ALLERGIC CONJUNCTIVITIS

※画像はイメージです。

「目がずっとゴロゴロしている」
「赤くなっていてかゆみも感じる」

このような症状の原因は、アレルギー性結膜炎かもしれません。今回は、アレルギー性結膜炎の特徴や主な症状、対策法などについて解説します。目の症状に悩んでいる方は参考にしてみてください。

アレルギー性結膜炎とは

アレルギー性結膜炎とは、どのような病気なのでしょうか。まずはアレルギー性結膜炎の特徴や主な症状について解説します。

目にアレルゲンが入ることよって炎症が起こる病気

アレルギー性結膜炎とは、目に発生するさまざまなアレルギー疾患の総称です。目に何らかのアレルゲン(アレルギー反応の原因物質)が付着することで、目の結膜に炎症が生じます。結膜とは、まぶたの裏側から折り返して白目の部分までを覆っている膜のことです。

アレルギー性結膜炎はどの年代でも発症するリスクがありますが、とくに10代の有病率が高く、年齢を重ねるとともに減少していくといわれています。ただし、アレルギー性結膜炎の種類によっては、20代や40代に有病率のピークが来るものもあります。

かゆみや充血などの症状が出る

アレルギー性結膜炎では、目がかゆくなり、目がゴロゴロするような異物感を感じることがあります。目は赤く充血し、サラサラした目ヤニや涙が出ます。

また、鼻水、くしゃみ、鼻づまりといったアレルギー症状を合併することも多いです。重症のアレルギー性結膜炎では、まぶたの裏に盛り上がりができて、強い異物感を感じることがあります。

症状詳細
かゆくなる(掻痒感)アレルギー結膜炎の代表的な症状。アレルゲンによって結膜が炎症を起こしてかゆくなる
痛むアレルギー結膜炎で目にかゆみが生じ、頻繁に目をかいたり擦ったりしたことで痛くなる
ゴロゴロする(異物感)軽度のかゆみを異物と感じている場合が多い。また、結膜乳頭(上まぶたの裏側にできるブツブツ)が瞬きをしたときに角膜に当たり、異物感を覚えることもある
赤くなる(充血・結膜下出血)炎症などが原因で結膜血管が拡張する、または目のかゆみや異物感が気になり強く擦ったために出血して赤く見える
目やにが出る(眼脂)目やには涙に含まれるムチン(目の表面に水分を留める役割をもつ物質)が、目の表面の不要物を絡めとって出てくるもの。アレルギー性結膜炎になると、目に付着したアレルゲンを排除しようとして目やにが増える
白目が腫れてぶよぶよになる(結膜腫脹)結膜に炎症が起き、血管から水分が漏れ出て溜まってしまうことで、白目がゼリーのようにぶよぶよになる
まぶたが腫れる炎症が悪化してまぶたまで赤く腫れる

アレルギー性結膜炎は4種類

アレルギー性結膜炎は、原因となるアレルゲンによって4種類に分類されます。

種類詳細主な原因
季節性(花粉性)アレルギー性結膜炎・一年のうち特定の時期にのみ花粉が原因となって発症する・スギ花粉(1~5月ごろ)・ヒノキ花粉(3~5月ごろ)・シラカバ花粉(4~6月ごろ)・カモガヤ花粉(5~7月ごろ)・イネ花粉(4~10月ごろ)・ブタクサ花粉(8~10月ごろ)
通年性アレルギー性結膜炎・一年を通してハウスダストなどが原因で起こる・ハウスダスト・ペット・ダニや蛾などの昆虫・コンタクトレンズ
春季カタル・10歳ごろまでの男児に多い、慢性重症型のアレルギー性結膜炎・10歳を超えると症状が落ち着くケースが多い・アトピー性皮膚炎を併発する場合がある・アトピー性皮膚炎を併発すると、20代でも症状が軽減しないことがある・ハウスダスト・ダニ
巨大乳頭結膜炎・物理的な刺激によって発生する・コンタクトレンズ・目の手術で使用した糸

また、顔にアトピー性皮膚炎の症状が出ている方は、アトピー性角結膜炎という合併症を起こす場合があります。顔の皮膚炎の症状が重く、目を頻繁に擦るなどする方に多くみられる結膜炎です。

かゆみなどの症状が出るだけでなく、網膜剥離や白内障などを引き起こすケースがあります。無自覚なまま症状が進行している場合があるため、顔のアトピー性皮膚炎に悩んでいる場合は、皮膚科医だけでなく眼科医にも相談することを検討しましょう。

アレルギー症状が起こる仕組み

アレルギー性結膜炎のアレルギー症状は、次のような仕組みで発生します。

  1. 目にアレルゲンが侵入する
  2. 肥満細胞と呼ばれる免疫細胞が活性化する
  3. ヒスタミンという神経伝達物質が放出される
  4. ヒスタミンによって目の毛細血管や知覚神経が刺激され、炎症を起こす
  5. 目にかゆみや充血などの症状が現れる

アレルギー性結膜炎の対策

アレルギー性結膜炎は、一度発症してしまうと原因物質が身近にある限り症状が継続するといわれています。季節性であれば毎年繰り返し、通年性であれば症状が持続してしまうのです。

ただし、適切な治療や生活での工夫によって症状を抑えることは可能です。そこで、具体的には何をするとよいのか、アレルギー性結膜炎の対策を紹介します。

花粉対策

花粉が原因のアレルギー性結膜炎の場合は、花粉対策を徹底しましょう。以下のような対策が効果的です。

  • こまめに部屋や寝具を掃除する
  • 屋外ではメガネやゴーグル、マスク、帽子を着用する
  • 表面がツルツルしていて花粉が付着しにくい生地の衣類を着用する
  • コンタクトレンズの使用を避ける
  • 玄関に入る前に上着を脱ぎ、服に付着した花粉を叩き落とす
  • 帰宅後すぐに手洗いうがいを行う
  • 帰宅後はできるだけ早く洗顔や入浴を済ませる
  • 洗濯物や布団を外に干さない。どうしても外に干す必要がある場合は、取り込む前にしっかりと花粉を叩き落とす

ハウスダスト対策

ハウスダストが主な原因である通年性アレルギー性結膜炎の場合は、以下のようなハウスダスト対策を行うことが重要です。

  • こまめに部屋を掃除する
  • ホコリが溜まりがちなところは、濡れ雑巾などを使って拭き掃除する
  • 定期的に寝具を天日干しし、掃除機をかけてダニを除去する
  • 室温20℃以下、湿度50%以下を維持し、ダニの繁殖を防止する
  • 室内の通気性を保つ
  • 空気清浄機を使用する

市販の目薬を使用する

アレルギー性結膜炎の一時的な対策として、市販の目薬を使用するのも一つの方法です。「抗アレルギー成分」または「抗ヒスタミン成分」が配合された目薬を選びましょう。

  • 抗アレルギー成分:クロモグリク酸ナトリウム、ケトチフェン、トラニラストなど
  • 抗ヒスタミン成分:マレイン酸クロルフェニラミン 、ケトチフェンなど

上記の成分が配合された目薬は、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの働きや放出を抑制するため、かゆみや目やになどの症状を軽減できます。同時にアレルゲンから結膜を保護できるのも特徴です。

なお、市販の目薬はアレルギー性結膜炎の初期段階で役立つもので、症状が進行する前の使用が推奨されています。

アレルゲンが目に入った場合は洗眼薬を使用

アレルゲンが目に入ってしまったら、人工涙液や防腐剤不使用の洗眼薬などを使って目を洗浄しましょう。水道水での洗眼は、塩素によって目に負担がかかったり、感染したりする恐れもあるため、できるだけ避けてください。

また、洗眼する際は目の周辺の皮膚についたアレルゲンや汚れなどが目に入らないように注意しましょう。

アレルギー性結膜炎の治療法

市販の目薬や洗眼薬などでの対処は一時的なものでしかありません。しっかりと対処するには、医療機関を受診してアレルギー性結膜炎の治療を受けることが大切です。ここでは、アレルギー性結膜炎の治療法について解説します。

薬による治療が中心

アレルギー性結膜炎はお薬による治療が基本です。まずは原因となるアレルギー反応を抑えるために、抗アレルギー点眼薬(抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエータ遊離抑制薬)を使用します。

症状が重い場合は、ステロイドの点眼薬や眼軟膏を使用することもあります。クリニックフォアグループでは、ご希望の方には、院内処方で点眼薬の処方を行っております(処方薬は在庫状況によります。またオンライン診療で院内処方をご希望の場合は、「花粉症・舌下免疫」診療科をご選択ください)。また、アレルギー性鼻炎など目以外の症状も認めるときは、抗アレルギー薬の内服薬も使用することがあります。

眼科での専門的な治療が必要となることも

重症のアレルギー性結膜炎では、角膜(黒目を覆う膜)にもダメージが及んだり、まぶたの裏の盛り上がりが大きくなるため、免疫抑制剤の点眼や手術といった、眼科での専門的な治療が必要になることがあります。

アレルギー性結膜炎の診断方法

まず問診によってアレルギー性結膜炎を疑う症状を確認し、可能な範囲で白目の結膜の診察を行います。症状や診察のみで、診断となる場合も多いですが、医師が必要と判断した場合には、以下のような詳しい検査を行うことがあります。

血液検査

アレルギーの原因物質を調べるために、血液検査によって免疫グロブリン(抗体の役割を担うタンパク質)であるIgE量を測定することがあります。アレルギー以外の結膜炎を疑った場合に、炎症の程度や全身状態を確認するために行います。クリニックフォア対面診療でも対応可能です。

涙液テスト

涙液テストは、季節性・通年性のアレルギー性結膜炎や春季カタルが疑われる場合に行われる検査です。キットを用いて涙を採取し、涙に免疫グロブリンであるIgEがどれくらい含まれているかを測定します。(クリニックフォアでは対応しておりません)

顕微鏡検査

アレルギー性結膜炎の診断では、顕微鏡検査を行う場合もあります。結膜の細胞を採取してスライドガラスに塗り付け、好酸球(アレルギー発症時に現れる炎症性細胞)が存在するかどうか調べます。(クリニックフォアでは対応しておりません)

アレルギー性結膜炎の治療はクリニックフォアのアレルギー科へ

アレルギー性結膜炎は、かゆみや目の異物感などの症状を繰り返す病気です。しかし、治療により症状を抑えたり、検査で避けるべき原因物質を見つけることができる可能性があります。

クリニックフォアでは、アレルギー性結膜炎をはじめ、花粉症やアトピーなどさまざまなアレルギーに対する総合的な治療を実施しています。アレルゲンを特定する検査も可能です。オンラインで来院予約ができますので、どうぞお気軽にクリニックフォアグループへご相談下さい。

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