が得られるわけではありません。
しかし上記の表より、マンジャロの方がダイエット効果が高いことが示唆されます。
使用方法の違い
マンジャロとオゼンピックは、どちらも週1回の皮下注射ですが、開始用量と増量スケジュールが異なります。
| マンジャロ | オゼンピック | |
| 投与方法 | 週1回 | |
| 投与する場所 | 皮下注射(腹部、大腿部、上腕部) | |
| 針交換 | なし | あり |
| 針の太さ | 0.33mm | 0.18mm |
| 特徴 | 1回分ずつお薬が充填されている | ダイヤルを回して1回分の用量を自分で設定する |
| 開始用量 | 2.5mg | 0.25mg |
| 投与スケジュール | 4週ごとに2.5mg増量することが可能です | 4週ごとに0.5mg、1.0mgへと増量が可能です |
| クリニックフォアで処方できる用量 | 2.5mg 、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg | 0.25mg、0.5mg、1.0mg |
マンジャロもオゼンピックも週1回投与のお薬ですが、マンジャロは針交換をする必要がないというメリットがあります[3]。
自分で細かく用量を設定できるオゼンピックに対し、マンジャロはすでに量が設定された状態となっています。注入ボタンを押すだけで自動で針が刺さり、薬液が注入される仕組みです。
注射薬を初めて使う際は抵抗感を抱くかもしれませんが、マンジャロの方が手技ミスも起こりにくく、針も一般的な採血で使う針よりもずっと細いため、初心者向けのお薬と言えるでしょう。
マンジャロとオゼンピックの副作用の違いについて
マンジャロとオゼンピックの副作用や頻度はほぼ同様とされています。 副作用のためにお薬を中止する方は、マンジャロの方が、オゼンピックよりも少ないという報告もあります。(※1 Diabetes Obes Metab. 2024;26:262–274.
両方とも消化器系の副作用が多いです
<マンジャロ・オゼンピックでよくみられる副作用>
- 冷や汗、気持ち悪くなる、足が震える、ふらつく力が抜けた感じがするなどの低血糖症状
- 悪心
- 嘔吐
- 腹痛
- 下痢
- 便秘
嘔吐を伴う腹部の激しい痛みや尿量の減少などの症状があらわれた場合は、急性膵炎の可能性も否定できません。
その際は、直ちに医療機関を受診してください。
マンジャロとオゼンピックでは体重減少効果に違いはある?
前述のようにマンジャロの方が、オゼンピックよりも体重減少効果が高いという報告があります[4]。
これはマンジャロがGLP-1受容体だけでなくGIP受容体にも作用し、さらに食欲抑制や体重減少を増強する作用があるためだと考えられます。
このように臨床試験での結果を考慮すると証明されているため、痩せたいという気持ちが大きいのであれば、マンジャロを選択するのが適していると考えられます[5]。
マンジャロはなぜ人気があるの?
マンジャロが注目されている理由は、約9割の使用者が5%以上の体重減少を達成できる高い減量成功率のためです。
日本人を対象に実施されたSURMOUNT-J試験では、糖尿病をもたない肥満症の成人を対象に、チルゼパチドを週1回72週間投与しました。
その結果、72週時点の平均体重変化率はプラセボより有意な結果を示しています[6]。
| 平均体重変化率 | 5%以上の体重減少を達成した参加者の比率 | |
| 10mg | -17.8% | 94% |
| 15mg | -22.7% | 96% |
| プラセボ | -1.7% | 20% |
参考文献Lancet Diabetes Endocrinol. 2025 May;13(5):384-396.
体重90kgの方であれば、10mg群で約16kg、15mg群で約20kgの減量に相当します。
高い効果と多くの方がその効果を実感できることが、マンジャロが注目される要因となっています。
マンジャロやオゼンピック、その他GLP-1作動薬の値段
マンジャロやオゼンピックなどのGLP-1作動薬の費用は、薬剤の種類や用量によって異なります。
クリニックフォアでマンジャロやオゼンピックなどを使って治療する場合、月額費用の目安を把握しておくことが大切です。
当クリニックでは、診察料が1,650円、注射薬の配送料は1,100円(内服薬は550円)かかります。
※お薬の処方がない場合も診察料1,650円(税込)がかかります。
| 薬剤名 | 投与方法 | 投与頻度 | 月額費用の目安(お薬代のみ) | |
| マンジャロ(チルゼパチド) | 注射 | 週1回 | 2.5mg | 25,520円/月 |
| 5mg | 46,640円/月 | |||
| 7.5mg | 59,840円/月 | |||
| 10mg | 74,800円/月 | |||
| オゼンピック(セマグルチド) | 26,730円/本 | |||
| トルリシティ(デュラグルチド) | 取扱いなし | |||
| リベルサス(セマグルチド) | 内服薬 | 毎日 | 3mg | 8,027円/月 |
| 7mg | 15,942円/月 | |||
| 14mg | 25,579円/月 | |||
※保険適用外の自由診療になります。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
※医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
※医学的必要性がないと医師が判断した場合はお薬の処方はいたしません。
費用面で最もリーズナブルなのは内服薬のリベルサスですが、毎日朝一番に服用して、30分間は他のものを摂取できない、といったわずらわしさがあります。また有効成分はオゼンピックと同じセマグルチドです。マンジャロ(チルゼパチド)はオゼンピックやリベルサスと比べると高額ですが、オゼンピックやリベルサスの有効成分であるセマグルチドよりも体重減少効果が高いことが臨床試験で示されています。
しっかりと効果を出したい方は、効果の期待が大きいマンジャロを処方してもらうのがおすすめです。
オゼンピックからマンジャロへの切り替えについて
オゼンピックからマンジャロへの切り替えには、適切なタイミングと用量設定が重要です。
投与後は一定時間体内に薬剤が残存するため、お薬の重複による副作用リスクを避けるために安心して切り替えるためには、医師の指導が必要となります。
体内のオゼンピック(セマグルチド)の濃度が半分になるまでの期間は約6日間であり、最終投与から1週間程度で体内濃度が半分になります。
オゼンピックからマンジャロへの切り替えには以下について理解しておきましょう。
- オゼンピックの最終投与から適切な間隔を空けてマンジャロを開始する
- マンジャロは必ず最低用量の2.5mgから開始し、段階的に増量する
- 切り替え後は消化器症状などの副作用に注意する
切り替えは必ず医師と相談の上で行い、自己判断での変更は避けましょう。
オゼンピックからマンジャロへの切り替えタイミング
オゼンピックからマンジャロへの切り替えは、前に投与していたお薬の効果持続期間を考慮した上で、医師が適切な開始時期を決定します[7]。
薬剤の重複を避け、安心して切り替えを行えるようにするためです。
一般的な切り替えスケジュールの例として、オゼンピックの最終投与から1週間後にマンジャロを開始するケースが多いです。
切り替え後は副作用があらわれる可能性があるため、経過観察が必要です。副作用として悪心や嘔吐、下痢などの消化器症状が強くあらわれた場合は、速やかに医師に相談してください。
オゼンピックからマンジャロへ切り替える際の用量
オゼンピックからマンジャロへ切り替える際は、添付文書の通り、オゼンピックの使用量に関わらず、マンジャロの最低用量である2.5mgから開始することが推奨されています。
副作用リスクを最小限に抑えながら安心して移行するためです。
オゼンピックで0.5mg、1.0mg、あるいはそれ以上の用量を使用していた場合でも、マンジャロは一律2.5mgからの開始となります。
増量スケジュールは通常通りの進め方で、最初の4週間は2.5mgを投与し、問題なければ5週目から5mgに増量します。その後も4週間ごとに2.5mgずつ増量し、最終的に目指す維持用量は10mgです。
ただし増量のペースは個人差があるため、消化器症状が強く出る場合は、同じ用量で様子をみる期間を設けることが大切です。
用量調整は必ず医師と相談しながら進めてください[8]。
マンジャロとオゼンピックの違いに関するよくある質問
マンジャロとオゼンピックに関して、多くの方が疑問に思う質問とその回答をまとめました。
薬剤選択や治療継続の判断材料として、以下の情報を参考にしてください。
マンジャロより効果の期待できるお薬はありますか?
2025年時点では、臨床試験で証明された体重減少効果において、マンジャロ(チルゼパチド)が他のGLP-1受容体作動薬より高い減量効果を示す薬剤です。
2025年時点で発表された臨床試験データでは、セマグルチドの体重減少効果が平均13.7%に対し、チルゼパチドは平均20.2%と大きく上回る結果でした。
同成分の肥満症治療薬としてゼップバウンド®(Zepbound)がありますが、有効成分は同じです[9]。
ゼップバウンドは、イーライリリー社が製造するチルゼパチドを有効成分とするお薬で肥満症治療として承認されていますが、マンジャロは2型糖尿病治療薬としてしか承認されていないという違いがあります。
オゼンピックの製造中止理由は何ですか?
オゼンピックは製造中止されていません。一部の剤型で供給が変更されただけで、現在も通常通り処方可能で、引き続き医療機関で使用されています。
2025年4月に薬価基準収載品目から削除されたのは「オゼンピック®皮下注SD」という特定の剤型です。
製品ラインナップの整理であり、オゼンピックそのものが市場から消えたわけではありません。
過去には世界的な需要増加により、オゼンピックを含むGLP-1受容体作動薬の供給が一時的に不足した時期がありました。これはダイエット目的での使用が急増したことによる影響です。
2025年時点では供給体制が改善され安定していますので、医療機関で処方を受けることができます。
まとめ
マンジャロ(チルゼパチド)とオゼンピック(セマグルチド)は、どちらもGLP-1受容体に作用する週1回投与の注射薬ですが、作用機序と効果に違いがあります。
マンジャロはGLP-1とGIPの両受容体に作用するお薬です。SURMOUNT-5試験でも、72週時点でマンジャロが平均20.2%、オゼンピックが13.7%の体重減少を記録し、マンジャロの優位性が示されています。
副作用は両薬剤とも腹部症状が中心ですが、副作用により治療を中断する方はマンジャロの方が少ない可能性が示されています。副作用を抑えつつも、高い減量効果を求める場合はマンジャロをぜひご検討ください。
